TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024011839
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-25
出願番号2022114112
出願日2022-07-15
発明の名称油脂生産方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12P 7/64 20220101AFI20240118BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 微細藻を用いて、塩ストレス非存在下で油脂を生産すること。
【解決手段】 油脂を生産する方法であって、塩ストレス非存在下で、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養する工程を含む、方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
油脂を生産する方法であって、塩ストレス非存在下で、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養する工程を含む、方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記炭水化物の分解速度の増強が、微細藻の遺伝的改変によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝的改変が、前記微細藻が生成する炭水化物の分解性の向上、および/または前記微細藻の炭水化物分解能の向上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭水化物がデンプンおよびグリコーゲンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝的改変が、デンプン枝切り酵素(DBE)の酵素活性の抑制または欠損、および/またはデンプン枝作り酵素(BE)、アミラーゼ、および/またはデンプンホスホリラーゼの酵素活性の亢進を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素活性の亢進が、遺伝子コピー数の増加、高発現プロモーターの利用、および/または他の生物種由来の高活性酵素遺伝子の導入によって達成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記油脂の生産が、淡水条件で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微細藻が、Chlamydomonas sp. JSC4株由来の変異株KOR1、およびKOR1に由来する株を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
窒素栄養源を欠乏させる工程をさらに包含する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記窒素栄養源の欠乏によって、前記油脂の生産が開始される、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、油脂を生産する方法に関する。より特定すると、本開示は、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を用いて油脂を生産する方法、油脂を生産するための組成物、および油脂を生産するシステムに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
藻類や水圏微生物を利用したバイオエネルギー生産のための基盤技術が注目されている。微細藻類を用いたバイオエネルギー生産において、ボツリオコッカス(Botryococcus)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、クロレラ(Chlorella)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)などの多くの微細藻類では、塩ストレスを与えることで細胞の油脂含有率が向上することが知られている。一方で、塩ストレスは細胞の生育に悪影響を及ぼし、油脂生産性の低下を招く側面がある。加えて、塩ストレス下では菌の汚染による日和見感染のリスクが増大し、培養の不安定性が問題となっている。一方で、変異育種により塩ストレス耐性を向上させると油脂含有率が低下することもわかっており、高油脂蓄積と高塩ストレス耐性の両立が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を用いることで、塩ストレスを与えない培養条件においても高い油脂含有率を示すことを見出した。この知見に基づき、本開示は、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を用いて、油脂を生産する方法を提供する。
【0004】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
油脂を生産する方法であって、塩ストレス非存在下で、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養する工程を含む、方法。
(項目2)
前記炭水化物の分解速度の増強が、微細藻の遺伝的改変によって達成される、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記遺伝的改変が、前記微細藻が生成する炭水化物の分解性の向上、および/または前記微細藻の炭水化物分解能の向上を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記炭水化物がデンプンおよびグリコーゲンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記遺伝的改変が、デンプン枝切り酵素(DBE)の酵素活性の抑制または欠損、および/またはデンプン枝作り酵素(BE)、アミラーゼ、および/またはデンプンホスホリラーゼの酵素活性の亢進を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記酵素活性の亢進が、遺伝子コピー数の増加、高発現プロモーターの利用、および/または他の生物種由来の高活性酵素遺伝子の導入によって達成される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記油脂の生産が、淡水条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記微細藻が、Chlamydomonas sp. JSC4株由来の変異株KOR1、およびKOR1に由来する株を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
窒素栄養源を欠乏させる工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記窒素栄養源の欠乏によって、前記油脂の生産が開始される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記微細藻が、さらに、塩ストレス耐性を向上する改変を含み、汽水条件または海水条件で培養する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目A1)
油脂を生産するための組成物であって、前記組成物は、塩ストレス非存在下で、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を含む、組成物。
(項目A2)
前記炭水化物の分解速度の増強が、微細藻の遺伝的改変によって達成される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A3)
前記遺伝的改変が、前記微細藻が生成する炭水化物の分解性の向上、および/または前記微細藻の炭水化物分解能の向上を含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A4)
前記炭水化物がデンプンおよびグリコーゲンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A5)
前記遺伝的改変が、デンプン枝切り酵素(DBE)の酵素活性の抑制または欠損、および/またはデンプン枝作り酵素(BE)、アミラーゼ、および/またはデンプンホスホリラーゼの酵素活性の亢進を含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A6)
前記酵素活性の亢進が、遺伝子コピー数の増加、高発現プロモーターの利用、および/または他の生物種由来の高活性酵素遺伝子の導入によって達成される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A7)
前記油脂の生産が、淡水条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A8)
前記微細藻が、Chlamydomonas sp. JSC4株由来の変異株KOR1、およびKOR1に由来する株を含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A9)
前記微細藻が、窒素栄養源が欠乏した条件で培養される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A10)
前記窒素栄養源の欠乏によって、前記油脂の生産が開始される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目A11)
前記微細藻が、さらに、塩ストレス耐性を向上する改変を含み、汽水条件または海水条件で培養される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目B1)
油脂を生産するシステムであって、
1)塩ストレス非存在下で、炭水化物の分解速度が増強した微細藻と、
2)培地と、
3)培養設備と
【0005】
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。なお、本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【0006】
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を用いることで、塩ストレスを与えない培養条件においても高い油脂含有率を示すため、従来株(Chlamydomonas sp. JSC4株)で行われていた油脂蓄積のための塩濃度制御が必要なくなり、培養プロセスの簡略化とコストの削減ができる。
【0008】
また塩ストレスを与えない淡水条件で培養する場合、従来株(Chlamydomonas sp. JSC4株)よりも高い油脂含有率を達成することができる。
【0009】
さらに、塩ストレスを与える汽水条件や海水条件で培養する場合、油脂蓄積を維持しながら塩耐性を付与できるため、従来株(Chlamydomonas sp. JSC4株)よりも高い生産性を達成でき、かつ菌の汚染による日和見感染のリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本開示の一実施形態において、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養することによって得られたバイオマス量の測定結果を示すグラフである。
図2は、本開示の一実施形態において、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養することによって得られた硝酸量の測定結果を示すグラフである。
図3は、本開示の一実施形態において、炭水化物の分解速度が増強した微細藻を培養することによって得られた油脂量の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
5日前
株式会社ブラスト
細胞培養装置
20日前
株式会社ブラスト
密閉チャンバー
20日前
国立大学法人 東京大学
ゲノム編集技術
1か月前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
4日前
相生ユニビオ株式会社
ウイスキーの製造方法
11日前
小林製薬株式会社
黒ずみ形成方法
25日前
松谷化学工業株式会社
アルコール飲料及びその製造方法
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
23日前
国立大学法人東京海洋大学
熱処理リゾチーム組成物
10日前
株式会社東海ヒット
完全閉鎖型灌流液送液系
11日前
花王株式会社
リパーゼ変異体
26日前
株式会社デンソー
バイオセンサ装置
1か月前
株式会社ヤマザキエンジニアリング
製麹装置及び製麹方法
24日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
NTN株式会社
細胞組織の製造方法
20日前
ライオン株式会社
予測方法及び飲食品組成物
1か月前
ライオン株式会社
予測方法及び飲食品組成物
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
17日前
横河電機株式会社
誘電泳動装置
18日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
17日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
17日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
学校法人 中央大学
ナノ粒子検出方法
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
17日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
味の素株式会社
プリン系物質の製造法
17日前
国立大学法人山口大学
齧歯類における胚の遺伝子型決定方法
1か月前
株式会社Logomix
細胞ライブラリおよびその製造方法
11日前
株式会社日立製作所
酵素反応装置
5日前
日東電工株式会社
培養バッグ
26日前
味の素株式会社
L-アミノ酸の製造法
17日前
国立大学法人神戸大学
コロナウイルス中和抗体
17日前
学校法人上智学院
金属イオン捕捉剤
1か月前
続きを見る