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公開番号2024053751
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-16
出願番号2022160146
出願日2022-10-04
発明の名称永久磁石を用いた磁場可変磁気回路
出願人地方独立行政法人 岩手県工業技術センター,株式会社サンアイ精機
代理人弁理士法人谷川国際特許事務所
主分類H01F 7/02 20060101AFI20240409BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】加速器の一部で現在使用されている永久磁石型の磁場可変磁気回路では、短絡部材を動かすために回路外部に大きな可動スペースが必要であること、短絡部材の位置変換に大きな力が必要である等の課題があった。
【解決手段】本願発明者らは、鋭意研究の結果、2つの磁性部材の端部で永久磁石を挟み込み、もう一方の端部を離隔させ空隙とした略コの字型ないし略C字型の回路本体と、永久磁石が配された側である本体背面上に配置された短絡部材とを備え、本体背面上を短絡部材が摺動して位置変換することで空隙に発生する磁場強度が変動する構成の磁気回路により、上記の課題を解決できることを見出した。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
上部磁性部材、下部磁性部材及び永久磁石で構成された本体と、少なくとも1対の可動短絡部材とを備える磁場可変磁気回路であって、
前記本体は、2つの磁極面を略上下方向に向けた少なくとも1個の永久磁石が、上部磁性部材及び下部磁性部材の端部によって略上下方向から挟み込まれて固定された背部を有し、上部磁性部材及び下部磁性部材のもう一方の端部は離隔して磁場発生部となる空隙を形成し、
本体背部の外側表面である本体背面では、上部磁性部材の背部外側表面と下部磁性部材の背部外側表面とが同一平面上に存在して該背面を形成し、
少なくとも1対の可動短絡部材は、本体背面上に配置され、1対が連動して、本体背面上を摺動して位置変換可能であり、可動短絡部材の位置変換により磁場発生部の磁場強度が変動する、前記磁気回路。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
可動短絡部材の位置変換が、1対の可動短絡部材の本体背面上での回転移動により行なわれ、磁場発生部に最も強い磁場を発生させるオン状態において、各可動短絡部材が上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方のみと接触して永久磁石とは接触せず、磁場発生部に最も弱い磁場を発生させるオフ状態において、各可動短絡部材が永久磁石を跨いで上部磁性部材及び下部磁性部材の双方に接触する、請求項1記載の磁気回路。
【請求項3】
永久磁石の背部外側表面が本体背面と同一平面上に位置し、オフ状態において、各可動短絡部材が上部磁性部材及び下部磁性部材の双方と永久磁石とに接触する、請求項2記載の磁気回路。
【請求項4】
永久磁石の背部外側表面が本体背面よりも内側に位置し、オフ状態において、各可動短絡部材が永久磁石と接触することなく上部磁性部材及び下部磁性部材の双方と接触する、請求項2記載の磁気回路。
【請求項5】
可動短絡部材の位置変換が、本体背面上での1対の可動短絡部材の上下方向への開閉移動により行なわれ、磁場発生部に最も強い磁場を発生させるオン状態において、1対の可動短絡部材が互いに最も離隔して永久磁石とは接触せず、磁場発生部に最も弱い磁場を発生させるオフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ上部磁性部材及び下部磁性部材のうちいずれか一方と接触した状態で互いに最も近接又は接触する、請求項1記載の磁気回路。
【請求項6】
永久磁石の背部外側表面が本体背面と同一平面上に位置し、オフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方と永久磁石とに接触する、請求項5記載の磁気回路。
【請求項7】
永久磁石の背部外側表面が本体背面よりも内側に位置し、オフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ永久磁石と接触することなく上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方と接触する、請求項5記載の磁気回路。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を用いた磁場可変磁気回路に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
加速器とは、電子や陽子などの荷電粒子を電場で加速し、高エネルギービームを作り出す装置であり、がん治療等に使用される医療用リニアック、電子顕微鏡等の比較的小型のシステムから、重粒子線治療施設、放射光施設、大規模衝突型加速器のような大型のシステムまで、種々のシステムで用いられている。
【0003】
荷電粒子ビームは発散しながら直進するため、荷電粒子ビームの輸送にはビームの方向や発散度の制御が必要である。加速器では、ビームの制御(偏向)のために数多くの磁石が用いられており、一般には電磁石が用いられている。電磁石は、コイルに流す電流を調整することにより磁場強度を容易にかつ高速に制御でき、設計もしやすいというメリットがある。一方で、運転時に大電流が流れ続ける点、電源や冷却のための付帯設備が必要である点、水漏れや腐食に対する定期補修・交換が必要である点で、運転及び保守のコストが非常に高額になるというデメリットがあり、大型システムでは特に負担が大きくなる。
【0004】
加速器のビーム偏向器として利用できる、永久磁石を用いた磁場可変磁気回路も種々知られており(永久磁石又はその他の部材の回転により磁場強度を変動させる回路の公知例としては、特許文献1~7など)、放射光施設等の大型システムにおいても、加速器用電磁石の一部をそのような永久磁石型の磁場可変磁気回路に置き換えてコストを低減する試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007-129050号公報
実開昭58-74800号公報
特開2000-277323号公報
国際公開第2016/034490号
特開2003-142300号公報
米国特許第10,324,148号明細書
特開第2015-220014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加速器の一部で現在使用されている永久磁石型の磁場可変磁気回路は、磁場強度をコントロールする短絡部材を動かすために回路外部に大きな可動スペースが必要である、短絡部材の位置変換に大きな力が必要である等の課題がある。本発明は、これらの課題を解決可能な永久磁石型の磁場可変磁気回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、2つの磁性部材の端部で永久磁石を挟み込み、もう一方の端部を離隔させ空隙とした略コの字型ないし略C字型の回路本体と、永久磁石が配された側である本体背面上に配置された短絡部材とを備え、本体背面上を短絡部材が摺動して位置変換することで空隙に発生する磁場強度が変動する構成の磁気回路により、上記の課題を解決できることを見出し、以下の本願発明を完成した。
【0008】
[1] 上部磁性部材、下部磁性部材及び永久磁石で構成された本体と、少なくとも1対の可動短絡部材とを備える磁場可変磁気回路であって、
前記本体は、2つの磁極面を略上下方向に向けた少なくとも1個の永久磁石が、上部磁性部材及び下部磁性部材の端部によって略上下方向から挟み込まれて固定された背部を有し、上部磁性部材及び下部磁性部材のもう一方の端部は離隔して磁場発生部となる空隙を形成し、
本体背部の外側表面である本体背面では、上部磁性部材の背部外側表面と下部磁性部材の背部外側表面とが同一平面上に存在して該背面を形成し、
少なくとも1対の可動短絡部材は、本体背面上に配置され、1対が連動して、本体背面上を摺動して位置変換可能であり、可動短絡部材の位置変換により磁場発生部の磁場強度が変動する、前記磁気回路。
[2] 可動短絡部材の位置変換が、1対の可動短絡部材の本体背面上での回転移動により行なわれ、磁場発生部に最も強い磁場を発生させるオン状態において、各可動短絡部材が上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方のみと接触して永久磁石とは接触せず、磁場発生部に最も弱い磁場を発生させるオフ状態において、各可動短絡部材が永久磁石を跨いで上部磁性部材及び下部磁性部材の双方に接触する、[1]記載の磁気回路。
[3] 永久磁石の背部外側表面が本体背面と同一平面上に位置し、オフ状態において、各可動短絡部材が上部磁性部材及び下部磁性部材の双方と永久磁石とに接触する、[2]記載の磁気回路。
[4] 永久磁石の背部外側表面が本体背面よりも内側に位置し、オフ状態において、各可動短絡部材が永久磁石と接触することなく上部磁性部材及び下部磁性部材の双方と接触する、[2]記載の磁気回路。
[5] 可動短絡部材の位置変換が、本体背面上での1対の可動短絡部材の上下方向への開閉移動により行なわれ、磁場発生部に最も強い磁場を発生させるオン状態において、1対の可動短絡部材が互いに最も離隔して永久磁石とは接触せず、磁場発生部に最も弱い磁場を発生させるオフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ上部磁性部材及び下部磁性部材のうちいずれか一方と接触した状態で互いに最も近接又は接触する、[1]記載の磁気回路。
[6] 永久磁石の背部外側表面が本体背面と同一平面上に位置し、オフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方と永久磁石とに接触する、[5]記載の磁気回路。
[7] 永久磁石の背部外側表面が本体背面よりも内側に位置し、オフ状態において、1対の可動短絡部材がそれぞれ永久磁石と接触することなく上部磁性部材及び下部磁性部材のうちのいずれか一方と接触する、[5]記載の磁気回路。
【発明の効果】
【0009】
本発明の磁気回路によれば、短絡部材を動かすための大きな可動スペースを回路外部に設ける必要がない。また、従来の永久磁石型磁場可変磁気回路と比べてより小さい力で短絡部材を位置変換できる。これらの特徴により、磁場可変磁気回路を利用した装置ないしシステムのコンパクト化、切替モーターの小型化が可能となるので、運転コストをさらに削減できるとともに、装置ないしシステム全体の設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明による回転式の磁場可変磁気回路の構造を模式的に示した図。一対の可動短絡部材を使用した例。(A)可動短絡部材の回転が0度のON状態。磁場発生部に生じる磁場が最も強い。(B)中間の45度回転状態。磁場発生部にコントロールされた磁場が生じる。(C)可動短絡部材の回転が90度のOFF状態。磁場発生部に生じる磁場が最も弱い。
回転式磁場可変磁気回路のON状態のシミュレーションデータ。
回転式磁場可変磁気回路のOFF状態のシミュレーションデータ。
回転式試作機の磁場実測データ(X方向)。
回転式試作機の磁場実測データ(Y方向)。
回転式試作機の磁場実測データ(Z方向)。
本発明による開閉式の磁場可変磁気回路の構造を模式的に示した図。一対の可動短絡部材を使用した例。(A)可動短絡部材が最大開放のON状態。磁場発生部に生じる磁場が最も強い。(B)可動式短絡部材の移動距離が50%の中間開放状態。磁場発生部にコントロールされた磁場が生じる。(C)可動短絡部材が閉止しているOFF状態。磁場発生部に生じる磁場が最も弱い。
開閉式磁場可変磁気回路のON状態のシミュレーションデータ。
開閉式磁場可変磁気回路の50%移動状態のシミュレーションデータ。
開閉式磁場可変磁気回路のOFF状態のシミュレーションデータ。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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