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公開番号
2025057146
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-09
出願番号
2023166828
出願日
2023-09-28
発明の名称
地震動解析システム
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
G01V
1/28 20060101AFI20250402BHJP(測定;試験)
要約
【課題】有限要素法解析により地震動を推定するに際し、地層モデルを適切な要素サイズでメッシュ分割することで、解析精度を一定以上のものとする。
【解決手段】地震動を推定する地震動解析システム1は、地層モデル作成部2と、基本要素サイズと、基本要素サイズより小さい詳細要素サイズの各々により、地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルを作成する、メッシュ分割部3と、メッシュモデルの各々に対し、有限要素法解析により地震動を推定し、基本解析結果と詳細解析結果を導出する、地震動解析部5と、基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、精度が十分でないと判定された場合には、基本要素サイズをより小さな値に再設定する、精度判定部6と、を備え、基本要素サイズが再設定された場合には、メッシュ分割部3は、基本メッシュモデルを再度作成し、地震動解析部5は、基本解析結果を再度導出する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
地震動を推定する地震動解析システムであって、
解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルを作成する、地層モデル作成部と、
初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズと、前記基本要素サイズより小さい詳細要素サイズの各々により、前記地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルを作成する、メッシュ分割部と、
震源特性を基に震源モデルを作成する、震源モデル作成部と、
前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの各々に対し、前記震源モデルを適用して、有限要素法解析により前記地震動を推定し、基本解析結果と詳細解析結果を導出する、地震動解析部と、
前記詳細解析結果に対する前記基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、前記フーリエスペクトル比を基に前記基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、精度が十分でないと判定された場合には、前記基本要素サイズをより小さな値に再設定する、精度判定部と、
を備え、
前記基本要素サイズが再設定された場合には、前記メッシュ分割部は、再設定された前記基本要素サイズにより、前記地層モデルをメッシュ分割して、前記基本メッシュモデルを再度作成し、前記地震動解析部は、再度作成された前記基本メッシュモデルに対し、前記地震動を推定して、前記基本解析結果を再度導出する
ことを特徴とする地震動解析システム。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記震源モデル作成部は、震源特性の統計値に基づき、複数の前記震源モデルを作成し、前記地震動解析部は、複数の前記震源モデルの各々を順次適用することで、複数回、前記地震動を推定し、
前記地震動解析部は、複数の前記震源モデルのなかの1つ目の前記震源モデルを適用して前記地震動を初回に推定する場合にのみ、前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの双方に対して前記地震動を推定して前記基本解析結果と前記詳細解析結果を導出し、他の場合には、最新の前記基本メッシュモデルのみに対して前記地震動を推定して前記基本解析結果を導出し、
前記精度判定部は、前記1つ目の前記震源モデルを適用して前記地震動を推定する場合にのみ、前記基本解析結果の精度の判定と、前記基本要素サイズの再設定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の地震動解析システム。
【請求項3】
前記基本要素サイズの前記初期値は、解析の対象となる前記地震の波長を、5以上10未満の値で除算した値であり、前記詳細要素サイズは、前記値の1/2の値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の地震動解析システム。
【請求項4】
地震動を推定する地震動解析システムであって、
解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルを作成する、地層モデル作成部と、
初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズと、前記基本要素サイズより小さい詳細要素サイズの各々により、前記地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルを作成する、メッシュ分割部と、
震源特性を基に震源モデルを作成する、震源モデル作成部と、
前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの各々に対し、前記震源モデルを適用して、有限要素法解析により前記地震動を推定し、基本解析結果と詳細解析結果を導出する、地震動解析部と、
前記詳細解析結果に対する前記基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、前記フーリエスペクトル比を基に前記基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、精度が十分でないと判定された場合には、前記基本要素サイズをより小さな値に再設定する、精度判定部と、
を備え、
前記基本要素サイズが再設定された場合には、前記精度判定部は、前記基本要素サイズを、前記詳細要素サイズの値に再設定して、前記詳細メッシュモデルを前記基本メッシュモデルへと変更し、かつ前記詳細要素サイズをより小さな値に再設定し、前記メッシュ分割部は、再設定された前記詳細要素サイズにより、前記地層モデルをメッシュ分割して、前記詳細メッシュモデルを再度作成し、前記地震動解析部は、再度作成された前記詳細メッシュモデルに対し、前記地震動を推定して、前記詳細解析結果を再度導出する
ことを特徴とする地震動解析システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震動を推定する地震動解析システムに関する。
続きを表示(約 8,600 文字)
【背景技術】
【0002】
地震動を、有限要素法を用いて推定することが、広く行われている。有限要素法解析においては、複雑な形状の地盤構造を基に3次元の地層モデルを作成し、この地層モデルをメッシュ分割して、数学的に表現できる単純な形状の要素(メッシュ)の集合体としてのメッシュモデルを作成し、メッシュモデル中の各要素に対して数値解析を行うことで、地震動が推定される。
【0003】
これに関し、特許文献1には、メッシュ化対象の地質モデルを複数ブロックに分割して、これら各ブロックを地質モデルの端から端に向けて順にメッシュ化する、メッシュ化プログラムが開示されている。特許文献1において、メッシュ要素のサイズは、外部より入力されて、指定される。
また、特許文献2には、メッシュ化対象の地質モデルを、複数のブロックに分割し、各ブロックを、隣接するブロックとの境界面における節点及び結線が隣接するブロックと一致するようにメッシュ化して、各ブロックの夫々に対応するメッシュモデルを生成することによって、地質モデルに対応するメッシュモデルを、ブロック単位のメッシュモデルとしてデータベース化する、プログラムが開示されている。本プログラムにおいては、その後、ユーザインタフェースを通じて結合対象のブロック群が指定されると、指定されたブロック群に対応するメッシュモデルを記憶装置から読み出し、これらを結合することで、結合対象のブロック群に対応する上記地質モデルの一部領域についてのメッシュモデルを生成する。特許文献2において、メッシュ要素のサイズは、外部より入力されて、指定される。
更に、特許文献3には、地質モデルの地質波動伝播シミュレーションにおいて、地質波動伝播対象の地質モデルを作成し、地質モデルの領域に地質物性値を定義し、入力する震源モデルを作成し、地質物性値が定義された領域に均一メッシュを自動作成し、震源モデルと解析条件に従い有限要素法解析により地質波動伝播シミュレーションを実行し、解析結果を表示する、地質波動伝播シミュレーションシステムが開示されている。
【0004】
上記のような、有限要素法によって地震動を推定する場合においては、メッシュ分割における要素の大きさ、すなわち要素サイズが大きすぎると、解析結果の精度が低くなる可能性がある。これに関し、特許文献1、2においては、要素サイズは外部から入力されて指定されるものであり、入力された要素サイズが適切なものであるか否かの判断はなされない。このため、生成されたメッシュモデルを用いて有限要素法解析を行ったとしても、使用される要素サイズの値によっては、解析精度が低くなる可能性がある。特許文献3においても、要素サイズの設定に関しては言及されておらず、したがって、使用される要素サイズの値によっては、解析精度が低くなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5637956号公報
特許第5762094号公報
特開2002-122675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、有限要素法解析により地震動を推定するに際し、地層モデルを適切な要素サイズでメッシュ分割することで、解析精度を一定以上のものとすることができる、地震動解析システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明の地震動解析システムは、地震動を推定する地震動解析システムであって、解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルを作成する、地層モデル作成部と、初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズと、前記基本要素サイズより小さい詳細要素サイズの各々により、前記地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルを作成する、メッシュ分割部と、震源特性を基に震源モデルを作成する、震源モデル作成部と、前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの各々に対し、前記震源モデルを適用して、有限要素法解析により前記地震動を推定し、基本解析結果と詳細解析結果を導出する、地震動解析部と、前記詳細解析結果に対する前記基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、前記フーリエスペクトル比を基に前記基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、精度が十分でないと判定された場合には、前記基本要素サイズをより小さな値に再設定する、精度判定部と、を備え、前記基本要素サイズが再設定された場合には、前記メッシュ分割部は、再設定された前記基本要素サイズにより、前記地層モデルをメッシュ分割して、前記基本メッシュモデルを再度作成し、前記地震動解析部は、再度作成された前記基本メッシュモデルに対し、前記地震動を推定して、前記基本解析結果を再度導出する。
上記のような構成によれば、地層モデル作成部により、解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルが作成される。この地層モデルは、メッシュ分割部において、初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズによりメッシュ分割され、基本メッシュモデルが生成される。地震動解析部においては、基本メッシュモデルに対し、震源モデル作成部により震源特性を基に作成された震源モデルが適用されて、有限要素法解析により地震動が推定され、基本解析結果が導出される。このような構成において、解析に要する処理時間を考えれば、基本要素サイズをできるだけ大きくして、基本メッシュモデルを構成する要素数を少なくするのが望ましいが、その一方で、基本要素サイズを大きくしすぎると、解析精度が低減する可能性がある。
ここで、メッシュ分割部は、基本メッシュモデルを作成するに際し、同時に、基本要素サイズより小さい詳細要素サイズにより地層モデルをメッシュ分割して、詳細メッシュモデルを作成し、地震動解析部は、詳細メッシュモデルに対しても、震源モデルを適用して地震動を推定し、詳細解析結果を導出する。詳細メッシュモデルは、基本要素サイズより小さい詳細要素サイズによりメッシュ分割されているため、基本要素サイズによりメッシュ分割された基本メッシュモデルよりも、要素サイズが小さく、要素数も多いものとなっている。したがって、この詳細メッシュモデルに対する解析結果である詳細解析結果は、基本解析結果よりも、高い解析精度を有するものとなる。このため、基本解析結果を、上記のようにより高い解析精度を有する詳細解析結果と比較すれば、基本解析結果の精度が十分でない場合において、これを効率的に判定することが可能である。上記の構成においては、精度判定部が、詳細解析結果に対する基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、これを基に、基本解析結果の精度が十分か否かを判定する。したがって、基本解析結果の精度が十分か否かを、効率的に、判定することが可能である。
そして、精度判定部において精度が十分でないと判定された場合には、基本要素サイズが、より小さな値となるように再設定される。そのうえで、メッシュ分割部は、より小さな値として再設定された基本要素サイズにより、地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルを再度作成し、地震動解析部は、再度作成された基本メッシュモデルに対し、震源モデルを適用して地震動を推定し、基本解析結果を再度導出する。再度作成された基本メッシュモデルは、より小さな値として再設定された基本要素サイズによりメッシュ分割されているため、再度作成する前の、直前の基本メッシュモデルよりも、要素サイズが小さく、要素数も多いものとなっている。したがって、この再度作成された基本メッシュモデルの基本解析結果は、その前に解析されて精度が十分でないと判定された、直前の基本メッシュモデルの基本解析結果よりも、高い解析精度を有するものとなる。
更には、上記のように基本要素サイズを小さくしつつ、基本解析結果の精度が十分であると判定された場合には、基本要素サイズがより小さな値に再設定されないように構成することができるため、基本要素サイズが過剰に小さくなって、基本メッシュモデルが過剰に細かくメッシュ分割されることが抑制される。
このようにして、地層モデルがより適切な要素サイズでメッシュ分割され、結果として、解析精度を一定以上のものとすることができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記震源モデル作成部は、震源特性の統計値に基づき、複数の前記震源モデルを作成し、前記地震動解析部は、複数の前記震源モデルの各々を順次適用することで、複数回、前記地震動を推定し、前記地震動解析部は、複数の前記震源モデルのなかの1つ目の前記震源モデルを適用して前記地震動を初回に推定する場合にのみ、前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの双方に対して前記地震動を推定して前記基本解析結果と前記詳細解析結果を導出し、他の場合には、最新の前記基本メッシュモデルのみに対して前記地震動を推定して前記基本解析結果を導出し、前記精度判定部は、前記1つ目の前記震源モデルを適用して前記地震動を推定する場合にのみ、前記基本解析結果の精度の判定と、前記基本要素サイズの再設定を行う。
一般に、震源特性は、過去の地震の観測記録を基に、これに相当するような震源特性を推定するように、インバージョンを行うことで、作成される。ここで、各特性ごとに平均値やばらつき(標準偏差)といった統計値が判明し、あるいは推定されていると、各特性に対して、ばらつきの幅に応じて、複数の値が設定され得る。したがって、震源特性の統計値に基づくと、複数の震源モデルが作成され得る。
上記のような構成によれば、震源モデル作成部は、震源特性の統計値に基づき、複数の震源モデルを作成し、地震動解析部は、複数の震源モデルの各々を順次適用することで、複数回、地震動を推定する。このため、震源特性の統計値を考慮した地震動の推定が可能である。
ここで、地震動解析部は、複数の震源モデルの各々を順次適用することで、複数回、地震動を推定するため、複数の震源モデルの各々に対し、上記のように、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルの双方の地震動を推定すると、多大な解析時間を要することとなる。
しかし、詳細メッシュモデルによる地震動の推定では、詳細解析結果を、基本メッシュモデルの基本解析結果と比較して、基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、必要に応じて基本メッシュモデルをメッシュ分割する際の基本要素サイズをより小さく調整することを目的としている。このため、複数の震源モデルのなかの1つ目の震源モデルを適用した解析において、いったん、基本解析結果の精度が十分であると判定される程度に基本要素サイズが適度に小さく設定されて、基本メッシュモデルが適切にメッシュ分割されてしまえば、2つ目以降の他の震源モデルを適用する後の解析においては、これと同じ基本要素サイズでメッシュ分割された、同一の基本メッシュモデルを用いて地震動を推定すれば、後の解析においても、基本解析結果の精度は十分なものであることが、概ね保証され得る。
また、複数の震源モデルのなかの1つ目の震源モデルを適用した解析において、基本解析結果の精度が十分でないと判定された際に、基本メッシュモデルを再度作成して地震動を推定し、基本解析結果を再度導出して詳細解析結果と比較することを、基本解析結果の精度が十分であると判定されるまで繰り返す場合においても、詳細解析結果は、初回に作成された時点で、基本的には高い解析精度を有するものとなっているはずであるから、詳細メッシュモデルの再度の作成と、地震動の推定を、実行する必要性は低い。
このような考えに基づき、上記のような構成においては、地震動解析部は、複数の震源モデルのなかの1つ目の震源モデルを適用して地震動を初回に推定する場合にのみ、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルの双方に対して地震動を推定して基本解析結果と詳細解析結果を導出する。すなわち、地震動解析部は、1つ目の震源モデルを適用して地震動を2回目以降に推定する場合には、詳細メッシュモデルに対しては地震動を推定しない。また、地震動解析部は、1つ目の震源モデル以外の、他の震源モデルを適用して地震動を推定する場合にも、詳細メッシュモデルに対しては地震動を推定することなく、1つ目の震源モデルを適用して地震動を推定した結果、基本解析結果の精度が十分であると判定された、最後に生成された、最新の基本メッシュモデルのみに対して、地震動を推定して、基本解析結果を導出する。このようにすることで、詳細メッシュモデルに対する地震動の推定の回数を低減して解析時間を低減しつつ、全ての震源モデルを適用した場合における解析精度を一定以上のものとすることができる。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記基本要素サイズの前記初期値は、解析の対象となる前記地震の波長を、5以上10未満の値で除算した値であり、前記詳細要素サイズは、前記値の1/2の値である。
一般に、地震の波長を5で除算した値を要素サイズとしてメッシュ分割すると、解析精度が良好なものとなることが知られている。上記のような構成によれば、後の処理において再設定される前の、基本要素サイズの初期値の上限が、解析の対象となる地震の波長を5で除算した値となっているため、精度判定部における、初回の、基本解析結果の精度が十分か否かの判定において、精度が十分であると判定される可能性が向上する。したがって、基本要素サイズをより小さな値に再設定し、この再設定された基本要素サイズにより、地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルを再度作成し、再度作成された基本メッシュモデルに対し、地震動を推定して、基本解析結果を再度導出するという一連の処理の実行回数が抑えられる。
また、詳細要素サイズを、基本要素サイズの初期値の1/2の値とすることで、詳細要素サイズを十分に小さなものとして、基本メッシュモデルに対する基本解析結果の精度を保証するための比較対象となる、詳細メッシュモデルに対する詳細解析結果の精度を、十分に高いものとすることができる。
ここで、基本メッシュモデルをメッシュ分割する基本要素サイズは、詳細メッシュモデルをメッシュ分割する詳細要素サイズよりも大きくすればよい。上記の場合においては、基本要素サイズの初期値の上限は、地震の波長を5で除算した値であるから、詳細要素サイズは最大となる場合において、その1/2の値、すなわち地震の波長を10で除算した値となる。すなわち、基本要素サイズの初期値の下限を、詳細要素サイズが最大となる場合の値とすることによって、基本要素サイズの初期値が、詳細要素サイズとして採用され得る値よりも小さくなってしまい、基本メッシュモデルが過剰に小さくメッシュ分割されることが抑制される。
【0010】
また、本発明の地震動解析システムは、地震動を推定する地震動解析システムであって、解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルを作成する、地層モデル作成部と、初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズと、前記基本要素サイズより小さい詳細要素サイズの各々により、前記地層モデルをメッシュ分割して、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルを作成する、メッシュ分割部と、震源特性を基に震源モデルを作成する、震源モデル作成部と、前記基本メッシュモデルと前記詳細メッシュモデルの各々に対し、前記震源モデルを適用して、有限要素法解析により前記地震動を推定し、基本解析結果と詳細解析結果を導出する、地震動解析部と、前記詳細解析結果に対する前記基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、前記フーリエスペクトル比を基に前記基本解析結果の精度が十分か否かを判定し、精度が十分でないと判定された場合には、前記基本要素サイズをより小さな値に再設定する、精度判定部と、を備え、前記基本要素サイズが再設定された場合には、前記精度判定部は、前記基本要素サイズを、前記詳細要素サイズの値に再設定して、前記詳細メッシュモデルを前記基本メッシュモデルへと変更し、かつ前記詳細要素サイズをより小さな値に再設定し、前記メッシュ分割部は、再設定された前記詳細要素サイズにより、前記地層モデルをメッシュ分割して、前記詳細メッシュモデルを再度作成し、前記地震動解析部は、再度作成された前記詳細メッシュモデルに対し、前記地震動を推定して、前記詳細解析結果を再度導出する。
上記のような構成によれば、地層モデル作成部により、解析の対象となる領域の地盤構造を基に地層モデルが作成される。この地層モデルは、メッシュ分割部において、初期値が解析の対象となる地震の周期を基に決定される基本要素サイズによりメッシュ分割され、基本メッシュモデルが生成される。地震動解析部においては、基本メッシュモデルに対し、震源モデル作成部により震源特性を基に作成された震源モデルが適用されて、有限要素法解析により地震動が推定され、基本解析結果が導出される。このような構成において、解析に要する処理時間を考えれば、基本要素サイズをできるだけ大きくして、基本メッシュモデルを構成する要素数を少なくするのが望ましいが、その一方で、基本要素サイズを大きくしすぎると、解析精度が低減する可能性がある。
ここで、メッシュ分割部は、基本メッシュモデルを作成するに際し、同時に、基本要素サイズより小さい詳細要素サイズにより地層モデルをメッシュ分割して、詳細メッシュモデルを作成し、地震動解析部は、詳細メッシュモデルに対しても、震源モデルを適用して地震動を推定し、詳細解析結果を導出する。詳細メッシュモデルは、基本要素サイズより小さい詳細要素サイズによりメッシュ分割されているため、基本要素サイズによりメッシュ分割された基本メッシュモデルよりも、要素サイズが小さく、要素数も多いものとなっている。したがって、この詳細メッシュモデルに対する解析結果である詳細解析結果は、基本解析結果よりも、高い解析精度を有するものとなる。このため、基本解析結果を、上記のようにより高い解析精度を有する詳細解析結果と比較すれば、基本解析結果の精度が十分でない場合において、これを効率的に判定することが可能である。上記の構成においては、精度判定部が、詳細解析結果に対する基本解析結果のフーリエスペクトル比を計算し、これを基に、基本解析結果の精度が十分か否かを判定する。したがって、基本解析結果の精度が十分か否かを、効率的に、判定することが可能である。
そして、精度判定部において精度が十分でないと判定された場合には、基本要素サイズが、現段階における詳細要素サイズの値へと、より小さな値となるように再設定される。そのうえで、詳細メッシュモデルを基本メッシュモデルへと変更する。この基本メッシュモデルは、詳細メッシュモデルと同一であるから、基本解析結果は、この時点における詳細解析結果と同一のものが使用できる。また、精度判定部は、詳細要素サイズをより小さな値に再設定し、メッシュ分割部は、再設定された詳細要素サイズにより、地層モデルをメッシュ分割して、詳細メッシュモデルを再度作成し、地震動解析部は、再度作成された詳細メッシュモデルに対し、地震動を推定して、詳細解析結果を再度導出する。このように、基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルの双方が、精度判定部において精度が十分でないと判定された時点における基本メッシュモデルと詳細メッシュモデルよりも、それぞれ細かくメッシュ分割されている。したがって、これらの各々に対応する基本解析結果と詳細解析結果の精度が向上し、基本解析結果の精度が十分であると判定される可能性が高まる。
更には、上記のように基本要素サイズを小さくしつつ、基本解析結果の精度が十分であると判定された場合には、基本要素サイズがより小さな値に再設定されないように構成することができるため、基本要素サイズが過剰に小さくなって、基本メッシュモデルが過剰に細かくメッシュ分割されることが抑制される。
このようにして、地層モデルが適切な要素サイズでメッシュ分割され、結果として、解析精度を一定以上のものとすることができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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