特許ウォッチ

公開番号2024087195
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2022201848
出願日2022-12-19
発明の名称架橋アクリル-スチレン重合体粒子含有ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いたポリエステルフィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 67/00 20060101AFI20240624BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】
本発明は、架橋重合体粒子をポリエステルフィルムに添加した際、露光阻害の原因となりうる粒子の凝集が抑制できる、粒子含有ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムの提供を目的とする。
【解決手段】
体積平均粒子径が0.01～1.0μmであり、架橋アクリル-スチレン重合体中のアクリル系モノマー単位が18～30mol%、スチレン系モノマー単位が70～82mol%である架橋アクリル-スチレン重合体粒子を含有するポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたポリエステルフィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
体積平均粒子径が０．０１～１．０μｍであり、架橋アクリル－スチレン重合体中のアクリル系モノマー単位が１８～３０ｍｏｌ％、スチレン系モノマー単位が７０～８２ｍｏｌ％である架橋アクリル－スチレン重合体粒子を含有するポリエステル樹脂組成物。
続きを表示（約 390 文字）【請求項２】
前記アクリル系モノマー単位はアクリル系多官能モノマー単位である請求項１記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項３】
前記アクリル系多官能モノマー単位がエチレングリコールジ（メタ）アクリレートである請求項２に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項４】
ポリエステルフィルム中に、体積平均粒子径が０．０１～１．０μｍであり、架橋アクリル－スチレン重合体中のアクリル系モノマー単位が１８～３０ｍｏｌ％、スチレン系モノマー単位が７０～８２ｍｏｌ％である架橋アクリル－スチレン重合体粒子を含有し、走査型電子顕微鏡にて２０００倍の倍率で観察したとき、３個以上の粒子が接触している凝集粒子が粒子１万個中３５０個未満であり、粒子の最大フェレ径に等しい直径が３μｍ以上の粗大粒子が粒子１万個あたり１個未満であるポリエステルフィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、架橋アクリル－スチレン重合体粒子を含有するポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムに関するものである。
続きを表示（約 2,600 文字）【背景技術】
【０００２】
ポリエステル樹脂は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリエチレンテレフタレート（以下、ＰＥＴと記す）は、機械特性、熱特性、耐薬品性、成形性に優れ、表面制御のしやすさなどから様々な用途に用いられ、例えば、繊維やフィルムに加工される。中でも二軸配向フィルムは、その優れた機械的特性や熱特性、寸法安定性、表面特性などから、例えば、塗布型磁気記録テープ用ベースフィルムや、コンデンサー用材料などの各種工業材料用や、ドライフィルムレジスト（以下、ＤＦＲと記す）基材用、積層セラミックコンデンサー製造工程用、偏光板離型用などの離型・工程用フィルムなどの工程用紙用や、フレキシブルディスプレイや有機ＥＬなどの透明電極基板用といった光学材料用として使用されている。
例えば、ＤＦＲ基材用フィルムであればプリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。ＤＦＲは、感光層（フォトレジスト層）を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム（カバーフィルム）で挟んだ構造をしている。このＤＦＲを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
【０００３】
１）ＤＦＲから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
２）次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
３）その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
４）次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
【０００４】
４）の工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要であるが、適度なすべり性を付与するために滑剤としての粒子を含有させた場合、含有させた粒子の凝集により、露光工程時の紫外線照射の際、凝集体による光散乱が透過、反射共に引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
【０００５】
この課題を解決するために、特許文献１では、有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子をポリエステルに添加し、分散性を高めた粒子マスターをフィルムに用いる方法が提案されている。
【０００６】
また、凝集粒子を低減する方法として、特許文献２では粒子１００質量部中、アクリル系モノマー単位が３９～５０重量部、スチレン系モノマー単位が１０～２０重量部である架橋アクリル－スチレン重合体粒子も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
特許６１１５１８８号
特開２０２２－３４５４１
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、前記提案で示されている粒子ではＤＦＲ基材用におけるプリント配線板の微細化、高密度化に伴う、配線の幅や配線の間隔の高解像度化が達成できず、さらなる基材フィルムの露光阻害物低減が要求されている。
本発明は上記理由に鑑みてなされたものであり、その目的は、滑剤として添加した架橋重合体粒子が凝集しにくいポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムの提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の粒子組成である架橋アクリル－スチレン重合体粒子を滑剤として添加することで、所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の構成は以下のとおりである。
（１）体積平均粒子径が０．０１～１．０μｍであり、架橋アクリル－スチレン重合体中のアクリル系モノマー単位が１８～３０ｍｏｌ％、スチレン系モノマー単位が７０～８２ｍｏｌ％である架橋アクリル－スチレン重合体粒子を含有するポリエステル樹脂組成物。
（２）前記アクリル系モノマー単位はアクリル系多官能モノマー単位である前記（１）に記載のポリエステル樹脂組成物。
（３）前記アクリル系多官能モノマー単位がエチレングリコールジ（メタ）アクリレートである前記（２）に記載のポリエステル樹脂組成物。
（４）ポリエステルフィルム中に、体積平均粒子径が０．０１～１．０μｍであり、架橋アクリル－スチレン重合体中のアクリル系モノマー単位が１８～３０ｍｏｌ％、スチレン系モノマー単位が７０～８２ｍｏｌ％である架橋アクリル－スチレン重合体粒子を含有し、走査型電子顕微鏡にて２０００倍の倍率で観察し、３個以上の粒子が接触している凝集粒子が粒子１万個中３５０個未満であり、粒子の最大フェレ径に等しい直径が３μｍ以上の粗大粒子が粒子１万個あたり１個未満であるポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【００１０】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、添加した上記架橋アクリル－スチレン重合体粒子の分散性に優れ、また該粒子を滑剤として添加したポリエステルフィルムとした場合、ＤＦＲ基材用フィルムとして使用した際に露光阻害の原因となりうる滑剤の凝集抑制が期待できるため、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許