発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカー及びその利用に関する。 続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】 【0002】 トマトはわが国で1番の生産量を誇る果菜類であり、世界的にも最も消費されている野菜である。生食用をはじめ様々な加工用途があるトマトは、消費形態に合わせた種々のトマト品種が発表されている。特に生食用のトマトが主体である日本では、糖度が非常に重視されており、世界的に見ても高い果実糖含量の品種が作出され利用されている。 【0003】 高果実糖含量のトマト品種の育成は、従来、得られた全トマト株を栽培して、収穫した果実の糖含量又は食味を指標として甘味の強い高糖含有の個体を選抜することにより行われている。個体の選抜においては、収穫した果実の一部においてBrix計、HPLC等により成分分析することにより有望系統が選抜する(非特許文献1)。 【0004】 世界的に高品質トマトへの要望は高まっており、トマトの果実中の糖含量に関する研究から、これまでに複数の遺伝子・遺伝子座が栽培品種と野生種間を比較することで見いだされてきた(非特許文献2)。また、近年はゲノムワイド連関解析やゲノミックセレクションを用いて品種間で糖含量制御遺伝子の探索も行われている(非特許文献2)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0005】 渡邉香、山田文典、祖父江順ら、“トマト新系統「群馬交2号」の育成”、群馬県農業技術センター研究報告、第14号(2017):15~22 Carmen Capel et al. “Wide - genome QTL mapping of fruit quality traits in a tomato RIL population derived from the wild - relative species Solanum pimpinellifolium L.”, Theor. Appl. Genet. 128, 2019-2035 (2015) Elise Albert et al. “Association mapping reveals the genetic architecture of tomato response to water deficit: focus on major fruit quality traits”, J. Exp. Bot. 67, 6413-6430 (2016) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 非特許文献1に記載された成分分析や食味試験による個体の選抜においては、全ての苗について果実を収穫するまで生育させる必要があり、時間がかかると共に膨大なコストがかかる。非特許文献2及び3に記載された果実中の糖含量を制御する遺伝子を利用した実用的な選抜技術はこれまでに開発されていない。そのため、育苗時点で高果実糖含量の個体の選抜が可能な技術の開発が求められている。 【0007】 本発明の一態様は、ナス科植物を果実中の糖含量に基づき判定する技術を実現することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の一態様に係る方法は、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法であって、ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する工程を含み、前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド: (i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド; (ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド; (iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド; からなるポリヌクレオチドである。 【0009】 本発明の一態様に係る製造方法は、果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する製造方法であって、育種により得られたナス科植物又はその後代系統のナス科植物から、本発明の一態様に係る方法によって、果実中の糖含量が多いナス科植物を判別する工程を包含する。 【0010】 本発明の一態様に係る分子マーカーは、ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカーであって、上記(i)から(iii)のいずれかのポリヌクレオチドからなる、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーである。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する