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公開番号
2025059474
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-10
出願番号
2023169575
出願日
2023-09-29
発明の名称
温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法
出願人
大成建設株式会社
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
B09C
1/10 20060101AFI20250403BHJP(固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生)
要約
【課題】加温手段を用いた土壌浄化において効率的な土壌浄化を実現できる温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法を提案する。
【解決手段】温度調整システムは、加温手段を用いた土壌浄化における温度調整システムである。帯水層Wと難透水層Aとの境界付近の温度を計測する温度計測手段11と、境界付近から地下水を揚水する揚水井戸12と、揚水井戸12により揚水した地下水を冷却する冷却装置14と、冷却装置14により冷却した地下水を境界付近に注水する注水井戸15と、を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
加温手段を用いた土壌浄化における温度調整システムであって、
帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測手段と、
前記境界付近から地下水を揚水する揚水井戸と、
前記揚水井戸により揚水した地下水を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置により冷却した地下水を前記境界付近に注水する注水井戸と、を備えたことを特徴とする温度調整システム。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化装置と、
前記境界付近に注水する地下水に浄化剤を加えるための浄化剤貯溜槽と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の温度調整システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の温度調整システムを備えた土壌浄化システムであって、
前記加温手段として電極管を備えていることを特徴とする土壌浄化システム。
【請求項4】
加温手段用いた土壌浄化における温度調整方法であって、
帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測工程と、
前記境界付近から地下水を揚水する揚水工程と、
揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化工程と、
汚染物質を浄化した地下水に浄化剤を加えるための浄化剤供給工程と、
浄化剤を加えた地下水を前記境界付近に注水する注水工程と、を備え、
前記浄化工程を経た地下水または前記浄化剤供給工程を経た地下水を冷却する冷却工程を含み、
前記冷却工程は、前記温度計測工程により計測された温度が所定の閾値以上である場合に地下水を冷却することを特徴とする温度調整方法。
【請求項5】
土壌を電極管で加温する加温工程と、
帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測工程と、
前記境界付近から地下水を揚水する揚水工程と、
揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化工程と、
汚染物質を浄化した地下水に浄化剤を加えるための浄化剤供給工程と、
浄化剤を加えた地下水を前記境界付近に注水する注水工程と、を備え、
前記浄化工程を経た地下水または前記浄化剤供給工程を経た地下水を冷却する冷却工程を含み、
前記冷却工程は、前記温度計測工程により計測された温度が所定の閾値以上である場合に地下水を冷却することを特徴とする土壌浄化方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
一般に、テトラクロロエチレン(PCE)等の揮発性有機化合物(VОC)は、水よりも重く粘性も低いことから、地盤に漏洩すると地下に浸透して帯水層内を下方へ移動して地下に透水性の低い難透水層(粘土層やシルト層等)に留まることで帯水層だけでなく、難透水層まで汚染される。揮発性有機化合物に汚染されたこれらの土壌を浄化する手段としては、土壌加熱法と生物浄化法とを組み合わせた手法が知られている。本浄化方法は、難透水層を加温し揮発性有機化合物を帯水層に溶脱させ、移動した揮発性有機化合物を微生物で浄化する手法である。
従来、揮発性有機化合物で汚染された土壌及び地下水を微生物によって浄化する方法として特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1の浄化方法は、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域に配設した揚水井戸を間にして、一方の汚染領域側に第1注水井戸が配設され、他方の汚染領域側に第2注水井戸が配設された構成である。そして、第1注水井戸から供給した水を一方の汚染領域に流通させて揚水井戸で汲み上げる第1循環によって、一方の汚染領域に嫌気性微生物で揮発性有機化合物を分解させる嫌気性分解領域を形成し、第2注水井戸から供給した水を他方の汚染領域に流通させて揚水井戸で汲み上げる第2循環によって、他方の汚染領域に好気性微生物で揮発性有機化合物を分解させる好気性分解領域を形成している。そして、第2循環によって第2注水井戸から供給する水を冷却して溶存酸素量を増大させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-160175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の浄化方法において、難透水層を加温すると、帯水層が微生物浄化に適さない高い温度になってしまうおそれがある。一方、帯水層の温度を微生物浄化に適した温度にすると、難透水層の温度を十分上げることができず、揮発性有機化合物を帯水層に溶脱させることが難しくなるという課題があった。
本発明は、前記した課題を解決し、加温手段を用いた土壌浄化において効率的な土壌浄化を実現できる温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明の温度調整システムは、加温手段を用いた土壌浄化における温度調整システムである。温度調整システムは、帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測手段と、前記境界付近から地下水を揚水する揚水井戸と、前記揚水井戸により揚水した地下水を冷却する冷却装置と、前記冷却装置により冷却した地下水を前記境界付近に注水する注水井戸と、を備えている。
本発明の温度調整システムでは、浄化対象である揮発性有機化合物の難透水層からの溶脱を促進しつつ、帯水層の温度を微生物が活性を示す適切な温度に保つことができる。したがって、効率的な土壌浄化を実現できる。
温度調整システムには、揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化装置と、前記境界付近に注水する地下水に浄化剤を加えるための浄化剤貯溜槽と、を備えることが好ましい。浄化剤貯溜槽から供給される浄化剤により、浄化対象である揮発性有機化合物の分解を促進する微生物を増殖、活性化させることができるので、土壌浄化の促進を図ることができる。
前記課題を解決するために本発明の土壌浄化システムは、前記温度調整システムを備えた土壌浄化システムであって、前記加温手段として電極管を備えている。
本発明の土壌浄化システムでは、電極管からの通電によって土壌が加温される。なお、通電を停止すると土壌の温度は上昇しなくなるため、土壌温度を制御し易い。
ため、土壌温度を制御し易い。
前記課題を解決するために本発明の温度調整方法は、加温手段用いた土壌浄化における温度調整方法である。温度調整方法は、帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測工程と、前記境界付近から地下水を揚水する揚水工程と、揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化工程と、汚染物質を浄化した地下水に浄化剤を加えるための浄化剤供給工程と、浄化剤を加えた地下水を前記境界付近に注水する注水工程と、を備えている。そして土壌浄化方法は、前記浄化工程を経た地下水または前記浄化剤供給工程を経た地下水を冷却する冷却工程を含んでいる。前記冷却工程は、前記温度計測工程により計測された温度が所定の閾値以上である場合に地下水を冷却する。
本発明の温度調整方法では、難透水層の加温をできるだけ継続することで浄化対象である揮発性有機化合物の難透水層からの溶脱を促進しつつ、帯水層の温度を微生物が活性を示す適切な温度に保つことができる。したがって、効率的な土壌浄化を実現できる。
前記課題を解決するために本発明の土壌浄化方法は、土壌を電極管で加温する加温工程と、帯水層と難透水層との境界付近の温度を計測する温度計測工程と、前記境界付近から地下水を揚水する揚水工程と、揚水した地下水中の汚染物質を浄化する浄化工程と、汚染物質を浄化した地下水に浄化剤を加えるための浄化剤供給工程と、浄化剤を加えた地下水を前記境界付近に注水する注水工程と、前記浄化工程により汚染物質を浄化した地下水または前記浄化剤供給工程により浄化剤を加えた地下水を冷却する冷却工程と、を含む。前記冷却工程は、前記温度計測工程により計測された温度が所定の閾値以上である場合に地下水を冷却する。
本発明の土壌浄化方法では、電極管による加温により土壌や地下水中の汚染物質を効率よく浄化できるとともに、帯水層の温度を微生物が活性を示す適切な温度に保つことができる。したがって、効率的な土壌浄化を実現できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法によれば、加温手段を用いた土壌浄化において効率的な土壌浄化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の第1実施形態に係る温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法が適用される土壌の様子とシステム構成とを示す概略縦断面図である。
本発明の第1実施形態に係る土壌浄化システムにおける電極管、温度計測井戸、揚水井戸及び注水井戸の配置を示す概略平面図である。
本発明の第2実施形態に係る土壌浄化システムが適用される土壌の様子とシステム構成とを示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法について適宜図面を参照して詳細に説明する。各実施形態において、共通する部分には共通の符合を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る温度調整システム、土壌浄化システム、温度調整方法及び土壌浄化方法が適用される土壌の様子とシステム構成とを示す概略縦断面図である。図2は土壌浄化システムにおける電極管、温度計測井戸、揚水井戸及び注水井戸の配置を示す概略平面図である。
図1に示すように、本実施形態の土壌浄化システム1が適用される土壌は、土壌表面(地表面)GLの下方に連続する不飽和帯Vと、不飽和帯Vの下方に連続する帯水層Wと、帯水層Wの下方に連続する難透水層Aとを備えている。
【0009】
土壌浄化システム1は、土壌浄化のためのシステムであり、加温手段として電極管2を備えている。さらに、土壌浄化システム1は、電極管2により加温された土壌の温度を調整することが可能な温度調整システム10を備えている。
電極管2は、浄化対象範囲の土壌内に設置されており、地上に設置された電源装置2aを含んで構成されている。電極管2は、土壌に電流を流すことで土壌を加温する装置であり、鋼管により構成されている。なお、電極管2は、導電性を有するものであれば種々の材料のものを採用できる。電極管2には、電源装置2aから三相交流電圧が印加される。
電極管2は、例えば図2に示すように、平面視で複数の三角形の頂点に位置するように土壌に複数個配置することが好ましい。すなわち、電極管2は、3本以上設置する必要がある。このように複数個配置された電極管2のそれぞれに三相交流電圧を印加すると、隣接する電極管2,2間に電流が流れ、その結果、電極管2,2間の土壌にジュール熱が発生して土壌が加温される。図2に示した4つの三角形は、一辺が約3.5mの略正三角形であり、三角形の各頂点に電極管2が配置されている。なお、電極管2の配置は、略正三角形の配置に限定されるものではない。図2についての詳細な説明は後記する。
【0010】
電極管2は、図1に示すように、土壌表面GLから帯水層W及び難透水層Aに亘って配置されている。粘土やシルトを多く含む難透水層Aの比抵抗値は、砂や礫を多く含む帯水層Wの比抵抗値よりも小さいため、難透水層Aに多くの電流が流れる傾向にある。したがって、特に揮発性有機化合物が滞留する傾向にある難透水層Aを帯水層Wより高温に加温でき、難透水層Aから積極的に揮発性有機化合物を溶脱させることができる。なお、難透水層Aのみを加温するためには、土壌表面GLから帯水層Wまでの間の電極を絶縁することが望ましい。難透水層Aの温度は、電極管2により理想的な温度である80℃程度に近づくように、できるだけ温度が高くなることが望ましい。難透水層Aが高温になることによりトリクロロエチレン(TCE)等の沸点が高い揮発性有機化合物を好適に溶脱させることができる。なお、難透水層Aの温度が45℃ぐらいであっても、高い溶出効果を得られることが確認できている。
(【0011】以降は省略されています)
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