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公開番号2024052596
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023163851
出願日2023-09-26
発明の名称プリン系物質の製造法
出願人味の素株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12P 1/04 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】イノシン等のプリン系物質の製造法を提供する。
【解決手段】下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有するように改変されたプリン系物質生産能を有する腸内細菌科に属する細菌を培地で培養し、該培地および/または該細菌の菌体よりプリン系物質を採取することにより、プリン系物質を製造する:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
プリン系物質の製造方法であって、
プリン系物質生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリン系物質を蓄積すること、および
前記培地および/または前記菌体より前記プリン系物質を採取すること、
を含み、
前記細菌が、下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有する、方法:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記プリン系物質が、プリンヌクレオシドおよびプリンヌクレオチドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プリン系物質が、イノシン、キサントシン、グアノシン、およびアデノシンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリン系物質が、イノシン酸、キサンチル酸、グアニル酸、およびアデニル酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プリンヌクレオチドの製造方法であって、
プリンヌクレオシド生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリンヌクレオシドを蓄積すること、
前記プリンヌクレオシドをリン酸化しプリンヌクレオチドを生成すること、および
前記プリンヌクレオチドを採取すること、
を含み、
前記細菌が、下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有する、方法:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
【請求項6】
前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、グアノシン、およびアデノシンからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プリンヌクレオチドが、イノシン酸、キサンチル酸、グアニル酸、およびアデニル酸からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記細菌が、前記(A)~(C)の改変を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記PAJ_3461タンパク質の活性が、PAJ_3461遺伝子の発現を低下させることにより、または該遺伝子を破壊することにより、低下し;
前記PAJ_3462タンパク質の活性が、PAJ_3462遺伝子の発現を低下させることにより、または該遺伝子を破壊することにより、低下し;且つ/又は
前記PAJ_3463タンパク質の活性が、PAJ_3463遺伝子の発現を低下させることにより、ま
たは該遺伝子を破壊することにより、低下した、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記PAJ_3461遺伝子の発現が、PAJ_3461遺伝子の発現調節配列の改変により、低下し;
前記PAJ_3462遺伝子の発現が、PAJ_3462遺伝子の発現調節配列の改変により、低下し;且つ/又は
前記PAJ_3463遺伝子の発現が、PAJ_3463遺伝子の発現調節配列の改変により、低下した、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌を用いた発酵法によるイノシン等のプリン系物質の製造法に関する。プリン系物質は、調味料原料等として産業上有用である。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
プリン系物質は、例えば、プリン系物質生産能を有する細菌等の微生物を用いた発酵法により工業生産されている。そのような微生物としては、例えば、自然界から分離した菌株やそれらの変異株が用いられている。また、組換えDNA技術により微生物のプリン系物質生産能を向上させることができる。
【0003】
PAJ_3461遺伝子、PAJ_3462遺伝子、およびPAJ_3463遺伝子にコードされるPAJ_3461タンパク質、PAJ_3462タンパク質、およびPAJ_3463タンパク質は、それぞれ、グルコン酸-2-デヒドロゲナーゼ(gluconate 2-dehydrogenase)を構成するサブユニットとして知ら
れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、細菌のプリン系物質生産能を向上させる新規な技術を開発し、効率的なプリン系物質の製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有するように腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を改変することにより同細菌のプリン系物質生産能を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
プリン系物質の製造方法であって、
プリン系物質生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリン系物質を蓄積すること、および
前記培地および/または前記菌体より前記プリン系物質を採取すること、
を含み、
前記細菌が、下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有する、方法:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
[2]
前記プリン系物質が、プリンヌクレオシドおよびプリンヌクレオチドからなる群より選択される、前記(具体的には、[1]に記載の)方法。
[3]
前記プリン系物質が、イノシン、キサントシン、グアノシン、およびアデノシンからなる群より選択される、前記(具体的には、[1]または[2]に記載の)方法。
[4]
前記プリン系物質が、イノシン酸、キサンチル酸、グアニル酸、およびアデニル酸からなる群より選択される、前記(具体的には、[1]~[3]のいずれかに記載の)方法。[5]
プリンヌクレオチドの製造方法であって、
プリンヌクレオシド生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリンヌクレオシドを蓄積すること、
前記プリンヌクレオシドをリン酸化しプリンヌクレオチドを生成すること、および
前記プリンヌクレオチドを採取すること、
を含み、
前記細菌が、下記(A)~(C)の改変から選択される1つまたはそれ以上の改変を有する、方法:
(A)PAJ_3461タンパク質の活性が低下する改変;
(B)PAJ_3462タンパク質の活性が低下する改変;
(C)PAJ_3463タンパク質の活性が低下する改変。
[6]
前記プリンヌクレオシドが、イノシン、キサントシン、グアノシン、およびアデノシンからなる群より選択される、前記(具体的には、[5]に記載の)方法。
[7]
前記プリンヌクレオチドが、イノシン酸、キサンチル酸、グアニル酸、およびアデニル酸からなる群より選択される、前記(具体的には、[5]または[6]に記載の)方法。[8]
前記細菌が、前記(A)~(C)の改変を有する、前記(具体的には、[1]~[7]のいずれかに記載の)方法。
[9]
前記(具体的には、[1]~[8]のいずれかに記載の)方法であって、
前記PAJ_3461タンパク質の活性が、PAJ_3461遺伝子の発現を低下させることにより、または該遺伝子を破壊することにより、低下し;
前記PAJ_3462タンパク質の活性が、PAJ_3462遺伝子の発現を低下させることにより、または該遺伝子を破壊することにより、低下し;且つ/又は
前記PAJ_3463タンパク質の活性が、PAJ_3463遺伝子の発現を低下させることにより、または該遺伝子を破壊することにより、低下した、方法。
[10]
前記(具体的には、[7]に記載の)方法であって、
前記PAJ_3461遺伝子の発現が、PAJ_3461遺伝子の発現調節配列の改変により、低下し;
前記PAJ_3462遺伝子の発現が、PAJ_3462遺伝子の発現調節配列の改変により、低下し;且つ/又は
前記PAJ_3463遺伝子の発現が、PAJ_3463遺伝子の発現調節配列の改変により、低下した、方法。
[11]
前記(具体的には、[1]~[10]のいずれかに記載の)方法であって、
前記PAJ_3461タンパク質の活性が、PAJ_3461遺伝子の欠失により、低下し;
前記PAJ_3462タンパク質の活性が、PAJ_3462遺伝子の欠失により、低下し;且つ/又は
前記PAJ_3463タンパク質の活性が、PAJ_3463遺伝子の欠失により、低下した、方法。
[12]
前記(具体的には、[1]~[11]のいずれかに記載の)方法であって、
前記PAJ_3461タンパク質が、下記(1a)、(1b)、または(1c)に記載のタンパク質であり:
(1a)配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(1b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、グルコン酸-2-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質;
【0007】
本発明によれば、細菌のプリン系物質生産能を向上させることができ、プリン系物質を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の方法の一態様は、プリン系物質生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリン系物質を蓄積すること、および前記培地および/または前記菌体より前記プリン系物質を採取すること、を含むプリン系物質の製造方法であって、前記細菌が特定の性質を有するように改変されている、方法である。同態様を、「本発明のプリン系物質の製造方法」ともいう。同方法に用いられる細菌を、「本発明の細菌」ともいう。
【0010】
本発明の細菌がプリン系物質生産能としてプリンヌクレオシド生産能を有する場合、本発明の細菌によりプリンヌクレオシドを製造し、さらに該プリンヌクレオシドからプリンヌクレオチドを製造することができる。すなわち、本発明の方法の別態様は、プリンヌクレオシド生産能を有する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌を培地で培養し
、該培地中および/または該細菌の菌体内にプリンヌクレオシドを蓄積すること、前記プリンヌクレオシドをリン酸化しプリンヌクレオチドを生成すること、および前記プリンヌクレオチドを採取すること、を含むプリンヌクレオチドの製造方法であって、前記細菌が特定の性質を有するように改変されている、方法である。同態様を、「本発明のプリンヌクレオチドの製造方法」ともいう。
(【0011】以降は省略されています)

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