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公開番号2025103199
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023220406
出願日2023-12-27
発明の名称液晶ポリエステルフィラメントの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D01F 6/62 20060101AFI20250702BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】 本発明の課題は、高強度、高弾性率、高耐熱性を維持しつつ、フィブリル欠点がなく、製織性、織物品位に問題のない耐摩耗性を有する液晶ポリエステルフィラメント、特に単繊維繊度が小さい液晶ポリエステルモノフィラメントの糸走行性を向上させ、操業性を改善する製造方法を提供することにある。
【解決手段】 液晶ポリエステルフィラメントのパッケージを固相重合した後、該パッケージから固相重合した液晶ポリエステルフィラメントを解舒しつつ、一旦巻き取ることなく熱処理する際に、熱処理工程の入口部と出口部の雰囲気温度が異なる液晶ポリエステルフィラメントの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
液晶ポリエステルフィラメントのパッケージを固相重合した後、
該パッケージから固相重合した液晶ポリエステルフィラメントを解舒しつつ、
一旦巻き取ることなく熱処理する際に、
熱処理工程の入口部と出口部の雰囲気温度が異なる液晶ポリエステルフィラメントの製造方法。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
前記熱処理工程の入口部の雰囲気温度が、
出口部の雰囲気温度に対して、20℃以上高いことを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステルフィラメントの製造方法。
【請求項3】
前記熱処理工程の出口部の雰囲気温度が、
(固相重合後の液晶ポリエステルフィラメントの吸熱ピーク温度Tm

+80℃)以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶ポリエステルモノフィラメントの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は強度、弾性率、耐摩耗性に優れた液晶ポリエステルフィラメントの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステルは剛直な分子鎖からなるポリマーであり、溶融紡糸においてはその分子鎖を繊維軸方向に高度に配向させ、さらに高温下で熱処理することにより固相重合するため、溶融紡糸で得られる繊維の中では最も高い強度、弾性率が得られる(非特許文献1参照)。液晶ポリエステル繊維はさらに低吸湿特性を有するため、水産資材用のロープやネット類などに用途を持っていた。また近年では、スクリーン印刷用の紗織物、セールクロス、各種電気製品のコード補強材、防護手袋、プラスチックの補強材、光ファイバーのテンションメンバー、膜体の基布などの比較的繊度の低い液晶ポリエステルの需要が伸びている。
【0003】
しかし、液晶ポリエステル繊維は剛直な分子鎖が繊維軸方向へ高度に配向しているため、繊維軸垂直方向に弱く、フィブリル化しやすく耐摩耗性に劣るという欠点も持つ。また、液晶ポリエステル繊維は繊維軸方向に高度に配向し緻密な結晶を生じるが、その結晶部分と非晶部分の構造差が大きく相互作用が低いため、外力が与えられることにより結晶部分と非晶部分との間でズレが生じ、その構造欠陥を破壊の開始点としてフィブリル化が進行する。このため繊維の高次加工工程での毛羽発生による工程通過性悪化、毛羽混入による製品の品位・性能低下が発生することから、液晶ポリエステル繊維の耐摩耗性向上が求められている。中でもフィルター、スクリーン印刷用紗においては、高性能化のために開口部の欠点減少が要求されている。開口部の欠点は、製織工程での摩擦により繊維が削られフィブリル化し、そのフィブリルが開口部を塞ぐことに起因しているため、液晶ポリエステル繊維の耐摩耗性向上が強く求められている。
【0004】
この耐摩耗性を改善するために、芯成分が液晶ポリエステル、鞘成分がポリフェニレンスルフィドからなる芯鞘型複合繊維(特許文献1参照)や、島成分が液晶ポリエステル、海成分が屈曲性熱可塑性ポリマーからなる海島型複合繊維が提案されている(特許文献2参照)。これらの技術では屈曲性ポリマーが繊維表面を形成することで耐摩耗性の向上は達成できるものの、液晶ポリエステル以外の成分の分率が多いため繊維の強度が劣る、液晶ポリエステルの高強度化に必要な繊維の固相重合において低融点の繊維表面が融着し、欠陥となりフィブリル化が起こるという問題があった。さらに、芯鞘複合紡糸は、単成分紡糸に比べ芯鞘それぞれの吐出量が少なく、細繊度化のために吐出量を少なくした場合、ポリマーの滞留時間の増加に伴うゲル化や熱分解により溶融粘度が変化して、繊維長手方向の太さ斑や複合異常などの繊維長手方向の均一性を損なうという問題がある。
【0005】
また、液晶ポリエステルと屈曲性熱可塑性樹脂からなる複合繊維を屈曲性熱可塑性樹脂の融点+20℃以上の温度で熱処理することで耐摩耗性を高める技術が提案されている(特許文献3、4参照)。しかし、この技術では屈曲性熱可塑性樹脂を非晶状態とすることで耐摩耗性を向上させているため、得られた繊維は耐熱性に劣るという問題があった。また、複合紡糸であるため前述のとおり長手方向の均一性を損なうという問題がある。
【0006】
また、液晶ポリエステル繊維を融点よりも低い温度で加熱硬化(固相重合)させた後、該繊維を220℃~500℃の温度、通常、硬化温度の50℃の範囲内にて10%~400%延伸し、強度および弾性率を増加させる技術が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この技術は結晶化度を維持できる温度で延伸を行うことで分子鎖の配向をさらに高め、強度および弾性率を増加させることを目的としており、結晶化度が高く分子鎖の配向が高い繊維構造のため耐摩耗性は向上できない。
【0007】
液晶ポリエステル繊維に対して、融点以上の温度で熱処理を施すことによって耐摩耗性を向上させる技術が開示されている(特許文献6、7参照)。これらの技術は、パッケージの状態で固相重合し、解舒し、融着防止剤を除去し、融点以上の高温で熱処理することが記載されており、確かに液晶ポリエステル繊維の耐摩耗性を向上させることが可能であるが、これらの工程では処理された繊維をその都度、巻き取っており、巻き取り設備費用や運転要員の労務費などのコストアップが避けられなかった。また、解舒した後で熱処理する前の液晶ポリエステル繊維は耐摩耗性に劣るため、熱処理前の巻き取り工程においてフィブリル化を避けることができなかった。
【0008】
また、液晶ポリエステル繊維をパッケージとなし、固相重合し、該パッケージから固相重合した液晶ポリエステル繊維を解舒しつつ一旦巻き取ることなく引き続いて熱処理する液晶ポリエステル繊維の製造方法であって、該熱処理の温度を固相重合後の液晶ポリエステル繊維の吸熱ピーク温度(Tm

)+60℃以上とするとともに、熱処理前後の該繊維の速度をそれぞれ第1ローラーおよび第2ローラーにより規制することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法が開示されている(特許文献8参照)。この方法では、繊維の速度の規制により、繊維の走行安定性を向上させているが、熱処理に伴い生じる張力低下を解決することはできておらず、糸揺れによる操業性の悪化が問題となる。張力低下を補うためにストレッチをかけた場合、逆に繊維の配向が増加し、耐摩耗性の低下を避けることができなかった。
【0009】
以上のことから、従来技術では高強度、高弾性率、高耐熱性を維持しつつ、耐摩耗性が高くフィブリル欠点のない液晶ポリエステルフィラメントの糸揺れを防ぎ、操業性を向上させる方法は提案されてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開平1-229815号公報(第1頁)
特開2003-239137号公報(第1頁)
特開2007-119976号公報(第1頁)
特開2007-119977号公報(第1頁)
特開昭50-43223号公報(第2頁)
特開2008-240230号公報(第5頁)
特開2008-240228号公報(第1頁)
特開2010-209495号公報(第1頁)
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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