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公開番号2024050211
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-10
出願番号2022156921
出願日2022-09-29
発明の名称液状試料の簡易的な前処理方法
出願人東洋紡株式会社
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C12N 15/10 20060101AFI20240403BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】核酸精製することなく、液状試料中に含まれる微生物由来の核酸を検出する方法を提供すること。
【解決手段】微生物の検出方法に供される液状試料の前処理方法であって、以下の工程A~C:
(A)液状試料に遠心操作を行い、遠心後の沈降物を回収する工程、
(B)前記工程Aで得られた沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加する工程、及び
(C)前記工程Bで得られた液を1~20秒間撹拌する工程、
を包含する、方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
微生物の検出方法に供される液状試料の前処理方法であって、以下の工程A~C:
(A)液状試料に遠心操作を行い、遠心後の沈降物を回収する工程、
(B)前記工程Aで得られた沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加する工程、及び
(C)前記工程Bで得られた液を1~20秒間撹拌する工程、
を包含する、方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
液状試料が、尿、唾液、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、喀痰懸濁液、及び液状輸送培地に懸濁されたスワブ検体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程Bにおいて、アルカリ性溶液が、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、及び炭酸カルシウム水溶液からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程Bにおいて、アルカリ性溶液のpHが8.0以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記工程Cにおいて撹拌する工程が、ボルテックスミキサーによる撹拌処理を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
微生物の検出方法が、微生物由来の核酸を検出する方法である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
検出対象微生物が、クロストリジウム・ディフィシル、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌、ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、結核菌群、非結核性抗酸菌、SARS-CoV-2、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌、パラ百日咳菌、肺炎クラミジア、クラミジア・トラコマチス、ナイセリア・ゴノレア、トリコモナス原虫、マイコプラズマ・ジェニタリウム、オウム病クラミジア、ウレアプラズマ、HIV及びHPVからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
更に以下の工程Dを包含する、請求項1又は2に記載の方法:
(D)前記工程Cで得られた撹拌処理液を精製する工程。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の工程Cで得られた撹拌処理液を検出対象試料液とする微生物の検出方法。
【請求項10】
微生物の検出方法に供される検出対象試料液の調製方法であって、
以下の工程A~C:
(A)液状試料に遠心操作を行い、遠心後の沈降物を回収する工程、
(B)前記工程Aで得られた沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加する工程、及び
(C)前記工程Bで得られた液を1~20秒間撹拌する工程、
を包含する、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液状試料中に含まれる微生物を検出するための、液状試料の前処理方法、試薬、キット等に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
試料中に含まれる微生物を検出することは臨床診断、食品衛生などにおいて重要である。しかしながら、試料を直接検出に供すると核酸検出中に反応阻害などが起こり、正しい測定結果が得られないことがある。この点はとりわけ、夾雑物を多く含む生体試料(例えば、唾液、尿検体、液状輸送培地に懸濁されたスワブ検体等の液状試料)を対象として微生物を検出する方法において大きな問題である。そこで、試料中に含まれる微生物を検出する際に、試料を直接検出に供するのではなく、何らかの前処理を行うことが一般的である。これは、試料中に含まれる夾雑物の除去や測定に供するための標識作業などを目的としており、試料中の微生物検出のために必要な操作と考えられている。
【0003】
特に、微生物を検出する方法が微生物由来の核酸を検出する方法である場合、前処理として、試料中の核酸を精製することが一般的に行われる(例えば、特許文献1、非特許文献1)。精製は、核酸を検出するために、例えば、PCRなどの核酸増幅反応に供する場合、試料中の夾雑物により反応が阻害されることを抑制するために行われている。精製法の一つとして核酸抽出法(例えばBOOM法を原理とした方法等)がある。
【0004】
しかしながら、核酸精製は、操作が非常に複雑、操作時間が長い、有機溶媒を使用する、試薬コストが高い等の課題があった。特に、核酸抽出は操作が煩雑であるとともに、タンパク質変性作用がある毒性の高い試薬を必要とすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2016-67291号公報
【非特許文献】
【0006】
R. Boom et al, Rapid and Simple Method for Purification of Nucleic Acids, Journal of Clinical Microbiology, 1990, vol.28, no.3, p.495-503.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、微生物の検出において必要とされる試料の前処理方法であって、フェノール等の有機溶媒を必須とする一般的な核酸抽出方法を必要とすることなく、簡便に実施できる前処理方法の提供を一つの目的とする。また、その前処理方法によって調製された前処理液を検出対象試料液として微生物を検出する方法の提供を一つの目的とする。さらに、その前処理方法によって、微生物を検出する方法に供される検出対象試料液の調製方法の提供を一つの目的とする。さらにまた、微生物検出のための前処理用キットの提供を一つの目的とする。また、微生物検出用キットの提供を一つの目的とする。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の1つの目的は、簡便でありながら、高感度に、検体試料中に含まれる微生物を検出する手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を行った結果、液状試料中の微生物の存否を確認する場合においては、液状試料(生体試料、食品試料等)を遠心して沈降物を回収した後、沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加し、得られた液中の微生物を短時間撹拌する前処理方法によって、簡便で、有機溶媒を必須とすることなく、微生物の検出に適した検出対象試料液が得られることを見出し本発明を完成させた。代表的な本発明を以下のとおりである。
【0010】
本発明は、以下の態様を包含する。
[項1]
微生物の検出方法に供される液状試料の前処理方法であって、以下の工程A~C:
(A)液状試料に遠心操作を行い、遠心後の沈降物を回収する工程、
(B)前記工程Aで得られた沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加する工程、及び
(C)前記工程Bで得られた液を1~20秒間撹拌する工程、
を包含する、方法。
[項2]
液状試料が、尿、唾液、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、喀痰懸濁液、及び液状輸送培地に懸濁されたスワブ検体からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の方法。
[項3]
前記工程Bにおいて、アルカリ性溶液が、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、及び炭酸カルシウム水溶液からなる群より選択される少なくとも一つである、項1又は2に記載の方法。
[項4]
前記工程Bにおいて、アルカリ性溶液のpHが8.0以上である、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
前記工程Cにおいて撹拌する工程が、ボルテックスミキサーによる撹拌処理を含む、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
微生物の検出方法が、微生物由来の核酸を検出する方法である、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
検出対象微生物が、クロストリジウム・ディフィシル、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌、ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、結核菌群、非結核性抗酸菌、SARS-CoV-2、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌、パラ百日咳菌、肺炎クラミジア、クラミジア・トラコマチス、ナイセリア・ゴノレア、トリコモナス原虫、マイコプラズマ・ジェニタリウム、オウム病クラミジア、ウレアプラズマ、HIV及びHPVからなる群より選択される少なくとも一つである、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
更に以下の工程Dを包含する、項1~7のいずれか一項に記載の方法:
(D)前記工程Cで得られた撹拌処理液を精製する工程。
[項9]
項1~8のいずれか一項に記載の工程Cで得られた撹拌処理液を検出対象試料液とする微生物の検出方法。
[項10]
微生物の検出方法に供される検出対象試料液の調製方法であって、
以下の工程A~C:
(A)液状試料に遠心操作を行い、遠心後の沈降物を回収する工程、
(B)前記工程Aで得られた沈降物に水又はアルカリ性溶液を添加する工程、及び
(C)前記工程Bで得られた液を1~20秒間撹拌する工程、
を包含する、方法。
[項11]
上記前記工程Bに使用するためのアルカリ性溶液を含む、項1~10のいずれか一項に記載の方法に用いるための試薬。
[項12]
アルカリ性溶液が、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、及び炭酸カルシウム水溶液からなる群より選択される少なくとも一つである、項11に記載の試薬。
[項13]
前記アルカリ性溶液のpHが8.0以上である、項11又は12に記載の試薬。
[項14]
上記前記工程Bに使用するためのアルカリ性溶液を含む、項1~10のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキット。
[項15]
液状試料の遠心沈降物に添加するためのアルカリ性溶液と、プライマーセットからなるプライマーミックスを含むPCR用反応試薬とを含む、液状試料に含まれ得る微生物を検出するためのキット。
[項16]
アルカリ性溶液が、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、及び炭酸カルシウム水溶液からなる群より選択される少なくとも一つである、項15に記載のキット。
[項17]
前記アルカリ性溶液のpHが8.0以上である、項15又は16に記載のキット。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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