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公開番号2024026904
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-29
出願番号2020192871
出願日2020-11-19
発明の名称水分散体、これを含む塗液、この塗液を用いたフィルムの製造方法、及び水分散体を利用した機能性粒子製造方法。
出願人中京油脂株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 67/04 20060101AFI20240221BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】生分解性樹脂の水分散体には、経時安定性や接着性(ヒートシール性)の更なる向上が求められている。
【解決手段】生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、分散媒にはpH調整剤が含まれる、水分散体を提案する。
分散質におけるカルボジイミド化合物の配合割合は生分解性樹脂に対して質量比で0.6~5.5%とすることが好ましく、かつpH調整剤により分散媒のpHは4.0~8.0に調整されることが好ましい。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、
前記分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、
前記分散媒にはpH調整剤が含まれる、
水分散体。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記分散質における前記カルボジイミド化合物の配合割合は生分解性樹脂に対して質量比で0.6~5.5%であり、
前記pH調整剤により前記分散媒のpHが4.0~8.0に調整される、請求項1に記載の水分散体。
【請求項3】
前記カルボジイミド化合物は多価カルボジイミド化合物であり、
前記pH調整剤は水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである、請求項2に記載の水分散体。
【請求項4】
前記生分解性樹脂はポリ乳酸を含む、請求項1~3のいずれかに記載の水分散体。
【請求項5】
前記分散媒に部分ケン化型ポリビニルアルコールが更に含まれ、該ポリビニルアルコールの水に対する配合割合は質量比で2.0~10.0%である、請求項1~4のいずれかに記載の水分散体。
【請求項6】
前記分散質には可塑剤が更に含まれる、請求項1~5のいずれかに記載の水分散体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の水分散体を含む、塗液。
【請求項8】
請求項7に記載の塗液を準備するステップと、
該塗液を基体に塗工するステップと、
該塗液を乾燥するステップと、を含む、生分解性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の水分散体を準備するステップと、
肥料、農薬その他の機能粒子の表面へ前記水分散体の膜を形成するステップと、
前記水分散体から水を除去するステップと、
を備える徐放性機能粒子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は水分散体、これを含む塗液、この塗液を用いたフィルムの製造方法、及び水分散体を利用した機能性粒子製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
生分解性樹脂を含んだ粒子を分散質として、これを水系の分散媒に分散させた水分散体(以下、単に「水分散体」ということがある)が知られている。
水に分散された生分解性樹脂はそれ自体が加水分解されるので、かかる水分散体を工業的に利用するためには、運搬や保管に要する時間を考慮して、生分解性樹脂の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)を抑制する必要がある。
生分解性樹脂の分子量低下抑制剤としてカルボジイミド化合物が広く知られている(特許文献1)。例えば、生分解性樹脂がポリ乳酸の場合、カルボジイミド化合物は、加水分解後のポリ乳酸の末端(カルボン酸)と反応し架橋剤として働くことで、ポリ乳酸の分子量低下(酸価数の上昇)を抑制することができる。更に、ポリ乳酸が加水分解した際に生じる分解物(カルボン酸)はポリ乳酸に対する加水分解の触媒として機能するため、カルボジイミド化合物がその分解物(カルボン酸)と反応することで、加水分解の促進を抑制することができる。上記2点より、カルボジイミド化合物は、生分解性樹脂(ポリ乳酸などのポリエステル樹脂)の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)を抑制することができる。また、特許文献2には、かかるカルボジイミド化合物を水分散体に適用した例が記載されている。
特許文献3にも、水分散体の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)の抑制を目的としてカルボジイミド化合物を用いる例が記載されている。また、この特許文献3には、水分散体の経時安定性や得られる被膜の接着性を高める目的で水系の分散媒のpH調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第3776578号公報
特許第4077670号公報
特開2004-331847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる生分解性樹脂の水分散体には、経時安定性の更なる向上が求められている。
ところで、水分散体の分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加した例は、本発明者らの知る限りにおいて、存在しない。
つまり、生分解性樹脂からなる分散質へカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系分散媒にpH調整剤を添加してなる水分散体がいかなる特性を備えるものか、本願発明前には不明であった。
換言すれば、かかる水分散体によれば、カルボジイミド化合物の奏する作用とpH調整剤が奏する作用が、ともに引き出されるのか、更には相乗的な効果が得られるのか、又はこれら効果が相殺されるのか、予断できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加してなる水分散体を調製し、その特性を調べた。
その結果、当該水分散体によれば経時安定性が向上することを突き止めた。
他方、本発明者らは特定のカルボジイミド化合物を選択することにより、pH調整剤が無くとも、水分散体の経時安定性を6ヶ月まで維持できることを見出している。より具体的には、カルボジイミド化合物としてカルボジイミド変性イソシアネート化合物を選択し、分散質においてこのカルボジイミド化合物を生分解性樹脂に対して0.6~5.5質量%配合している。
【0006】
かかる水分散体の水系分散媒へpH調整剤を添加して、分散媒のpHを4.0~8.0にすると、経時安定性が3/2倍となり、8カ月経過後まで生分解性樹脂の加水分解に伴う酸価数の上昇を抑制できた。
図1に、各種水分散体とその経時安定性を示す。生分解性樹脂(ポリ乳酸)が加水分解されると酸(カルボン酸)が生成するので、加水分解が進むにつれて水分散体の酸価数が大きくなる。図1では、水分散体を作製した日からの経過時間を横軸に、水分散体の酸価数の変化を縦軸に示している。
図1の結果から、カルボジイミド化合物を分散質に添加したが、pH調整剤を水系分散媒に添加しない比較例2は、カルボジイミド化合物を分散質に添加せずかつpH調整剤を水系分散媒に添加しない(比較例1)に比べ、当初より加水分解に伴う酸価数の上昇が抑制され、かつその抑制効果は6ヶ月を経過しても維持されていることがわかる。
カルボジイミド化合物を分散質に添加せず、他方pH調整剤を水系分散媒に添加した比較例3は、既述の比較例1に比べ、当初は加水分解に伴う酸価数の上昇が抑制されているものの、短い時間で酸価数上昇の抑制効果が消失し、8カ月を経過した時点で比較例1と同等の酸価数となってしまう。
【0007】
このように、分散質として生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を配合したものを用い、かつpH調整剤を水系分散媒に添加すると、6ヶ月を経過しても加水分解に伴う酸価数の上昇が促進されることはなく、酸価数上昇の抑制が8カ月を経過しても維持されていることがわかる(実施例2、10)。
更には、実施例2、10では、各比較例に比べて、当初より酸価数が抑制されていることもわかる。
【0008】
以上のことを敷衍すれば、水分散体の分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加することで、カルボジイミド化合物の作用とpH調整剤の作用は、相殺されることなく、互いに引き出されることがわかる。換言すれば、専らカルボジイミド化合物による経時安定性の作用がpH調整剤により補強されると考えられる。
そこで、この発明の第1の局面を次のように規定した。即ち、
生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、
前記分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、
前記分散媒にはpH調整剤が含まれる、
水分散体。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は各種水分散体の経時安定性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
この発明の水分散体は分散質を水系の分散媒に分散させたものである。
<分散質>
ここに、分散質には生分解性樹脂、カルボジイミド化合物及びその他の助剤が含まれる。
生分解性樹脂としては、次のものが挙げられる。
ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、熱可塑性デンプン、ポリマレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリエチレンフラノエート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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