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公開番号2024037634
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-19
出願番号2022142598
出願日2022-09-07
発明の名称シール構造
出願人ダイハツ工業株式会社
代理人個人
主分類F16D 3/84 20060101AFI20240312BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】外部からの異物の侵入を抑制しつつプロペラシャフトに容易に組み付けることが可能な等速ジョイントのシール構造を提供する。
【解決手段】等速ジョイント3のシール構造1であり、プロペラシャフト2の外周側を覆うブーツ10を備え、ブーツ10は、バンド締結部15と、ブーツリップ部20と、バンド締結部15及びブーツリップ部20に対して軸線方向の中間に形成された中間部25と、等速ジョイント3の内部と外部とを連通する通気部30とを備える。通気部30は、バンド締結部15に形成されたバンド締結部側通気路31と、中間部25に形成された中間部通気路32と、ブーツリップ部20に形成されたブーツリップ部側通気路33とを備え、バンド締結部側通気路15とブーツリップ部側通気路33とが、プロペラシャフト2の周方向に異なる角度で配されていることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
プロペラシャフトに用いられる等速ジョイントのシール構造であって、
前記プロペラシャフトの外周側を覆うブーツを備え、
前記ブーツは、
外周側から締め付けることにより前記プロペラシャフトと締結するバンド締結部と、
前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って延びるように形成されると共に、前記プロペラシャフトの外周側を覆うブーツリップ部と、
前記バンド締結部及び前記ブーツリップ部に対して前記軸線方向の中間に形成された中間部と、
前記等速ジョイントの内部と外部とを連通する通気部と、
を備え、
前記通気部は、
前記バンド締結部が設けられた位置において、前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って形成されたバンド締結部側通気路と、
前記中間部が設けられた位置に形成された中間部通気路と、
前記ブーツリップ部が設けられた位置において、前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って形成されたブーツリップ部側通気路と、
を備え、
前記バンド締結部側通気路と前記ブーツリップ部側通気路とが、前記プロペラシャフトの周方向に異なる角度で配されていること、を特徴とするシール構造。
続きを表示(約 170 文字)【請求項2】
前記ブーツリップ部側通気路は、
前記中間部通気路に向けて開口した内部側開口端と、
前記ブーツリップ部の外部側に向けて開口した外部側開口端と、
を有しており、
断面視において、前記内部側開口端から前記外部側開口端に向かうにつれ縮径されていること、を特徴とする請求項1に記載のシール構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シール構造に関する。さらに詳しくは、プロペラシャフトに用いられる等速ジョイントのシール構造に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、各種の車両にプロペラシャフトが用いられている。前記プロペラシャフトは、FR(Front engine Rear drive)方式の後輪駆動車や、フルタイム4WDやパートタイム4WD等の四輪駆動車等に用いられている。前記プロペラシャフトは、例えば前方側のエンジン等からの駆動力を後方側の駆動輪(後輪)に伝達するものとして利用されている。ここで、前記プロペラシャフトは、エンジンから駆動輪に亘ってシャフトが到達するように複数のシャフトを等速ジョイントで連結することで延長されている。また、等速ジョイントは、シャフト間の相対的な移動を吸収するものとされている(例えば、特許文献1)。
【0003】
前記等速ジョイントは、内部のグリスが外部に漏れることを抑制しつつ、外部からの異物の侵入を抑制するために、シール部材としてのブーツが設けられている。ここで、前記ブーツは、気密性を高めた場合、等速ジョイントをプロペラシャフトに組み付ける際に、等速ジョイント内部の内圧が高まって抵抗となり組み付けが困難となる問題があった。
【0004】
また、前記ブーツは、プロペラシャフトの回転に伴って等速ジョイントの内圧が高まることで変形する問題があった。そのため、上記特許文献1に記載の等速ジョイントは、等速ジョイントの内圧の高まりを抑制するため、等速ジョイント内部の膨張した空気を外部に漏洩させる通気路が形成されている。前記通気路は、ブーツにおける締付バンドの締結部(装着部に相当)の内壁に通気溝として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
実開平7-44969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の等速ジョイントは、通気路が等速ジョイントの外部と直線的に連通しているため、等速ジョイント内部のグリスが外部に漏れ出したり、等速ジョイントの内部に異物(水を含む)等を吸い込んだりする問題があった。その結果、上記特許文献1に記載の等速ジョイントは、寿命が低下する懸念があった。また、上記特許文献1に記載の等速ジョイントは、ブーツリップを採用した場合に、ブーツリップの締め代によって、気密性が高まるため、内圧の高まりを抑制できなくなる懸念があった。
【0007】
また、上記に代えて、ジョイントカップの底等に通気孔を設けた場合は、グリスが等速ジョイントから漏れる懸念があった。そのため、等速ジョイントや等速ジョイントに近接する部材(ダイナミックダンパー等)の寿命が低下する懸念があった。さらに、プロペラシャフトに通気孔を形成した場合は、プロペラシャフトの強度が低下する懸念があった。また、プロペラシャフトが細い場合は、加工が困難となる懸念があった。
【0008】
そこで、本発明は、外部からの異物の侵入を抑制しつつプロペラシャフトに容易に組み付けることが可能な等速ジョイントのシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のシール構造は、プロペラシャフトに用いられる等速ジョイントのシール構造であって、前記プロペラシャフトの外周側を覆うブーツを備え、前記ブーツは、外周側から締め付けることにより前記プロペラシャフトと締結するバンド締結部と、前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って延びるように形成されると共に、前記プロペラシャフトの外周側を覆うブーツリップ部と、前記バンド締結部及び前記ブーツリップ部に対して前記軸線方向の中間に形成された中間部と、前記等速ジョイントの内部と外部とを連通する通気部と、を備え、前記通気部は、前記バンド締結部が設けられた位置において、前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って形成されたバンド締結部側通気路と、前記中間部が設けられた位置に形成された中間部通気路と、前記ブーツリップ部が設けられた位置において、前記プロペラシャフトの軸線方向に沿って形成されたブーツリップ部側通気路と、を備え、前記バンド締結部側通気路と前記ブーツリップ部側通気路とが、前記プロペラシャフトの周方向に異なる角度で配されていること、を特徴とするものである。
【0010】
上述したシール構造は、通気部が、バンド締結部側通気路、中間部通気路、及びブーツリップ側通気路の3つの通気路に分けて形成されており、各通気路が一方向に沿って直線状とならないよう(例えば、各通気路が迷路状に配されたラビリンス構造)に配されている。すなわち、上述したシール構造は、等速ジョイントの内部側からの空気の抜けを確保した上で、等速ジョイントの外部側から内部側までの距離を長く設定できる。従って、等速ジョイントの内部側の圧力が高まることを抑制しつつ、等速ジョイントの外部側からの異物(水を含む)等の侵入を効果的に抑制できる。これにより、上述したシール構造は、等速ジョイントをプロペラシャフト等の軸に組み付ける際の等速ジョイント内の内圧の高まりを抑制できるので、組み付け時の作業性を向上できる。また、上述したシール構造は、等速ジョイントの外部側からの異物等の侵入を抑制できるので、等速ジョイントやプロペラシャフトの破損を抑制できる。
(【0011】以降は省略されています)

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