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公開番号2024008528
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-19
出願番号2022110468
出願日2022-07-08
発明の名称マンガンを使用しない逆転写方法
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C12P 19/34 20060101AFI20240112BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 マンガンを使用せずに、逆転写活性を有する核酸ポリメラーゼを用いて逆転写反応を行う方法を提供すること。
【解決手段】 サーマス・サーモフィルス由来のDNAポリメラーゼ又はThemus sp Z05由来のDNAポリメラーゼの751位に相当するアミノ酸を改変することで、Mn2+を含まない反応液中でも効率的な逆転写反応及び逆転写反応を含む核酸増幅方法(例えば、RT-PCR方法)が可能であることを見出した。本発明はこの改変型核酸ポリメラーゼを用いた方法、組成物等を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、751位に相当する部位のアミノ酸がチロシン、システイン、グルタミン、セリン、トレオニン、及びアスパラギンからなる群より選択される極性側鎖を有する中性アミノ酸に置換されている逆転写活性を有する核酸ポリメラーゼを用いて、マンガンイオン不存在下でRNAからcDNAを合成する逆転写反応を行う、逆転写方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記核酸ポリメラーゼが、配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列と96%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、751位に相当するアミノ酸がチロシン、システイン、グルタミン、セリン、トレオニン、及びアスパラギンからなる群より選択される極性側鎖を有する中性アミノ酸に置換されている核酸ポリメラーゼである、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項3】
前記核酸ポリメラーゼが、配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列において751位に相当するアミノ酸がチロシン、システイン、グルタミン、セリン、トレオニン、及びアスパラギンからなる群より選択される極性側鎖を有する中性アミノ酸に置換されている核酸ポリメラーゼである、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項4】
前記核酸ポリメラーゼをマグネシウムイオン共存下で反応させる、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項5】
精製工程を経ていない生体試料を用いて逆転写反応を行う、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項6】
逆転写反応を5分以下で行う、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項7】
前記核酸ポリメラーゼが、更に、509位及び744位からなる群より選択される少なくとも一つに相当する部位においてアミノ酸の改変を含む、請求項1に記載の逆転写方法。
【請求項8】
509位及び744位からなる群より選択される少なくとも一つに相当する部位におけるアミノ酸の改変が、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群より選択される塩基性アミノ酸への置換である、請求項7に記載の逆転写方法。
【請求項9】
以下の工程:
(a)配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ、751位に相当するアミノ酸がチロシン、システイン、グルタミン、セリン、トレオニン、及びアスパラギンからなる群より選択される極性側鎖を有する中性アミノ酸に置換されている逆転写活性を有する核酸ポリメラーゼを用いて、マンガンイオン不存在下でRNAからcDNAを合成する逆転写反応を行う工程、及び
(b)前記工程(a)の逆転写反応により生じた逆転写産物を鋳型として、前記核酸ポリメラーゼにより更に核酸増幅反応を行う工程、
を包含する、核酸増幅方法。。
【請求項10】
前記工程(a)の逆転写反応をマグネシウムイオン共存下で行う、請求項9に記載の核酸増幅方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、マンガン(Mn)を使用せずに逆転写活性を有する核酸ポリメラーゼで逆転写反応を行う方法及びこの逆転写反応を利用した核酸増幅方法(例えば、RT-PCR方法)等に関する。本発明は、研究分野のみならず臨床診断や環境検査等にも利用できる。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。
【0003】
代表的な核酸増幅法であるPCR(Polymerase Chain Reaction)は、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。
【0004】
標的核酸がRNAである場合(例えば、病原性微生物の検出においてRNAウイルスを検出対象とする場合、あるいは遺伝子の発現量をmRNAの定量によって測定する場合など)では、逆転写酵素によりRNAをcDNAに変換する逆転写反応をPCRの前に行うRT-PCRも広く用いられている。
【0005】
RT-PCRにおいては、逆転写酵素及びDNAポリメラーゼの2種類の酵素を用いる2酵素系のRT-PCRと、逆転写活性を持つDNAポリメラーゼを用いる1酵素系のRT-PCRが存在する。2酵素系のRT-PCRは、逆転写酵素が高い逆転写活性を持つため、効率的なRTを可能にする。しかしながら、逆転写酵素は一般的に耐熱性を持たないものが多く、RNAが二次構造をとる場合は、十分な逆転写反応ができないことが知られている。またRT-PCRを連続的に実施する場合は、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの2つの酵素の最適化が必要であり、各酵素の選択やそれらの最適な反応条件の検討等に時間を要していた。一方、1酵素系のRT-PCRは、一般に耐熱性を有するDNAポリメラーゼを用いて実施するため、二次構造を形成できない高温での逆転写を可能にする。しかしながら、DNAポリメラーゼによる逆転写活性は逆転写酵素と比較すると低いことが知られており、さらなる改善が求められていた。
【0006】
DNAポリメラーゼとして汎用されるTaq DNAポリメラーゼは、マグネシウムイオン(Mg
2+
)存在下で微弱ながら逆転写活性を持つが、その効率は非常に低く(非特許文献1)、実用上十分な逆転写反応を行うことはできない。逆転写活性を有するDNAポリメラーゼとしては、Thermus thermophilus HB8(サーマス・サーモフィルス HB8)由来のDNAポリメラーゼ(Tth)やThemus sp Z05由来のDNAポリメラーゼ(Z05)などがこれまでに知られている。これらの酵素はマンガンイオン(Mn
2+
)存在下で強い逆転写活性を示すことができるが、Mn
2+
以外の2価イオンでは逆転写活性が非常に弱いとされている(非特許文献2)。従って、これらの逆転写活性を有するDNAポリメラーゼを用いて十分な効率で逆転写反応を行う場合には、マンガンイオンを共存させることが必須と考えられていた。例えば、特許文献1、2では、逆転写活性を有する改変されたDNAポリメラーゼを用いた実施例において、酢酸マンガン(Mn(OAc)

)を一緒に用いるTth DNA Polymerase RT-PCR Buffer(Roche製、非特許文献3)を使用して逆転写反応の評価を行ったことを記載している。
【0007】
マンガンは環境等への有害性が懸念されており、マンガンを使用せずに反応させることができる手法の開発が望まれている。また、マンガン存在下ではDNAポリメラーゼの忠実性が低下する場合があることが知られており、忠実性の面からもマンガンを使用せずに効率よく反応させることが望まれている。
【0008】
これまでに、PCRやRT-PCRにおいてパフォーマンスを向上させるため、DNAポリメラーゼの改良が種々実施されている。例えば、特許文献3では、野生型Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に特定の変異を入れることにより、マンガンを使用せずに、マグネシウムイオン共存下で効率的な逆転写を可能にすると記載している。しかし、その性能は実用上まだ十分ではなく、更なる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2020-162509号公報
特開2020-162510号公報
特許第4468919号公報
【非特許文献】
【0010】
Nucleic Acids Research 1989 Sep 176:8387-8388
Biochemistry. 1991 Aug 6;30(31):7661-6.
Tth DNA Polymerase(Cat.No.11 480 022 001 Product Information Sheet(製品情報シート)、Roche Diagnostics GmbH社)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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