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公開番号2024075947
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-05
出願番号2022187232
出願日2022-11-24
発明の名称量子鍵配送システム及び量子鍵配送方法
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人谷・阿部特許事務所
主分類H04L 9/12 20060101AFI20240529BHJP(電気通信技術)
要約【課題】TF-QKDの量子鍵配送システムにおいて、伝搬位相の制御やデコイ法を用いることなく、耐盗聴性の高い秘密鍵配送を可能とする量子鍵配送装置を提供する。
【解決手段】
コヒーレントパルス光源21、パルス光をフレーム化して搬送波位相を設定するPM22、パルス光のデータ位相を設定するPM23、パルス光の平均光子数を1未満まで減衰させる光減衰器25を含むアリス20及びボブ30と、アリス20及びボブ30から光信号を入力する遅延マッハツェンダー干渉計、光子を検出する光子検出器16、17を含むチャーリー10とを備え、チャーリーが光子検出情報をアリス及びボブに通知し、アリス及びボブは、光子検出情報に基づいて鍵ビット列を生成し、鍵ビット列の一部をチャーリーと交換して不一致率を見積り、不一致率に基づいて、鍵ビット列に誤り訂正処理を施し、鍵ビット列をデータ圧縮する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
第1の光信号送受信装置と、
前記第1の光信号送受信装置を介して互いに通信する第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置を含み、前記第2の光信号送受信装置と前記第3の光信号送受信装置に共通鍵暗号通信のための秘密鍵を配送する量子鍵配送システムであって、
前記第2の光信号送受信装置と前記第3の光信号送受信装置は、
時間間隔が2Tの連続するパルス光を含むパルス列を生成するパルス列生成部と、
前記パルス光をNパルス毎にフレーム化し、各フレームにランダムな搬送波位相を設定する搬送波位相設定部と、
前記パルス光の各々に、0またはπのデータ位相を設定して位相変調する位相変調部と、
位相変調された前記パルス光の1つ当たりの平均光子数を1未満まで減衰させて光信号を生成する光減衰器と、を含み、
前記第1の光信号送受信装置は、
前記第2の光信号送受信装置から受信した光信号と、前記第3の光信号送受信装置から受信した光信号とを、前記フレームの時間位置が一致し、かつ、各前記パルス光の時間位置が半周期ずれた状態で入力する、遅延時間が前記時間間隔の半分のTである遅延マッハツェンダー干渉計と、
前記遅延マッハツェンダー干渉計の出力端において、前記パルス光に含まれる光子を前記位相変調部によって設定されたデータ位相毎に検出する複数の光子検出器と、
複数の前記光子検出器のうちの光子を検出した前記光子検出器と、当該光子検出器によって光子が検出された時刻を含む光子検出情報を前記第2の光信号送受信装置及び前記第3の光信号送受信装置に通知する光子検出情報通知部と、を含み、
前記第2の光信号送受信装置及び前記第3の光信号送受信装置は、
前記光子検出情報と、前記位相変調部によって設定されたデータ位相とに基づいて鍵ビット列を生成する鍵ビット列生成部と、
前記鍵ビット列の一部をテストビットとして互いに交換し、前記テストビットの不一致率を見積もると共に、前記不一致率の見積りに利用された前記テストビットを廃棄する不一致率見積り部と、
前記不一致率に基づいて、前記フレーム毎の前記鍵ビット列に、誤り訂正処理を施す誤り訂正部と、
前記不一致率に基づいて前記誤り訂正がされた前記鍵ビット列を、前記フレーム毎にデータ圧縮するデータ圧縮部と、を含む、
量子鍵配送システム。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
第1の光信号送受信装置と、当該第1の光信号送受信装置を介して互いに通信する第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置を含み、前記第2の光信号送受信装置と前記第3の光信号送受信装置に共通鍵暗号通信のための秘密鍵を配送する量子鍵配送システムにおいて行われる量子鍵配送方法であって、
前記第2の光信号送受信装置及び前記第3の光信号送受信装置において、時間間隔が2Tの連続するパルス光を含むパルス列を生成する工程と、前記パルス光をNパルス毎にフレーム化し、各フレームにランダムな搬送波位相を設定する工程と、前記パルス光の各々に、0またはπのデータ位相を設定して位相変調する工程と、位相変調された前記パルス光の1つ当たりの平均光子数を1未満まで減衰させて光信号を生成する工程と、
前記第1の光信号送受信装置において、前記第2の光信号送受信装置から受信した光信号と、前記第3の光信号送受信装置から受信した光信号とを、前記フレームの時間位置が一致し、かつ、各前記パルス光の時間位置が半周期ずれた状態で、遅延時間が前記時間間隔の半分のTである遅延マッハツェンダー干渉計に入力させる工程と、前記遅延マッハツェンダー干渉計の出力端において、前記パルス光に含まれる光子を設定されたデータ位相毎に複数の光子検出器によって検出する工程と、複数の前記光子検出器のうちの光子を検出した前記光子検出器と、当該光子検出器によって光子が検出された時刻を含む光子検出情報を前記第2の光信号送受信装置及び前記第3の光信号送受信装置に通知する工程と、
前記第2の光信号送受信装置及び前記第3の光信号送受信装置において、前記光子検出情報と、設定されたデータ位相とに基づいて鍵ビット列を生成する工程と、前記鍵ビット列の一部をテストビットとして互いに交換し、前記テストビットの不一致率を見積ると共に、前記不一致率の見積りに利用された前記テストビットを廃棄する工程と、前記不一致率に基づいて、前記フレーム毎の前記鍵ビット列に誤り訂正処理を施す工程と、前記不一致率に基づいて前記誤り訂正がされた前記鍵ビット列を前記フレーム毎にデータ圧縮する工程と、を含む、量子鍵配送方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの光信号送受信装置と、この光信号送受信装置の間を仲介する光信号送受信装置を含む量子鍵配送システム及び、この量子鍵配送システムで実施される量子鍵配送方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
量子力学の原理に基づいて、共通鍵暗号通信のための秘密鍵を離れた二者に安全に供給する量子鍵配送(Quantum Key Distribution、以下、「QKD」とも記す。)の研究開発が進められている。複数の方式があるQKDのうち、送受信装置間の長距離化が可能な振幅場対QKD(Twin Field QKD、以下、「TF-QKD」とも記す)は、例えば、非特許文献1に記載されている。
【0003】
非特許文献1に記載のシステムは、秘密鍵を共有するアリス及びボブと、アリスとボブの中間点に位置して秘密鍵共有の仲立ちをする第三者であるチャーリーを含む。このようなシステムにおいて、アリスとボブはそれぞれチャーリーへパルス光の信号を送信し、チャーリーは送信されてきた光信号を受信し、合波して光子を検出する。そして、この検出では合波するパルス光の位相差に応じて検出器で光子が検出され、検出した検出器と、アリスとボブが送信した光信号の位相に基づいて秘密鍵が生成される。このシステムでは、チャーリーを介して通信するシステムのアリスとボブの物理的距離は、光子の伝送距離の2倍とすることができる。これによって、非特許文献1に記載のシステムは、アリスとボブが直接光子を送受信するQKDシステムよりも通信の長距離化が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
M. Lucamarini, Z. L. Yuan, J. F. Dynes, and A. J. Shields, "Overcoming the rate-distance limit of quantum key distribution without quantum repeaters," Nature, vol. 557, pp. 400-403 (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の公知技術において、チャーリーは、アリスによって送信された光信号とボブによって送信された光信号とを、その位相差が保持された状態で合波する必要がある。このためには、アリス及び/またはボブ(以下、「アリス/ボブ」とも記す)からチャーリーまでの間を伝播する光信号の位相(以下、「伝搬位相」とも記す)をそれぞれ保持しなければならない。
【0006】
しかしながら、一般に伝送路として用いられる光ファイバは、温度等、周囲の環境により光学的距離が変動し、これに伴い伝搬位相が変動する。このため、非特許文献1に記載の構成の実装にあたっては、伝搬位相の変動を抑止するように制御する構成が必要である。伝搬位相が保持されるように制御する構成は、例えば、プローブ光を使って伝搬位相をモニタする等して実現することが可能である。ただし、伝搬位相のモニタには高度な技術が要求され、QKD装置の複雑化、高コスト化を招く。
【0007】
また、非特許文献1に記載の公知技術は、秘密鍵の秘匿性を保障すべく、光子数分岐攻撃対策としてデコイ法を用いている。デコイ法においては、アリス/ボブが光変調器によりパルスごとに平均光子数を無作為に変調している。また、アリス/ボブは、盗聴検知のため、検出光子数の統計的性質を解析するデータ処理を行っている。このような処理は、アリス/ボブとなる装置及びプロトコルを煩雑化する。また、デコイ法を用いる場合、秘密鍵生成効率が低くなるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、TF-QKDの量子鍵配送システムにおいて、伝搬位相の制御やデコイ法を用いることなく、耐盗聴性の高い秘密鍵配送を可能とする量子鍵配送装置及び量子鍵配送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一形態の量子鍵配送システムは、第1の光信号送受信装置と、第1の光信号送受信装置を介して互いに通信する第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置を含み、第2の光信号送受信装置と第3の光信号送受信装置に共通鍵暗号通信のための秘密鍵を配送する量子鍵配送システムであって、第2の光信号送受信装置と第3の光信号送受信装置は、時間間隔が2Tの連続するパルス光を含むパルス列を生成するパルス列生成部と、パルス光をNパルス毎にフレーム化し、各フレームにランダムな搬送波位相を設定する搬送波位相設定部と、パルス光の各々に、0またはπのデータ位相を設定して位相変調する位相変調部と、位相変調されたパルス光の1つ当たりの平均光子数を1未満まで減衰させて光信号を生成する光減衰器と、を含み、第1の光信号送受信装置は、第2の光信号送受信装置から受信した光信号と、第3の光信号送受信装置から受信した光信号とを、フレームの時間位置が一致し、かつ、各パルス光の時間位置が半周期ずれた状態で入力する、遅延時間が前記時間間隔の半分のTである遅延マッハツェンダー干渉計と、遅延マッハツェンダー干渉計の出力端において、パルス光に含まれる光子を位相変調部によって設定されたデータ位相毎に検出する複数の光子検出器と、複数の光子検出器のうちの光子を検出した光子検出器と、当該光子検出器によって光子が検出された時刻を含む光子検出情報を第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置に通知する光子検出情報通知部と、を含み、第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置は、光子検出情報と、位相変調部によって設定されたデータ位相とに基づいて鍵ビット列を生成する鍵ビット列生成部と、鍵ビット列の一部をテストビットとして互いに交換し、テストビットの不一致率を見積ると共に、不一致率の見積りに利用されたテストビットを廃棄する不一致率見積り部と、前記不一致率に基づいて、前記フレーム毎の前記鍵ビット列に、誤り訂正処理を施す誤り訂正部と、不一致率に基づいて、前記誤り訂正がされた鍵ビット列をフレーム毎にデータ圧縮するデータ圧縮部と、を含む。
【0010】
また、本発明の一形態の量子鍵配送方法は、第1の光信号送受信装置と、当該第1の光信号送受信装置を介して互いに通信する第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置を含み、第2の光信号送受信装置と第3の光信号送受信装置に共通鍵暗号通信のための秘密鍵を配送する量子鍵配送システムにおいて行われる量子鍵配送方法であって、第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置において、時間間隔が2Tの連続するパルス光を含むパルス列を生成する工程と、パルス光をNパルス毎にフレーム化し、各フレームにランダムな搬送波位相を設定する工程と、パルス光の各々に、0またはπのデータ位相を設定して位相変調する工程と、位相変調されたパルス光の1つ当たりの平均光子数を1未満まで減衰させて光信号を生成する工程と、第1の光信号送受信装置において、第2の光信号送受信装置から受信した光信号と、第3の光信号送受信装置から受信した光信号とを、フレームの時間位置が一致し、かつ、各パルス光の時間位置が半周期ずれた状態で、遅延時間が前記時間間隔の半分のTである遅延マッハツェンダー干渉計に入力させる工程と、遅延マッハツェンダー干渉計の出力端において、パルス光に含まれる光子を設定されたデータ位相毎に複数の光子検出器によって検出する工程と、複数の光子検出器のうちの光子を検出した光子検出器と、当該光子検出器によって光子が検出された時刻を含む光子検出情報を第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置に通知する工程と、第2の光信号送受信装置及び第3の光信号送受信装置において、光子検出情報と、設定されたデータ位相とに基づいて鍵ビット列を生成する工程と、鍵ビット列の一部をテストビットとして互いに交換し、テストビットの不一致率を見積ると共に、不一致率の見積りに利用されたテストビットを廃棄する工程と、不一致率に基づいて、フレーム毎の鍵ビット列に誤り訂正処理を施す工程と、不一致率に基づいて、フレーム毎に鍵ビット列をデータ圧縮する工程と、を含む。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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