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公開番号
2024079586
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-06-11
出願番号
2023183540
出願日
2023-10-25
発明の名称
皮膚疾患モデル動物
出願人
国立大学法人大阪大学
,
ロート製薬株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A01K
67/027 20240101AFI20240604BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物を提供すること。
【解決手段】角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)であって、前記皮膚疾患が、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを前記モデル動物の皮膚に塗布することにより誘発された皮膚疾患である、モデル動物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)であって、
前記皮膚疾患が、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを前記モデル動物の皮膚に塗布することにより誘発された皮膚疾患である、モデル動物。
続きを表示(約 440 文字)
【請求項2】
前記C14~C18脂肪酸がパルミチン酸である、請求項1に記載のモデル動物。
【請求項3】
前記アルキルエステルがエチルエステルである、請求項1に記載のモデル動物。
【請求項4】
前記角化亢進に由来する皮膚疾患が尋常性ざ瘡である、請求項1~3のいずれか一項に記載のモデル動物。
【請求項5】
C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルをモデル動物(ヒトを除く)の皮膚に塗布することを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物の作成方法。
【請求項6】
角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)に対して物質を投与することを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患に対する前記物質の予防効果又は治療効果の評価方法であって、前記モデル動物は、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを前記モデル動物の皮膚に塗布することにより皮膚疾患が誘発されたモデル動物である、評価方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚疾患モデル動物に関する。
続きを表示(約 5,600 文字)
【背景技術】
【0002】
角化亢進は、皮膚疾患の主要な要因の1つであり、角化亢進に由来する代表的な皮膚疾患としては、尋常性ざ瘡が挙げられる。角化亢進に由来する皮膚疾患への薬剤の有効性及び角化亢進を生じた場合における遺伝子の影響の評価等は、モデル動物を用いて行われることが一般的であり、たとえば尋常性ざ瘡の場合、アクネ菌をマウスに皮下注射して生じた炎症に対して行われた例が報告されている(非特許文献1~3)。しかし、菌そのものを皮下注射するというアプローチは、尋常性ざ瘡の生理的な発生機構とはかけ離れており、角化亢進に由来する皮膚疾患患者における皮膚疾患により近い状態の角化亢進に由来する皮膚疾患を再現する技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
KolarSL, Tsai CM, Torres J, Fan X, Li H, Liu GY. "Propionibacteriumacnes-induced immunopathology correlates with health and diseaseassociation." JCI Insight. 2019;4(5)
AnHJ, Lee WR, Kim KH, et al. "Inhibitory effects of bee venom onPropionibacterium acnes-induced inflammatory skin disease in an animal model."Int J Mol Med. 2014;34(5):1341-1348
NguyenCT, Sah SK, Zouboulis CC, Kim TY. "Inhibitory effects of superoxidedismutase 3 on Propionibacterium acnes-induced skin inflammation." SciRep. 2018;8(1):4024
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物及びその作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを動物の皮膚に塗布すると、コメドが形成され、角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物として利用可能であることを見出し、本開示を完成させた。
【0006】
本開示は、以下の[1]~[18]に関する。
[1]角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)であって、上記皮膚疾患が、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを上記モデル動物の皮膚に塗布することにより誘発された皮膚疾患である、モデル動物。
[2]C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルをモデル動物(ヒトを除く)の皮膚に塗布することを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物の作成方法。
[3]角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)に対して物質又は組成物を投与することを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患に対する上記物質又は組成物の予防効果又は治療効果の評価方法であって、上記モデル動物は、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを上記モデル動物の皮膚に塗布することにより皮膚疾患が誘発されたモデル動物である、評価方法。
[4]角化亢進に由来する皮膚疾患モデル動物(ヒトを除く)に対して物質又は組成物を投与することを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患の予防効果又は治療効果を有する物質又は組成物のスクリーニング方法であって、上記モデル動物は、C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを上記モデル動物の皮膚に塗布することにより皮膚疾患が誘発されたモデル動物である、スクリーニング方法。
[5]上記皮膚疾患の予防効果又は治療効果を有する物質を含む組成物又は上記組成物が、薬剤、洗浄剤又は食品として用いるためのものである、[3]又は[4]に記載の方法。
[6]C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを動物(ヒトを除く)の皮膚に塗布することを含む、動物(ヒトを除く)におけるミエロイド系細胞の浸潤の誘導方法。
[7]上記C14~C18脂肪酸に含まれる炭素-炭素二重結合の数が0以上1以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[8]上記C14~C18脂肪酸が飽和脂肪酸である、[1]~[6]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[9]上記C14~C18脂肪酸がパルミチン酸である、[1]~[6]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[10]上記アルキルエステルがC1~C3アルキルエステルである、[1]~[9]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[11]上記アルキルエステルがイソプロピルエステル又はエチルエステルである、[1]~[9]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[12]上記アルキルエステルがエチルエステルである、[1]~[9]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[13]上記C14~C18脂肪酸がパルミチン酸であり、上記アルキルエステルがエチルエステルである、[1]~[6]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[14]上記C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルがパルミチン酸エチルである、[1]~[6]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[15]上記皮膚疾患が炎症性の皮膚疾患である、[1]~[5]及び[7]~[14]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[16]上記角化亢進に由来する皮膚疾患が尋常性ざ瘡である、[1]~[5]及び[7]~[15]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[17]上記尋常性ざ瘡における毛包の表皮に対して垂直方向の断面積が4700μm
2
以上である、[16]に記載のモデル動物又は方法。
[18]上記C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルが、2~9wt%の溶液として、1日あたり1回、5~50μLで1~4日間塗布される、[1]~[17]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[19]上記C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルが、3~8wt%のエタノール溶液として、1日あたり1回、10~30μLで2日間塗布される、[1]~[17]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[20]上記モデル動物がモデルマウスである、[1]~[5]及び[7]~[19]のいずれか一つに記載のモデル動物又は方法。
[21]上記角化亢進に由来する皮膚疾患が耳に形成される、[1]~[5]及び[7]~[20]に記載のモデル動物又は方法。
[22]上記モデル動物における上記C14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルの塗布箇所において、ミエロイド系細胞の浸潤が生じている、[1]~[21]に記載のモデル動物又は方法。
[23][3]~[22]のいずれか一つに記載の評価方法によって評価された、又は[4]~[22]のいずれか一つに記載のスクリーニング方法によって選別された、上記皮膚疾患の予防効果又は治療効果を有する物質を有効量含む、組成物。
[24]医薬組成物、外用組成物又は食品組成物である、[23]に記載の組成物。
[25]皮膚上のC14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルの総量を指標として、角化亢進に由来する皮膚疾患への将来的な罹患又はその症状悪化の可能性を判定又は評価する方法。
[26]皮膚上のC14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルの総量を指標とすることを含む、物質又は組成物の、角化亢進に由来する皮膚疾患の治療、改善、緩和又は予防作用の判定又は評価方法。
[27]皮膚上のC14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルの総量を指標とすることを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患の治療、改善、緩和又は予防用の物質又は組成物のスクリーニング方法。
[28]皮膚上のC14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを含む、角化亢進に由来する皮膚疾患の将来的な罹患や症状の悪化の原因物質のモデル組成物。
[29]皮膚上のC14~C18脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを含む組成物であって、角化亢進に由来する皮膚疾患の将来的な罹患や症状悪化の可能性を判定又は評価する指標として用いられる、角化亢進に由来する皮膚疾患の将来的な罹患や症状悪化の可能性の判定又は評価用指標剤。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、角化亢進に由来する皮膚疾患患者における皮膚疾患に近い状態の角化亢進に由来する皮膚疾患を発症したモデル動物、及びその作成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例1において、尋常性ざ瘡患者及び健常者から採取した皮脂中に含まれる各脂肪酸の含有量を示す図である。
実施例2において、モデルマウスから採取した組織を用いて作成したヘマトキシリン・エオジン染色切片の画像を示す図である。
実施例2において、モデルマウスにおける毛包の、表皮に対して垂直方向の断面積を測定した結果を示す図である。
実施例2において、マウスから採取した組織に含まれる、炎症マーカー(a)Il-1α(b)Il-1β(c)Tnf及び(d)Defb4を定量した結果を示す図である。
実施例2において、マウスから採取した組織に含まれる、炎症マーカー(a)Defb14(b)S100a8(c)S100a9及び(d)Tslpを定量した結果を示す図である。
実施例2において、マウスから採取した組織に含まれる、過角化マーカー(a)Krt16(b)Klk6及び(c)Krt17を定量した結果を示す図である。
実施例3において、モデルマウスから採取した組織を用いて作成したヘマトキシリン・エオジン染色切片の画像を示す図である。
実施例3において、モデルマウスにおける毛包の、表皮に対して垂直方向の断面積を測定した結果を示す図である。
実施例3において、マウスから採取した組織に含まれる、炎症マーカーCxcl2を定量した結果を示す図である。
実施例4において、モデルマウスから採取した組織を用いて作成したヘマトキシリン・エオジン染色切片の画像を示す図である。
実施例4において、マウスから採取した組織に含まれる、炎症マーカー(a)Cxcl2並びに過角化マーカー(b)Krt16及び(c)Klk6を定量した結果を示す図である。
実施例5において、パルミチン酸エチル又はステアリン酸エチルを塗布したマウスから採取した組織における、上昇が見られた遺伝子を示す図である。
実施例6において、パルミチン酸エチル又はステアリン酸エチルを塗布したマウスから採取した組織に含まれる細胞における、好中球及びマクロファージのマーカーの発現量を示す図である。
実施例6において、パルミチン酸エチル又はステアリン酸エチルを塗布したマウスから採取した組織における、好中球及びマクロファージの存在量を示す図である。
実施例7において、好中球、単球、マクロファージを分類したゲーティングの方法(左図)、及びパルミチン酸エチルの塗布直後、6時間後、12時間後、24時間後及び48時間(2回塗布)後におけるフローサイトメトリーの結果(右図)を示す図である。
実施例7において、CD45
+
細胞、マクロファージ、単球、好中球に分類された細胞の数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、「脂肪酸」との記載は、カルボキシ基を1個もつ鎖式化合物,すなわち鎖状モノカルボン酸を意味する。本開示において、「飽和脂肪酸」との記載は、分子内の炭素-炭素結合がすべて単結合である脂肪酸、すなわち鎖状飽和モノカルボン酸を意味する。本開示において、「不飽和脂肪酸」との記載は、飽和脂肪酸ではない脂肪酸、すなわち分子内に炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合を1つ以上有する脂肪酸を指す。
【0010】
本開示において、「脂肪酸名 [数値A]:[数値B]」又は「脂肪酸名([数値A]:[数値B])」との記載は、該脂肪酸に含まれる炭素数がAであること、及び、該脂肪酸に含まれる炭素-炭素二重結合の数がBであり、かつそれ以外の炭素-炭素結合は全て単結合であることを意味する。すなわち、例えば炭素数が16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸は、「パルミチン酸 16:0」及び「パルミチン酸(16:0)」と表すことができ、また炭素数が18で分子内に炭素-炭素二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、「オレイン酸 18:1」及び「オレイン酸(18:1)」と表すことができる。
(【0011】以降は省略されています)
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