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公開番号2024084132
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-24
出願番号2023203960
出願日2023-12-01
発明の名称タックコート又はプライムコートの構築方法及びタックコート用又はプライムコート用の材料
出願人ニチレキ株式会社
代理人弁理士法人須磨特許事務所
主分類E01C 7/18 20060101AFI20240617BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約【課題】べたつきが抑制されたタックコート又はプライムコートの構築方法、及び、べたつきが抑制されたタックコート又はプライムコートを構築するための材料を提供すること課題とする。
【解決手段】舗装工事におけるタックコート又はプライムコートの構築方法であって、(1)脂肪酸及び/又は樹脂酸を含有するアスファルト乳剤を施工面に散布する工程と、(2)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物を含有する水溶液を前記施工面に散布する工程と、を含み、前記工程(1)及び(2)を、この順で又は同時に行うことを特徴とする方法、並びに、脂肪酸及び/又は樹脂酸を含有するアスファルト乳剤を含む第1の剤と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物を含有する水溶液を含む第2の剤と、を含む2剤型のタックコート用又はプライムコート用の材料を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
舗装工事におけるタックコート又はプライムコートの構築方法であって、
(1)脂肪酸及び/又は樹脂酸を含有するアスファルト乳剤を施工面に散布する工程と、
(2)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物を含有する水溶液を前記施工面に散布する工程と、
を含み、前記工程(1)及び(2)を、この順で又は同時に行うことを特徴とする方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記アスファルト乳剤における前記脂肪酸及び/又は前記樹脂酸の含有量が、前記アスファルト乳剤の蒸発残留分の5質量%超であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アスファルト乳剤における前記脂肪酸及び/又は前記樹脂酸の含有量が、前記アスファルト乳剤の蒸発残留分の30質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪酸及び/又は樹脂酸が、炭素数5~30の脂肪酸及び/又は樹脂酸であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液に含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物が、カルシウム及び/又はマグネシウムの塩及び/又は酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アスファルト乳剤と前記水溶液を、前記アスファルト乳剤中に含まれる脂肪酸及び/又は樹脂酸の価数をA、モル数をmol

、前記水溶液中に含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物から生じるアルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンの価数をB、モル数をmol

としたとき、(B×mol

)/(A×mol

)の値が1.0以上となるように散布することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記施工面がアスファルトコンクリート面、コンクリート面、粒状路盤、又は安定処理路盤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記安定処理路盤が瀝青安定処理路盤、セメント・アスファルト乳剤安定処理路盤、セメント安定処理路盤、又は石灰安定処理路盤であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(1)脂肪酸及び/又は樹脂酸を含有するアスファルト乳剤を含む第1の剤と、
(2)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩及び/又は酸化物を含有する水溶液を含む第2の剤と、
を含む2剤型のタックコート用又はプライムコート用の材料。
【請求項10】
前記アスファルト乳剤における前記脂肪酸及び/又は前記樹脂酸の含有量が、前記アスファルト乳剤の蒸発残留分の5質量%超であることを特徴とする請求項9に記載の材料。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、舗装工事におけるタックコート又はプライムコートの構築方法、及び、タックコート用又はプライムコート用の材料に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
舗装工事においては、新たに舗設されるアスファルト混合物層との付着を良くすることを主たる目的の一つとして、その下層の基層、中間層、路盤や瀝青安定処理路盤等の安定処理路盤の施工面の表面にカットバックアスファルト、アスファルト乳剤、ストレートアスファルトなどの瀝青材料が散布されることがある。このような瀝青材料を含んでなるコーティングは、主に施工面の種類に応じて、タックコート又はプライムコートと呼ばれている。
【0003】
タックコートとは、瀝青材料或いはセメントなどを用いて構築された下層と、その上に新たに舗設されるアスファルト混合物層との接着性を高めることを主たる目的として構築されるコーティングであり、典型的には、瀝青安定処理路盤、中間層、基層等の施工面の表面に施される。タックコート用の瀝青材料としては、一般にアスファルト乳剤が用いられ、特に、カチオン系アスファルト乳剤が使用されることが多い。タックコートに用いられるカチオン系アスファルト乳剤としては、ストレートアスファルトを原料としたPK-4と呼ばれるアスファルト乳剤が知られている。また、アスファルト乳剤にゴムを添加して層間接着力を高めたPKR-Tと呼ばれるゴム入りアスファルト乳剤が知られている。
【0004】
これらのアスファルト乳剤を瀝青安定処理路盤、中間層、基層等の施工面に散布すると、アスファルト乳剤が分解して水分が蒸発することで施工面の表面にはアスファルト被膜が形成される。アスファルト被膜は、施工面とその上に舗設されるアスファルト混合物層との接着性を向上させる働きを担う。その一方、アスファルト被膜にはべたつきがあるため、アスファルト乳剤を散布した施工面の上を運搬車や施工機械が通過すると、アスファルト被膜がそれらの車輪に付着し、アスファルト被膜が剥離してしまうという問題があった。アスファルト被膜が施工面から剥離してしまうと、施工面とその上に舗設されるアスファルト混合物層との接着性が損なわれる恐れがあるほか、車輪にアスファルト被膜が付着した状態で運搬車や施工機械が周辺を走行することで、周辺道路が汚れてしまうという問題もあった。
【0005】
以上の問題を解決するため、例えば、特許文献1には、アスファルト乳剤に表面析出剤を含有せしめ、水分が蒸発したアスファルト乳剤の表面に表面析出剤を粉状に析出させることで、施工機械のタイヤや作業員の靴底へのアスファルトの付着を抑制する方法が開示されている。表面析出剤を析出させるためには、アスファルト乳剤中の水分が十分に蒸発するまでの養生時間を確保することが必要であるが、施工現場において、十分な養生時間を確保することは必ずしも容易ではない。例えば、補修工事おいて、冬期の夜間に実施されなければならないオーバーレイ時などには十分な養生時間を確保することは難しい。
【0006】
また、アスファルト乳剤に樹脂を添加することにより、アスファルト被膜のべたつきを抑制したPKM-Tと呼ばれるアスファルト乳剤が知られ、タックコート用のアスファルト乳剤として用いられている。PKM-Tによれば、一定程度、アスファルト被膜の付着が抑制されるものの、それでもなお真夏の猛暑期においてはべたつきが顕在化し、特にアスファルトフィニッシャ等の接地圧が大きい施工機械の車輪への付着は避けられなかった。樹脂の添加量をPKM-Tより更に増やすことによりべたつきを抑制することも考えられるが、この場合には、溶液の粘度が増大しすぎ、乳剤化することが困難となるという問題があった。
【0007】
一方、瀝青安定処理路盤を除く路盤上にアスファルト乳剤などの瀝青材料を散布して構築されるコーティングをプライムコートという。プライムコートは、路盤を仕上げた後、アスファルト混合物が舗設されるまでの間に路盤を保護すること、水の浸透を遮断し、舗装体の安定性を高めること、路盤とその上に舗設されるアスファルト混合物層とをなじみやすくすること等を目的として、典型的には、粒状路盤、セメント・アスファルト乳剤安定処理路盤、セメント安定処理路盤、石灰安定処理路盤等の施工面の表面に施される。
【0008】
プライムコート用の瀝青材料としては、タックコートと同様に一般にアスファルト乳剤が用いられ、特に、カチオン系アスファルト乳剤が使用されることが多い。プライムコートに用いられるカチオン系アスファルト乳剤としては、ストレートアスファルトを原料としたPK-3と呼ばれるアスファルト乳剤が広く用いられている。
【0009】
これらのアスファルト乳剤を粒状路盤等の施工面に散布すると、アスファルト乳剤が路盤に浸透し、その部分が安定化される。また、アスファルト乳剤が分解して水分が蒸発することで路盤材の表面にアスファルト被膜が形成され、路盤と、その上に舗設されるアスファルト混合物層とが馴染みやすくなるという効果が得られる。しかし、プライムコートに使用される瀝青材料は瀝青を多分に含んでいるため、これを散布して形成されるアスファルト被膜には、やはりべたつきがある。プライムコート用のアスファルト乳剤を散布した路盤の上を運搬車や施工機械が通過すると、アスファルト被膜がそれらの車輪に付着し、アスファルト被膜が剥離してしまうというタックコートと同様の問題がプライムコートにも存在する。
【0010】
この課題を解決するため、路盤への浸透性を高めた高浸透性のアスファルト乳剤が知られており、PK-Pと呼ばれている。PK-Pは路盤への浸透性に優れるため、路盤表面に残存するアスファルト分が少なく、その分、べたつきが抑制される。しかしながら、運搬車や施工機械の車輪への付着性には改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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