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公開番号2024107972
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-09
出願番号2023012187
出願日2023-01-30
発明の名称辛味受容体及び/又は苦味受容体の応答増強剤
出願人不二製油株式会社,不二製油グループ本社株式会社
代理人
主分類A23L 27/00 20160101AFI20240802BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】
本発明は、辛味受容体や苦味受容体の応答感度を上げることができる新規な素材を提供することを目的とする。
【解決手段】
豆類由来の水溶性多糖類が、ヒトの辛味受容体活性化物質やヒトの苦味受容体活性化物質による、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体の応答を増強することを見出した。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
豆類由来の水溶性多糖類を有効成分とするヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強剤。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
豆類由来の水溶性多糖類が、大豆またはエンドウ豆由来である、請求項1記載の応答増強剤。
【請求項3】
さらにヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質を含有する、請求項1または2記載の応答増強剤。
【請求項4】
豆類由来の水溶性多糖類と、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質とを併用してヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体と接触することを含む、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強方法。
【請求項5】
豆類由来の水溶性多糖類が、大豆またはエンドウ豆由来である、請求項4記載の応答増強方法。
【請求項6】
ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が正である、請求項4または5記載の応答増強方法。
【請求項7】
ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が1以上である、請求項4または5記載の応答増強方法。
【請求項8】
請求項1または2記載の応答増強剤と、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質とを併用してヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体と接触することを含む、飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法。
【請求項9】
ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が正である、請求項8記載の飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法。
【請求項10】
ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が1以上である、請求項8記載の飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、辛味受容体及び/又は苦味受容体の応答増強剤に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトの味覚には味覚受容体が関与しており、その味の表現のため様々な味覚受容体と物質に関する研究がなされてきた。基本の五味と言われる、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味にはそれぞれ対応する味覚受容体が存在する。五味の味覚受容体は舌の表面の味蕾を構成する味細胞に存在し、味物質を感知する。また五味以外にも辛味は辛味受容体により知覚される。辛味受容体は舌の内部や全身の感覚神経に発現し、温度刺激や酸によっても活性化される。酸味や塩味はイオンチャネル型の受容体で検知される。甘味、苦味、うま味は受容体で検知されたのち、Gタンパク質共役型受容体を経てシグナル伝達される。受容体の研究の進歩に伴い、これら味覚受容体を刺激する、味物質による刺激を増強する物質の研究も進められている。
例えば、塩味増強に関して、塩分の過剰摂取を予防するため、少ない塩分濃度でも塩味を強く感じる塩味増強剤について味覚受容体の応答を用いた研究が行われている。また、甘味増強に関して、糖の過剰摂取を予防するため、自然な甘味を付与する甘味料のスクリーニングに関して、こうした味覚受容体の応答を用いた研究が行われている。
【0003】
ヒトの味覚において辛味を増強する物質として、ヤマモモ抽出物(特許文献1)、ポリゴジアール及びイソチオシアネート類(特許文献2)、キナ酸又はキナ酸誘導体(特許文献3)に関する技術がある。また、苦味を増強する物質としてオタネニンジン抽出液(特許文献4)、2-O-α-D-ガラクトピラノシル-1-デオキシノジリマイシン(特許文献5)、ファゴミン(特許文献6)に関する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-78416号公報
特開2020-196775号公報
特開2009-072208号公報
特開2022-55455号公報
特開2021-136990号公報
特開2021-106575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
辛味受容体、苦味受容体に対する活性化物質は、高価なものが多く、また天然物が多い故にその生産量や気候変動によって価格が乱高下しやすい。従って、食品や化粧品に大量に配合することは価格的に難しいという課題がある。
また、辛味成分や苦味成分は揮発および劣化のしやすい性質を保有し、加工及び流通の段階で減衰するという問題もある。この対策として、消費時の力価を想定し予め製造時に多く配合するという対策が取られる場合もあり、コストアップにつながっている。
その他、刺激物に分類される辛味成分や苦味成分の摂取量を制限しつつ、嗜好性の高い商品の開発技術が市場では強く望まれている。一方、強すぎる苦味は好まれないものの、適度な苦味は嗜好が多様化する中、ニーズが高まっており、ビールやお茶、コーヒーなど嗜好性の高い飲食品において求められる。
従って、本発明は、辛味受容体や苦味受容体の応答感度を上げることができる新規な素材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、豆類由来の水溶性多糖類が、ヒトの辛味受容体活性化物質やヒトの苦味受容体活性化物質による、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体の応答を増強することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は
(1)豆類由来の水溶性多糖類を有効成分とするヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強剤、
(2)豆類由来の水溶性多糖類が、大豆またはエンドウ豆由来である、(1)記載の応答増強剤、
(3)さらにヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質を含有する、(1)または(2)記載の応答増強剤、
(4)豆類由来の水溶性多糖類と、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質とを併用してヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体と接触することを含む、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強方法、
(5)豆類由来の水溶性多糖類が、大豆またはエンドウ豆由来である、(4)記載の応答増強方法、
(6)ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が正である、(4)または(5)記載の応答増強方法、
(7)ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が1以上である、(4)または(5)記載の応答増強方法、
(8)(1)または(2)記載の応答増強剤と、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質とを併用してヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体と接触することを含む、飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法、
(9)ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が正である、(8)記載の飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法、
(10)ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の活性化物質のn-オクタノール/水分配係数の値が1以上である、(8)記載の飲食品の辛味及び/又は苦味を増強させる方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、豆類由来の水溶性多糖類と、ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体物質とを併用してヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体と接触することにより、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体の応答を増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(ヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強剤)
本発明のヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答増強剤は、豆類由来の水溶性多糖類を有効成分とする。本発明の応答増強剤は、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体を活性化する物質によるヒトの辛味受容体及び/又はヒトの苦味受容体の応答を増強することができる。
具体的には、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体を活性化する物質とは代表的には、苦味物質や辛味物質のことである。その他、味覚として感じる刺激はほぼないにもかかわらず辛味受容体や苦味受容体を活性化するものも含まれる。このようなものとして、例えば、カプシエイトが挙げられ、味覚として感じる刺激はほぼないが、辛味受容体を活性化する物質である。
これらの物質を細胞のヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体に接触したときに、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体が応答するが、この際、豆類由来の水溶性多糖類を併用することで、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体の応答が増強される。
本発明において、ヒトの辛味受容体やヒトの苦味受容体を活性化する物質は、疎水性の高いものが好ましく、疎水性の度合いはn-オクタノール/水分配係数の値を用いる。n-オクタノール/水分配係数については後述する。
【0010】
(ヒトの辛味受容体及び/またはヒトの苦味受容体)
ヒトの味蕾には基本五味を感じる甘味、酸味、苦味、うま味、塩味のそれぞれに対応する味覚受容体が存在する。味蕾は数十から数百からなる「味細胞」と呼ばれる細胞の集合体である。基本五味以外にも味覚ではないものの辛味を受容する辛味受容体が存在し、口腔内では舌の上皮の内部に、その他皮膚、気管支や消化管にも存在する。
辛味受容体であるTRPチャンネル群は、ヒトでは6つのサブファミリー、27チャネルで構成される。TRPVとして、TRPV1, TRPV2, TRPV3, TRPV4が例示され, TRMPとして、TRPM4, TRPM5, TRPM2, TRPM8が例示され, TRPAとして、TRPA1などが例示される。
苦味受容体として、TAS2Rファミリーがヒトでは25種類があり(TAS2R1、TAS2R3、TAS2R4、TAS2R5、TAS2R7、TAS2R8、TAS2R9、TAS2R10、TAS2R13、TAS2R14、TAS2R16、TAS2R38、TAS2R39、TAS2R40、TAS2R41、TAS2R42、TAS2R43、TAS2R44、TAS2R45、TAS2R46、TAS2R47、TAS2R48、TAS2R49、TAS2R50、TAS2R60)などが例示される。
(【0011】以降は省略されています)

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