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公開番号2024039112
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-22
出願番号2022143419
出願日2022-09-09
発明の名称金属イオン捕捉剤
出願人学校法人上智学院
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 15/09 20060101AFI20240314BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、核酸分子を用いた、金属イオンを高感度に検出可能な方法を開発し、高感度な金属イオンの捕捉剤及び検出手段を提供することを課題とする。
【解決手段】互いにハイブリダイズ可能な2つの塩基配列領域を含む核酸分子を含む、標的金属イオンの捕捉剤であって、核酸分子は、一方の前記塩基配列領域に含まれる1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基、及び他方の前記塩基配列領域に含まれる1つの共用塩基からなる、右巻きの二本鎖構造を構成する検知ドメインを1つ又は複数含む捕捉剤を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
互いにハイブリダイズ可能な2つの塩基配列領域を含む核酸分子を含む、標的金属イオンの捕捉剤であって、
前記核酸分子は、
一方の前記塩基配列領域に含まれる1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基、及び
他方の前記塩基配列領域に含まれる1つの共用塩基
からなる、右巻きの二本鎖構造を構成する検知ドメインを1つ又は複数含み、
前記共用塩基及び前記表示塩基は塩基対を形成可能であり、
前記共用塩基及び前記作動塩基はその塩基間に前記標的金属イオンを介在させる金属介在塩基対を形成可能であり、
前記標的金属イオンの非存在下では前記共用塩基と前記表示塩基の塩基対が形成され、
前記標的金属イオンの存在下では、前記共用塩基と前記作動塩基の間で前記金属介在塩基対が形成される、
前記捕捉剤。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記標的金属イオンが重金属イオンである、請求項1に記載の捕捉剤。
【請求項3】
前記重金属イオンが水銀イオン、銀イオン、銅イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン、金イオン、ガドリニウムイオン及びパラジウムイオンからなる群から選択される、請求項2に記載の捕捉剤。
【請求項4】
前記金属介在塩基対がT/Hg
2+
/T、U/Hg
2+
/U、T/Hg
2+
/U、T/Hg
2+
/G、U/Hg
2+
/G、C/Ag
+
/C及びC/Au
+
/Cからなる群から選択される、請求項3に記載の捕捉剤。
【請求項5】
前記表示塩基が標識されている、請求項1に記載の捕捉剤。
【請求項6】
前記標識が蛍光標識である、請求項5に記載の捕捉剤。
【請求項7】
前記2つの塩基配列領域が1つの核酸分子中に含まれる、請求項1に記載の捕捉剤。
【請求項8】
同一又は異なる標的金属イオンを捕捉する2種類以上の検知ドメインを含む、請求項1に記載の捕捉剤。
【請求項9】
請求項1に記載の捕捉剤を含む、標的金属の検出用組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の捕捉剤及び/又は請求項9に記載の検出用組成物を含む、標的金属の検出キット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、標的金属イオンを捕捉可能な核酸分子を含む標的金属イオンの捕捉剤及び検出用組成物に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
レアアースを含む金属は、その効率的な活用が重要である一方、それらの外環境への流出による、環境や人体への影響も懸念されている。そのため、金属を自然界から効率的に収集する技術の開発や、廃棄された製品や排気、排水中に含まれる微量な金属を選択的かつ高効率に回収する技術や高感度で検出する技術の確立が望まれている。また、金属イオンは生体内にも存在するため、生体試料にもそのまま利用可能な検出方法が開発されることが望ましい。
【0003】
特に、古くから様々な用途に使用され、その環境への影響も大きいことが知られているいくつかの金属について、非特許文献1に記載されているようにこれまでに様々な検出方法が開発されてきた。このような検出方法の開発は、特に水銀イオンの検出に関して盛んに行われている。
【0004】
水銀イオンについては、チミン(T)同士の非相補塩基対(本明細書においては、しばしば塩基対を形成することを「/」で表す)に水銀イオン(Hg(II))が選択的に結合してT/Hg(II)/Tという金属介在塩基対を形成することが知られている。この金属介在塩基対を利用して核酸分子を用いた水銀イオンの検出方法が開発された。特許文献1に記載の方法においては、一方の末端に蛍光物質を、他方の末端に消光物質を有する核酸分子が使用されている。この核酸分子は水銀イオン非存在下では一本鎖構造をとるが、水銀イオン存在下では7つの金属介在塩基対が形成されることによってヘアピン構造を形成する。これにより、両端の物質間でFRET現象が起き、蛍光が失われることにより水銀イオンの存在が検出される。しかしながら、消光反応に必要な水銀イオンの数が多いため、反応の効率が低かった。また、検出反応がシグナルの消失反応であることにより、低濃度範囲での検出効率が低いこと及び偽陽性のリスクが高く信頼性が低いこと等の大きな難点が残されていた。
【0005】
その後、核酸分子を用いた方法として、検出反応がシグナルの発生反応である検出方法(非特許文献2)や、1つの水銀イオンによるシグナルの消失反応を用いた検出方法(非特許文献3)が開発されてきた。しかしながら、理想的な、1つの水銀イオンという高効率で起こり、かつシグナルの発生反応に基づいた検出方法はいまだ開発されていない。
【0006】
高い感度と信頼性を備え、多様な金属の検出に応用可能な検出方法の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005-058213
【非特許文献】
【0008】
Kim, H. N., et al., Chemical Society Reviews, 2012, 41(8), 3210-3244.
Zhou, W., et al., Biosensors and Bioelectronics, 2017, 87, 171-177.
Han, J. H., et al., Chemical Communications, 2019, 55(69), 10245-10248.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、核酸分子を用いた、金属イオンの捕捉剤及び金属イオンを高感度に検出可能な方法を開発し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らは、金属イオンの存在により局所的な立体構造が変化し、標的金属イオンを高い効率で捕捉可能な核酸分子を開発するに至った。発明は上記等の新規知見に基づくものであり、以下を提供する。
(1)互いにハイブリダイズ可能な2つの塩基配列領域を含む核酸分子を含む、標的金属イオンの捕捉剤であって、前記核酸分子は、一方の前記塩基配列領域に含まれる1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基、及び他方の前記塩基配列領域に含まれる1つの共用塩基からなる、右巻きの二本鎖構造を構成する検知ドメインを1つ又は複数含み、前記共用塩基及び前記表示塩基は塩基対を形成可能であり、前記共用塩基及び前記作動塩基はその塩基間に前記標的金属イオンを介在させる金属介在塩基対を形成可能であり、前記標的金属イオンの非存在下では前記共用塩基と前記表示塩基の塩基対が形成され、前記標的金属イオンの存在下では、前記共用塩基と前記作動塩基の間で前記金属介在塩基対が形成される、前記捕捉剤。
(2)前記標的金属イオンが重金属イオンである、(1)に記載の捕捉剤。
(3)前記重金属イオンが水銀イオン、銀イオン、銅イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン、金イオン、ガドリニウムイオン及びパラジウムイオンからなる群から選択される、(2)に記載の捕捉剤。
(4)前記金属介在塩基対がT/Hg
2+
/T、U/Hg
2+
/U、T/Hg
2+
/U、T/Hg
2+
/G、U/Hg
2+
/G、C/Ag
+
/C及びC/Au
+
/Cからなる群から選択される、(3)に記載の捕捉剤。
(5)前記表示塩基が標識されている、(1)~(4)のいずれかに記載の捕捉剤。
(6)前記標識が蛍光標識である、(5)に記載の捕捉剤。
(7)前記2つの塩基配列領域が1つの核酸分子中に含まれる、(1)~(6)のいずれかに記載の捕捉剤。
(8)同一又は異なる標的金属イオンを捕捉する2種類以上の検知ドメインを含む、(1)~(7)のいずれかに記載の捕捉剤。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の捕捉剤を含む、標的金属の検出用組成物。
(10)(1)~(8)のいずれかに記載の捕捉剤及び/又は(9)に記載の検出用組成物を含む、標的金属の検出キット。
(11)(1)~(8)のいずれかに記載の捕捉剤及び/又は(9)に記載の検出用組成物を含む、標的金属の検出デバイス。
(12)被験試料を、(1)~(8)のいずれかに記載の捕捉剤と接触させる工程を含む、前記標的金属イオンの捕捉方法。
(13)前記被験試料が、液体、半固体及びエアロゾルからなる群から選択される形態である、(12)に記載の捕捉方法。
(14)標的金属の検出方法であって、被験試料を、(1)~(8)のいずれかに記載の捕捉剤及び/又は(9)に記載の検出用組成物と接触させる接触工程、前記標的金属のイオンと前記検知ドメインとの結合の有無を検出する検出工程、及び前記イオンの結合が検出された場合に、前記被験試料中に前記標的金属が存在すると判定する判定工程を含む、前記検出方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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