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公開番号2024031951
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-07
出願番号2023136186
出願日2023-08-24
発明の名称液体の浸透観察用模擬臓器及びその製造方法
出願人株式会社タカギセイコー,国立大学法人富山大学
代理人個人,個人
主分類G09B 23/28 20060101AFI20240229BHJP(教育;暗号方法;表示;広告;シール)
要約【課題】投与した液体が滞留可能で、その液体の浸透が観察可能な液体の浸透観察用模擬臓器及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】天然高分子のゲルで構成された液体の浸透観察用模擬臓器であって、前記天然高分子はコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上であり、前記ゲルは所定濃度の前記天然高分子にゲル化剤が配合され、前記ゲルが単層又は多層からなることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
天然高分子のゲルで構成された液体の浸透観察用模擬臓器であって、
前記天然高分子はコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上であり、前記ゲルは所定濃度の前記天然高分子にゲル化剤が配合され、前記ゲルが単層又は多層からなる、液体の浸透観察用模擬臓器。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記ゲルが単層からなり、前記天然高分子が11質量%~33質量%である、請求項1に記載の液体の浸透観察用模擬臓器。
【請求項3】
前記ゲルが少なくとも第1層と第2層を有する多層からなり、前記第1層と第2層はともに前記天然高分子が1質量%~33質量%で、かつ、前記天然高分子が第1層と第2層で所定の濃度差及び/又は所定の濃度比を有する、請求項1に記載の液体の浸透観察用模擬臓器。
【請求項4】
前記ゲル化剤は縮合剤及び/又は架橋剤であり、前記天然高分子10質量%に対して、前記縮合剤及び/又は架橋剤が0.01質量%~5質量%である、請求項1に記載の液体の浸透観察用模擬臓器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の液体の浸透観察用模擬臓器の製造方法であって、
人や動物の臓器の形状情報から形状モールドを作製する工程と、前記形状モールドに所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程とを有する、液体の浸透観察用模擬臓器の製造方法。
【請求項6】
前記形状モールド内に内部モールドを配置した後、所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程と、前記内部モールドを除去して空洞化又は前記内部モールドを除去した空洞部に所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程とを有する、請求項5に記載の液体の浸透観察用模擬臓器の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液体である薬液や細胞などの浸透観察用模擬臓器及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、医療技術の発展とともに、様々な模擬臓器が開発されている。
例えば、特許文献1の穿刺練習用模型は、模擬生体組織内に模擬血管としてチューブ被覆層で被覆されたチューブが配置され、この模擬血管が血管の穿刺抵抗の再現性に優れるとともに、チューブ内を流れる模擬血液の漏れを抑制しながら採血練習ができる。
特許文献2には、3Dプリンタを用いて製造された触感再現性の高い模擬臓器が開示されており、この模擬臓器でメス入れや縫合、注射針を刺す練習などが可能である。
【0003】
近年、臓器へ薬液や幹細胞などを直接投与する方法が注目されている。
例えば、注射針を使用せず体内へ薬液を投与できる無針注射器は、世界的にも普及しており、医療事故防止の観点からも利用が期待されているが、このようなデバイスの開発においても、投与した液体の内部拡散様相の観察は極めて重要である。
しかし、従来の模擬臓器では、投与した液体の浸潤様相が可視化できず、また注入した液体が逆流するなどの問題があり、上記特許文献1、2の模擬臓器においても、実際に薬液などの液体を模擬臓器に投与することは想定されていない。
そのため、投与した液体が漏れ出ずに滞留し、その浸透を観察できる新しい模擬臓器の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-039224号公報
特開2019-217770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、投与した液体が滞留可能で、その液体の浸透が観察可能な液体の浸透観察用模擬臓器及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る模擬臓器は、天然高分子のゲルで構成された液体の浸透観察用模擬臓器であって、前記天然高分子はコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上であり、前記ゲルは所定濃度の前記天然高分子にゲル化剤が配合され、前記ゲルが単層又は多層からなることを特徴とする。
例えば、前記ゲルが単層からなり、前記天然高分子が11質量%~33質量%であってもよい。
また、前記ゲルが少なくとも第1層と第2層を有する多層からなり、前記第1層と第2層はともに前記天然高分子が1質量%~33質量%で、かつ、前記天然高分子が第1層と第2層で所定の濃度差及び/又は所定の濃度比を有するものであってもよい。
例えば、上下に重なる第1層と第2層に対し、上層(の上面)から液体を投与する場合に、天然高分子の濃度が上層20質量%~30質量%で、下層7質量%~11質量%である、あるいは、天然高分子の濃度が上層4質量%~13質量%で、下層15質量%~30質量%であってもよく、このように第1層と第2層で濃度差を有してもよい。
また、天然高分子の濃度比が、上層:下層=2~3:0.75~1、あるいは、上層:下層=1~2.5:3~6であってもよい。
このように、模擬臓器が1つの層からなる単層ゲルで構成されてあってもよいが、臓器の内部硬さ分布を模擬しやすいように、弾力性の異なる複数の層からなる多層ゲルで構成されてあってもよい。
本発明において、前記ゲル化剤は縮合剤及び/又は架橋剤であり、前記天然高分子10質量%に対して、前記ゲル化剤が0.01質量%~5.0質量%であってもよい。
例えば、縮合剤がカルボジイミド系、ホスホニウム系、ウロニウム系及びトリアジン系からなる群から選択される1種以上であってもよい。
液体の浸透観察用模擬臓器の製造方法は、人や動物の臓器の形状情報から形状モールドを作製する工程と、前記形状モールドに所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程とを有してもよい。
これにより、臓器の表面形状を再現した模擬臓器を製造しやすい。
また、前記形状モールド内に内部モールドを配置した後、所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程と、前記内部モールドを除去して空洞化又は前記内部モールドを除去した空洞部に所定濃度の天然高分子とゲル化剤とを流し込んでゲル化させる工程とを有してもよい。
これにより、例えば、弾力性の異なる多層ゲルの模擬臓器を製造でき、より人などの臓器に近い硬度や形状等を再現しやすくなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る模擬臓器は、外部から投与した液体を模擬臓器内に滞留可能で、液体の浸透を目視で観察でき、臓器の弾力性の再現性にも優れる。
そのため、例えば、手術練習用及び/又は医療用ロボットの操作の習得用として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
作製例2の単層ゼラチンゲル(比較例4~7、実施例7~11)について、液体注入実験における注入後の正面及び側面の写真を示す。
作製例7の二層ゼラチンゲルの一例(実施例22)について、注入後の正面写真を示す。
作製例9の二層ゼラチン/ヒアルロン酸混合ゲル(実施例35)について、注入後の正面写真を示す。
作製例10の三層ゼラチンゲル(実施例36)について、液体注入実験における注入前及び注入直後の正面、注入後の平面、正面、側面及び拡散断面の写真を示す。
作製例2の単層ゼラチンゲルについて、各浸潤評価パラメータ((a)最大浸潤深さ、(b)拡散中心深さ、(c)拡散幅)を示す。
作製例4の単層ゼラチン/ヒアルロン酸混合ゲルのうち、低分子量ヒアルロン酸を混合した例について、各浸潤評価パラメータを示す。
作製例5のポリグルタミン酸添加単層ゼラチンゲルについて、各浸潤評価パラメータを示す。
作製例8の二層ゼラチンゲルのうち、下層がゼラチン15質量%である例について、各浸潤評価パラメータを示す。
作製例2の単層ゼラチンゲルについて、せん断応力測定結果を示す。
作製例3の単層ゼラチンゲルについて、せん断応力測定結果を示す。
作製例4の単層ゼラチン/ヒアルロン酸混合ゲルについて、せん断応力測定結果を示し、(a)は低分子量ヒアルロン酸、(b)は高分子量ヒアルロン酸を混合した例について示す。
作製例5のポリグルタミン酸添加単層ゼラチンゲルについて、せん断応力測定結果を示す。
作製例6のデキストラン添加単層ゼラチンゲルについて、せん断応力測定結果を示す。
形状モールドの内面側の写真を示し、(a)に心臓形状モールド、(b)に内部モールドを配置した心臓形状モールド、(c)に肝臓(体内)形状モールド、(d)に肝臓(葉開き)形状モールドを示す。
製造例1の心臓模擬臓器の写真を示す。
製造例2の心臓模擬臓器の写真を示す。
製造例3の体内形状の肝臓模擬臓器の写真を示す。
製造例4の葉開き状態の肝臓模擬臓器の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、液体の浸透観察用模擬臓器(以下、単に模擬臓器という)は、例えば注射器を利用して薬液や細胞などの液体を投与した際に、その液体の浸透を目視で観察できるものであり、好ましくは無針注射器を利用して注入した液体の浸透を観察できるものである。
無針注射器は、例えば噴射圧力3MPa~5MPa等の市販品の他に、これよりも穿孔圧力の低いもの、一度のセッティングで複数回穿刺可能なものなど、様々なものが想定される。
このような模擬臓器は、手術練習用や医療用ロボットの操作の習得用に使用可能である。
【0010】
本発明に係る模擬臓器は、人や動物の臓器が有する程度の弾力性を有することが好ましく、臓器としては、例えば脳、心臓、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓及び皮膚構造体における全体またはその一部などが挙げられる。
例えば、マウスの脳のせん断弾性率は0.5~1kPa(S.Budday.et al.、Towards microstructure-informed material models for human brain tissue、Acta Biomaterialia、104(2020)、p53-65参照)、人の皮膚の弾性率は0.3~2.6MPa(M.K.Jeong.et al.、Effect of the gel elasticity of model skin matrices on the distance/depth-dependent transmission of vibration energy supplied from a cosmetic vibrator、International Journal of Cosmetic Science、39(2017)、p42-48参照)であることが知られている。
また、本発明者らは、豚の腎臓、肝臓、脾臓、心臓のせん断応力がそれぞれ、60kPa~200kPa、35kPa~60kPa、5kPa~30kPa、25kPa~50kPaであることを実験で確認している。
なお、この確認実験は後述する実験2と同様の方法を用いたが、豚臓器の測定は組織にばらつきがあるために直径1mmのロッドを使用して実施した。
(【0011】以降は省略されています)

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