TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024057729
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2022164582
出願日2022-10-13
発明の名称慣性質量ダンパー
出願人清水建設株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類F16F 15/02 20060101AFI20240418BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】駆動スペースを削減することができるコンパクトな慣性質量ダンパーを提供する。
【解決手段】制振対象物18に固定されたラック20の並進方向の動きをピニオン22の回転方向の動きに変換するラック&ピニオン10と、前記ピニオン22と同軸に配置された歯車12と、前記ピニオン22の回転方向の付勢力を確保するために、前記ピニオン22と前記歯車12の間に設置された付勢部材14と、前記歯車12に噛み合わされるとともに回転軸32に固定された駆動歯車30と、前記回転軸32に対して同軸に固定され、前記回転軸32と一体に回転可能なホイール16とを備えるようにする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
制振対象物に固定されたラックの並進方向の動きをピニオンの回転方向の動きに変換するラック&ピニオンと、前記ピニオンと同軸に配置された歯車と、前記ピニオンの回転方向の付勢力を確保するために、前記ピニオンと前記歯車の間に設置された付勢部材と、前記歯車に噛み合わされるとともに回転軸に固定された駆動歯車と、前記回転軸に対して同軸に固定され、前記回転軸と一体に回転可能なホイールとを備えることを特徴とする慣性質量ダンパー。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
制振対象物に固定されたラックの並進方向の動きをピニオンの回転方向の動きに変換するラック&ピニオンと、前記ピニオンと歯車機構を介して連結した第一歯車と、前記第一歯車と同軸に配置された第二歯車と、前記第一歯車の回転方向の付勢力を確保するために、前記第一歯車と前記第二歯車の間に設置された付勢部材と、前記第二歯車に噛み合わされるとともに回転軸に固定された駆動歯車と、前記回転軸に対して同軸に固定され、前記回転軸と一体に回転可能なホイールとを備えることを特徴とする慣性質量ダンパー。
【請求項3】
前記歯車機構が、前記付勢部材の付勢力を増減調整するものであることを特徴とする請求項2に記載の慣性質量ダンパー。
【請求項4】
前記制振対象物の上部躯体の下面に配置されたリニアガイドと、前記制振対象物の下部躯体の上面に配置されたリニアガイドの間に配置され、前記ラックは、前記上部躯体の下面または前記下部躯体の上面に固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の慣性質量ダンパー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性質量ダンパーに関するものである。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、建物の揺れを抑える装置として、同調質量ダンパー(TMD:Tuned mass damper)が広く用いられている。これは、建物に搭載した大質量の装置が動くことにより、設置対象となる建物の振動を抑える作用を発揮する。TMDは、搭載する質量が重くなるほど、高い制振効果が得られることが知られている(非特許文献1を参照)。しかし、大質量を搭載することは構造的に不利になるとともに、装置サイズの大型化による配置計画などの制約になるという課題がある。一方で、搭載する質量を小さくすると全体のサイズは小さくなるものの、必要な制振効果を得るためには搭載した質点が制御方向に大振幅で揺れる必要があり、制御方向に対して大きなクリアランスが要求され、配置計画などの制約になる。
【0003】
実質量を用いたTMDとしては、チューンドマスダンパーを用いた制振装置(例えば、特許文献1を参照)や防振構造(例えば、特許文献2を参照)が挙げられる。一方で、錘を回転させることで、見かけ上、大きな質量を生み出すことにより建物の振動を抑制するものとして、回転慣性質量ダンパー(例えば、特許文献3を参照)や制振装置(例えば、特許文献4を参照)などが挙げられる。なお、これらは一般に慣性質量ダンパーや回転慣性質量ダンパー等と呼ばれる。また、回転慣性質量ダンパーに並進方向に作用するバネを連結しダンパーの固有周期を建物の固有周期同調させることができる、同調型の回転慣性質量ダンパーに関する研究も行われている(例えば、非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
「やさしくわかる建物振動制御」、日本建築学会、2014年
「同調粘性マスダンパーの有効性の検証と弾塑性構造物への適用性」、荒井達朗、油川健樹、五十子幸樹、堀則男、井上範夫、日本建築学会構造系論文集、74巻645号、pp.1993-2002、2009年
【特許文献】
【0005】
特開2007-40034号公報
特開2021-139447号公報
特開2017-26074号公報
特開2022-98305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物に幅広く採用されているTMDは、装置そのものが駆動することにより制御力を発生させることから、駆動スペースを広く確保する必要がある。これを確認するために、本発明者は非特許文献1を参考にして作成した建物モデルを用いて解析を実施した。図6に、その解析結果を示す。これらは非特許文献1で用いられている例を再現したものであり、建物およびTMDに初速度10cm/sを与えた際の応答である。図6(1)は建物の変位であり、図6(2)はTMDの変位である。この解析結果より、TMDを搭載することにより、建物の応答は急速に収束していることが確認される。これは、TMDがバネと質量から構成されることから、TMDそのものが固有周期を持ち、この固有周期を調節して建物の揺れの周期とそろえる(同調させる)ことにより、建物の振動を抑える働きによるものである。
【0007】
この解析結果によれば、建物の最大変位は約5cmであるのに対し、TMDの最大変位は約25cmであり、建物の変位に対して約5倍も揺れる。実際の高層建築物では頂部が強風や大地震時に数十センチ以上振動することがあることから、TMDが駆動するためには数メートル規模のスペースが必要とされることが想定される。さらに、TMDには実質量を用いることから、構造的にも不利になる欠点がある。
【0008】
これに対し、重りを主軸周りに回転させることにより、見かけ上大きな質量効果を得る回転慣性質量ダンパー(例えば、特許文献3、4を参照)は、バネ要素と連結していないことから、取り付けた層の質量を見かけ上大きくすることのみにとどまり、建物の揺れの周期と同調させて低減させることはできない。一方、非特許文献2の装置は、回転慣性質量ダンパーにバネを連結することにより、ダンパーそのものに固有周期を持たせることが可能となった。その結果、装置を建物の固有周期に同調させることが可能となり、TMDと同様の働きを持たせることができるようになった。しかし、前述の通り、同調型のダンパーは、装置そのものが動くことで制御力を発揮することから、装置の駆動スペースを制御方向に大きく確保しなければならない問題があり、この問題は依然として解決されていない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駆動スペースを削減することができるコンパクトな慣性質量ダンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る慣性質量ダンパーは、制振対象物に固定されたラックの並進方向の動きをピニオンの回転方向の動きに変換するラック&ピニオンと、前記ピニオンと同軸に配置された歯車と、前記ピニオンの回転方向の付勢力を確保するために、前記ピニオンと前記歯車の間に設置された付勢部材と、前記歯車に噛み合わされるとともに回転軸に固定された駆動歯車と、前記回転軸に対して同軸に固定され、前記回転軸と一体に回転可能なホイールとを備えることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

清水建設株式会社
空気清浄システム
5日前
清水建設株式会社
慣性質量ダンパー
10日前
清水建設株式会社
地盤改良工法及びその工法に使用するモニタの流路構造
10日前
清水建設株式会社
免震構造
17日前
個人
脚装置
2か月前
個人
配管固定金具
3か月前
個人
家具
1か月前
個人
ジャイロの軸受装置
1か月前
個人
アンカーボルト
25日前
マフレン株式会社
自動給脂器
2か月前
株式会社ミクニ
弁装置
2か月前
日東精工株式会社
シールねじ
3か月前
株式会社ミクニ
弁装置
2か月前
カヤバ株式会社
ダンパ
1か月前
株式会社テイエルブイ
自動弁
1か月前
株式会社フジキン
バルブ装置
25日前
カヤバ株式会社
緩衝器
2か月前
株式会社ミクニ
弁装置
2か月前
カヤバ株式会社
バルブ
1か月前
個人
圧入成形物の製造法
1か月前
株式会社ナジコ
自在継手
1か月前
イワブチ株式会社
締結具
3か月前
株式会社テイエルブイ
熱応動弁
2か月前
日星電気株式会社
多層チューブ
2か月前
株式会社不二工機
電磁弁
2か月前
株式会社奥村組
制振機構
3か月前
株式会社不二工機
電動弁
1か月前
株式会社奥村組
制振機構
3か月前
株式会社伊藤製作所
連結具
1か月前
日本精工株式会社
ボールねじ装置
10日前
個人
束ねばね
25日前
日東工器株式会社
防振構造
25日前
ヒロホー株式会社
締結構造
3日前
株式会社テイエルブイ
複座弁装置
2か月前
明正工業株式会社
ねじ部材
3か月前
株式会社エステック
減速機
1か月前
続きを見る