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公開番号2024062577
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-10
出願番号2022170496
出願日2022-10-25
発明の名称油中水滴型エマルジョン紙力増強剤
出願人ハイモ株式会社
代理人
主分類D21H 21/18 20060101AFI20240501BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】
抄紙工程における成紙に紙力を付与する紙力増強剤に関するものであり、紙力増強方法を提供することを課題とする。従来の水溶液形態の紙力増強剤は、製造時、使用時のハンドリング性確保の観点から高濃度化が困難であった。高い紙力効果を維持しつつ、取り扱い容易で物流コスト削減が可能な紙力増強剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
特定の単量体組成を含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤存在下、油中水滴型エマルジョン重合して得られる水溶性高分子を紙力増強剤として添加することで課題を達成できる。従来品と比較しハンドリング性改善、高濃度化、高分散性で優れた溶解性により簡易溶解も可能である。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1)で表される三級アミノ基含有カチオン性単量体1~20モル%、四級アミノ基含有カチオン性単量体0~8モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0.1~10モル%及び非イオン性単量体62~98.9モル%を含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤存在下、油中水滴型エマルジョン重合して製造した水溶性高分子の油中水滴型エマルジョンからなることを特徴とする紙力増強剤。
JPEG
2024062577000008.jpg
27
71
一般式(1)


は水素又はメチル基、R

、R

は炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、R

は水素、炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X


は陰イオンをそれぞれ表わす。
TIFF
2024062577000009.tif
27
71
一般式(2)


は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO


、CH

SO


、C



SO


、CONHC(CH



CH

SO


、C



COO

あるいはCOO

、R

は水素またはCOO




、Y

あるいはY

は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
続きを表示(約 350 文字)【請求項2】
前記単量体混合物の重合時濃度が、油中水滴型エマルジョン液量に対し25~50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の紙力増強剤。
【請求項3】
前記油中水滴型エマルジョンの25℃で測定した製品粘度が1500mPa・s以下であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の紙力増強剤。
【請求項4】
前記水溶性高分子の25℃で測定した1規定食塩水溶液中の固有粘度2~20dL/gであることを特徴とする請求項1に記載の紙力増強剤。
【請求項5】
請求項1あるいは2に記載の油中水滴型エマルジョンと水とを混合する手段を配管途中に連結し連続溶解した油中水滴型エマルジョンの希釈液を抄紙前の製紙原料中に添加することを特徴とする紙力増強方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙工程において使用する紙力増強剤及びそれを用いた紙力増強方法に関するものであり、詳しくは特定の単量体を必須成分として含有する単量体(混合物)を、特定の重合法により製造された水溶性高分子からなる紙力増強剤及びその使用方法に関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
紙に強度を付与する紙力増強剤に関する研究は旧来より盛んに行われてきた。アクリルアミドを主成分とし、カチオン単量体、アニオン単量体、架橋性単量体等を共重合した両性PAM(ポリアクリルアミド)の技術は、公知技術として広範に活用されている。
両性PAMの紙力発現には、重合体中アミド基等の官能基とセルロース中水酸基間の水素結合の形成と、数100万台の高分子量化が必要と認識されている。高分子量化は紙力増強効果を高めるが、同時に製品粘度も向上することが、障壁となる。
現在市場における主流な紙力増強剤の製品形態は水溶液状である。ポリマー濃度(製品濃度)は15~20質量%なものが多く、B型粘度計測定による製品粘度は数千~数万mPa・sの高粘度を示す。この様な高粘度では製品移送時に高圧ポンプが必要になる他、紙料への製品添加時に希釈水への分散性が低下する等、取り扱い困難である。高分子量化による更なる紙力向上や、物流コスト削減目的の高濃度化も、水溶液形態では達成し難い。
一方、界面活性剤存在下、油中水滴型エマルジョン重合を用いると、分散性に優れた高濃度、低製品粘度の高分子分散液を得られることは知られている(特許文献1)。又、紙力増強剤の製造に関して、一般的な重合法の例として乳化重合の記載があるものはあるが、実際に油中水滴型エマルジョンの紙力増強剤として具体的に報告された例は見当たらない(特許文献2~5)。
界面活性剤存在下、油中水滴型エマルジョン重合を行う場合、界面活性剤や乳化手段の選定、適切な装置の準備等、目的とする製品を得るには特殊な装置が必要となる。特に工業的な製造を行う場合、特殊な装置を所有しない場合は実質上製造できない。そこで、実用的な油中水滴型エマルジョンの紙力増強剤の開発が要望されている。
【0003】
特開2003-342305号公報
特開2003-166193号公報
特開2008ー297655号公報
特表2011-525572号公報
特表2019-518848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、抄紙工程において紙に強度を付与する紙力増強剤に関するものであり、従来の紙力増強剤に比べて数100万の分子量に到達しても高濃度製品形態にすることが可能、かつ紙力増強効果が高く取り扱いも容易で、高い分散性と溶解性を有する紙力増強剤及びそれを用いた紙力増強方法も提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、下記のような発明に達した。特定の単量体混合物水溶液を、界面活性剤存在下、油中水滴型エマルジョン重合して製造した水溶性高分子の油中水滴型エマルジョンを紙力増強剤として適用することで前記課題を解決できることを見出したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明における油中水滴型エマルジョン形態の製品は、高濃度でありながら製品粘度が低く、且つ分散性に優れる。紙力効果向上に必要な高分子量化が可能なだけでなく、物流コスト削減が達成できる。優れた分散性と溶解性を有するため、通常高濃度エマルジョン製品の溶解には溶解設備が一~複数個必要となるが、本発明品は簡易な溶解設備でも使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における水溶性高分子としては、下記一般式(1)で表される三級アミノ基含有カチオン性単量体1~20モル%、四級アミノ基含有カチオン性単量体0~8モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0.1~10モル%及び非イオン性単量体62~98.9モル%を構成単位とする。
JPEG
2024062577000001.jpg
27
71
一般式(1)


は水素又はメチル基、R

、R

は炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、R

は水素、炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X


は陰イオンをそれぞれ表わす。
TIFF
2024062577000002.tif
27
71
一般式(2)


は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO


、CH

SO


、C



SO


、CONHC(CH



CH

SO


、C



COO

あるいはCOO

、R

は水素またはCOO




、Y

あるいはY

は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
【0008】
一般式(1)で表わされるカチオン性単量体の三級アミノ基含有として、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
一般式(1)で表されるカチオン性単量体の四級アミノ基含有カチオン性単量体として、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。一般式(1)で表わされる三級アミノ基含有カチオン性単量体3~18モル%、四級アミノ基含有カチオン性単量体0~5モル%含有することが好ましい。
一般式(2)で表されるアニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、イタコン酸あるいはこれらの塩等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。一般式(2)で表されるアニオン性単量体0.5~8モル%含有することが好ましい。
又、一般式(1)で表わされるカチオン性単量体のモル%をC、一般式(2)で表わされるアニオン性単量体のモル%をAとした時のC/A比が1.5~2.5の範囲が好ましく、1.7~2.3が特に好ましい。
【0009】
本発明で使用する非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらの中で(メタ)アクリルアミドが好ましい。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
【0010】
本発明における水溶性高分子は油中水滴型エマルジョン重合により製造することができる。即ち、カチオン性単量体、アニオン性単量体、及び非イオン性単量体から選択される単量体を含有する単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水滴型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水滴型エマルジョンを形成させた後、重合する。又、単量体混合物を分割して連続的あるいは間歇的に添加し重合し製造しても良い。
(【0011】以降は省略されています)

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