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公開番号2024080431
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-13
出願番号2022193615
出願日2022-12-02
発明の名称有機高分子光触媒の製造方法
出願人国立大学法人大阪大学,保土谷化学工業株式会社
代理人保土谷化学工業株式会社
主分類C08G 8/00 20060101AFI20240606BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明が解決しようとする課題は、高圧下で反応を行うための耐圧性の反応容器の使用を必要としない有機高分子光触媒の製造方法を提供すること。
【解決手段】フェノール類とアルデヒド類とを含有する混合液を、フェノール類1gに対して溶媒10mL以上100mL未満にて調製する工程(1)と、前記混合液を大気圧下、反応させることにより樹脂を形成する工程(2)と、前記工程により得られた樹脂を親水性溶媒にて洗浄する工程(3)、および前記工程により得られた樹脂から溶媒を取り除く乾燥工程(4)とを有する、有機高分子光触媒の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
フェノール類とアルデヒド類とを含有する混合液を、フェノール類1gに対して溶媒10mL以上100mL未満にて調製する工程(1)と、
前記混合液を大気圧下、反応させることにより樹脂を形成する工程(2)と、
前記工程により得られた樹脂を親水性溶媒にて洗浄する工程(3)、
および前記工程により得られた樹脂から溶媒を取り除く乾燥工程(4)
とを有する、有機高分子光触媒の製造方法。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
フェノール類、アルデヒド類および有機溶媒を含有する混合液を、フェノール類1gに対して有機溶媒10mL以上100mL未満にて調製する工程(1)と、
前記混合液を大気圧下、反応させることにより樹脂を形成する工程(2)と、
前記工程により得られた樹脂を親水性溶媒にて洗浄する工程(3)、
および前記工程により得られた樹脂から溶媒を取り除く乾燥工程(4)
とを有する、請求項1に記載の有機高分子光触媒の製造方法。
【請求項3】
前記工程(2)において、混合液を大気圧下、100~320℃の温度で反応させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機高分子光触媒の製造方法。
【請求項4】
前記フェノール類がレゾルシノール、m-アミノフェノール、m-クロロフェノール、m-メトキシフェノール、m-クレゾール、m-フェニレンジアミン及びフェノールからなる群から選択される少なくとも一種のフェノール又はフェノール誘導体である請求項1に記載の有機高分子光触媒の製造方法。
【請求項5】
前記フェノール類がレゾルシノール、m-アミノフェノール、m-クロロフェノール、m-メトキシフェノール、m-クレゾール、m-フェニレンジアミン及びフェノールからなる群から選択される少なくとも一種のフェノール又はフェノール誘導体である請求項2に記載の有機高分子光触媒の製造方法。
【請求項6】
前記フェノール類がレゾルシノール、m-アミノフェノール、m-クロロフェノール、m-メトキシフェノール、m-クレゾール、m-フェニレンジアミン及びフェノールからなる群から選択される少なくとも一種のフェノール又はフェノール誘導体である請求項3に記載の有機高分子光触媒の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機高分子光触媒の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
ポリアセチレンやポリチオフェンに代表される導電性高分子は、半導体としての性質を示し、有機EL素子やFET(電界効果型トランジスタ)、光電変換素子(太陽電池)への応用については多くの研究がおこなわれ、無機半導体を有機高分子半導体に置き換えた次世代電子デバイスの研究が進められている。
【0003】
一方、光触媒については、本多・藤嶋効果が見出されて以来、様々な無機材料による半導体光触媒が開発され、酸化チタン(TiO

)は光触媒活性や光誘起親水性を示すことから実用化され、酸化タングステン(WO

)は、光触媒や光電極材料として広く研究されている。しかし、有機高分子半導体を利用した有機高分子光触媒についての報告例はまだ少なく、光触媒への応用が期待されている。
【0004】
有機高分子半導体を利用した光触媒は、ポリマーの特徴を活かした、薄膜化や積層化・大面積フィルムの作製など加工性の点でも有効であると考えられる。また、有機高分子半導体は可視光領域に吸収極大を持つものが多く、可視光に応答する光触媒の設計が可能となり、効率の良い光化学変換システムの構築が可能である室内光で利用可能な有機高分子光触媒への応用が期待できる。
【0005】
例えば、有機高分子の光触媒の用途として、過酸化水素の製造に用いることが期待されている。過酸化水素は水のみを排出するクリーンな酸化剤であり、漂白剤、殺菌剤、洗浄剤および有機合成試薬(酸化剤)等として幅広い用途で広く利用されており、国内年間生産量は20万トンと非常に多い。
【0006】
現状、過酸化水素は、工業的にはアントラキノン法により合成されているが、過酸化水素を得るまでに多段階を必要とするため非効率で価格の高騰を招いている。他方、水素と酸素とから過酸化水素を直接合成する方法も多数研究されているが、水素、酸素混合ガスによる爆発の危険がある他、酸やハロゲンが製品に混入するという課題がある。また、水素を使うため、水素を作る必要がある他、Pdを触媒として使う必要がある点で課題がある。
【0007】
従って、安全性が高く且つ地球上に豊富に存在する原料から光触媒を用いて純粋な過酸化水素を合成する方法の開発が注目されている。例えば、特許文献1には、水、水の酸化触媒、特定の遷移金属錯体(光触媒)、及び酸素(O

)を含む反応系に光照射することにより過酸化水素を発生させる過酸化水素発生工程を含む過酸化水素製造方法が開示されている。しかしながら、光触媒として高価な貴金属触媒(Ir、Ru等)が必要であること、酸素を選択的に二電子還元するために多量のSc塩を使う必要があること、太陽エネルギー変換効率(SCC efficiency)が最大0.25%に留まっていること等から、更なる改善の余地がある。
【0008】
その他、水を原料とし、光触媒を用いて過酸化水素を製造することは非特許文献1~3をはじめとして各種の文献で報告されているが、金属酸化物触媒を必要とすること、得られる過酸化水素濃度が0.1mM以下と低いこと、太陽エネルギー変換効率(SCC efficiency)がいずれも0.01%以下であると推測されること等から、更なる改善の余地がある。
【0009】
また、高圧高温下での有機高分子光触媒の合成反応を行い、過酸化水素製造用の有機高分子光触媒として用いた報告(特許文献2)があるが、オートクレーブといった耐圧性の高価な反応容器を用いる必要があり、コスト面での課題がある。さらに大規模生産設備での生産を行う場合、高圧であることによる反応容器の破損、それに伴う事故といった生産工程でのリスクが考えられ安全性についての課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
国際公開番号WO2013/002188
国際公開番号WO2018/074456
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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