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公開番号2024052116
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022158602
出願日2022-09-30
発明の名称紫蘇焼酎の製造方法
出願人オエノンホールディングス株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C12G 3/06 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】紫蘇の前処理や発酵工程、蒸留工程を変更するなどの操作をすることなく、ペリルアルデヒドの含有量が高く、紫蘇本来の香りを有する紫蘇焼酎の製造方法を提供すること。
【解決手段】アルコール発酵能を有する酵母であって、ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株を用いる紫蘇焼酎の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アルコール発酵能を有する酵母であって、ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株を用いる紫蘇焼酎の製造方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株が、ペリルアルデヒドが溶出成分として含まれる紫蘇の浸漬液に、培養増殖させて洗浄した酵母細胞を入れて、酵母の生物活性が維持発揮できる温度で、1日間インキュベートしたときに、
計算式:[[(B)-(A)]x100]÷(A)
((A);インキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量、
(B);培養増殖させ洗浄した酵母細胞と混合してインキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量)
によって算出されるペリルアルデヒドの減少割合を使って選ばれる酵母株である請求項1に記載の紫蘇焼酎の製造方法。
【請求項3】
ペリルアルデヒドを成分として含む紫蘇を原料として使用し、請求項1又は2に記載の方法で製造される紫蘇焼酎。
【請求項4】
請求項3に記載の紫蘇焼酎を含有するアルコール飲料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、紫蘇焼酎の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
紫蘇焼酎は、焼酎製造の工程において紫蘇を添加して発酵させ、その醪を蒸留することで得られる蒸留液を原酒として使用して製造することができる。その発酵過程の中で、紫蘇に含まれている香気成分は醪の液に溶出してくるが、赤紫蘇、青紫蘇のどちらにも含まれる香気成分の中で、ペリルアルデヒドは、紫蘇らしい香りを醸す重要な香りであると言われている(特許文献1、2)。
その香りを紫蘇焼酎という蒸留酒において活かすための工夫として、原料である紫蘇の生葉からアクを除去するために事前に加工処理する技術(特許文献1)や、紫蘇の生葉を焼酎製造の原料に使用して発酵させた後に蒸留する工程における条件を最適化することにより、ペリルアルデヒドに加えてリモネン、シネオール、リナロール、ベンズアルデヒド、α-ピネン、β-ピネンなどを一定量含有させる技術(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2005-143503号公報
国際公開第2008/153118号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原料である紫蘇の加工処理や蒸留工程に工夫をしても、十分量のペリルアルデヒドを含有する紫蘇焼酎を得ることはできず、紫蘇本来の香りを有する紫蘇焼酎は得られなかった。
従って、本発明の課題は、紫蘇の前処理や発酵工程、蒸留工程を変更するなどの操作をすることなく、ペリルアルデヒドの含有量が高く、紫蘇本来の香りを有する紫蘇焼酎の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ところで、本発明者は、長年紫蘇焼酎を製造してきた経験から、元々紫蘇に含まれていたペリルアルデヒドの含有量から期待される蒸留液中のペリルアルデヒド含有量が期待値を大きく下回り、焼酎製造過程で、紫蘇らしい香りが弱まってしまうことを見出した。その原因について検討したところ、紫蘇らしい香りが弱いと感じられる蒸留液に対しては、成分が大気中に揮散して量的減少が起きたと考えられてしまう場合もあるが、ペリルアルデヒド減少の主たる原因は、発酵に用いている酵母の作用によって、ペリルアルデヒドがシソオールやペリリルアルコールへと変換されて減少するためであることを突き止めた。そこで、数多くの酵母を用いて、紫蘇の発酵を行い、その発酵過程でペリルアルデヒドが減少しない、あるいは減少しづらい酵母のスクリーニングに成功し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[4]を提供するものである。
[1]アルコール発酵能を有する酵母であって、ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株を用いる紫蘇焼酎の製造方法。
[2]ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株が、ペリルアルデヒドが溶出成分として含まれる紫蘇の浸漬液に、培養増殖させて洗浄した酵母細胞を入れて、酵母の生物活性が維持発揮できる温度で、1日間インキュベートしたときに、
計算式:[[(B)-(A)]x100]÷(A)
((A);インキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量、
(B);培養増殖させ洗浄した酵母細胞と混合してインキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量)
によって算出されるペリルアルデヒドの減少割合を使って選ばれる酵母株である、[1]に記載の紫蘇焼酎の製造方法。
[3]ペリルアルデヒドを成分として含む紫蘇を原料として使用し、[1]又は[2]に記載の方法で製造される紫蘇焼酎。
[4][3]に記載の紫蘇焼酎を含有するアルコール飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従前から使用していた酵母株を、選抜した優良株に変更するだけで、生葉はもちろん乾燥処理した紫蘇を使用した紫蘇焼酎の製造にも適用できるため、従前からの製法を変える必要はほとんどない。
紫蘇焼酎の品質の主な指標は紫蘇らしい香りを醸すことであるが、本発明により、従前から使用している紫蘇葉原料の数量を増量せずとも、蒸留液のペリルアルデヒド含有量を2倍前後まで増やすことができ、紫蘇らしい香りを増強することが可能となる。つまり、製造コストを上げることなく、品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ペリルアルデヒドを基質とした試験におけるペリルアルデヒドの量的経時変化を示す図である。
ペリルアルデヒドを基質とした試験におけるシソオールの量的経時変化を示す図である。
ペリルアルデヒドを基質とした試験におけるペリリルアルコールの量的経時変化を示す図である。
シソオールを基質とした試験におけるシソオールの量的経時変化を示す図である。
シソオールを基質とした試験におけるペリルアルデヒドの量的経時変化を示す図である。
シソオールを基質とした試験におけるペリリルアルコールの量的経時変化を示す図である。
ペリリルアルコールを基質とした試験におけるペリリルアルコールの量的経時変化を示す図である。
ペリリルアルコールを基質とした試験におけるペリルアルデヒドの量的経時変化を示す図である。
ペリリルアルコールを基質とした試験におけるシソオールの量的経時変化を示す図である。
酵母の作用によるペリルアルデヒドの変換経路を示す図である。
供試酵母63株におけるペリルアルデヒド減少割合の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の紫蘇焼酎の製造方法は、アルコール発酵能を有する酵母であって、ペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株を用いることを特徴とする。
本発明で使用するペリルアルデヒドに対する作用によってペリルアルデヒドが変換され減少する量の割合が65%未満の酵母株(以下、本発明で使用する酵母株とも称する)は、紫蘇の発酵過程でペリルアルデヒドが減少しない、あるいは減少しづらい酵母株であり、例えば、酒類の製造に使用される多くの酵母株を用いて、ペリルアルデヒドに対する作用性を紫蘇浸漬液内に酵母細胞を入れてインキュベートし、紫蘇から溶出されてくるペリルアルデヒドの量的減少の度合いを検討することにより、選出することができる。また、ペリルアルデヒドが変換され減少する割合が60%以下の酵母株がより好ましく、55%以下の酵母株がさらに好ましく、50%以下の酵母株がよりさらに好ましい。
【0010】
さらに具体的には、ペリルアルデヒドが溶出成分として含まれる紫蘇の浸漬液に、培養増殖させて洗浄した酵母細胞を入れて、酵母の生物活性が維持発揮できる温度で、1日間インキュベートしたときに、
計算式:[[(B)-(A)]x100]÷(A)
((A);インキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量、
(B);培養増殖させ洗浄した酵母細胞と混合してインキュベートした紫蘇浸漬液に検出されるペリルアルデヒドの含有量)
によって算出されるペリルアルデヒドの減少割合が65%未満の酵母株であるのが好ましい。ここで、酵母の生物活性が維持発揮できる温度としては、30℃が好ましい。
また、この方法によるペリルアルデヒドの減少割合が、60%以下の酵母株がより好ましく、55%以下の酵母株がさらに好ましく、50%以下の酵母株がよりさらに好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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