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公開番号2024064959
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-14
出願番号2023079380
出願日2023-05-12
発明の名称蛍光検出の補正方法
出願人積水メディカル株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類C12Q 1/686 20180101AFI20240507BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、蛍光を吸収(消光)する物質等、蛍光シグナルを低下させる成分を含む検体中の標的核酸をリアルタイムPCRにより定量する方法において、標的核酸を正確に定量する方法の提供を課題とする。
【解決手段】試料中の標的核酸をリアルタイムPCRにより定量する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする前記方法を提供する。
(1)試料とプライマーを混合する工程
(2)試料中の標的核酸をPCRにより増幅する工程
(3)標的核酸の増幅産物を蛍光を利用して測定する工程
(4)(3)の工程で測定された各増幅サイクルの蛍光シグナルをベースラインの蛍光シグナルを用いて補正する工程
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
試料中の標的核酸をリアルタイムPCRにより定量する方法であって、以下の工程を含む
ことを特徴とする前記方法;
(1)試料及び標準品のそれぞれとプライマーを混合する工程
(2)試料及び標準品中の標的核酸をそれぞれPCRにより増幅する工程
(3)標的核酸の増幅産物を蛍光を利用して測定する工程
(4)(3)の工程で測定された試料及び標準品の各増幅サイクルの蛍光シグナルを、各々のベースラインの蛍光シグナルで除算した値を、それぞれ試料及び標準品の各増幅サイクルの補正された蛍光シグナルとして用いて試料中の標的核酸を定量する工程
ここで、前記標準品は、標的核酸の配列を含む人工核酸を含み、蛍光シグナルを低下させる成分を含まないものであり、
各増幅サイクルの蛍光シグナルの値は、1~20サイクル中の3点以上の蛍光シグナルの近似曲線により補正された値である。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
試料が、生物試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物試料が、血液、血清、血漿、尿、唾液又は髄液である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
生物試料が、蛍光シグナルを低下させる成分を含むものである請求項2に記載の方法。
【請求項5】
蛍光シグナルを低下させる成分が、ヘモグロビンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
生物試料が、乾燥ろ紙血である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
標的核酸を抽出する工程を含まない請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ベースラインの蛍光シグナルが、1~20サイクル中の1点又は2点以上の平均値である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各増幅サイクルの蛍光シグナル及びベースラインの蛍光シグナルが、生データであるか又は暫定対ベースライン相対値である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
除算するベースラインの蛍光シグナルが、ベースライン生データの蛍光シグナルを増減させる処理により得られる蛍光シグナルであって、
前記増減させる処理が、標準品の増幅反応に伴う蛍光シグナルの増加分/標準品のベースライン蛍光シグナルの比と、試料の増幅反応に伴う蛍光シグナルの増加分/試料のベースライン蛍光シグナルの比を近似させるためのものである請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光物質の発する蛍光シグナルを低下させる成分を含む試料中の標的核酸を、リアルタイムPCRにより定量する方法において、リアルタイムPCRにおける標的核酸の増幅産物を蛍光を利用して測定する工程と、増幅曲線の蛍光シグナルを低下させる成分の影響を補正する工程を組み合わせることで、標的核酸を正確に定量する方法を提供する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
リアルタイムPCR法とは、PCR工程に付して増幅させた標的核酸の増幅量を、標的核酸の増幅に伴い増加するインターカレーターや蛍光標識プローブ等に由来する蛍光をリアルタイムでモニターして測定する方法である。当該方法において、段階希釈した既知量(初期量)のDNAをスタンダードとしてリアルタイムPCRを行い、これをもとに、核酸の増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(Thresholdcycle;Ct値)を横軸(X軸)、初期量を縦軸(Y軸)にして検量線を作成し、同じ条件で測定した試料のCt値から、試料中の標的核酸の初期量(初期濃度)を算出することができる。これらは定量的リアルタイムPCR法とも呼ばれている。
【0003】
当該定量的リアルタイムPCR法は、様々な場面で使用されているが、試料中の標的核酸は、各種試料より抽出・精製された後に、リアルタイムPCRに付されることが一般的である。各種試料からの核酸抽出・精製は、市販のキットによって実施可能であるが、測定試料が多数の場合には、核酸の抽出・精製操作が煩雑で時間が掛かる上に、試料が少量の場合には、標的核酸の抽出・精製効率(回収率)が低くなることがあるので慎重な操作等が必要となる。従って、試料中の標的核酸を抽出・精製せずに直接、リアルタイムPCR法に付して測定に要する時間を短縮できる方法や、標的核酸の回収率を低下させない方法が望まれている。
【0004】
多数の試料を測定する必要がある試験の1つとして、近年注目されている新生児スクリーニング検査の拡大項目としての遺伝子検査が挙げられる。具体的には、原発性免疫不全症の指標として環状DNA断片であるTREC(T-cellreceptor excision circles)及びKREC(Kappa-deleting reconbination excision circles)の測定、さらに、脊髄性筋委縮症に対する治療薬の開発を受けて、その原因遺伝子であるSMN1(Survival Motor Neuron1)のホモ欠失の測定が、新生児スクリーニング検査の拡大項目として普及が進んでいる。これらの検査は、基本的に出生数と同じ検査数となり、さらに生後1ヶ月の健康診断時に検査結果が報告されるので、迅速で簡便な測定方法が要求される。新生児は採血に困難が伴うため、検査用の試料として、血液をスポット状に含ませた直径1cm足らずの乾燥ろ紙血が適用されることが特徴であるが、検査の際には、当該乾燥ろ紙血から直径1.0mm~3.2mmのパンチ片を取り出し、PCR工程における測定阻害成分を除去する為に、そこから標的核酸を抽出・精製した後、リアルタイムPCR法に付されている。
【0005】
試料として血液などの生物試料を使用するが、標的核酸の抽出・精製などの前処理を行わない場合、又は、抽出・精製が十分でない場合には、試料中に含まれる成分によってPCR反応が阻害されることがある。当該PCR反応を阻害する成分(物質)として、胆汁、カルシウムイオン、鉄イオン、キレート剤、ヘパリン、ラクトフェリンやヘモグロビンなどが報告されている(非特許文献1)。
【0006】
試料中の標的核酸以外の成分の共存下で行うリアルタイムPCR法における測定反応の阻害に関しては、2つの機序が想定される。1つは、試料中の標的核酸以外の成分がポリメラーゼ等に作用してPCR工程(標的核酸の増幅工程)を阻害する機序であり、もう一つは、PCRによる増幅自体は行われ標的核酸は増幅しているが、試料中の標的核酸以外の成分により、蛍光物質が発する蛍光が吸収され(消光する)ことにより蛍光シグナル(測定される蛍光強度)が低下し、見かけ上PCR工程が阻害される機序である。
【0007】
特許文献1には、PCR工程を阻害する場合において、検体中の夾雑物によるPCR反応阻害物質の影響を低減する試薬が記載されている。当該試薬は商業利用もされている(株式会社島津製作所:Ampdirect(登録商標))。この試薬を使用すると、ろ紙血切片から直接PCR反応を行うことが可能であることが、その増幅産物を電気泳動で検出することにより確認されている。
【0008】
特許文献2には、試料(検体)尿を塗布したろ紙を洗浄液で洗浄後に、PCR工程に付すことにより試料由来の夾雑物質の影響を低減した上で、標的DNAの抽出・精製を省略するリアルタイムPCR法が記載されている。しかしながら、当該方法は「全血以外の体液検体(特に尿)に適用する」ものであることが記載されている。
【0009】
特許文献3には、大便溶出試料中のゲノムDNAをリアルタイムPCRで測定する際、特定のイオン性液体の存在下で増幅反応を行うことにより、共存する試料由来の核酸増幅阻害剤による影響を低減させ、標的核酸の増幅効率を改善する方法が記載されている。当該特許文献3では、核酸増幅阻害剤について、「核酸増幅を阻害するか、または増幅された核酸の検出を阻害する(例えば、標的の増幅が起きたにもかかわらず増幅信号が表われないか、信号の強度が減少する)作用のある物質をいう。」と記載しているものの、実施例は、核酸増幅効率の改善に係るもののみであり、標的核酸の増幅に問題はないものの、測定される蛍光信号が低下する場合についての記載はない。
【0010】
以上のように、リアルタイムPCR工程において増幅産物の量に比例して発生する蛍光が夾雑物によって吸収(消光)される場合においての効果的な解決方法は報告されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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