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公開番号
2024092786
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-08
出願番号
2022208940
出願日
2022-12-26
発明の名称
多層重厚組織体、その製造方法及びその用途
出願人
国立大学法人大阪大学
,
クオリプス株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12M
3/04 20060101AFI20240701BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】より重厚かつ機能的な多層組織体を迅速かつ簡便に作製する手段を提供し、以て、移植に適した組織を提供すること、特に、収縮力に寄与し得る程度に重厚かつ機能的な多層心筋組織を提供すること。また、培養肉をはじめとして、移植材料として以外の使用のための重厚多層組織体を提供すること。
【解決手段】生体適合性ポリマーからなる2枚以上のファイバーシートが、それぞれ約100~約200 μmの間隔で積層されてなる、多層組織用スキャフォールドであって、最下層のファイバーシートは細胞を保持するのに十分なファイバー密度を有し、それより上層のファイバーシートは播種した細胞の一部が最下層のファイバーシートに到達し得る程度のファイバー密度を有することを特徴とする、スキャフォールド。該スキャフォールドの最上層のファイバーシートに細胞を播種し、液体培地中で培養することを含む、多層組織培養物の製造方法。該方法により得られる多層組織培養物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
生体適合性ポリマーからなる2枚以上のファイバーシートが、それぞれ約100~約200 μmの間隔で積層されてなる、多層組織用スキャフォールドであって、最下層のファイバーシートは細胞を保持するのに十分なファイバー密度を有し、それより上層のファイバーシートは播種した細胞の一部が最下層のファイバーシートに到達し得る程度のファイバー密度を有することを特徴とする、スキャフォールド。
続きを表示(約 620 文字)
【請求項2】
各々のファイバーシートが配向性を有する、請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項3】
各ファイバーシートが等間隔で積層されてなる、請求項1又は2に記載のスキャフォールド。
【請求項4】
4~7枚のファイバーシートが積層されてなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項5】
最上層のファイバーシートと最下層のファイバーシートとの距離が約500~約1000 μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項6】
生体適合性ポリマーが生分解性である、請求項1~5のいずれか一項に記載のスキャフォールド。
【請求項7】
生分解性ポリマーがポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(PLGA)又は生体高分子である、請求項6に記載のスキャフォールド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のスキャフォールドの最上層のファイバーシートに細胞を播種し、液体培地中で培養することを含む、多層組織培養物の製造方法。
【請求項9】
播種密度が0.7~3×10
7
細胞/cm
2
である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
培養が動的培養である、請求項8又は9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層重厚組織体、その製造方法及びその用途に関する。より詳細には、複数のファイバーシートを適切な間隔で積層した支持体上に細胞を播種し、培養することによる多層重厚組織体の製造方法、当該方法に用いるための多層ファイバーシート及び培養デバイス、当該方法により得られる多層重厚組織体、並びに該多層重厚組織体を用いた疾患の治療、薬物の薬効・毒性評価、その他の用途等に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞をはじめとする重症心不全疾患の患者は日本で約80万人おり、年間約18万人が死亡している。成体の心筋細胞は自己複製能に乏しく、心筋組織が損傷を受けた場合、その修復は極めて困難であり、現在のところ心臓移植が唯一の有効な治療法である。しかしながら、日本では極めて深刻なドナー不足であり、また免疫拒絶反応などの問題を抱えている。
【0003】
近年、心臓移植に代わる治療法として、細胞・組織培養により作製した心筋細胞又は組織を患部に移植する試みがなされている。多能性幹細胞(例えば、胚性多能性幹細胞(ES)や人工多能性幹細胞(iPS))の樹立によって、心筋細胞補充療法により心筋機能を回復させることが出来ると期待されている。
【0004】
重症心不全に対する心筋細胞補充療法には、大別して、病変部位に直接心筋細胞を注入する方法(注射法)と、シート状にした心筋細胞を病変部位に貼付する方法(パッチ法)とがあるが、不全心においてはかなりの数の心筋細胞が失われており、いずれの方法においても治療には大量の心筋細胞が必要となる。また、注射法の場合、注入した細胞が流出し移植効率が低く、生着率も低いといった欠点もある。
【0005】
それに対して、パッチ法は心外膜の外側に心筋細胞シートを貼り付ける方法で、確実に注射法より安全である。2019年度から心筋細胞シートを用いた4例の臨床試験が実施された。現行の心筋細胞シート技術は細胞から分泌されるサイトカインを介したパラクライン効果により虚血性心筋症に対して有効性を示しているが、心筋細胞の機能が殆ど失われた重症心筋症に対しては、サイトカインによる血管新生効果が不十分なため、直接レシピエント心臓に力学的に作用するような、有効性の高い心筋組織の開発が急務である。
【0006】
パッチ法においては、より多くの心筋細胞を移植するため、組織の3次元化、重厚な心筋組織の開発が進められている。実際に、さまざまな方法で心筋組織の3次元化が図られており、移植組織でのより長期間の生着や心機能の改善を認めたことが報告されている(例えば、非特許文献1、2等)。これらの方法では、心筋細胞シート単位を積層して重厚な心筋組織片を作製するが、従来の平面培養では組織の厚みが増すと、中心部や培養容器と接する最下層の部分が低栄養、低酸素による細胞障害を受けやすく、単純な積層法では3層(約80 μm)が限界とされていた(非特許文献3)。
【0007】
この問題を解決すべく、例えば、心筋細胞シートと血管内皮細胞とを共培養してシート内に血管様のネットワークを形成させることにより、組織内部に栄養や酸素を供給する試みがなされているが、この内皮細胞ネットワークは未成熟な構造のため、インビトロの培養系においても栄養・酸素を供給するための血管網を組織内に導入する必要がある。重厚な心筋組織に効率的に血管網を導入するために、動静脈を含む組織片もしくはマイクロ流路を有するコラーゲンゲルを血管床として用い、灌流培養を行うことが報告されている(非特許文献4)。あるいは、心筋細胞、血管内皮細胞及び壁細胞からなる心血管細胞シートの間にゼラチンハイドロゲルミクロスフェアを挿入することで、組織内に適当な空間と培養液を供給することを可能にする方法も報告されている(非特許文献5)。しかしながら、いずれの方法も、煩雑な操作もしくは特殊な培養装置を必要とするものであり、重厚な多層心筋組織を、いかにして簡便に、かつ良好な生存状態で、インビトロで調製するかは、移植に適した心筋組織片を安価に提供する上で、未だ解決すべき重要な課題である。
【0008】
本発明者らは、エレクトロスピニング法を用いて作製した、生分解性のナノファイバーが一方向に配列したファイバーシートの足場を用いて、一工程で160 μmの厚みのある多層心筋組織片を製造することに成功し、当該組織片を虚血性心筋症モデルに移植すると心機能が有意に回復することを実証した(特許文献1、非特許文献6、7)。
しかしながら、治療効果には限界があり、サイトカイン分泌によるパラクライン効果だけでなく、収縮力に寄与し得るさらに厚みのある多層心筋組織の製造技術が求められている。
【0009】
また、心筋組織に限らず、細胞・組織シートを用いた再生医療研究は多方面で進められている。例えば、間葉系幹細胞(MSC)はその多分化能と入手のし易さから、移植治療に広く用いられている。本発明者らは、前記配向性ファイバーシートを用いて臍帯由来MSC(UC-MSC)の組織シート(厚さ約300 μm)を作製し、糖尿病性創傷モデルマウスに移植したところ、注射法に比べて優れた創傷治癒効果を示すことを見出している(非特許文献8)。しかし、移植治療の効果をより高めるためには、やはり厚みのある多層組織体が求められる。
【0010】
一方、動物を屠殺する必要がない、厳密な衛生管理が可能、食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低い、抗生物質耐性菌リスクの低減などの利点から、従来の食肉に替わるものとして、培養肉が注目されており、現在70社以上のスタートアップが培養肉に参入し、牛・豚・鶏・子羊・鴨・魚・甲殻類・ウナギ・フォアグラ・ホタテなどの培養肉の研究開発が進行中である。それらの多くで細胞シート工学が用いられているが、ここでも、より商品価値を高めるために、厚みのある培養肉の製造技術の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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