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公開番号2024051908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022158295
出願日2022-09-30
発明の名称コロナウイルス中和抗体
出願人国立大学法人神戸大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 15/13 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明の目的は、より幅広い株に対して中和活性を示すことができるコロナウイルス中和抗体を提供することにある。
【解決手段】特定のアミノ酸配列における特定位置のアミノ酸残基に対する結合能を有し、且つクラス3抗体であるコロナウイルス中和抗体、前記コロナウイルス中和抗体を含むコロナウイルス感染症治療薬組成物、及び前記コロナウイルス中和抗体を含む抗原検査キットを提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号1における、T345、R346、N439、K440、L441、D442、S443、K444、V445、N448、N450、Y451、及びP499に相当する位置のアミノ酸残基に対する結合能を有し、且つクラス3抗体である、コロナウイルス中和抗体。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
配列番号2に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号3に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号4に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、
配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号6に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号7に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、を含む、コロナウイルス中和抗体。
【請求項3】
配列番号1における、Y449、Y453、L455、F456、N477、K478、A484、G485、F486、N487、Y489、F490、R493、S494、S496、R498、及びY501に相当する位置のアミノ酸残基に対する結合能を有する、コロナウイルス中和抗体。
【請求項4】
配列番号8に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号9に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号10に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、
配列番号11に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号12に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号13に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、を含む、コロナウイルス中和抗体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び請求項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体の少なくともいずれかを含む、コロナウイルス感染症治療薬組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び請求項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体を含む、コロナウイルス感染症治療薬組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び請求項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体の少なくともいずれかを含む、抗原検査キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス中和抗体に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
重症急性呼吸器症候群-コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、2019年に始まった爆発的なコロナウイルス症2019(COVID-19)パンデミックの原因となり、SARS-CoV-2は2022年8月4日現在、世界中で577万人以上に感染、640万人を超える死亡の原因になっている。SARS-CoV-2のオミクロン変異株(BA.1;B.1.1.529)は、2021年11月に南アフリカで初めて報告され、世界中に拡大した(非特許文献1)。オミクロン変異株の拡散によりCOVID-19の感染者が増加し、オミクロンBA.5変異株が世界的に拡散するに至っている(非特許文献2)。
【0003】
オミクロン変異株BA.1及びBA.2は、既知の中和抗体の大半を回避する(非特許文献3,4)。また、オミクロン範囲株BA.5は、クラス1抗体の結合部位周辺のF486Vや、クラス3抗体の結合部位周辺のL452Rのような変異を更に有していることによって、その回避能力が強化されている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
W. Dejnirattisai et al., SARS-CoV-2 Omicron-B.1.1.529 leads to widespread escape from neutralizing antibody responses. Cell 185, 467-484.e415 (2022).
H. Tegally et al., Continued Emergence and Evolution of Omicron in South Africa: New BA.4 and BA.5 lineages. medRxiv, 2022.2005.2001.22274406 (2022).
D. Yamasoba et al., Virological characteristics of the SARS-CoV-2 Omicron BA.2 spike. Cell 185, 2103-2115 e2119 (2022).
J. Ai et al., Antibody evasion of SARS-CoV-2 Omicron BA.1, BA.1.1, BA.2, and BA.3 sub-lineages. Cell Host Microbe, (2022).
Y. Cao et al., BA.2.12.1, BA.4 and BA.5 escape antibodies elicited by Omicron infection. Nature, (2022).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで見出されている中和抗体は、その中和活性がコロナウイルスの特定の1種又は数種の株に対して認められるのみであり、より幅広い株に対する中和活性は期待できない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より幅広い株に対して中和活性を示すことができるコロナウイルス中和抗体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、これまで見出されている中和抗体とは異なるフットプリントに基づく結合様式を持つ新たな中和抗体を見出し、これらの中和抗体が、現存するコロナウイルス変異株の5種以上に対して中和活性を有することを確認した。本発明は、この知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 配列番号1における、T345、R346、N439、K440、L441、D442、S443、K444、V445、N448、N450、Y451、及びP499に相当する位置のアミノ酸残基に対する結合能を有し、且つクラス3抗体である、コロナウイルス中和抗体。
項2. 配列番号2に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号3に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号4に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、
配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号6に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号7に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、を含む、コロナウイルス中和抗体。
項3. 配列番号1における、Y449、Y453、L455、F456、N477、K478、A484、G485、F486、N487、Y489、F490、R493、S494、S496、R498、及びY501に相当する位置のアミノ酸残基に対する結合能を有する、コロナウイルス中和抗体。
項4. 配列番号8に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号9に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号10に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、
配列番号11に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、配列番号12に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号13に示すアミノ酸配列又はそれと80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、を含む、コロナウイルス中和抗体。
項5. 項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体の少なくともいずれかを含む、コロナウイルス感染症治療薬組成物。
項6. 項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体を含む、コロナウイルス感染症治療薬組成物。
項7. 項1又は2に記載のコロナウイルス中和抗体及び項3又は4に記載のコロナウイルス中和抗体の少なくともいずれかを含む、抗原検査キット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より幅広い株に対して中和活性を示すことができるコロナウイルス中和抗体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
SARS-CoV-2変異体に対する中和モノクローナル抗体(mAbs)について、ELISAによって明らかにされた、D614G、Delta、BA.1、BA.2、およびBA.5変異株のSARS-CoV-2スパイクエクトドメインへの結合の分析結果を示す。
SARS-CoV-2変異体に対する中和モノクローナル抗体(mAbs)について、プラーク減少中和試験(PRNT)により評価したD614G、Delta、BA.1、BA.1.1、BA.2またはBA.5に対する中和活性を示す。
SARS-CoV-2変異体に対する中和モノクローナル抗体(mAbs)について、上記中和データ(図1B)から計算されたSARS-CoV-2バリアントに対する50%阻害濃度(IC50)を示す。
バイオレイヤー干渉法(BLI)による、BA.2スパイクRBDのMO1又はMO2への結合に関するセンサグラムを示す。破線はフィッティングカーブを示す。
バイオレイヤー干渉法(BLI)による、BA.5スパイクRBDのMO1への結合に関するセンサグラムを示す。破線はフィッティングカーブを示す。
図2A、図2Bの曲線フィッティングから評価したBLIキネティクスのまとめを示す。
BA.1スパイク三量体と中和モノクローナル抗体MO1の結合様式であり、MO1 FabとプレフュージョンBA.1スパイク3量体のクライオ電子顕微鏡密度マップとリボンモデルを示す。
図3Aと同じ視点からの構造モデルの表面描写である。
MO1結合部位から見たRBD上のオミクロンBA.1またはBA.2変異部位のマッピングを示す。オミクロンBA.5変異株のF486V及びL452R、並びにオミクロンBA.1.1変異株のR346Kも表示されている。
MO1フットプリントに関与する残基を淡色(破線部内)で示す(図3Cと同じ視点から)。
RBD上のMO1結合モードである(左図は、図3Cと同じ視点からの図である。)。
界面におけるMO1とRBDの特筆すべき相互作用を示す。
界面におけるMO1とRBDの特筆すべき相互作用を示す。
界面におけるMO1とRBDの特筆すべき相互作用を示す。
界面におけるMO1とRBDの特筆すべき相互作用を示す。
BA.1スパイクエクトドメインの部位特異的アラニン変異体を用いたELISA法により、T345, R346, K440, D442, K444, V445, N448, N450, Y451へのMO1結合を解析した結果である。
図4Aの結果のまとめである。なお、注釈「*」は、コントロール抗体も反応性を失ったことを示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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