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公開番号
2024103903
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-02
出願番号
2023007853
出願日
2023-01-23
発明の名称
炭素繊維二軸織物及び炭素繊維強化複合材料の製造方法
出願人
三菱ケミカル株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
D03D
15/275 20210101AFI20240726BHJP(織成)
要約
【課題】VaRTM法による成型品製造の際に必要な強化繊維基材の積層枚数が少なく、かつ内部欠陥あるいは表面欠陥の発生が抑制された成型品が得られる炭素繊維二軸織物、及びそれを用いた炭素繊維強化複合材料の製造方法の提供。
【解決手段】炭素繊維マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸に用いて製織された炭素繊維二軸織物であって、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成する炭素繊維フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex以上2.4dtex未満であり、前記炭素繊維二軸織物の平均厚みが0.54mm以上である、炭素繊維二軸織物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
炭素繊維マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸に用いて製織された炭素繊維二軸織物であって、
前記炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成する炭素繊維フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex以上2.4dtex未満であり、
前記炭素繊維二軸織物の平均厚みが0.54mm以上である、炭素繊維二軸織物。
続きを表示(約 740 文字)
【請求項2】
前記炭素繊維フィラメントの繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上0.9以下である、請求項1に記載の炭素繊維二軸織物。
【請求項3】
前記炭素繊維フィラメントは、前記炭素繊維フィラメントの長手方向に延びる溝部を表面に有する、請求項1に記載の炭素繊維二軸織物。
【請求項4】
前記炭素繊維フィラメントが、ポリアクリロニトリル系炭素繊維を含む、請求項1に記載の炭素繊維二軸織物。
【請求項5】
目付が490g/m
2
以上である、請求項1に記載の炭素繊維二軸織物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の炭素繊維二軸織物を強化繊維基材として1層以上成形型に積層し、前記強化繊維基材の全体をバッグフィルムで覆い、前記バッグフィルムの内部を真空状態にし、前記強化繊維基材に液状樹脂を拡散させ、前記強化繊維基材に前記液状樹脂を含浸させる工程と、
前記強化繊維基材に含浸した前記液状樹脂を硬化させる工程とを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記液状樹脂が常温硬化性の樹脂である、請求項6に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記液状樹脂の拡散を常温で行う、請求項6に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
【請求項9】
前記液状樹脂を前記強化繊維基材の面方向に流動するように供給する、請求項6に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記液状樹脂を前記強化繊維基材の厚み方向に流動するように供給する、請求項6に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維二軸織物及び炭素繊維強化複合材料の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、高い比強度及び比弾性率を有するため、炭素繊維を強化繊維基材として用い、マトリクス樹脂を含浸させた炭素繊維強化複合材料は、優れた力学特性及び軽量性を有する。よって、炭素繊維強化複合材料は、スポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車、土木・建築、圧力容器及び風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、さらなる高性能化が求められている。
炭素繊維強化複合材料の代表的な成形方法として、オートクレーブ成形法、圧縮成形法、Resin Transfer Molding法(RTM法)などが知られている。また、これらの成形方法以外にも、低設備投資かつ生産性の高い成型方法として、VaRTM(Vacuum assisted ResinTransfer Molding)法が知られている。
【0003】
VaRTM法では、マトリクス樹脂が含浸されていないドライな強化繊維基材を1層以上、成形型に積層し、強化繊維基材の全体をバッグフィルムで覆い、バッグフィルムの内部を真空状態とし、低粘度の液状樹脂を注入することにより、強化繊維基材に液状樹脂を含浸させ、その状態で液状樹脂を硬化させることにより、成型品である炭素繊維強化複合材料を製造する。この際、ドライな状態でも取り扱いが可能な強化繊維基材を用いる必要がある。
【0004】
強化繊維基材としては、二軸織物、一方向性強化繊維基材、NCF(ノンクリンプファブリック)などが用いられる。これらの中でも、材料としての異方性の小ささや、汎用的に使用される織機で製造可能という設備投資の面での負担の小ささなどの観点から、二軸織物が最も多く使用されている。
【0005】
二軸織物は強化繊維糸条からなる経糸及び緯糸を一体化することで得られ、経糸と緯糸の組み合わせのパターンにより、平織、綾織、朱子織などの周期的な織組織構造が形成される。経糸及び緯糸の一体化の際、経糸及び緯糸はもう一方の糸に上下方向に拘束されながら力を受けるため、幅方向長さの縮小と厚みの増大が生じる。この幅方向長さの縮小が生じるため、隣り合う糸条同士は完全に接触することはできず、糸条間に空隙が存在している。
【0006】
VaRTM法において強化繊維基材に液状樹脂を含浸する際、流動抵抗の大きい糸条内部よりも、流動抵抗の小さい糸条間の空隙において液状樹脂が先行して充填される現象が起こることが知られている。成形型内での二軸織物の積層枚数を減らすためには、糸状厚みを大きくすればよいが、糸条(トウ)厚みが大きいと糸条内部まで液状樹脂が十分に含浸しにくい。糸条内部に液状樹脂の未含浸部が存在する場合、液状樹脂の硬化後にボイドとして残存する、あるいは液状樹脂の注入後に未含浸部周辺の液状樹脂が未含浸部に吸収されることで、成型品表面の樹脂が不足しピンホールが発生する、といった内部欠陥、表面欠陥等の欠陥の原因となる。内部欠陥は成型品強度の低下の原因となり、表面欠陥は外観品位の低下の原因となる。
【0007】
こうした欠陥の発生を防ぐため、特許文献1に開示される炭素繊維二軸織物においては、製織後に空気流による扁平化処理を行うことで、トウ幅の拡幅とトウ厚みの低減を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2001-179844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、トウ厚みの小さい強化繊維基材を使用する場合は、一定厚みの成型品を製造する際に多数の強化繊維基材を積層する必要がある。
本発明の目的の一つは、VaRTM法による成型品製造の際に必要な強化繊維基材の積層枚数が少なく、かつ内部欠陥あるいは表面欠陥の発生が抑制された成型品が得られる炭素繊維二軸織物、及びそれを用いた炭素繊維強化複合材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]炭素繊維マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸に用いて製織された炭素繊維二軸織物であって、
前記炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成する炭素繊維フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex以上2.4dtex未満であり、
前記炭素繊維二軸織物の平均厚みが0.54mm以上である、炭素繊維二軸織物。
[2]前記炭素繊維フィラメントの繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上0.9以下である、前記[1]の炭素繊維二軸織物。
[3]前記炭素繊維フィラメントは、前記炭素繊維フィラメントの長手方向に延びる溝部を表面に有する、前記[1]又は[2]の炭素繊維二軸織物。
[4]前記炭素繊維フィラメントが、ポリアクリロニトリル系炭素繊維を含む、前記[1]~[3]のいずれかの炭素繊維二軸織物。
[5]目付が490g/m
2
以上である、前記[1]~[4]のいずれかの炭素繊維二軸織物。
[6]前記[1]~[5]のいずれかの炭素繊維二軸織物を強化繊維基材として1層以上成形型に積層し、前記強化繊維基材の全体をバッグフィルムで覆い、前記バッグフィルムの内部を真空状態にし、前記強化繊維基材に液状樹脂を拡散させ、前記強化繊維基材に前記液状樹脂を含浸させる工程と、
前記強化繊維基材に含浸した前記液状樹脂を硬化させる工程とを含む、炭素繊維強化複合材料の製造方法。
[7]前記液状樹脂が常温硬化性の樹脂である、前記[6]の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
[8]前記液状樹脂の拡散を常温で行う、前記[6]又は[7]の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
[9]前記液状樹脂を前記強化繊維基材の面方向に流動するように供給する、前記[6]~[8]のいずれかの炭素繊維強化複合材料の製造方法。
[10]前記液状樹脂を前記強化繊維基材の厚み方向に流動するように供給する、前記[6]~[8]のいずれかの炭素繊維強化複合材料の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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