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公開番号
2025065645
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-22
出願番号
2023174997
出願日
2023-10-10
発明の名称
同調質量ダンパー装置
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
E04H
9/02 20060101AFI20250415BHJP(建築物)
要約
【課題】建物に作用する振動を効率的に低減することができる、同調質量ダンパー装置を提供する。
【解決手段】同調質量ダンパー装置10Aは、建物1の頂部に設置され、建物1に作用した振動を減衰させるものであって、建物1の上方に設けられた錘体11と、錘体11と建物1の間に鉛直方向に延在して設けられ、上端12tと下端12bが、それぞれ錘体11と建物1にピン接合されて、錘体11を建物1に対して水平方向に相対移動自在に支持する重量受け軸材12と、錘体11が相対移動した際に、錘体11に原位置への復元力を付与するばね体15と、を備えている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
建物の頂部に設置され、前記建物に作用した振動を減衰させる同調質量ダンパー装置であって、
前記建物の上方に設けられた錘体と、
前記錘体と前記建物の間に鉛直方向に延在して設けられ、上端と下端が、それぞれ前記錘体と前記建物にピン接合されて、前記錘体を前記建物に対して水平方向に相対移動自在に支持する重量受け軸材と、
前記錘体が相対移動した際に、前記錘体に原位置への復元力を付与するばね体と、
を備えていることを特徴とする同調質量ダンパー装置。
続きを表示(約 370 文字)
【請求項2】
前記ばね体は積層ゴム支承であり、
前記ばね体の下側は前記建物に固定され、前記ばね体の上方には、前記錘体と前記ばね体の上側との間で水平方向の力を伝達する水平力伝達体が設けられ、
前記錘体は、前記水平力伝達体を側方から囲繞するように設けられ、
前記水平力伝達体の側面と、前記錘体との間には、前記錘体から前記水平力伝達体への荷重の伝達を抑制する、荷重伝達抑制機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の同調質量ダンパー装置。
【請求項3】
前記ばね体はスプリングであり、
前記ばね体の下端は前記重量受け軸材の前記上端と前記下端の間に接合され、前記ばね体の上端は前記錘体に接合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同調質量ダンパー装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の頂部に設置され、建物に作用した振動を減衰させる同調質量ダンパー装置に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
高層の建物に、制振のため、同調質量ダンパー装置(Tuned Mass Damper、TMD)が設けられることがある。同調質量ダンパー装置は、地震や強風等により建物に振動が生じた際には、建物に相対移動可能に設けられた錘体が、建物の振動の周期と同調した周期で振動することで、建物の振動を抑えようとする力を建物に作用させて、振動を低減する。
これに関し、特許文献1には、長方形の平面を有する板状のウェイト、ウェイトを支持しつつウェイトに水平方向の復元力を与える積層ゴム、ウェイトの水平方向運動に対して減衰力を与える減衰材、ウェイトの水平方向の固有振動数を調整するための補助ばね、及びウェイトの過大変位と脱落を防止するためのストッパーからなる建築物の水平方向振動を低減する制振装置が開示されている。
また、特許文献2には、積層ゴム体を備えた複数の制振柱と、複数の制振柱の積層ゴム体よりも上方に連結して架設された連結梁と、連結梁に支持されて連結梁上に設置された錘体と、一端を建物に、他端を連結梁に接続して配設されたオイルダンパーとを備えている、制振装置が開示されている。
【0003】
特許文献1、2の構成においては、ウェイト等の錘体の荷重は、錘体が建物に対して水平方向に移動した際に錘体に復元力を作用させるばね体としての積層ゴム支承(特許文献1における積層ゴム、特許文献2における積層ゴム体)に作用する。積層ゴム支承においては、水平方向の力が作用した場合、側面視したときに、矩形形状が平行四辺形形状となるようにせん断変形するが、作用する鉛直荷重が大きくなると、平行四辺形形状がつぶれる形状となるような変形となり、期待した剛性を発揮できなくなることがある。このため、特許文献1、2のように錘体の荷重が積層ゴム支承に作用すると、積層ゴム支承が本来有する復元力特性を十分に発揮できず、振動を効率的に低減することができない可能性がある。
これに対し、特許文献3には、構造物の床面上に滑り支承または転がり支承を介して水平方向に移動自在に設けられた平面視方形の錘部材と、錘部材の4側面と床面との間に正面視において床面に対して傾斜して設けられたスプリングおよびダンパーとを備え、スプリングおよびダンパーは、各々上記平面視において錘部材の対辺の中心線に対して対称となる位置に配置され、上端部が側面に固定され、下端部がスプリングおよびダンパーの延在方向と交差する方向に移動自在に床面側に連結されている、チューンド・マス・ダンパーが開示されている。
【0004】
特許文献3においては、ばね体としてのスプリングには、錘部材の荷重が直接作用しない構造となっている。しかし、錘部材は、転がり支承によって、水平方向に移動自在となるように支持されているため、錘部材の荷重は、この転がり支承に作用する。すると、転がり支承の互いに相対移動する部材間に大きな荷重が作用してこれらが互いに強く押圧された状態となるため、錘部材に水平荷重が作用して錘部材が水平移動しようとしても、この圧接した部材間の静止摩擦力が増大し、部材間が容易に相対移動しない可能性がある。
また、特許文献3の構造においては、上記のように錘部材は転がり支承によって支持されているため、錘部材の変位する可動範囲が、転がり支承の大きさの範囲に制限される。錘部材の可動範囲を十分に確保できないと、建物に振動が生じた際に、錘部材が可動範囲の限界に容易に到達してしまう。
したがって、特許文献3の構成においても、依然として、建物の振動を効率的に低減することができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2000-199356号公報
特開2015-227605号公報
特許第6682393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、建物に作用する振動を効率的に低減することができる、同調質量ダンパー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、建物の頂部に設置され、前記建物に作用した振動を減衰させる同調質量ダンパー装置であって、前記建物の上方に設けられた錘体と、前記錘体と前記建物の間に鉛直方向に延在して設けられ、上端と下端が、それぞれ前記錘体と前記建物にピン接合されて、前記錘体を前記建物に対して水平方向に相対移動自在に支持する重量受け軸材と、前記錘体が相対移動した際に、前記錘体に原位置への復元力を付与するばね体と、を備えていることを特徴とする同調質量ダンパー装置を提供する。
上記のような構成によれば、地震や強風等により建物が振動すると、錘体は、慣性力により、建物の振動に伴って、建物に対して水平方向に相対移動しようとする。錘体は、錘体と建物の間に鉛直方向に延在して設けられた重量受け軸材によって支持されており、この重量受け軸材は、上端と下端の各々が、錘体と建物に対し、ピン接合されている。このため、錘体の水平方向における相対移動は、重量受け軸材の上端と下端のピン接合されている部分において、重量受け軸材が錘体と建物の双方に対して回転し、傾斜することで、許容される。このようにして錘体が建物に対して水平方向に相対移動すると、錘体に原位置への復元力を付与するばね体によって、錘体に原位置へと戻る方向への力が作用する。これにより、錘体が、建物と同調して振動して、建物の振動が低減される。
ここで、上記のように、錘体は、上端と下端が、それぞれ錘体と建物にピン接合された重量受け軸材によって、建物に対して水平方向に相対移動自在に支持されている。このため、建物に振動が生じて錘体が建物に対して相対移動しようとすると、この相対移動は、重量受け軸材の上端と下端のピン接合されている部分において、重量受け軸材が錘体と建物の双方に対して回転し、傾斜することで、容易に許容される。したがって、振動が生じた際において、錘体は、水平方向に容易に移動できる。
また、重量受け軸材を長くすれば、重量受け軸材が傾斜したときの錘体の移動量が大きくなる。このため、重量受け軸材を十分に長いものとすることで、錘体の水平方向における可動範囲を、容易に、大きく確保することができる。
更には、錘体は、基本的に重量受け軸材によって支持される構成となっているため、ばね体に錘体の荷重が作用することが抑制される。これにより、ばね体はその復元力特性を十分に発揮することが可能となる。
これらの効果が相乗し、建物に作用する振動を効率的に低減することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記ばね体は積層ゴム支承であり、前記ばね体の下側は前記建物に固定され、前記ばね体の上方には、前記錘体と前記ばね体の上側との間で水平方向の力を伝達する水平力伝達体が設けられ、前記錘体は、前記水平力伝達体を側方から囲繞するように設けられ、前記水平力伝達体の側面と、前記錘体との間には、前記錘体から前記水平力伝達体への荷重の伝達を抑制する、荷重伝達抑制機構が設けられている。
上記のような構成によれば、ばね体は積層ゴム支承であり、ばね体の下側は建物に固定され、ばね体の上方には、錘体とばね体の上側との間で水平方向の力を伝達する水平力伝達体が設けられ、錘体は、水平力伝達体を側方から囲繞するように設けられている。このため、建物に振動が生じて錘体が建物に対して水平方向に相対移動しようとすると、その相対移動の方向が水平面内のどの方向であったとしても、錘体は当該方向へと水平力伝達体を押圧し、水平力伝達体も錘体とともに、建物に対して水平方向に相対移動する。このように、水平力伝達体が建物に対して水平方向に相対移動すると、積層ゴム支承であるばね体は、下側が建物に固定されている状態で、上側が水平力伝達体とともに下側に対して移動することにより、水平方向にせん断変形する。ばね体は、その復元力により、水平力伝達体とともに、錘体を、原位置へ、すなわち錘体が相対移動しようとした方向とは反対側の方向へと変位させる。このようにして、建物に生じた振動の方向によらず、振動を効率的に減衰させ、低減することが可能である。
また、水平力伝達体の側面と、錘体との間には、錘体から水平力伝達体への荷重の伝達を抑制する、荷重伝達抑制機構が設けられている。このため、錘体の荷重は、ばね体としての積層ゴム支承へは作用しにくい。
特に、建物に振動が生じ、錘体が建物に対して水平方向に相対移動して重量受け軸材が傾斜すると、重量受け軸材は下端の、建物にピン接合された部分を中心として、上端が弧を描くように傾斜するため、上端に接合された錘体は、下方へと、僅かながらに変位する。このような場合に、錘体が下方へと変位することで、下方への力が荷重として水平力伝達体へと作用しようとしても、この力の伝達は、錘体から水平力伝達体への荷重の伝達を抑制する、荷重伝達抑制機構によって、抑制される。
このように、ばね体には錘体の荷重が作用しにくく、ばね体は復元力特性を十分に発揮することができる構造となっている。したがって、建物の振動を効率的に減衰させ、低減することが可能である。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記ばね体はスプリングであり、前記ばね体の下端は前記重量受け軸材の前記上端と前記下端の間に接合され、前記ばね体の上端は前記錘体に接合されている。
上記のような構成によれば、ばね体はスプリングであり、ばね体の下端は重量受け軸材の上端と下端の間に接合され、ばね体の上端は錘体に接合されている。ここで、重量受け軸材の上端と下端は錘体と建物にそれぞれピン接合されているため、建物に振動が生じて錘体が建物に対して水平方向に相対移動しようとすると、重量受け軸材は傾斜し、錘体に対する重量受け軸材の角度が変化する。これにより、重量受け軸材と錘体との間に設けられたばね体が収縮または伸長する。ばね体は、その復元力により、錘体を、原位置へ、すなわち錘体が相対移動しようとした方向とは反対側の方向へと変位させる。このようにして、振動を効率的に減衰させ、低減することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建物に作用する振動を効率的に低減することができる、同調質量ダンパー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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