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公開番号2024113224
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-22
出願番号2023018044
出願日2023-02-09
発明の名称エアバッグ用織物およびその製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D03D 1/02 20060101AFI20240815BHJP(織成)
要約【課題】製織工程におけるタテ糸の伸長割合を1%以下とすることで、織物を構成するタテ糸の残留歪みを小さくし、低通気かつ内圧保持性に優れたエアバッグ用織物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】合成繊維からなるエアバッグ用織物であって、ASTM D6476に基づき最大圧力が100±5kPaで測定される平均動的通気度が360以下、70-30kPa圧力下の保持時間が200ms以上であるエアバッグ用織物。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
合成繊維からなるエアバッグ用織物であって、ASTM D6476に基づき最大圧力が100±5kPaで測定される平均動的通気度が360以下、70-30kPa圧力下の保持時間が200ms以上であるエアバッグ用織物。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の織物であって、ASTM D6476に基づき最大圧力が80±5kPaで測定される平均動的通気度が400以下であり、70-30kPa圧力下の保持時間が180ms以上であるエアバッグ用織物。
【請求項3】
請求項1に記載の織物であって、ASTM D6476に基づき最大圧力が100±5kPaで測定される平均動的通気度の動的通気度曲線定数(m)が2.3以下であるエアバッグ用織物。
【請求項4】
請求項1に記載の織物であって、積極イージング機構を有する織機を用いて、タテ糸の伸長割合が1%以下となるよう製織するエアバッグ用織物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ用織物およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年では自動車等の事故における衝突緩和のためにエアバッグの装着がなされている。エアバッグは外的要因によって自動車に急激な衝撃が加わった際に乗員や車外の歩行者を保護するために膨張する袋状の装置であって、用途に応じて各種のエアバッグの装着が検討されている。
【0003】
エアバッグは、車両が衝突してから極めて短時間に車内で膨張展開することで、衝突の反動で移動する乗員を受け止め、その衝撃を吸収して乗員を保護するものである。この作用上、袋を構成する布帛の通気量は小さいことが求められている。また、近年、更なる乗員拘束性向上を目的にエアバッグが膨張展開し、乗員を受け止める際にバッグ内圧を一定以上に保つために、布帛に対してガスが当たったときの布帛からのガス漏れ防止の要求も高まっている。
【0004】
従来、布帛の通気量を小さくする手段として、エアバッグ用織物に樹脂を塗布したり、フィルムを貼り付けた、コート布が提案されている。
【0005】
しかし、樹脂を塗布したり、フィルムを貼り付けると、布帛の厚みが増し、収納時のコンパクト性が悪化し、エアバッグ用織物としては不適当であった。また、このような樹脂塗布工程やフィルムの貼り付け工程が増えることによって、製造コストが上がるという問題があった。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、近年、樹脂加工を施さず、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の合成フィラメント糸の繊度を細くしなやかにすることで布帛の通気量を小さくするノンコート基布が提案されており、例えば、低通気性を実現する手段として単繊維繊度が2dtex以下の合成繊維マルチフィラメントを用い、織物の製織時にタテ糸の張力を0.11~0.34cN/本・dtexとした織物を使用する手段が開示されている(特許文献1参照)。この手段によれば、テストヘッド200cm

、試験圧力100±5kPaで500mm/s以下の通気量を達成している。
【0007】
また、タテ糸の張力をより詳細に制御する手法を採用したエアバッグ用基布も開示されている(特許文献2および3参照)。これらの手段によれば、タテ糸に過剰な張力が加わることを抑制することができ、繊維間空隙(目ずれ)が減少することを達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2009-256860号公報(請求項1)
WO2016/158287(請求項6、段落0030および0036)
WO2019/167820(段落0065)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、布帛の通気量の測定方法としてはJIS L1096の通気性に示される入力圧力と測定圧力の関係から均衡状態におけるいわば静的な通気特性であるが、エアバッグが機能する際の実際の布帛の膨張・通気挙動は瞬時に当てられる高圧ガスや乗員の接触により決定され、あるいは大きく影響を受け、内圧保持性等、静的な通気特性では十分に評価しきれない特性もあると考えられる。内圧保持性は、乗員がエアバッグに接触後も衝突のエネルギーを吸収して乗員を保護する上で重要である。経時変化対応した動的な通気量測定としてはASTM D6476の平均動的通気度(ADAP)が評価方法として用いられている。ASTM D6476におけるADAPの測定値は30~70kPaの間で比例平均とした通気量であるが、特許文献1に開示されたエアバッグ用基布については、このような動的な通気特性としては未だ不十分であった。
【0010】
動的な通気特性が悪化する要因として、エアバッグの展開における基布の部分的な過伸長が挙げられ、主に織り込まれている糸の残留歪みが原因である。通気の起点となる基布の残留歪みを減らすには、製織時において均一な張力で製織を行うことがよいとされており、その中でもタテ糸の過張力を防止するイージング機構にて、タテ糸の張力緩和のためイージング量を一定値に設定することが特許文献2、3に開示される。しかし、単にイージング量を規定する製造方法では、イージングのタイミングやタテ糸の仕掛り長さによってタテ糸の過張力が発生する場合があり、基布の残留歪みを減らすには不十分であった。
(【0011】以降は省略されています)

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