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公開番号2024039214
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-22
出願番号2022143596
出願日2022-09-09
発明の名称水性分散液
出願人AGC株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 27/18 20060101AFI20240314BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、その表面外観に優れる成形物を形成できる、分散安定性及び取扱い性に優れる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む水性分散液を提供する。
【解決手段】融点が260℃以上であるテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する、200~300℃における質量減少率が20質量%/℃以上であるオルガノポリシロキサンと、ビニルアルコール系高分子、アクリル系高分子、ポリビニルピロリドン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン及びセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、200~300℃における質量減少率が40質量%/℃未満である極性官能基を有する水溶性高分子と、水と、を含み、前記オルガノポリシロキサンの含有量に対する前記水溶性高分子の含有量の比が0.01~0.1である、水性分散液。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
融点が260℃以上であるテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する、200~300℃における質量減少率が20質量%/℃以上であるオルガノポリシロキサンと、ビニルアルコール系高分子、アクリル系高分子、ポリビニルピロリドン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン及びセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、200~300℃における質量減少率が40質量%/℃未満である極性官能基を有する水溶性高分子と、水と、を含み、前記オルガノポリシロキサンの含有量に対する前記水溶性高分子の含有量の比が0.01~0.1である、水性分散液。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが酸素含有極性基を含有する、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項4】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が25質量%以上である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項5】
前記オルガノポリシロキサンの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して1~15質量%である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項6】
前記水溶性高分子の含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して5質量%以下である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項7】
前記オルガノポリシロキサンと前記水溶性高分子の合計含有量が、水性分散液全体に対して5質量%以下である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項8】
前記水溶性高分子がビニルアルコール系高分子である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項9】
前記水溶性高分子がセルロースエーテルである、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項10】
前記セルロースエーテルが、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、請求項9に記載の水性分散液。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む水性分散液に関する。
続きを表示(約 4,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の移動体通信機器における高速化、高周波化に対応するため、通信機器のプリント基板の絶縁層には低誘電率かつ低誘電正接である材料が求められ、テトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。かかるポリマーを含む絶縁層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と液状分散媒とを含む分散液が知られている。中でも水性分散液は、それを使用する際に要する設備の汎用性や、塗工等の対象となる基材の選択性が高く、各種の添加剤による液物性の改良が検討されている。
特許文献1には、溶融成型可能なフッ素樹脂粒子、400℃での重量減少が特定量であるバインダー樹脂、非フッ素系界面活性剤及び水を所定量含む水性塗料組成物としての分散液が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2022/097679号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子は水中での分散性が低く、その水性分散液は泡立ちやすいため、水性分散液の流動性等の取扱い性は充分とは言い難い。また、かかる水性分散液から形成されるポリマー層等の成形物の表面に欠点が発生しやすく、その表面外観を損ないやすい。かかる課題は、特許文献1のような平均粒子径がμmオーダーのテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を用い、その水性分散液中の含有量が高くなると顕著になりやすい。
一方、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む水性分散液から塗膜等の成形物を形成する際に、水性分散液の液物性や塗膜形成時の物性を向上させる目的で配合する添加剤が残存してしまうと、得られる成形物の物性が低下しやすい。
【0005】
本発明者らは、テトラフルオロエチレン系ポリマーと特定のオルガノポリシロキサンと特定の水溶性高分子と水とを含み、両者の熱分解挙動が所定の関係にあり、かつ両者の配合量が特定範囲である分散液は、分散安定性に優れ、泡立ちが抑制され取扱いやすいことを知見した。また、かかる水性分散液から形成されるポリマー層等の成形物には前記オルガノポリシロキサンと前記水溶性高分子の残存が少なく、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、その表面外観に優れることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、その表面外観に優れる成形物を形成できる、分散安定性及び取扱い性に優れる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む水性分散液の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 融点が260℃以上であるテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する、200~300℃における質量減少率が20質量%/℃以上であるオルガノポリシロキサンと、ビニルアルコール系高分子、アクリル系高分子、ポリビニルピロリドン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン及びセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、200~300℃における質量減少率が40質量%/℃未満である極性官能基を有する水溶性高分子と、水と、を含み、前記オルガノポリシロキサンの含有量に対する前記水溶性高分子の含有量の比が0.01~0.1である、水性分散液。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが酸素含有極性基を含有する、[1]の水性分散液。
[3] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、[1]又は[2]の水性分散液。
[4] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が25質量%以上である、[1]~[3]のいずれかの水性分散液。
[5] 前記オルガノポリシロキサンの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して1~15質量%である、[1]~[4]のいずれかの水性分散液。
[6] 前記水溶性高分子の含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して5質量%以下である、[1]~[5]のいずれかの水性分散液。
[7] 前記オルガノポリシロキサンと前記水溶性高分子の合計含有量が、水性分散液全体に対して5質量%以下である、[1]~[6]のいずれかの水性分散液。
[8] 前記水溶性高分子がビニルアルコール系高分子である、[1]~[7]のいずれかの水性分散液。
[9] 前記水溶性高分子がセルロースエーテルである、[1]~[7]のいずれかの水性分散液。
[10] 前記セルロースエーテルが、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、[9]の水性分散液。
[11] さらに、炭素数1~6のアルコールを含有する、[1]~[10]のいずれかの水性分散液。
[12] 粘度が、500~10000mPa・sである、[1]~[11]のいずれかの水性分散液。
[13] チキソ比が、1.0~2.5である、[1]~[12]のいずれかの水性分散液。
[14] [1]~[13]のいずれかの水性分散液を基材の表面に配置し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層を形成し、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とをこの順で有する積層体を得る、積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分散安定性及び取扱い性に優れた水性分散液が提供できる。かかる水性分散液からは、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、その表面外観に優れる、塗膜(ポリマー層)等の成形物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子又はフィラーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子又はフィラーのD50は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「平均粒子径(D90)」は、D50と同様にして求められる、粒子の体積基準累積90%径である。
粒子又はフィラーの比表面積は、ガス吸着(定容法)BET多点法で粒子を測定し算出される値であり、NOVA4200e(Quantachrome Instruments社製)を使用して求められる。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で分散液を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、分散液の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η

を、回転数が60rpmの条件で測定される粘度η

で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
溶媒又は溶液の「表面張力」は、表面張力計を用い、25℃にてウィルヘルミー法で測定した値である。
ノニオン系界面活性剤の「HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値」は、グリフィン法により、次の算出式で定義される値である。
HLB値=20×[親水部の化学式量の総和]/分子量
セルロースエーテルの「置換度」は、エーテル化度とも言い、セルロースのグルコース環上にある3つの水酸基のうちアルコキシル基に置換された水酸基の個数(平均値)を表す。置換度は理論的に0~3の間の値を有することができ、一般的に置換基が高いほど親水性となる。置換度は、第18改正日本薬局方記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度分析方法により測定される値を換算して求められる。
オルガノポリシロキサン及び水溶性高分子の「200~300℃における質量減少率」は、昇温速度を10℃/分とし、試料量10mg、ヘリウム90体積%と酸素10体積%からなる混合ガス雰囲気下にて、熱重量測定装置(TG)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、200℃から300℃に昇温させた際の質量減少量を、昇温時間(10分)と試料量(10mg)とで除した値のパーセンテージ値として求められる値である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0009】
本発明の分散液(以下、「本分散液」とも記す。)は、融点が260℃以上であるテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)と、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する、200~300℃における質量減少率が20質量%/℃以上であるオルガノポリシロキサン(以下、「オルガノポリシロキサン」とも記す。)と、ビニルアルコール系高分子、アクリル系高分子、ポリビニルピロリドン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン及びセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、200~300℃における質量減少率が40質量%/℃未満である極性官能基を有する水溶性高分子(以下、「水溶性高分子」とも記す。)と、水と、を含み、前記オルガノポリシロキサンの含有量に対する前記水溶性高分子の含有量の比が0.01~0.1である。前記比は、0.01~0.10であるのが好ましい。
【0010】
本分散液は分散安定性及び取扱い性に優れており、かかる分散液から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、その表面外観にも優れる。なお、本明細書において「表面外観に優れる」とは、「表面の荒れが少ない」等の表面平滑性に優れること、又は「表面にスジ、クラックや欠点等がない」等の、視認又は分析機器で観察される外観に優れることのいずれをも包含する。
本分散液が分散安定性に優れ、泡立ちが抑制され取扱い性に優れる理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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