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公開番号2025062772
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-15
出願番号2023172013
出願日2023-10-03
発明の名称掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E21D 9/00 20060101AFI20250408BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じることができる、掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法を提供する。
【解決手段】掘進機の振動特定制御システム100は、掘進機40の内部には、計測器60に含まれる加速度計61が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期され、特定制御装置50は、複数の加速度計61のうち、基準加速度計から取得した基準計測データと、基準加速度計以外の各加速度計の各計測データとのクロススペクトル演算を実行し、クロススペクトル演算に基づいて最早振動を記録する加速度計61を特定し、当該加速度計61の近傍が衝撃振動の発生源であると特定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シールド工法もしくは推進工法において適用される掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動特定制御システムであって、
前記掘進機の内部には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて、衝撃振動の発生源となる最早振動を記録する加速度計を特定する、特定制御装置をさらに有し、
前記特定制御装置では、複数の前記加速度計のうち、基準とする加速度計である基準加速度計から取得した計測データを基準計測データとして、該基準計測データと、該基準加速度計以外の各加速度計から取得した各計測データとのクロススペクトル演算を実行し、該クロススペクトル演算に基づいて前記最早振動を記録する加速度計を特定し、該加速度計の近傍が衝撃振動の発生源であると特定することを特徴とする、掘進機の振動特定制御システム。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記特定制御装置は、
前記衝撃振動に関する閾値を記憶し、
前記衝撃振動の発生時刻の前後の所定時間内における計測データに関して前記クロススペクトル演算を実行することを特徴とする、請求項1に記載の掘進機の振動特定制御システム。
【請求項3】
前記掘進機は筒状のスキンプレートを備え、該スキンプレートのうち、前記加速度計の設置位置に対応する位置には、該スキンプレートの内部から外部へ滑材を注入する注入器が設けられており、
前記特定制御装置は、特定した衝撃振動の発生源に対応する位置にある注入器、及び/又は、該注入器と、正面視における前記スキンプレートの中心を通る対向位置の関係にある別途の注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項1または2に記載の掘進機の振動特定制御システム。
【請求項4】
前記衝撃振動には、最初に発生する相対的に振幅の小さなトリガー振動と、その後に発生する相対的に振幅の大きな本振動が含まれ、
前記特定制御装置は、前記トリガー振動が前記最早振動として特定された際に、該トリガー振動の原因となる箇所の近傍に存在する前記注入器に対して滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項3に記載の掘進機の振動特定制御システム。
【請求項5】
シールド工法もしくは推進工法において適用される掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動特定制御方法であって、
前記掘進機の内部には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて、衝撃振動の発生源の近傍にある最早振動を記録する加速度計を特定する工程を有し、
前記最早振動を記録する加速度計を特定する工程では、
複数の前記加速度計のうち、基準とする加速度計である基準加速度計から取得した計測データを基準計測データとして、該基準計測データと、該基準加速度計以外の各加速度計から取得した各計測データとのクロススペクトル演算を実行し、該クロススペクトル演算に基づいて前記最早振動を記録する加速度計を特定し、該加速度計の近傍が衝撃振動の発生源であると特定することを特徴とする、掘進機の振動特定制御方法。
【請求項6】
前記掘進機は筒状のスキンプレートを備え、該スキンプレートのうち、前記加速度計の設置位置に対応する位置には、該スキンプレートの内部から外部へ滑材を注入する注入器が設けられており、
衝撃振動の発生源に対応する位置にある注入器、および/又は、該注入器と、正面視における前記スキンプレートの中心を通る対向位置の関係にある別途の注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行する工程をさらに有することを特徴とする、請求項5に記載の掘進機の振動特定制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
シールド工法や推進工法においては、掘進機を掘進させながら地山を切削し、掘進機の後方においてセグメントトンネルや推進トンネルが施工される。
ところで、掘進機の掘進に際しては、掘進中に振動が発生することが往々にしてあり、特に都市部におけるシールド工法等の際に発生する振動は、周辺環境への影響からその対策が急務となり得る。この振動発生の原因の一つに、掘進機と周辺地盤との間の摩擦が切れること(所謂、摩擦切れ)が挙げられ、この振動は衝撃振動と称することができる。この摩擦切れの際に生じ得る衝撃振動は、伝搬先の物体から音として放射され、例えば「ドーン、ドーン」と聞こえる場合もある。尚、砂地盤等において、砂の粒子のかみ合わせが緩んで体積膨張することにより掘進機が締付けられる、ジャーミングが発生する場合には、この摩擦切れの際の衝撃振動の発生が顕著になる。
【0003】
上記のような衝撃振動をはじめとする振動が発生した際の対策として、夜間における掘進停止や、掘進スピードの低下、推進ジャッキの当て直し、滑剤の注入等が実施されているものの、振動の原因が明確に特定されていないことから、いずれも効果的な対策には至っていない。掘進機の周囲をオーバーカットし、オーバーカット領域に滑剤を注入することにより振動を低減できる場合もあるが、例えば、衝撃振動の発生源を特定することなく、掘進機の周囲に大量に滑材を注入することは好ましくない。その理由は、滑剤により、掘進機のテールボイドに注入されている裏込め材の強度が低下するからである。
以上のことから、シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る衝撃振動の発生源を高精度に特定でき、衝撃振動の発生源やその近傍に対策を講じることのできる、掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法が望まれる。そのためには、衝撃振動の発生時に掘進機がどのように振動し、挙動しているかを把握することが重要であり、多数の振動加速度計により計測を行うことが必要になる。また、振動と同時に推進ジャッキの挙動を非常に細かい時間間隔で測定し、把握することも重要になる。
しかしながら、従来は、衝撃振動等の振動が発生した後に掘進機に振動加速度計等の計測器を設置し、測定することはあったものの、測定箇所が限られていたことから、振動源や振動の発生原因の明確な特定には至っていない。
【0004】
ここで、特許文献1には、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間におけるスキンプレートの全周に亘って滑材を注入する、掘削機が提案されている。具体的には、円筒状のスキンプレートと、スキンプレートの先端に回転自在に設けられているカッター装置とを有し、カッター装置により地山を掘進するシールド機において、カッター装置の外周部分におけるスキンプレートよりも外方側でかつ後方側に向いている部位に開口部が設けられ、開口部を介してスキンプレートと掘削孔の内壁面との間に後方に向けて滑材が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-89167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の掘削機(掘進機)によれば、カッター装置の外周部分におけるスキンプレートよりも外方側の後方側に向いた部位にある開口部を介して、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間に後方に向けて滑材を注入することにより、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間に生じる摩擦力を十分に低減できるとしている。
しかしながら、既に述べたように、掘進機が掘進する際に発生し得る衝撃振動の発生源を高精度に特定できる手段を開示するものではない。
【0007】
本発明は、シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る衝撃振動の発生源を高精度に特定でき、衝撃振動の発生源やその近傍に対策を講じることのできる、掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による掘進機の振動特定制御システムの一態様は、
シールド工法もしくは推進工法において適用される掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動特定制御システムであって、
前記掘進機の内部には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて、衝撃振動の発生源となる最早振動を記録する加速度計を特定する、特定制御装置をさらに有し、
前記特定制御装置では、複数の前記加速度計のうち、基準とする加速度計である基準加速度計から取得した計測データを基準計測データとして、該基準計測データと、該基準加速度計以外の各加速度計から取得した各計測データとのクロススペクトル演算を実行し、該クロススペクトル演算に基づいて前記最早振動を記録する加速度計を特定し、該加速度計の近傍が衝撃振動の発生源であると特定することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、特定制御装置が、複数の加速度計の中の基準加速度計から取得した基準計測データと、基準加速度計以外の各加速度計から取得した各計測データとのクロススペクトル演算を実行して最早振動を記録する加速度計を特定し、当該加速度計の近傍が衝撃振動の発生源であると特定することにより、掘進機が掘進する際に発生し得る衝撃振動の発生源を高精度に特定でき、衝撃振動の発生源やその近傍に対して効果的に対策を講じることができる。ここで、掘進機における加速度計の装着箇所としては、例えば推進ジャッキの近傍が一例として挙げられる。また、例えば、掘進機の内部において、該掘進機の任意の鉛直断面上であって、その内部の周方向に沿って複数の加速度計を装着することにより、掘進機の振動や挙動を把握し易くなることから好ましい。
【0010】
クロススペクトル演算は、2つの信号の関係を求める演算であり、例えば演算対象となる2つの加速度計から取得されたそれぞれの加速度の時刻歴波形に対してフーリエ変換を行い、各加速度計の加速度の周波数成分や振幅、時間方向の情報を特定するものである。それぞれのフーリエ変換後の波形に対してクロススペクトル演算を実行することにより、2つの加速度計のそれぞれの波形の位相差から時間差を特定することができる。
このように、クロススペクトル演算は、2つの時間軸信号を対象としてそれらの関係を特定する演算であることから、3以上の複数の加速度計が設置されている掘進機においては、複数の加速度計の中から基準加速度計を設定し、この基準加速度計の基準計測データと他の各加速度計の計測データに対してクロススペクトル演算を行うことにより、基準加速度計に対する各加速度計の位相差が特定される結果、最早振動を記録する加速度計の特定に繋がる。
(【0011】以降は省略されています)

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