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公開番号
2024064177
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-14
出願番号
2022172574
出願日
2022-10-27
発明の名称
スパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法
出願人
戸田建設株式会社
代理人
個人
主分類
B63B
75/00 20200101AFI20240507BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約
【課題】スパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法であって、コンクリートリングの補強を行うことなく、コンクリートリングのクラック発生や破損を防止する。
【解決手段】浮体グリッパー機構34及びクレーン33を備えた2基のジャッキアップ型作業構台30、30を設置する第1ステップと、最下段側から複数段のコンクリートリング15を組み立てたコンクリートリングユニット11を海上に浮かべ、浮体グリッパー機構34によって保持させる第2ステップと、コンクリートリングユニット11の上側に、クレーン33を用いて、順にコンクリートリング15を積み上げるとともに、PC鋼材19で緊結して一体化を図る手順によりコンクリート製浮体部4Aを完成させる第3ステップと、クレーン33を用いて、鋼製浮体部4Bをコンクリート製浮体部4Aの上部側に連結して浮体4を完成させる第4ステップとからなる。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
コンクリートリングを複数段積み上げ、各コンクリートリングをPC鋼材により緊結し一体化を図ったコンクリート製浮体部と、複数の鋼製リングを溶接によって連結し、前記コンクリート製浮体部の上側に連設された鋼製浮体部とからなるスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法であって、
クレーンを備えた1又は2基のジャッキアップ型作業構台を浮体建造を行う洋上場所に設置するとともに、前記ジャッキアップ型作業構台に建造中の浮体を保持するための浮体グリッパー機構を設ける第1ステップと、
最下段側から複数段のコンクリートリングを組み立てたコンクリートリングユニットを海上に浮かべ、前記浮体グリッパー機構によって保持させる第2ステップと、
前記コンクリートリングユニットの上側に、前記ジャッキアップ型作業構台のクレーンを用いて、順にコンクリートリングを積み上げるとともに、PC鋼材で緊結して一体化を図る手順によりコンクリート製浮体部を完成させる第3ステップと、
前記ジャッキアップ型作業構台のクレーンを用いて、鋼製浮体部を前記コンクリート製浮体部の上部側に連結して浮体を完成させる第4ステップとからなることを特徴とするスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法。
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【請求項2】
コンクリートリングを複数段積み上げ、各コンクリートリングをPC鋼材により緊結し一体化を図ったコンクリート製浮体部からなるスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法であって、
クレーンを備えた1又は2基のジャッキアップ型作業構台を浮体建造を行う洋上場所に設置するとともに、前記ジャッキアップ型作業構台に建造中の浮体を保持するための浮体グリッパー機構を設ける第1ステップと、
最下段側から複数段のコンクリートリングを組み立てたコンクリートリングユニットを海上に浮かべ、前記浮体グリッパー機構によって保持させる第2ステップと、
前記コンクリートリングユニットの上側に、前記ジャッキアップ型作業構台のクレーンを用いて、順にコンクリートリングを積み上げるとともに、PC鋼材で緊結して一体化を図る手順により浮体を完成させる第3ステップとからなることを特徴とするスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法。
【請求項3】
各ステップの任意の時期に、浮体内にバラストを投入又は排出して吃水調整を行う請求項1、2いずれかに記載のスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法。
【請求項4】
前記浮体グリッパ機構は、前記ジャッキアップ型作業構台が1基の場合は、単独で浮体を保持できる浮体グリッパ構造とし、前記ジャッキアップ型作業構台が2基の場合は、それぞれのジャッキアップ型作業構台に分割型浮体グリッパが設けられ、これら一対の分割型浮体グリッパで正規の浮体グリッパ機構を構成する請求項1、2いずれかに記載のスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法。
【請求項5】
前記浮体建造を行う洋上場所として、浮体を浮かばせ得る水深以上の静穏域を選定する請求項1、2いずれかに記載のスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートリングを高さ方法に複数段積み上げ、各コンクリートリングをPC鋼材により緊結し一体化を図ったコンクリート製浮体部と、複数の鋼製リングを溶接によって連結するとともに、前記コンクリート製浮体部の上側に連設された鋼製浮体部とからなるスパー型浮体を備えた洋上風力発電設備の浮体建造方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
従来より、主として水力、火力及び原子力発電等の発電方式が採用されてきたが、近年は環境や自然エネルギーの有効活用の点から自然風を利用して発電を行う風力発電が注目されている。この風力発電設備には、陸上設置式と、水上(主として海上)設置式とがあるが、沿岸域から後背に山岳地形をかかえる我が国の場合は、沿岸域に安定した風が見込める平野が少ない状況にある。一方、日本は四方を海で囲まれており、海上には発電に適した風が容易に得られるとともに、設置の制約が少ないなどの利点を有する。そのため近年は、各種形式の洋上風力発電設備及び浮体構造が多く提案されている。
【0003】
前記浮体構造としては、浮体を水面に浮かばせるポンツーン型浮体、浮体を水面下に沈めた状態で浮かばせるセミサブ型、釣り浮きのように起立状態で浮かばせるスパー型とに大別される。
【0004】
本出願人は、前記スパー型浮体に関して、下記特許文献1において、浮体と、係留索と、タワーと、タワーの頂部に設備されるナセル及び複数の風車ブレードとからなる洋上風力発電設備であって、前記浮体は、コンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げ、各プレキャスト筒状体をPC鋼材により緊結し一体化を図った下側コンクリート製浮体構造部(以下、コンクリート製浮体部という。)と、この下側コンクリート浮体構造部の上側に連設された上側鋼製浮体構造部(以下、鋼製浮体部という。)とからなるスパー型の浮体構造とした洋上風力発電設備(以下、ハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電設備という。)を提案した。
【0005】
そして、2016年に長崎県五島市崎山沖で、全長172m、総重量3400トン、発電規模が2メガワットのハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電設備の実用化を開始した。
【0006】
ところで、前記ハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電設備の浮体の建造方法としては、図18に示されるように、造船所において、前記鋼製浮体部を所定重量毎に分割した各鋼製リングの製作を行った後、これら各鋼製リングを溶接によって連結し鋼製浮体部を完成させる。そして、この鋼製浮体部を台船に積み込み、現地製作ヤードまで台船輸送したならば、1300tクラスの大型起重機船を使って岸壁に水切り(陸揚げ)を行うようにし、一方コンクリート製浮体部は、コンクリートメーカーの工場において、1リングをトラック輸送の便宜から周方向に複数に分割した状態で製作し、これら分割リングを現地製作ヤードにトラックで現地製作ヤードまで運び、ここで周方向に結合したならば、さらに各リングをPC鋼材を用いて長手方向に連結してコンクリート製浮体部を完成させるようにし、最後に、前記鋼製浮体部とコンクリート浮体部とを1300tクラスの大型起重機船を使って結合し、浮体を完成させるようにしていた。
【0007】
本出願人は、更にその後に、前記スパー型の浮体を効率的に建造するための方法として、下記特許文献2に示される方法を提案した。
【0008】
具体的には、図19に示されるように、現地製作ヤードに、鋼製リング連結ヤードAと、コンクリートリング製作ヤードBと、コンクリートリング連結ヤードCとを画成して設け、
前記鋼製リング連結ヤードAに第1橋形クレーン50を一定方向に走行自在に設けるとともに、第1橋形クレーン走行方向に適宜の間隔で回転機能付架台52、52…を設置し、かつ第1橋形クレーン走行方向に移動可能な移動式テント56を設け、前記コンクリートリング製作ヤードBに移動式テント57を設けるとともに、コンクリートリングの製造設備一式を設備し、前記コンクリートリング連結ヤードCに第2橋形クレーン55を一定方向に走行自在に設けるとともに、第2橋形クレーン走行方向に移動可能な移動式テント58を設け、
鋼製リング51、51…を、前記第1橋形クレーンを用い順に前記回転機能付架台52、52…上に設置するとともに、必要に応じて移動式テント56で周囲を覆った状態とし、鋼製リング51、51…を軸芯回りに回転させながら周方向に溶接を行って連結し、鋼製浮体部53Bを完成させる第1工程と、
前記鋼製浮体部53Bを前記コンクリートリング連結ヤードCに移動し所定位置に設置したならば、前記コンクリートリング製作ヤードBで製作されたコンクリートリング54を順にコンクリートリング連結ヤードCに運び、必要に応じて移動式テント58で周囲を覆った状態とし、前記第2橋形クレーン55を用いコンクリートリング54を前記鋼製浮体部53Bに連設するとともに、PC鋼材により緊結し一体化を図ることにより前記浮体53を完成させる第2工程とからなる浮体式洋上風力発電設備の浮体建造方法を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第5274329号公報
特開2018-173011号公報
特許第6108445号公報
特開2022-33554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したスパー型浮体の建造方法の場合は、いずれもコンクリート製浮体部を横置きの状態で、コンクリートリングを順に連結して浮体を建造するものであるが、コンクリートの自重によりコンクリートリングにクラックが入り易いという問題があるとともに、組立作業や運搬作業、浮体の建て起こしの際にコンクリートリングに過大な荷重が作用してクラック(亀裂)が入ることがあるなどの問題があった。この問題に対処するために、上記特許文献3では、それぞれのプレキャスト筒状体(コンクリートリング)の外周面に、緊張力が導入されたアウターケーブルを周方向に沿って巻回することでコンクリートリングを補強することが提案されている。また、前記特許文献4では、図20に示されるように、円筒形プレキャストコンクリート部材60(コンクリートリング)の内側において、内接する正多角形状線に沿って緊張ケーブル61、61…を張設することにより補強することが提案されている。
(【0011】以降は省略されています)
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