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公開番号
2024072399
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-28
出願番号
2022183175
出願日
2022-11-16
発明の名称
積層ポリエステルフィルム
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
B32B
27/36 20060101AFI20240521BHJP(積層体)
要約
【課題】
本発明は、積層ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に中間膜と支持体が配置された成形品において、加熱加圧成形による凹凸状の歪みを軽減し、成形体としたときに外観や意匠性を向上させることができる積層ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【解決手段】
ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、前記樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を交互に51層以上積層した積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表面における面配向係数が0.20以上0.30以下であり、tanδのピーク値、及び150℃でのtanδの値をそれぞれX、Yとしたときに、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
X/Y≧1.5 ・・・式(1)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、前記樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を少なくとも含み、51層以上積層した積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表面における面配向係数が0.20以上0.30以下であり、tanδのピーク値、及び150℃でのtanδの値をそれぞれX、Yとしたときに、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
X/Y≧1.5 ・・・式(1)
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
tanδの値がXとなるときの温度が120℃以下である、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記樹脂Aおよび前記樹脂Bのガラス転移温度Tgが110℃以下である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
tanδの最大値が0.20以上である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
60~120℃におけるtanδの1℃あたりの増加量の最大値が0.005以上である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記樹脂A及び前記樹脂Bの少なくとも一方が式(2)で表される化学構造を有する、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
-O-(C
n
H
2n
-O)
m
- ・・・式(2)
(m、nは、m×nが5以上となる自然数である。)
【請求項7】
前記樹脂Aの主たるジカルボン酸単位がナフタレンジカルボン酸単位である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記樹脂Bがポリエステル樹脂であり、前記樹脂Aと前記樹脂Bの少なくとも一方が、全ジオール構成単位を100mol%としたときに前記式(2)で表される化学構造を有するジオール単位を0.5mol%以上40mol%以下含む、請求項6に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項9】
示差走査熱量分析計により求められる微小吸熱ピークが220℃以下に存在する、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項10】
900~1200nmの波長範囲において、反射率が20nm以上連続して50%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ポリエステルフィルムに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
光学特性が異なる2種以上の材料を光の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用して、特定の波長の光を選択的に反射させる積層ポリエステルフィルムが知られている。このような積層ポリエステルフィルムは、用いる材料の屈折率、層数、各層厚み等を調整することで種々の性能を具備せしめることが可能であるため、例えば、コールドミラー、ハーフミラー、レーザーミラー、ダイクロイックフィルタ、熱線反射フィルム、近赤外カットフィルタ、単色フィルター、偏光反射フィルム等の用途で使用されている。
【0003】
このような積層ポリエステルフィルムを硬い支持体に加熱加圧ラミネートして得られる成形体は、化粧版等の装飾材や、各種家電製品、建築部材、自動車関係の部品等に使われている。なかでも近年、環境保護による二酸化炭素排出規制を受けて、夏場の外部からの熱、特に太陽光による熱の流入を抑制できる熱線カットガラスが自動車や電車などの乗り物、建物の窓ガラスとして注目されている。
【0004】
このような熱線カットガラスの一例として、ガラス中や合わせガラスに用いられる中間膜中に熱線吸収材を含有させ、熱線を熱線吸収材にて遮断するもの(例えば特許文献1)、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成し熱線を反射させて遮断するもの(例えば特許文献2)、屈折率の異なるポリマーが交互に積層された積層ポリエステルフィルムをガラス及び中間膜の間に挿入して熱線を反射させて遮断するもの(例えば特許文献3)などがある。
【0005】
特許文献1の方法では、外部から入射される太陽光が熱エネルギーに変換されるため、その熱が室内へと放射されて熱線カット効率が低下する問題がある。加えて、当該方法では熱線を吸収することで部分的にガラス温度が上昇し、外気温との差によりガラス本体が破損する場合もある。特許文献2の方法では、熱線のみではなく可視光も反射するために着色しやすく、また、電磁波も遮蔽するために内部での通信機器の使用等に悪影響を及ぼす場合がある。一方、特許文献3の積層ポリエステルフィルムは、その層厚みを制御して反射する波長を選択できるため、温度上昇に寄与する近赤外領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ熱線カット性能を向上させることができる。また、金属など電波を遮断する成分を含まないために、優れた電波透過性を保持したものとなる。
【0006】
また、このような積層ポリエステルフィルムを溶融押出法にて得る場合、透明性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、強度および寸法安定性などの理由から、一方の樹脂層の主成分にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートといったポリエステル樹脂を使用し、もう一方の樹脂層に、当該ポリエステル樹脂とは光学特性の異なる熱可塑性樹脂(例えば共重合ポリエステル)を使用したものが用いられている(例えば特許文献4、5)。特に、一方の樹脂層の主成分にポリエチレンナフタレートを用いた場合、低屈折率の共重合ポリエステルとの屈折率差を大きくすることが出来るため、高い反射率を有する積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2010-17854号公報
特許第3901911号公報
特許第4310312号公報
特開2005-059332号公報
特開2004-249587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱線カットガラスは人の目に触れる場所に使われることが多く外観も重要となる。しかしながら、特許文献3の積層ポリエステルフィルムを貼着する態様においては、支持体との積層に用いる中間膜の厚みムラによる押圧ムラや、中間膜との熱収縮応力差等によって成形時に積層ポリエステルフィルムに凹凸状の歪みが発生し外観を損なうという問題がある。特に、積層ポリエステルフィルムにあっては、層厚みの制御による干渉反射現象を利用するものであることから、こうした凹凸は光学的な欠点として目立ち易くなる。さらに、支持体と中間膜と多層積層フィルムを積層して成形する場合、シワの問題もある。これは、積層ポリエステルフィルムが成形の際に、支持体の形状へ追従できないことや、中間膜との熱収縮率差等を原因として、主に成形体端部に発生する問題である。
【0009】
また、特許文献4や5に記載のとおり、溶融押出法にてポリエチレンナフタレートを主成分とした層と低屈折率の共重合ポリエステルの層からなる積層ポリエステルフィルムとした場合、相対的にポリエチレンナフタレートを主成分とした層の剛性が高いために変形し難く、積層ポリエステルフィルムを変形・加工して用いる用途には適用し難い。例えば、支持体と中間膜と積層ポリエステルフィルムを積層して成形する場合にシワや凹凸状の歪みが発生することがあるため、最終製品として適用しづらいという問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決し、積層ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に中間膜と支持体が配置された成形品において、加熱加圧成形による凹凸状の歪みを軽減し、成形体としたときに外観や意匠性を向上させることができる積層ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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