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公開番号2024046625
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-03
出願番号2023151485
出願日2023-09-19
発明の名称ポリイミド、ポリイミドフィルム、及び、積層体
出願人学校法人東邦大学,東洋紡株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C08G 73/10 20060101AFI20240327BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 仮接着(弱接着)・易剥離工程に適した剥離強度を示し、且つ、非常に高い光学的透明性を有するポリイミドフィルムを得ることが可能な、新規なポリイミドを提供すること。
【解決手段】 テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応物であるポリイミドであり、1個以上の脂肪族ビシクロ骨格を有し、芳香族基を有さない第1のテトラカルボン酸二無水物成分と、1個以上の脂肪族ビシクロ骨格及び1個以上の芳香族基を有し、カルボン酸無水物のカルボニル基がビシクロ環に対してエキソ位に結合している第2のテトラカルボン酸二無水物成分とを含み、全テトラカルボン酸二無水物成分を100モル%としたときに、第1のテトラカルボン酸二無水物成分と第2のテトラカルボン酸二無水物成分との合計が80モル%以上であり、第1のテトラカルボン酸二無水物成分が第2のテトラカルボン酸二無水物成分よりも多いポリイミド。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応物であるポリイミドであり、
前記テトラカルボン酸二無水物成分は、第1のテトラカルボン酸二無水物成分及び第2のテトラカルボン酸二無水物成分を含有し、
前記第1のテトラカルボン酸二無水物成分は、1個以上の脂肪族ビシクロ骨格を有し、芳香族基を有さない脂肪族テトラカルボン酸二無水物であり、
前記第2のテトラカルボン酸二無水物成分は、1個以上の脂肪族ビシクロ骨格及び1個以上の芳香族基を有し、カルボン酸無水物のカルボニル基がビシクロ環に対してエキソ位に結合しているテトラカルボン酸二無水物成分であり、
前記ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸二無水物成分を100モル%としたときに、前記第1のテトラカルボン酸二無水物成分と前記第2のテトラカルボン酸二無水物成分との合計が80モル%以上であり、
前記第1のテトラカルボン酸二無水物成分が前記第2のテトラカルボン酸二無水物成分よりも多いことを特徴とするポリイミド。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記第1のテトラカルボン酸二無水物成分が2,5-ビス(2-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-ジカルボン酸無水物)シクロペンタノンであり、
前記第2のテトラカルボン酸二無水物成分が5,5-(1,4-フェニレン)-エキソ-ビス(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-シス-エキソ-1,3―ジオン)である請求項1に記載のポリイミド。
【請求項3】
前記ジアミン成分は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含み、
前記ポリイミドに含まれる全ジアミン成分を100モル%としたときに、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンの含有量が65モル%超である請求項1又は請求項2に記載のポリイミド。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のポリイミドを含有するポリイミドフィルム。
【請求項5】
シランカップリング剤で表面改質したガラス支持体の改質面に室温で圧着後、熱処理して仮接着させた後、90°剥Z離試験を実施して得られる剥離強度が0.12~1.0N/cmの範囲にあることを特徴とする請求項4に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
請求項4に記載のポリイミドフィルムと、シランカップリング剤で表面改質したガラス支持体との積層体であって、
前記積層体の90°剥離試験によるガラス支持体からのポリイミドフィルムの剥離強度が0.12~1.0N/cmの範囲にあることを特徴とする積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド、ポリイミドフィルム、及び、積層体に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、折り曲げ・展開操作が繰り返し可能で、薄く軽量で大面積化可能なフレキシブルディスプレイの需要が増加している。フレキシブルディスプレイは一般に、ガラス支持体(約0.4mm~0.8mm厚)上にポリイミド層(およそ20~500μm厚)を形成し、その上にデバイス構成部品・素子を形成・実装した後、ガラス支持体を剥離・除去する工程を経て製造される。
【0003】
ガラス支持体上にポリイミド層を形成する際、通常ガラス支持体上にポリイミド前駆体のワニスを塗布・乾燥(キャスト製膜)し、これを高温で加熱処理して、ポリイミド前駆体の脱水閉環反応(熱イミド化反応)を経てポリイミドに変換する方法(二段階法)かあるいは、ポリイミド自身が溶媒可溶性である場合は、ガラス支持体上にポリイミドのワニスを塗布・乾燥する方法が用いられる。
【0004】
このようにして形成されたポリイミド層上にデバイス構成部品・素子を形成・実装した後、ガラス支持体を剥離・除去するが、多くの場合、ポリイミド層はガラス支持体に強固に密着しているため、機械的に剥離しようとすると、ポリイミド層の平坦性が失われるばかりか、構成部品や素子が損傷する恐れがある。また、水やアルコール等の溶媒に浸漬することによってもしばしばポリイミド/ガラス界面剥離が容易になるが、構成部品や素子が溶媒により損傷する恐れがあるため、浸漬法は適用不可である。またエッチング処理による剥離法では、剥離工程に長時間を要するだけでなく、有害な廃エッチング剤の後処理も必要となる。
【0005】
また、ガラス支持体とポリイミド層との間に易熱分解性の犠牲層を設けておき、剥離したいタイミングで加熱して犠牲層を熱分解させることで剥離する方法も考えられるが、犠牲層から発生するアウトガスが構成部品や素子を汚染する恐れがあるため、好ましくない。
【0006】
また、ガラス支持体とポリイミドフィルムを、UV硬化型粘着剤を介して密着させておき、構成部品・素子の実装工程終了後にガラス支持体の背面側から面光源を用いて紫外線照射してラジカル重合を促進させ、粘着性を消失させることで剥離する方法(例えば非特許文献1および2参照)も考えられる。しかしながらUV硬化型粘着剤の主成分であるアクリル系粘着剤や重合反応性オリゴマーの熱寸法安定性が低いため、構成部品・素子実装工程中の温度サイクルに間に部品や回路の位置ずれ等の問題がある。更にUV硬化型粘着剤の構成成分は耐熱性に劣り、熱分解に伴うアウトガス発生の問題があるため、UV硬化型粘着剤を用いる方法は本目的に適していない。
【0007】
現在ポリイミド層とガラス支持体との界面剥離を促進する最も実用的方法として、レーザーリフトオフ法が知られている(例えば非特許文献3参照)。レーザーリフトオフ法は、高出力のレーザー〔例えばXeClエキシマーレーザー(波長308nm)やNd-YAGレーザー(第3高調波:355nm)等〕をガラス支持体の背面側から照射して、ポリイミド/ガラス界面におけるポリイミド面を熱的・光化学的に急速分解(アブレーション)することで分解ガスを発生させて剥離を行う方法である。しかしながら、この方法で使用する高出力レーザーは通常、点光源であるため、界面剥離を行うのに、レーザー照射位置を二次元的にスキャンする必要がある。このため、レーザーリフトオフ法は、大面積の剥離には時間を要する。また、剥離という単純な工程のために、高価なレーザーリフトオフ設備を導入する必要がある。
【0008】
レーザーリフトオフ法は、ポリイミド/ガラス密着界面におけるポリイミド面をレーザーアブレーションにより分解し、発生するアウトガスにより剥離を行う方法であるため、ポリイミド表面の分解に伴うポリイミド層のカーリングや大きな寸法変化を引き起こす恐れがある。更にポリイミド表面の平坦性の喪失や分解による着色・焦げ、アウトガスによる局所的膨れが生じる恐れもある。また、ポリイミド素材として無色・透明ポリイミドを用いた場合、アブレーションによる上記のような外観の悪化(焦げ、着色)は特に顕著になる。また、プラスチック基板として無色・透明ポリイミドを用いた場合は更に、波長にもよるが、強力なレーザー光がポリイミド層に留まらず(完全に吸収されず)、一部透過してデバイス構成部品・素子まで到達し、これらが損傷する恐れもある。
【0009】
上記の問題を回避するための方法として、レーザーアブレーションを行わない易剥離技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、シランカップリング剤で表面処理したガラス支持体に、ある特定のポリイミドフィルム(例えば、東洋紡(株)社製XENOMAX(登録商標))を室温で圧着後熱処理することで、仮接着(弱接着)・易剥離に最適な剥離強度を実現することができる。このように剥離強度を制御することで、ポリイミドフィルム上にデバイス構成部品・素子を実装する工程の間は十分な界面密着を確保しながら、実装完了後はレーザー照射やUV硬化型粘着剤等を一切使用することなく、所望するタイミングでガラス支持体を容易に剥離・除去できる易剥離性を実現することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Micromachines, 11, 953 (2020).
日本接着学会誌, 38, 471-476 (2002).
Journal of Information Display, 15, 1-4 (2014).
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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