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公開番号2024071119
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2022181890
出願日2022-11-14
発明の名称Al脱酸鋼の溶製方法
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人安田岡本弁理士法人
主分類C21C 7/06 20060101AFI20240517BHJP(鉄冶金)
要約【課題】高清浄度な溶鋼を、LF工程での処理時間を延長することなく効率的に溶製可能なAl脱酸鋼の溶製方法の提供。
【解決手段】転炉出鋼後にLF処理工程を行い、その後鋳造工程に送られる溶鋼について、LF処理工程後の合金元素が、C:0.04~0.20wt%、Si:0.01~0.15wt%、Mn:0.15~2.13wt%、Al:0.024~0.035wt%、残部:Feを含むものとされたAl脱酸鋼を溶製する方法であって、LF処理工程での取鍋内の不活性ガスに関し、(シールガス流量Q1+攪拌ガス流量Q2)/炉蓋内体積V≧0.26(/min)を満たすものとし、攪拌ガス流量Q2を溶鋼1ton当たり2.67(NL/(min・ton))以下とし、Alを溶鋼に添加する際2回目以降の累積のAl投入量を、溶鋼1tonあたり0.07(kg/ton)以下とし、LF処理工程でのAlの総投入量を所定の式を満たすものとする方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
転炉出鋼後にLF処理工程を行い、その後、下工程である鋳造工程に送られる溶鋼について、前記LF処理工程後の合金元素が以下に示すものとされたAl脱酸鋼を溶製する方法であって、
・C:0.04~0.20wt%
・Si:0.01~0.15wt%
・Mn:0.15~2.13wt%
・Al:0.024~0.035wt%
・残部:少なくともFeを含む
前記LF処理工程での取鍋内の不活性ガスに関し、
(炉蓋内へのシールガス流量Q1+溶鋼の攪拌に用いる攪拌ガス流量Q2)
/取鍋の炉蓋内における体積V ≧ 0.26(/min)
を満たすものとし、
前記不活性ガスによる前記攪拌ガス流量Q2を、溶鋼1ton当たり2.67(NL/(min・ton))以下とし、
Alを前記溶鋼に添加するに際して、2回目以降の累積のAl投入量を、溶鋼1tonあたり0.07(kg/ton)以下とし、
さらに、前記LF処理工程でのAlの総投入量を、式(1)を満たすものとする
ことを特徴とするAl脱酸鋼の溶製方法。
TIFF
2024071119000008.tif
21
170
ただし、
w
Al
:Al合金投入量(kg)
w
Fe
:溶鋼量(ton)
N
Al
:Al合金純分(-)
t:搬出の目標処理時間(分)
[%C]
ini
:処理前C濃度(wt%)
[%Al]
ini
:処理前Al濃度(wt%)
[%Al]
uplimit
:Al濃度の規格上限(wt%)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、LF工程において、効率的で且つ高清浄度なAl脱酸鋼を溶製する方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
高強度の部品を製造する際に用いられる鋼塊や鋼材は、高い耐疲労特性が要求される。そのため、疲労特性に大きな影響を及ぼす介在物の非常に少ない高清浄鋼(高清浄度鋼)であることが必要となる。高清浄鋼を製造する方法としては、転炉での一次精錬と、転炉から出鋼された溶鋼に対し二次精錬を行うことで、組成調整を実施している。高清浄鋼を製造する技術としては、例えば、特許文献1~5などに開示されているものがある。
【0003】
特許文献1は、不活性ガスや二酸化炭素ガスの使用量の増加を削減しながら、溶鋼への窒素吸収をさらに抑制することを目的としている。具体的には、溶鋼にCaO系フラックスを添加する工程1、取鍋の上方開口部を覆う取鍋蓋を設置し、溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより、取鍋蓋の内部への大気の侵入を抑制しながら溶鋼およびCaO系フラックスを攪拌するとともに、溶鋼に酸素ガスを上吹き供給しつつ、酸素ガスと溶鋼との反応により生成した酸化物をCaO系フラックスと混合してカバースラグを形成する工程2、および、酸素ガスの供給を停止し、溶鋼に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程3の順序で、Alを含有する溶鋼を処理して極低硫低窒素鋼を溶製する。工程2,3において取鍋蓋の内部に液体の水を供給することとされている。
【0004】
特許文献2は、特に取鍋の上縁部と取鍋蓋との間に隙間が発生して密閉性が低下した場合にあっても、吸窒抑制効果を十分に得ることを目的としている。具体的には、Alを含有する溶鋼に、大気圧下で、取鍋内溶鋼にCaO系フラックスを添加し、大気圧下で、取鍋開口部を覆い、酸素ガス上吹きランス挿入孔,溶鋼攪拌用のランス挿入孔,合金添加孔の少なくとも一つを備えた取鍋蓋を設置し、取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込んで、取鍋蓋の内側への大気の侵入を抑制しつつ溶鋼及びCaO系フラックスを攪拌するとともに、溶鋼に酸素ガスを上吹きしつつ生成した酸化物をCaO系フラックスと混合してカバースラグを形成した後に、酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込んで脱硫及び介在物除去を行って極低硫低窒素鋼を溶製する。酸素ガス上吹き時に不活性ガス又は二酸化炭素ガスを上吹き酸素ガスの周囲に随伴させて溶鋼に吹き付けることとされている。
【0005】
特許文献3は、Alキルド鋼溶製用の高Al
2
O
3
含有耐火物からなる取鍋を用いても、高い生産性で低Al鋼を溶製可能にすることを目的としている。具体的には、質量%で、C:0.03-1.2%、Si:0.03-0.8%、Mn:0.1-2.5%、P:0.01%以下、S:0.150%以下、sol.Al:0.005%以下、Ti:0.1%以下、Ca:0.0020%以下、O:0.0050%以下およびN:0.001-0.03%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる低Al鋼の溶製方法であって、取鍋がAl
2
O
3
を55質量%以上含有する耐火物からなり、前記取鍋の鋼浴部の面積A[m
2
]と前記取鍋に収容される溶鋼の体積V[m
3
]の比A/Vが2.5[m
2
/m
3
]以下を満足し、溶鋼の攪拌時の攪拌エネルギーKが0.3[MJ/t]以下を満足、または、溶鋼のガス攪拌および溶鋼の環流操作に伴う攪拌動力密度ε
L
が130[W/t]以下を満足するものとされている。
【0006】
特許文献4は、溶鋼の精錬方法において、低融点介在物を起因とする連続鋳造時のノズル詰まりや、圧延鋼板での表面欠陥を防止することを目的としている。具体的には、取鍋中の溶鋼を大気圧雰囲気においてArガス攪拌を行いつつ精錬する簡易取鍋精錬法を用いて、Al脱酸またはAl-Si脱酸した溶鋼中に希土類元素(REM)を添加し、溶鋼に供給するREM添加量は溶鋼質量に対して5~20ppmの範囲内であり、REM添加時期は簡易取鍋精錬法での最終成分調整後であって、かつ添加から処理終了までの時間が均一混合時間以下の時期に行い、介在物組成を質量比で、CaO%=1~25%、Al



%=8~95%、REM酸化物%=3~90%とすることにより、形成される介在物を高融点化して無害化することとされている。
【0007】
特許文献5は、取鍋精錬によって鋼中のアルミナ系介在物を経済的に効率よく無害化処
理することを目的としている。具体的には、取鍋内の溶鋼を、湯面上のスラグと共に攪拌して処理する際に、アーク加熱とガス攪拌を併用し、該溶鋼中のAl濃度が0.005質量%以上の状態で、スラグ中の(MgO)濃度と溶鋼攪拌時間が下記式(1)の関係を満たす条件で処理することとされている。
【0008】
y≧-0.11×x+8……(1)
式(1)中、yは処理終了時の取鍋内スラグ中の(MgO)濃度(質量%)、xは攪拌時間(分)を表わす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2018-016843号公報
特開2014-148737号公報
特開2012-172218号公報
特開2010-236030号公報
特開2003-286515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さて、LF(Ladle Furnace)工程において、スラグ中に多くの低級酸化物(T.Fe+MnO)が含有されていると、溶鋼の搬出~鋳造工程の間において低級酸化物と溶鋼中のAlが反応し、Al
2
O
3
が生成される。その結果、溶鋼の清浄度が悪化した状態で鋳造工程に移される。そのため、溶鋼を搬出する段階で、低級酸化物を低減する必要がある。
(【0011】以降は省略されています)

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