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公開番号2024077757
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-10
出願番号2022189892
出願日2022-11-29
発明の名称変性ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンの製造方法
出願人株式会社三栄興業
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人,個人
主分類C08F 290/04 20060101AFI20240603BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ポリオレフィンの適用範囲を広げつつ、ポリオレフィンの分子量の低下と融点の低下が防止されることで耐熱性に優れた成形品を得ることができる、ポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィン及びポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィンの熱分解により得られた、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンと、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体と、の反応生成物であり、数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィン。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリオレフィンの熱分解により得られた、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンと、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体と、の反応生成物であり、数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィン。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記変性ポリオレフィンの側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されていない請求項1に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項3】
前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖の主鎖の末端のみが、前記ビニル系単量体で変性されている請求項2に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項4】
前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖である請求項2または3に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項5】
前記炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーが、エチレン、プロピレン及び/または1-ブテンである請求項4に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項6】
前記変性ポリオレフィンの側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されている請求項1に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項7】
前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖の主鎖の末端と側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されている請求項6に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項8】
前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖またはシクロオレフィンポリマーである請求項6または7に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項9】
前記炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーが、4-メチルペンテンである請求項8に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項10】
ポリオレフィンの熱分解により得られた、数平均分子量が3,000以上である、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンを用意する工程と、
用意された前記二重結合含有ポリオレフィンを有機溶媒中で処理することにより溶解して、二重結合含有ポリオレフィンの溶解物を得る工程と、
前記二重結合含有ポリオレフィンの溶解物に、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体の存在下、ラジカル開始剤を添加して、前記二重結合含有ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体で部分的に変性した、部分変性ポリオレフィンの溶解物を調製する、部分変性ポリオレフィン調製工程と、
調製された前記部分変性ポリオレフィンの溶解物に、さらに、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体を添加後、ラジカル開始剤をさらに添加して、前記部分変性ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体でさらに変性した、変性ポリオレフィンの溶解物を調製する、変性ポリオレフィン調製工程と、
を含む、
数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィンの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィン及びポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィンの製造方法に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン等のポリオレフィンは、耐油性、耐薬品性等に優れ、環境負荷も低減できるといった優れた特性を有している。このようなポリオレフィンの特性を利用して、ポリオレフィンには、ポリマー組成物に配合する添加剤等、種々の用途への適用が期待されている。
【0003】
一方で、ポリオレフィンは、非極性の高分子化合物であり、かつ官能基を導くことが困難であることから、極性基や官能基を有する高分子化合物との相互作用が乏しく、それらとの混合が困難であるので、適用範囲が限定されるという問題がある。ポリオレフィンの適用範囲を広げるために、例えば、ポリオレフィンに極性基や官能基を導入したり、極性モノマーなどと共重合したりする手法が試みられている。
【0004】
特許文献1では、プロピレン単独重合体やプロピレン系共重合体のグラフト共重合体が開示されている。末端不飽和基の数は一分子当たり0.5個~1.0個と少なく、プレポリマーとしての利用には不向きである。特許文献1では、末端不飽和基の数が一分子当たり1.0個を超えると分子間架橋を形成しゲルを生成するので好ましくない、としているが、実際には、非常に限られた条件下でしかゲルを生成しない。また、特許文献1では、重合体のプロピレンメソペンタッド分率が30モル%~80モル%と低く、市販のポリプロピレンとは相溶性がない。
【0005】
特許文献2では、低分子量ポリプロピレン系樹脂中の末端炭素-炭素二重結合に不飽和ジカルボン酸を付加させる方法が開示されている。特許文献2では、極性モノマーとして不飽和ジカルボン酸類のみが挙げられているが、不飽和ジカルボン酸のみでは単独重合しない。このため、低分子量ポリプロピレン系樹脂中への不飽和ジカルボン酸の導入量は1個~2個まで(カルボキシル基が2個~4個まで)なので、極性化が十分とはいえず、適用範囲が限定される。また、不飽和ジカルボン酸の付加反応時間が長く、不要な反応や着色を引き起こしやすい。
【0006】
また、特許文献3及び特許文献4では、ポリプロピレンとビニル単量体との反応を促進させるために、過酸化物を用いている。しかしながら、過酸化物によるラジカルはポリプロピレンの飽和結合から水素の引き抜きをすることから、不飽和結合以外での反応を促進する。その結果、ポリプロピレンの強度や融点の低下を引き起こす。また、ビニル単量体として多種多様な単量体を使用できるとしているが、ポリオレフィンへの付加効率が低い。その結果、不要な洗浄操作が増えて製造工程が煩雑になる。
【0007】
また、従来のビニル系単量体で変性されたポリオレフィンでは、ポリオレフィン分子鎖のランダムな位置にビニル系単量体が導入されることがあり、また、変性ポリオレフィンが低分子量であると、変性ポリオレフィンの融点が低下することで耐熱性が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開第2008/066168号
特開平6-107442号公報
特開2003-165872号公報
特開2003-40946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、ポリオレフィンの適用範囲を広げつつ、ポリオレフィンの分子量の低下と融点の低下が防止されることで耐熱性に優れた成形品を得ることができる、ポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィン及びポリオレフィン系共重合体である変性ポリオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1]ポリオレフィンの熱分解により得られた、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンと、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体と、の反応生成物であり、数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィン。
[2]前記変性ポリオレフィンの側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されていない[1]に記載の変性ポリオレフィン。
[3]前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖の主鎖の末端のみが、前記ビニル系単量体で変性されている[2]に記載の変性ポリオレフィン。
[4]前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖である[2]または[3]に記載の変性ポリオレフィン。
[5]前記炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーが、エチレン、プロピレン及び/または1-ブテンである[4]に記載の変性ポリオレフィン。
[6]前記変性ポリオレフィンの側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されている[1]に記載の変性ポリオレフィン。
[7]前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖の主鎖の末端と側鎖が、前記ビニル系単量体で変性されている[6]に記載の変性ポリオレフィン。
[8]前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖またはシクロオレフィンポリマーである[6]または[7]に記載の変性ポリオレフィン。
[9]前記炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーが、4-メチルペンテンである[8]に記載の変性ポリオレフィン。
[10]ポリオレフィンの熱分解により得られた、数平均分子量が3,000以上である、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンを用意する工程と、
用意された前記二重結合含有ポリオレフィンを有機溶媒中で処理することにより溶解して、二重結合含有ポリオレフィンの溶解物を得る工程と、
前記二重結合含有ポリオレフィンの溶解物に、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体の存在下、ラジカル開始剤を添加して、前記二重結合含有ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体で部分的に変性した、部分変性ポリオレフィンの溶解物を調製する、部分変性ポリオレフィン調製工程と、
調製された前記部分変性ポリオレフィンの溶解物に、さらに、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体を添加後、ラジカル開始剤をさらに添加して、前記部分変性ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体でさらに変性した、変性ポリオレフィンの溶解物を調製する、変性ポリオレフィン調製工程と、
を含む、
数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィンの製造方法。
[11]ポリオレフィンの熱分解により得られた、数平均分子量が3,000以上である、少なくともポリオレフィン鎖の主鎖の末端に二重結合を有する二重結合含有ポリオレフィンを用意する工程と、
用意された前記二重結合含有ポリオレフィンを、有機溶媒の不存在下、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体とラジカル開始剤を添加し、加熱処理により溶融して、二重結合含有ポリオレフィンの溶融物を得る工程と、
前記二重結合含有ポリオレフィンの溶融物に、さらに前記ラジカル開始剤を添加して、前記二重結合含有ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体で部分的に変性した、部分変性ポリオレフィンの溶融物を調製する、部分変性ポリオレフィン調製工程と、
調製された前記部分変性ポリオレフィンの溶融物に、さらに、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体を添加後、ラジカル開始剤をさらに添加して、前記部分変性ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体でさらに変性した、変性ポリオレフィンの溶融物を調製する、変性ポリオレフィン調製工程と、
を含む、
数平均分子量が3,000以上、前記ビニル系単量体の含量が10.0質量%以上80.0質量%以下である、変性ポリオレフィンの製造方法。
[12]前記部分変性ポリオレフィン調製工程と前記変性ポリオレフィン調製工程との間に、前記部分変性ポリオレフィンの溶解物に、さらに、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体を添加後、ラジカル開始剤をさらに添加して、前記部分変性ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体でさらに変性した、第2の部分変性ポリオレフィンの溶解物を調製する、第2の部分変性ポリオレフィン調製工程を、さらに含む[10]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[13]前記部分変性ポリオレフィン調製工程と前記変性ポリオレフィン調製工程との間に、前記部分変性ポリオレフィンの溶融物に、さらに、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群から選択された少なくとも1種のビニル系単量体を添加後、ラジカル開始剤をさらに添加して、前記部分変性ポリオレフィンを、前記ビニル系単量体と反応させて前記ビニル系単量体でさらに変性した、第2の部分変性ポリオレフィンの溶融物を調製する、第2の部分変性ポリオレフィン調製工程を、さらに含む[11]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[14]前記二重結合含有ポリオレフィンの側鎖が二重結合を有しておらず、前記側鎖を前記ビニル系単量体で変性しない[10]乃至[13]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[15]前記二重結合含有ポリオレフィンの主鎖の末端のみが二重結合を有しており、前記主鎖の末端のみを前記ビニル系単量体で変性する[14]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[16]前記二重結合含有ポリオレフィン及び前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖である[14]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[17]前記炭素数2~10の鎖状オレフィンのモノマーが、エチレン、プロピレン及び/または1-ブテンである[16]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[18]前記二重結合含有ポリオレフィンの側鎖が二重結合を有しており、前記側鎖を、前記ビニル系単量体で変性する[10]乃至[13]のいずれか1つに記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[19]前記二重結合含有ポリオレフィンの主鎖の末端と側鎖が二重結合を有しており、前記主鎖の末端と前記側鎖を前記ビニル系単量体で変性する[18]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[20]前記二重結合含有ポリオレフィン及び前記変性ポリオレフィンのポリオレフィン鎖が、炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーを構成単位とするポリオレフィン鎖またはシクロオレフィンポリマーである[18]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
[21]前記炭素数5~10の鎖状オレフィンのモノマーが、4-メチルペンテンである[20]に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
(【0011】以降は省略されています)

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