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公開番号
2024157230
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-07
出願番号
2023071472
出願日
2023-04-25
発明の名称
タオル生地及びその製造方法
出願人
伊澤タオル株式会社
代理人
弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類
D03D
27/00 20060101AFI20241030BHJP(織成)
要約
【課題】パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供する。
【解決手段】経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、経パイル糸はサイロスパン紡績糸19であり、複数本の粗糸12a,12bの一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸である。一次撚りの撚り癖及び一次撚りのマイグレーションにより、繊維同士の絡み合いがあり、かつ無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、各構成繊維はフリー状態で存在するため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、
前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、
前記サイロスパン紡績糸は、複数本の粗糸の一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸であることを特徴とするタオル生地。
続きを表示(約 710 文字)
【請求項2】
前記サイロスパン紡績糸は撚り係数Kが0~3.5である請求項1に記載のタオル生地。
但し、撚り係数(K)は下記式(数1)で算出する。
TIFF
2024157230000005.tif
7
170
但し、t:撚回数(回/25.4mm)、S:綿番手(英式綿番手)
【請求項3】
前記サイロスパン紡績糸の二次撚りの撚り方向は、前記一次撚りの撚り数と同じか又は一次撚りの撚り数より多い請求項1に記載のタオル生地。
【請求項4】
前記サイロスパン紡績糸は、綿100%である請求項1に記載のタオル生地。
【請求項5】
前記サイロスパン紡績糸は、マイクロネアが4~7、平均繊維長が28~45mmの綿である請求項1に記載のタオル生地。
但し、マイクロネアとは1インチ(25.4mm)当たりの質量マイクログラム(μg)をいう。
【請求項6】
前記サイロスパン紡績糸は、マーセライズ加工されている請求項1に記載のタオル生地。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のタオル生地の製造方法であって、
経パイル糸は、サイロスパン紡績糸であり、
撚り方向を揃えた複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に二次撚りを加えて、無撚り又は甘撚りの1本の紡績糸とすることを特徴とするタオル生地の製造方法。
【請求項8】
前記サイロスパン紡績糸は、糸状態で、アルカリ水溶液に浸漬して緊張処理することにより、マーセライズ加工する請求項7に記載のタオル生地の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル糸にサイロスパン(siro spun)紡績糸を使用したタオル生地及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、タオル生地は、経パイル糸と経地糸、及び緯地糸を使用し、パイル織物とするのが基本である。また、タオル生地は吸水性を良好にするため、比較的目付(単位面積当たりの質量)が高く、構成糸も太く繊度の高い糸が使用されている。
特許文献1には合成繊維のサイロスパン紡績糸を使用してパイル用杢糸とすることが提案されている。特許文献2~3には、甘撚りのサイロスパン紡績糸を使用してパイル編地とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-088440号公報
特開2019-137941号公報
特開2019-137942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来技術はパイルの立毛性、ソフトで膨らみのある風合いに関して問題があり、さらなる改良が求められていた。
【0005】
本発明はタオル地に特徴を最大限に活かすべく鋭意検討した結果、パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタオル生地は、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、前記サイロスパン紡績糸は、複数本の粗糸の一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸であることを特徴とする。
【0007】
本発明のタオル生地の製造方法は、前記のタオル生地の製造方法であって、経パイル糸は、サイロスパン紡績糸であり、撚り方向を揃えた複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に二次撚りを加えて、無撚り又は甘撚りの1本の紡績糸とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタオルは、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であり、前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向(解撚方向)に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸であることにより、パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供できる。すなわち、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向(解撚方向)に二次撚りが加えられている糸構造であることと相俟って、一次撚りの撚り癖及び一次撚りのマイグレーション(単繊維が内部に入りこんだり外側に出て撚られている現象)が残っており、繊維同士の絡み合いがあり、無撚り糸か又は甘撚り糸であり、各構成繊維はフリー状態で存在するため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は本発明の一実施形態のサイロスパン紡績装置の模式的斜視図である。
図2は本発明の一実施形態におけるタオル生地の模式的説明図である。
図3は同、繊維製タオル生地の織物組織図である。
図4は本発明の実施例1のタオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。
図5は本発明の実施例1のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。
図6は本発明の実施例2のタオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。
図7は本発明の実施例2のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。
図8は比較例1のオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。
図9は比較例1のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、タオル生地の構成糸の約7割占める経パイル糸(以下パイル糸ともいう。)が、パイルの立毛性、タオル生地の風合いおよび毛羽落ち等の機能性を左右する重要な糸であることに着目し、検討を進め次の知見を得た。すなわち、本発明のタオル生地は、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であり、前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられ、無撚り又は甘撚りの紡績糸からなる経パイル糸を含むタオル生地である。これにより、下記の利点があることを見出した。
(1)経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に、前記一次撚りの撚り数と同じか又は多い二次撚りが加えられている。これにより、二次撚りを掛けているが、一次撚りの撚り癖が残っており、一次撚りのマイグレーション(単繊維が内部に入りこんだり外側に出て撚られている現象)も残っており、繊維同士の絡み合いがあり、かつ無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、各構成繊維はフリー状態で存在し、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。ソフトで膨らみのある風合いなので、肌に柔らかく接触でき、汗や水分を効率よくふき取ることができる(風合い効果、ふき取り効果)。
(2)パイル糸は無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、構成繊維は水分の吸収がしやすくなり、同時にこの膨らみで空気の移動が活発になって通気性が高くなる(吸水性効果、通気効果)。
(3)構成繊維の絡み合いにより、毛羽落ちが改善でき(毛羽落ち改善効果)、洗濯による風合いの変化が少なく、当初のソフトで膨らみのある風合いが維持される(洗濯の風合い耐久性効果)。
(4)紡績糸を製造する際には水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用する必要がなく、その分コストを安くできる。また、水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用し、生地になった後にこれらを除去すると、空隙が生じ、その分膨らみ感(ボリューム感)が低下し、毛羽落ちも多くなるという問題もある。
(5)紡績糸を製造する際に水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用する必要が無いので、それらを含んだ工場排水による環境負荷を低減することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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