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公開番号2024105988
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-07
出願番号2023010020
出願日2023-01-26
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類G03G 9/097 20060101AFI20240731BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】低温低湿環境で長期間使用した際にも、シリカ凝集粒子の脱離に起因した画像弊害が生じにくいトナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子、及びシリカ凝集粒子を有するトナーであって、トナー粒子のホウ素原子に由来ピーク、及びホウ素-酸素構造に由来するピークが検出され、シリカ凝集粒子は、個数基準の一次粒径が20nm以上75nm以下であるシリカ微粒子の凝集物であり、シリカ凝集粒子の最大フェレ径が110nm以上500nm以下であり、そのアスペクト比が1.50以上4.00以下であり、シリカ凝集粒子を溶媒に分散し、NaOH水溶液を用いた滴定操作を行った場合に、下記式(1)を満たす。0.01≦{(a-b)×c×NA}/(d×e)≦0.20・・・(1)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子、及びシリカ凝集粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子のTOF-SIMS測定において、ホウ素原子に由来するフラグメントピーク、及びホウ素-酸素構造に由来するフラグメントピークが検出され、
該シリカ凝集粒子は、個数基準の一次粒径が20nm以上75nm以下であるシリカ微粒子の凝集物であり、
該シリカ凝集粒子の最大フェレ径が、110nm以上500nm以下であり、
該シリカ凝集粒子のアスペクト比が、1.50以上4.00以下であり、
該シリカ凝集粒子を溶媒に分散し、NaOH水溶液を用いた滴定操作を行った場合に、下記式(1)を満たす、ことを特徴とするトナー。
0.01≦{(a-b)×c×NA}/(d×e)≦0.20・・・(1)
(式(1)中、aは、シリカ凝集粒子を分散させたエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9に調整するのに必要なNaOH水溶液の滴定量(L)である。
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9に調整するのに必要なNaOH水溶液の滴定量(L)である。
cは、滴定に用いた該NaOH水溶液の濃度(N)である。
NAは、アボガドロ数である。
dは、該シリカ凝集粒子の質量(g)である。
eは、該シリカ凝集粒子のBET比表面積(nm
2
/g)である。)
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)により測定した前記トナー中のホウ素原子の存在量(質量基準)が、0.1ppm以上2.00ppm以下である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナー粒子に対する前記シリカ凝集粒子の被覆率が、0.5%以上10.0%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子の表面における前記シリカ凝集粒子の分散度評価指数が、2.00以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項5】
前記トナーがシリカ凝集粒子に加えて、下記(i)及び(ii)を満たす酸化チタン粒子をさらに含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
(i)最大フェレ径が300nm以上3000nm以下、
(ii)アスペクト比が5.0以上
【請求項6】
前記トナー中におけるホウ素原子の存在量(質量基準)をB(ppm)とし、前記シリカ凝集粒子を溶媒に分散し、前記NaOH水溶液を用いた滴定操作を行ったときの下記式(2)で規定されるシラノール量をS(個/nm
2
)としたとき、該B及び該Sが、下記式(3)を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
S={(a-b)×c×NA}/(d×e)・・・(2)
0.03≦S/B≦20.0・・・(3)
【請求項7】
前記トナーの平均円形度が、0.960以上0.990以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項8】
前記トナー粒子の表面にシェル層を有し、前記トナー粒子の表面に存在するシェル層がポリエステル樹脂を含有し、透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、シェル層が結晶性材料を含有しておらず、シェル層の厚さをT(nm)としたとき、下記式(4)を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
300≦T≦700・・・(4)
【請求項9】
前記トナー粒子が、ドデシルベンゼンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸塩を含有する、請求項1又は2に記載のトナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
一般に電子写真法は、光導電性物質を利用し、像担持体(感光体)上に潜像を形成し、該静電潜像をトナーによって現像を行って可視化し、必要に応じて感光体上のトナー画像を紙などの記録媒体に転写した後、熱、圧力、及び熱圧等により記録媒体上のトナー画像を定着して複写物又はプリントを得るものである。その際、転写後に記録媒体に転写せず感光体上に残余したトナーは種々の方法によりクリーニングされる。
上記、感光体上のトナー画像を記録媒体に転写する転写工程において、感光体上のトナー画像を記録媒体に押し当てる構成にて、転写を行う接触転写方法が提案されている。この様な接触転写方法において、記録媒体に感光体上のトナー画像を忠実に描くためには、トナーを適切に帯電させるとともに、トナーの流動性低下を抑制することが重要である。
すなわち、接触転写方法における感光体と転写部材が接する転写ニップ部において、感光体上のトナー画像が転写部材から押し当てられた際に、トナーが感光体に密着しやすい状況になり、密着の程度が強固な場合は画像欠陥を発生する場合がある。上記画像欠陥はライン画像で顕著に見られ、ラインの一部が欠損(主に、中心部)することから「転写中抜け」と呼ばれ、高画質化の課題となっている。
加えて、近年、プリンターは通常のオフィス環境以外の場所でも使われ始め、苛酷な環境で高品位な画像を製品寿命の最後まで提供し続ける性能、即ち、長寿命化に対する要求も高まっている。
これら要求を満たすため、トナーにおいては長期間使用した際にも高品位な画像を出力できる耐久性を有することが求められている。
従来から、耐久性の向上を目的として、トナー粒子に凝集したシリカ微粒子(以下、シリカ凝集粒子と呼ぶ)を添加したトナーが検討されている。シリカ凝集粒子は、スペーサー効果により少ない添加量で各種部材への付着力を低減できる。加えて、シリカ凝集粒子は凹凸を有するため、凝集していないシリカ微粒子よりもトナー粒子に埋め込まれづらく、耐久性を向上させることができる。一方で、シリカ凝集粒子を添加すると、トナーが摺擦された際にトナー粒子表面から脱離することがあり、長期間使用した際には、収納容器内でシリカ凝集粒子の濃度が上昇することがあった。特に、外添剤の埋め込みが抑制されやすい低温低湿環境(15℃、10%)で長期間使用した際に、上記現象が顕著になる。シリカ凝集粒子が脱離することにより収納容器内でシリカ凝集粒子の濃度が上昇すると、シリカ凝集粒子はトナー粒子表面での転がり性が低いため、トナーの流動性は低下する。この結果、シリカ凝集粒子を含有したトナーを低温低湿環境で長期間使用した際には、耐久性が向上するものの、シリカ凝集粒子が脱離することで、転写中抜けが悪化していた。
そこで、シリカ凝集粒子を含有したトナーの転写中抜け抑制を向上させる手法として、シリカ凝集粒子の水分吸着量や形状を改良したトナーが検討されている。特許文献1には、水分吸着量を調整することを目的に、細孔容積を最適化したシリカ凝集粒子を添加したトナーが提案されている。特許文献2には、トナー粒子表面での転がりを抑制することを目的に、形状を最適化したシリカ凝集粒子を添加したトナーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-1721号公報
特開2018-45112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが検討した結果、特許文献1に記載のトナーは、細孔容積を最適化したシリカ凝集粒子を添加することで、低温低湿環境でのトナーへの付着力を上昇させていると考えられる。しかしながら、本発明者らが検討したところ、当該トナーを低温低湿環境で長期間使用した際には、シリカ凝集粒子の脱離を十分に抑制できないことがわかった。この結果、収納容器内でシリカ凝集粒子の濃度が上昇することで、トナーの流動性は低下する。即ち、低温低湿環境で長期間使用した際のシリカ凝集粒子の脱離に起因した転写中抜けに課題があることがわかった。
一方、特許文献2に記載のトナーは、形状を最適化することで、トナーへの付着力を上昇させていると考えられる。しかしながら、特許文献1と同様に、当該トナーを低温低湿環境で長期間使用した際には、シリカ凝集粒子の脱離を十分に抑制できないことがわかった。この結果、収納容器内で、シリカ凝集粒子の濃度が上昇することで、トナーの流動性は低下する。即ち、低温低湿環境で長期間使用した際のシリカ凝集粒子の脱離に起因した転写中抜けに課題があることがわかった。
そこで、本発明の解決課題は、低温低湿環境で長期間使用した際にも、シリカ凝集粒子の脱離に起因した画像弊害が生じにくいトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子、及びシリカ凝集粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子のTOF-SIMS測定において、ホウ素原子に由来するフラグメントピーク、及びホウ素-酸素構造に由来するフラグメントピークが検出され、
該シリカ凝集粒子は、個数基準の一次粒径が20nm以上75nm以下であるシリカ微粒子の凝集物であり、
該シリカ凝集粒子の最大フェレ径が、110nm以上500nm以下であり、
該シリカ凝集粒子のアスペクト比が、1.50以上4.00以下であり、
該シリカ凝集粒子を溶媒に分散し、NaOH水溶液を用いた滴定操作を行った場合に、下記式(1)を満たす、ことを特徴とするトナーに関する。
0.01≦{(a-b)×c×NA}/(d×e)≦0.20・・・(1)
(式(1)中、aは、シリカ凝集粒子を分散させたエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9に調整するのに必要なNaOH水溶液の滴定量(L)である。
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9に調整するのに必要なNaOH水溶液の滴定量(L)である。
cは、滴定に用いた該NaOH水溶液の濃度(N)である。
NAは、アボガドロ数である。
dは、該シリカ凝集粒子の質量(g)である。
eは、該シリカ凝集粒子のBET比表面積(nm
2
/g)である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低温低湿環境で長期間使用した際にも、シリカ凝集粒子の脱離に起因した画像弊害が生じにくいトナーを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0008】
〔発明に至った経緯〕
本発明者らは、シリカ凝集粒子を含有したトナーにおいて、低温低湿環境で長期間の画像出力を行った際にも、シリカ凝集集粒子の脱離を抑制し、高品位な画像を提供し続けることができるトナーについて鋭意検討した。
【0009】
これまで、シリカ凝集粒子のトナー粒子からの脱離を抑制するアプローチとして、シリカ凝集粒子の水分吸着量や形状を最適化したトナーが検討されてきた。シリカ凝集粒子の水分吸着量を最適化することで、トナーへの付着力を上昇させることができるため、シリカ凝集粒子の脱離を抑制できる。また、シリカ凝集粒子の形状を最適化することで、トナーへの付着力を上昇させることができるため、シリカ凝集粒子の脱離を抑制できる。
【0010】
しかし、低温低湿環境で長期間の画像出力を行った際のシリカ凝集粒子の脱離について考えると、トナーが摺擦された際に、脱離することがあった。特に、粒径の大きいシリカ凝集粒子はトナー粒子表面で凸部を形成し、トナー粒子表面からの凸高さが高くなるため、トナーが摺擦された際に、脱離する傾向がある。これにより、低温低湿環境で長期間の画像出力を行った際に、シリカ凝集粒子が脱離することで、収納容器内でシリカ凝集粒子の濃度が上昇する。収納容器内のシリカ凝集粒子の濃度が上昇すると、シリカ凝集粒子はトナー粒子表面での転がり性が低いため、トナーの流動性が低下してしまう。流動性が低下したトナーは、感光体と転写部材が接する転写ニップ部において、感光体上のトナー画像が転写部材から押し当てられた際に、トナーが感光体に密着しやすい状況になり、転写中抜けが発生していた。
(【0011】以降は省略されています)

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