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公開番号2025005904
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023106335
出願日2023-06-28
発明の名称鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法および鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G01N 3/00 20060101AFI20250109BHJP(測定;試験)
要約【課題】設計段階で得られる限られた情報をもとに鋼繊維補強コンクリートの引張靭性を定量的に評価することを可能とした鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法と、引張靭性に関する要求品質を満足するコンクリート部材の製造方法を提案する。
【解決手段】設計基準強度Fcを式1に代入して設計基準強度に対する平均的な引張靭性特性値Ftを算出する工程と、平均的な引張靭性特性値Ft、圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtとを式2に代入して構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値Ftdを推定する工程とを備えている。
Ft = α×Fc + β ・・・式1
Ftd = Ft×( 1 + 1.73×Vc ) / (1 +1.73×Vt ) ・・・式2
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法であって、
前記鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度Fcを式1に代入して設計基準強度に対する平均的な引張靭性特性値Ftを算出する工程と、
前記平均的な引張靭性特性値Ft、圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtとを式2に代入して、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値Ftdを推定する工程と、を備えていることを特徴とする、鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法。
Ft = α×Fc + β ・・・式1
Ftd = Ft×( 1 + 1.73×Vc ) / (1 +1.73×Vt ) ・・・式2
ここで、Ft:Fcに対する平均的な引張靭性特性値[N/mm
2

Fc:鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度[N/mm
2

α:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる係数
β:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる定数
Ftd:構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値[N/mm
2

Vc:圧縮強度の変動係数( =0.10 )
Vt:引張靭性特性値の変動係数( =0.20~0.30 のいずれか)
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記圧縮強度の変動係数および前記引張靭性特性値の変動係数は、材料データベースから抽出されたものであって、
前記材料データベースは、
鋼繊維補強コンクリートの円柱供試体に対して、JIS A 1108に準拠してコンクリートの圧縮強度試験を行うことで測定された圧縮強度と、
鋼繊維補強コンクリートの角柱状供試体に対して、JCI-S-002-2003に準拠した3点曲げ試験を行うことで測定された引張靭性特性値と、
前記圧縮強度と前記引張靭性特性との間の回帰式と、
前記圧縮強度から算定された変動係数および前記引張靭性特性値から算定された変動係数と、を有していることを特徴とする、請求項1に記載の鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法。
【請求項3】
鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法であって、
鋼繊維補強コンクリートの配合を設定する工程と、
圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtを抽出する工程と、
前記鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度Fcを式1に代入して設計基準強度Fcに対する平均的な引張靭性特性値Ftを算出する工程と、
前記平均的な引張靭性特性値Ft、圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtとを式2に代入して、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値Ftdを推定する工程と、
前記引張靭性特性値Ftdが、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの要求品質を満足していることを確認できた配合に係る鋼繊維補強コンクリートによりコンクリート部材を製造する工程と、を備えていることを特徴とする、鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法。
Ft = α×Fc + β ・・・式1
Ftd = Ft×( 1 + 1.73×Vc ) / (1 +1.73×Vt ) ・・・式2
ここで、Ft:Fcに対する平均的な引張靭性特性値[N/mm
2

Fc:鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度[N/mm
2

α:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる係数
β:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる定数
Ftd:構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値[N/mm
2

Vc:圧縮強度の変動係数( =0.10 )
Vt:引張靭性特性値の変動係数( =0.20~0.30のいずれか )

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法および鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
鋼繊維補強コンクリートは、コンクリートへの鋼繊維の混入により靭性能の向上が期待できる。また、鋼繊維の両端をフック形状とし、引張強度とともに付着特性を向上させて、少ない鋼繊維の混入量で高い靱性能を得ることで、材料コストや施工性の向上を図る場合がある。鋼繊維補強コンクリートの靱性能は、鋼繊維の特性および混入量、コンクリートの強度特性、鋼繊維とコンクリートとの付着特性等によって変動する。鋼繊維補強コンクリートの靱性能を適切に把握できれば、コンクリート構造物に関してより合理的な設計が可能となる。
一般仕様のコンクリートでは、構造計算に必要となる圧縮強度以外の力学特性(例えばヤング係数など)は、圧縮強度との関係から評価される。したがって、一般のコンクリートの品質管理においては、圧縮強度が要求品質を満足することを確認することにより、構造体が所定の性能を満足するものと評価できる。
一方、鋼繊維補強コンクリートでは、圧縮強度は一般仕様のコンクリートとほとんど変わらない一方で、引張靭性は鋼繊維の混入量に伴って大きく向上するため、圧縮強度だけをもとに引張靭性を評価することは適切ではない。したがって、構造計算に靭性向上の効果を取り込む場合は、圧縮強度だけでなく靭性についても試験による確認が必要になる。
【0003】
特許文献1には、高強度繊維補強コンクリートにより作成した供試体に対して、JIS A 1113(コンクリートの割裂引張強度試験方法)に準じて載荷した際に発生するアコースティックエミッションに基づいてひび割れ発生荷重を推定する方法が開示されている。ところが、特許文献1の推定方法は、ひび割れ発生後の挙動を評価する引張靭性を推定するものではない。
繊維補強コンクリートの靱性能を評価するための試験方法として、JCI-S-002-2003(切欠きはりを用いた繊維補強コンクリートの荷重-変位曲線試験方法)に従って、部材と同じ鋼繊維補強コンクリートを用いて作製した角柱状の供試体による3点曲げ載荷試験を行う場合がある。設計段階では、鋼繊維補強コンクリートの製造工場や詳細な配合条件、適用する鋼繊維補強コンクリート自体の引張靭性試験結果は明確でないことが想定される。そのため、設計段階で得られる限られた情報に基づいて、引張靭性の評価を行えるのが望ましい。しかし、鋼繊維補強コンクリートの靱性能を反映させるための設計手法は確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-223761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、設計段階で得られる限られた情報をもとに鋼繊維補強コンクリートの引張靭性を定量的に評価することを可能とした鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法と、引張靭性に関する要求品質を満足する鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、コンクリートの材料特性について、次のように用語を定義する。引張靭性とは、コンクリートの引張荷重-変形特性の関係を示す材料特性のことである。また、引張靭性特性値は、ひび割れ発生後の引張応力の極大値、または、ひび割れ幅Xmm(Xは0.5~2.0のいずれか)までの引張応力の平均値と定義する。
本発明の鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法は、前記鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度Fcを式1に代入して設計基準強度に対する平均的な引張靭性特性値Ftを算出する工程と、前記引張靭性特性値Ft、圧縮強度の変動係数Vcおよび前記引張靭性特性値Ftの変動係数Vtとを式2に代入して、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値Ftdを推定する工程とを備えている。
Ft = α×Fc + β ・・・式1
Ftd = Ft×( 1 + 1.73×Vc ) / (1 +1.73×Vt ) ・・・式2
ここで、Ft:Fcに対する平均的な引張靭性特性値[N/mm
2

Fc:鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度[N/mm
2

α:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる係数
β:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる定数
Ftd:構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値[N/mm
2

Vc:圧縮強度の変動係数( =0.10 )
Vt:引張靭性特性値の変動係数( =0.20~0.30 のいずれか)
【0007】
かかる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法によれば、大掛かりな試験等を要することなく、設計図書に指定事項として定められた鋼繊維の種類および混入量(ただし、体積混入率Vsf≦1%)、鋼繊維補強コンクリートの圧縮強度(ただし、設計基準強度Fc≦80N/mm

)をもとに、鋼繊維補強コンクリートの引張靭性を定量的に評価することが可能となる。
【0008】
前記圧縮強度の変動係数および前記引張靭性特性値の変動係数には、材料データベースから抽出されたものを使用すればよい。前記材料データベースは、鋼繊維補強コンクリートの円柱供試体に対して、JIS A 1108に準拠してコンクリートの圧縮強度試験を行うことで測定された圧縮強度と、鋼繊維補強コンクリートの角柱状供試体に対して、JCI-S-002-2003に準拠した3点曲げ試験を行うことで測定された引張靭性特性値と、前記圧縮強度と前記引張靭性特性との間の回帰式と、前記圧縮強度の変動係数および前記引張靭性特性値の変動係数とを有している。
かかる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性の推定方法によれば、円柱供試体に対する圧縮強度試験の結果、および、角柱供試体を使用した曲げ試験結果に基づいて圧縮強度の変動係数および引張靭性特性値の変動係数が算定されているため、圧縮強度および引張靭性特性値のバラツキ度合いに応じた引張靭性を評価できる。
【0009】
また、本発明の鋼繊維補強コンクリート部材の製造方法は、鋼繊維補強コンクリートの配合を設定する工程と、圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtを抽出する工程と、前記鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度Fcを式1に代入して設計基準強度Fcに対する平均的な引張靭性特性値Ftを算出する工程と、前記引張靭性特性値Ft、圧縮強度の変動係数Vcおよび引張靭性特性値の変動係数Vtとを式2に代入して、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値Ftdを推定する工程と、前記引張靭性特性値Ftdが、構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの要求品質を満足していることを確認できた配合に係る鋼繊維補強コンクリートによりコンクリート部材を製造する工程とを備えている。
Ft = α×Fc + β ・・・式1
Ftd = Ft×( 1 + 1.73×Vc ) / (1 +1.73×Vt ) ・・・式2
ここで、Ft:Fcに対する平均的な引張靭性特性値[N/mm
2

Fc:鋼繊維補強コンクリートの設計基準強度[N/mm
2

α:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる係数
β:鋼繊維の種類および体積混入率Vsfにより定まる定数
Ftd:構造設計に用いる鋼繊維補強コンクリートの引張靭性特性値[N/mm
2

Vc:圧縮強度の変動係数( =0.10 )
Vt:引張靭性特性値の変動係数( =0.20~0.30のいずれか )
【0010】
かかるコンクリート部材の製造方法によれば、引張靱性(引張靭性特性値)が要求品質を満足していることを確認したうえで、鋼繊維補強コンクリート部材を製造するため、高品質な鋼繊維補強コンクリート部材を製造できる。また、大掛かりな試験を行う必要がないため、簡易に引張靭性を推定できる。また、試験練りされた鋼繊維補強コンクリートの引張靱性が要求品質を満足しない場合には、鋼繊維補強コンクリートの配合等を再検討して、要求品質を満足する引張靱性を有する鋼繊維補強コンクリートを製造する。再検討の際も、式2を用いて引張靭性特性値Ftdを推定できるので、配合の修正に要する手間を軽減できる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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