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公開番号2024131908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023042472
出願日2023-03-17
発明の名称パイル織物の重量適否判定装置
出願人愛媛県,有限会社田崎エンジニアリング
代理人弁理士法人小笠原国際特許事務所,個人
主分類D03D 39/00 20060101AFI20240920BHJP(織成)
要約【課題】パイル織物の重量の異常を製織中にリアルタイムに直感的に把握して素早い対処を可能にし、パイル織機の歩留まり向上を図ることができ、パイル織機の制御に精通した技術者でなくても、既設のパイル織機に比較的簡単に少ない費用で適用することができるパイル織物の重量判定装置を提供する。
【解決手段】
筬打ち毎の筬打ち検知信号Pf、筬打ち毎のパイル経糸の繰り出し長さの計測値Lm、及びパイル経糸長さ補正率S1の設定値に基づき、筬打ち所定回数毎のパイル経糸3の予想繰り出し長さLr、及びパイル織物の一単位毎の予想重量Wを算出し、その予想重量Wの算出値Wが、目標値設定部24に設定された所要重量の上限値Wmaxと下限値Wminとの間にあるか否か判定部25を判定し、その判定結果J1及び筬打ち所定回数毎のパイル経糸の予想繰り出し長さLrを出力部28に表示する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
製織中のパイル織機における筬打ちを検知して該筬打ち毎に筬打ち検知信号を出す筬打ち検知部と、
前記パイル経糸の繰り出し長さを時々刻々計測する繰り出し長さ計測部と、
前記繰り出し長さ計測部によるパイル経糸の繰り出し長さの計測値の、織り上がったパイル織物中のパイル経糸の長さの実測値に対する誤差を補正するためのパイル経糸長さ補正率を設定するパイル経糸長さ補正率設定部と、
前記パイル織物の一単位の所要重量及び該パイル織物の一単位の所要重量の許容誤差を設定する目標値設定部と、
前記筬打ち検知信号、前記パイル経糸の繰り出し長さの計測値、及び前記パイル経糸長さ補正率の設定値に基づき、筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さ、及び前記パイル織物の一単位毎の予想重量を算出し、該パイル織物の一単位毎の予想重量の算出値が、前記パイル織物の一単位の所要重量の上限値と下限値との間にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部からの前記判定結果及び前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さを表示する出力部と、
を備えることを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】
請求項1に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記筬打ち検知部は、ファーストピック位置及びルーズピック位置のうちのファーストピック位置に移動した筬のみを検知する光電センサを有し、該光電センサによる検知信号を前記筬打ち検知信号として出力することを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記筬打ち検知部は、筬の往復運動を検知する光電センサと、該光電センサからの検知信号を計数し、その計数値が、一つのパイル形成に必要なルーズピック及びファーストピックの回数の合計値に達する度に、前記筬打ち検知信号を出力することを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記繰り出し長さ計測部は、前記パイル経糸の繰り出しに応じて回転するよう前記パイル経糸の走行経路に設置した計測ローラと、該計測ローラの回転に応じてパルス信号を出すロータリエンコーダとを有し、
前記計測ローラは、パイル織機の緯糸方向の中央部分に配置されることを特徴とするパイル織物重量判定装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記判定部は、
前記筬打ち検知信号及び前記パイル経糸の繰り出し長さの計測値に基づき、筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さ、及び前記パイル織物の一単位毎のパイル経糸の繰り出し長さを算出する第一の算出部と、
前記パイル織物の一単位毎のパイル経糸の送り出し長さ、及び前記パイル経糸長さ補正率の設定値に基づきパイル織物の一単位の予想重量を算出する重量算出部と、
前記パイル織物の一単位毎の予想重量の算出値が、前記目標値設定部に設定された前記パイル織物の一単位の所要重量の上限値と下限値との間にあるか否かを判定する第一の判定部と、
前記第一の算出部からの、筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さの算出値、及び前記第一の判定部からの判定結果を含む長さ監視用データを作成すると共に、所定数の前記長さ監視用データを新しい順に並べて筬打ち所定回数毎に出力する、長さ監視用データ作成部とを備え、
前記出力部は、前記判定部からの長さ監視用データを所定数同時に時々刻々表示することを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記パイル織物の一単位毎の始端を検知する始端検知部を備え、
前記判定部は、
前記パイル経糸の繰り出し長さの計測値及び前記始端検知部からの始端検知信号に基づき、前記パイル織物の一単位毎のパイル経糸の繰り出し長さを算出する第二の算出部と、
前記パイル織物の一単位毎のパイル経糸の送り出し長さ、及び前記パイル経糸長さ補正率の設定値に基づきパイル織物の一単位の予想重量を算出する重量算出部と、
前記パイル織物の一単位毎の予想重量の算出値が、前記目標値設定部に設定された前記パイル織物の一単位の所要重量の上限値と下限値との間にあるか否かを判定する第二の判定部と、
前記重量算出部からのパイル織物の一単位の予想重量の算出値と、前記第二の判定部からの判定結果を含む重量監視用データを作成すると共に、所定数の前記重量監視用データを新しい順に並べて前記パイル織物の一単位毎に出力する重量監視用データ作成部とを備え、
前記出力部は、前記判定部からの長さ監視用データを所定数同時に時々刻々表示することを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項7】
請求項6に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記パイル織物のパイル区間を検知するパイル区間検知部を備え、
前記第二の判定部は、前記パイル区間検知部がパイル区間を検知していないときは、前記パイル織物の一単位毎の予想重量の算出値が、前記パイル織物の所要重量の上限値と下限値との間になくても重量不適との判定をしないことを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項8】
請求項6に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記パイル織機は、緯糸を通すために地経糸及びパイル経糸を開口運動させる多数のハーネスを有するジャカード機を備えたものであり、
前記始端検知部は、前記ジャカード機においてパイル織物一単位の始端毎に動作するよう設定されたハーネスの動作を検知するセンサであることを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項9】
請求項8に記載のパイル織物の重量適否判定装置であって、
前記パイル織機は、緯糸を通すために地経糸及びパイル経糸を開口運動させる多数のハーネスを有するジャカード機を備えたものであり、
前記パイル区間検知部は、前記ジャカード機においてパイル織物一単位のパイル区間毎に動作するよう設定されたハーネスの動作を検知するセンサであることを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。
【請求項10】
製織中のパイル織機における筬打ちを検知して該筬打ち毎に筬打ち検知信号を出す筬打ち検知部と、
前記パイル経糸の繰り出し長さを時々刻々計測する繰り出し長さ計測部と、
前記繰り出し長さ計測部によるパイル経糸の繰り出し長さの計測値の、織り上がったパイル織物中のパイル経糸の長さの実測値に対する誤差を補正するためのパイル経糸長さ補正率を設定するパイル経糸長さ補正率設定部と、
前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の所要繰り出し長さ及び該所要繰り出し長さの許容誤差を設定する目標値設定部と、
前記筬打ち検知信号、前記パイル経糸の繰り出し長さの計測値、及び前記パイル経糸長さ補正率の設定値に基づき、前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さを算出し、該筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さの算出値が、前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の所要繰り出し長さの上限値と下限値との間にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部から前記筬打ち所定回数毎の繰り出し長さの算出値、及び、それに対する前記判定結果を受けて、前記判定結果及び前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さの算出値を表示する出力部と、
を備えることを特徴とするパイル織物の重量適否判定装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル織機による製織中にパイル織物の重量の適否を判定することができるパイル織物の重量判定装置に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、パイル織物は、パイル織機のテリーモーションによって形成された多数のパイルを有している。このパイル織物の品質は、パイル織物の一単位の重量によって評価され、パイル織物の取引時には、パイル織物の一単位の重量と、その許容誤差範囲が指定されることが多い。パイル織物の一単位とは、そのパイル織物から形成される、例えばタオル一枚分に相当する部分の重量であり、パイル織物の一単位の重量が許容誤差の範囲内に収まっていないと、そのパイル織物は規格外となり、その製品価値が低下してしまう。
【0003】
織り上がったパイル織物のパイルは、パイル経糸の供給量等に応じてパイル高さが決まり、パイル織物の一単位の重量にばらつきが生じ易い。そこで、パイル経糸消費量を適切な範囲に調節して、パイル織物の重さを調節できるようにするために、従来においては、例えば特許文献1に開示されているように、パイル製織中における地経糸の消費量とパイル経糸の消費量との比に基づきパイル倍率を算出する手段を備え、パイル倍率に対する許容範囲を設定可能に構成するとともに、求めたパイル倍率が前記許容範囲から逸脱したときに、パイル倍率を前記許容範囲内に戻す方向に、パイル重さに関連する少なくとも1つの製織条件のパラメータを補正することができるパイル織機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2004-169227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にパイル織機は機械的に耐久性があり、現在、パイル織物の製造工場には、旧式のパイル織機が多数設置されている。そして、このようなパイル織機に対して歩留まりの改善が強く求められている。そこで、上述のような、パイル倍率の許容範囲からの逸脱に応じて、自動的にパイル倍率を許容範囲内に戻す方向に補正することができるパイル織機のような歩留まりの向上が期待できる最新鋭のパイル織機を導入することも考えられる。
【0006】
しかし、タオル等のパイル織物の製造業者には、資本の規模が小さい企業もあり、そのような製造業者にとっては、多額の設備投資を行って最新式のパイル織機を導入するのは困難な場合が多い。また現在稼働中のパイル織機を廃棄して、上述のような高機能のパイル織機を導入するのは、持続可能な社会を目指す観点からも好ましくない。また現在工場に設置されているパイル織機を、上述のような高性能のパイル織機に改造するためには、パイル織機メーカーの設計技術者のようにパイル織機の機構や制御に精通した技術者が必要であるが、多くのパイル織物の製造工場には、そのような技術者が不在であるのが普通であり、既設のパイル織機を高性能のものに改造するのは、現実には不可能に近い。
【0007】
更に、上述のような、パイル製織中における地経糸の消費量とパイル経糸の消費量との比に基づきパイル倍率を算出する手段を備え、自動的にパイル重さに関連する少なくとも1つの製織条件のパラメータを補正するパイル織機であっても、初期のパイル倍率の設定値の不適合によって、例えば製織開始直後にパイル形成不良が生じる場合がある。その場合、パイル倍率等の設定値が表示されていたとしても、そのパイル倍率の設定値からはパイル経糸の繰り出し状態を直感的に把握できず、他に設定値修正の判断指針となるデータの表示がないためパイル倍率の設定を的確に修正しにくい。そのため設定値の修正が遅れてパイル形成不良部分が多くなり、歩留まりの低下を防ぐことかできない。またパイル経糸の材質、パイル経糸の糊付け状態、製造工場の室温の変化等によって制御誤差が生じる場合があり、そのような場合に、その時のパイル経糸の繰り出し長さやパイル織物一単位の重量の状態を直感的に即座に把握するための手段を有していないので、製織中のパイル織機に対して素早く適切な対処をすることができない。
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、パイル織物の重量の異常を製織中にリアルタイムに直感的に把握して素早い対処を可能にし、パイル織機の歩留まり向上を図ることができ、パイル織機の制御に精通した技術者でなくても、既設のパイル織機に比較的簡単に少ない費用で適用することができるパイル織物の重量判定装置を提供することにある。
【発明の概要】
課題を解決するための手段及び発明の効果
【0009】
本発明の第1の側面に係るパイル織物の重量適否判定装置によれば、製織中のパイル織機における筬打ちを検知して該筬打ち毎に筬打ち検知信号を出す筬打ち検知部と、前記パイル経糸の繰り出し長さを時々刻々計測する繰り出し長さ計測部と、前記繰り出し長さ計測部によるパイル経糸の繰り出し長さの計測値の、織り上がったパイル織物中のパイル経糸の長さの実測値に対する誤差を補正するためのパイル経糸長さ補正率を設定するパイル経糸長さ補正率設定部と、前記パイル織物の一単位の所要重量及び該パイル織物の一単位の所要重量の許容誤差を設定する目標値設定部と、前記筬打ち検知信号、前記パイル経糸の繰り出し長さの計測値、及び前記パイル経糸長さ補正率の設定値に基づき、筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さ、及び前記パイル織物の一単位毎の予想重量を算出し、該パイル織物の一単位毎の予想重量の算出値が、前記パイル織物の一単位の所要重量の上限値と下限値との間にあるか否かを判定する判定部と、前記判定部からの前記判定結果、及び前記筬打ち所定回数毎のパイル経糸の繰り出し長さを表示する出力部と、を備えるよう構成できる。
【0010】
上記構成により、パイル織機の操作者は、製織中に、パイル経糸の繰り出し長さとその適否の判断結果の表示から、パイル経糸の供給量の状態をパイル経糸の繰り出し長さとして直感的にリアルタイムに把握することができ、パイル織物の重量の異常を素早く察知して適切な素早い対処が可能になる。しかも、本発明は、パイル織機の機構や制御に精通した専門の技術者でなくても、例えばパイル織物の製造工場のメンテナンス技術者やパイル織機の操作者のようにパイル織機について一般的な知識をもつ者であれば、既設のパイル織機に簡単にアタッチメントとして適用することができる。したがって、既設のパイル織機に比較的簡単に少ない費用で適用することができ、既設のパイル織機の歩留まりを大幅に向上させることができるパイル織物の重量判定装置を提供することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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