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公開番号2024108350
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-13
出願番号2023012663
出願日2023-01-31
発明の名称放射線遮蔽体、および照射室
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類G21F 1/10 20060101AFI20240805BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】放射線照射装置が設置される照射室の配管が挿通する貫通孔に対し、鉛を用いずに放射線遮蔽性能が高く、かつ容易な施工で放射線遮蔽工事が可能となる、放射線遮蔽体を提供する。
【解決手段】放射線遮蔽体10は、放射線照射装置が設置される照射室1の天井2、床3、または壁4の、配管7が挿通する貫通孔5に設けられる放射線遮蔽体10であって、硫酸バリウムを含有する遮蔽ゴムにより成型され、照射室1の側から貫通孔5に対して挿入され、配管7が挿通される挿通孔11hを有する筒状部11と、筒状部11の外周面から径方向外側に立ち上がるように設けられるフランジ部12と、を備えている。
【選択図】図1



特許請求の範囲【請求項1】
放射線照射装置が設置される照射室の天井、床、または壁の、配管が挿通する貫通孔に設けられる放射線遮蔽体であって、
硫酸バリウムを含有する遮蔽ゴムにより成型され、
前記照射室の側から前記貫通孔に対して挿入され、前記配管が挿通される挿通孔を有する筒状部と、
前記筒状部の外周面から径方向外側に立ち上がるように設けられるフランジ部と、
を備えていることを特徴とする放射線遮蔽体。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
前記放射線遮蔽体は、前記筒状部の軸線方向に沿った平面で分割された形状として成型された分割体が、互いに合体されて形成され、
前記分割体の各々の分割面の一方には突条が、他方には凹条が、それぞれ形成され、一の分割体の突条が他の分割体の凹条に密嵌されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の放射線遮蔽体を取付けた貫通孔が壁の上側に形成されていることを特徴とする照射室。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射装置が設置される照射室の天井、床、または壁を挿通する貫通孔に設けられる放射線遮蔽体、および照射室に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
エックス線照射装置等の、放射線照射装置が設置される照射室においては、その外部に放射線が漏れ出ることを抑制する必要がある。このような照射室においても、一般の室と同様に、電気、空調、水等の供給、排出を行うための配管が、照射室の内外を貫通するように、設けられることがあり、この配管が挿通される、天井、床、壁に設けられる貫通孔を介して、放射線が漏れ出る可能性がある。
これに対し、特許文献1には、放射線照射装置が設置される照射室の通路出入口の上方にコンクリート垂れ壁が設けられ、クランク状に屈曲されるクランク状屈曲部を有し、コンクリート垂れ壁に形成された貫通孔に接続される配管と、通路の上部に設けられ、クランク状屈曲部が埋設されるコンクリート遮蔽部と、を備えることにより、貫通孔からの放射線の漏洩を抑制する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1の構成においては、配管の周囲が複雑な構造となり、施工が容易ではない。
【0003】
ところで、特許文献1には、壁や天井スラブに、金属遮蔽体を埋設することも、併せて開示されている。このような金属遮蔽体としては、一般に、密度が高く放射線を遮蔽可能で、かつ安価な鉛が使用されることが多い。しかし近年、持続可能な開発目標の観点から、鉛を含めた重金属の使用を減らすことが求められている。したがって、鉛を使用せずに、放射線を遮蔽することが望まれる。
これに関し、特許文献2、特許文献3には、硫酸バリウムが放射線を遮蔽する性質を有することを活かし、硫酸バリウムを石膏に混入、含有させた、硫酸バリウム混入石膏ボードや石膏含有ボードが開示されている。これらのボードを鉛の替わりに使用することで、放射線の遮蔽のための鉛の使用量を低減することができる。
【0004】
このような、硫酸バリウムを石膏に混入させた物質を用いて、配管周辺の放射性遮蔽対策を行うことも考えられるが、このためには、上記の物質を配管や貫通孔の形状にあわせて成形する必要がある。しかし、石膏は加工性が高くはなく、配管や貫通孔の形状にあわせた複雑な形状に形成することは容易ではない。仮に、望ましい形状に形成することができたとしても、石膏は欠けやすいため、施工時に破損する可能性があり、したがって施工が容易ではなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-89464号公報
特開2010-32270号公報
特開2019-189476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、放射線照射装置が設置される照射室の配管が挿通する貫通孔に対し、鉛を用いずに放射線遮蔽性能が高く、かつ容易な施工で放射線遮蔽工事が可能となる、放射線遮蔽体、および照射室を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の放射線遮蔽体は、放射線照射装置が設置される照射室の天井、床、または壁の、配管が挿通する貫通孔に設けられる放射線遮蔽体であって、硫酸バリウムを含有する遮蔽ゴムにより成型され、前記照射室の側から前記貫通孔に対して挿入され、前記配管が挿通される挿通孔を有する筒状部と、前記筒状部の外周面から径方向外側に立ち上がるように設けられるフランジ部と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、放射線遮蔽体は、照射室の側から貫通孔に対して挿入され、配管が挿通される挿通孔を有する筒状部を有する構成となっている。すなわち、放射線遮蔽体は、照射室の側から放射線遮蔽体を貫通孔に対して挿入するのみで設置することができる。また、放射線遮蔽体は、遮蔽ゴムにより成型されているため、施工時に破損する可能性が低く、過度に慎重に取り扱う必要がない。このような理由により、施工が容易である。
また、放射線遮蔽体が成型される遮蔽ゴムは、硫酸バリウムを含有している。このため、放射線遮蔽性能が高い。
更に、放射線遮蔽体を設置するに際し、筒状部を照射室の側から貫通孔に対して挿入すると、筒状部の外周面から径方向外側に立ち上がるように設けられるフランジ部が、照射室の天井、床、または壁に突き当たり、貫通孔の内壁と、筒状部の外周面との間の隙間を、照射室の側から閉塞する。これにより、照射室から、放射線が当該隙間を通って照射室の外へと漏れ出ることが抑制される。
このような理由により、鉛を用いることなく、放射線遮蔽性能を高めることができる。
その結果、放射線照射装置が設置される照射室の配管が挿通する貫通孔に対し、鉛を用いずに放射線遮蔽性能が高く、かつ容易な施工で放射線遮蔽工事が可能となる、放射線遮蔽体を提供することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記放射線遮蔽体は、前記筒状部の軸線方向に沿った平面で分割された形状として成型された分割体が、互いに合体されて形成され、前記分割体の各々の分割面の一方には突条が、他方には凹条が、それぞれ形成され、一の分割体の突条が他の分割体の凹条に密嵌されている。
このような構成によれば、放射線遮蔽体が、分割体同士を互いに合体させることで形成されている。これにより、新築建物への施工時に限らず、既存建物において、既に配管が挿通されている貫通孔に対しても、例えば配管を中心として外方から囲うように分割体を配置した状態で分割体同士を互いに合体させて、放射線遮蔽体を形成したうえで、配管に沿って放射線遮蔽体を移動させて、貫通孔と配管との隙間に筒状部を挿入することで、配管に対する工事を行うことなく、後施工により放射線遮蔽体を設けることができる。
また、分割体は、筒状部の軸線方向に沿った平面で分割された形状として成型されており、基本的に中空の部分を有さない形状をなしているため、その成型を容易に行うことができる。
更に、分割体同士を合体させる際、分割体の各々の分割面の一方には突条が、他方には凹条が、それぞれ形成され、一の分割体の突条が他の分割体の凹条に密嵌されている。このため、分割体同士の合わせ目に放射線が侵入しようとしても、分割面に対して立ち上がるように設けられた突条の壁面で遮断される。したがって、分割体同士の合わせ目を放射線が通過してしまうのを抑えることができる。
【0009】
また、本発明の照射室は、上記記載の放射線遮蔽体を取付けた貫通孔が壁の上側に形成されている。
このような構成によれば、照射室の壁の上側に貫通孔が形成されていることで、この貫通孔の部分には、照射室内の床上に設置された放射線照射装置から放射された放射線が照射室の壁で複数回の反射を繰り返して到達することになる。よって、照射室の壁上側に設けた貫通孔を通過する放射線は、放射線照射装置の放射時に比べて、強度が低減していることで、照射室外への放射線の通過を有効に抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放射線照射装置が設置される照射室の配管が挿通する貫通孔に対し、鉛を用いずに放射線遮蔽性能が高く、かつ容易な施工で放射線遮蔽工事が可能となる、放射線遮蔽体、および照射室を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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