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公開番号
2025137079
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-19
出願番号
2024036074
出願日
2024-03-08
発明の名称
非晶質炭素膜上で細胞凝集塊を形成する条件を見出すための担体。
出願人
学校法人東京電機大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C12M
1/00 20060101AFI20250911BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明の課題は、細胞を非晶質炭素膜上で培養する際に、該細胞が細胞凝集塊を形成するのに適した非晶質炭素膜の形状を見出すことにある。
【解決手段】上記課題は、細胞が非晶質炭素(DLC)膜上で細胞凝集塊を形成する条件を見出すための担体であって、該担体の表面に独立したDLC膜が成膜されている領域を有し、該成膜領域が略三角形および/又は略台形であることを特徴とする担体を構成の一部に含む器具を用いて、該器具内の非晶質炭素膜表面上に細胞を播種及び維持することにより、成膜された非晶質炭素膜上において、該細胞が高頻度で細胞凝集塊を形成するのに好適な該炭素膜成膜領域幅を見出すことで解決する。即ち、該成膜領域幅の知見に基づき、該知見を見出した前記系と同一の細胞および同一の非晶質炭素膜を用いた、該成膜領域幅をもつ成膜領域を広範囲に設備する器具に応用することにより、該細胞の細胞凝集塊を高頻度で形成することが可能となる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
細胞が非晶質炭素(DLC)膜上で細胞凝集塊を形成する条件を見出すための担体であって、該担体の表面に独立したDLC膜が成膜されている領域を有し、該成膜領域が略三角形および/又は略台形であることを特徴とする担体。
続きを表示(約 270 文字)
【請求項2】
前記担体の成分がガラス及び/又は樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の担体。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかに記載の担体を構成の一部に含む器具。
【請求項4】
細胞が非晶質炭素(DLC)膜上で細胞凝集塊を形成する条件を見出すための方法であって、
略三角形および/又は略台形の形状に成膜されたDLC膜上に細胞凝集塊形成を誘導する細胞を培養すること、および、
培養を開始した一定期間後に細胞凝集塊が形成される領域を同定すること、
を含む、前記方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞が非晶質炭素膜上で細胞凝集塊を形成する条件を見出すための担体に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
非晶質炭素膜の1つのダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、ダイヤモンド構造に対応するsp
3
結合を有する炭素と、グラファイト構造に対応するsp
2
結合を有する炭素が不規則に混在し、一部の炭素原子が水素終端されたアモルファス構造の膜である。高硬度・低摩擦、表面が不活性といった特性を有するため、金属やセラミックス等の無機材料及び高分子樹脂等の有機系材料等からなる基材表面のコーティング材として利用することにより、基材表面に耐摩耗性、耐蝕性及び摺動性等の性質をもたらすことが知られている。
【0003】
非晶質状炭素膜は更に生体適合性や化学的安定性といった特性も有することから、医療用デバイスへの表面改質手段としても期待されている。即ち、これらの特性に加え、上記の様に、金属、セラミック、高分子樹脂など、様々な材にコーティングすることで表面硬度や摺動性が向上するため、例えばインプラント(特許文献1)、ステント(特許文献2)やカテーテル(特許文献3)への応用が提案されている。
【0004】
一概に非晶質炭素膜と言っても、その成膜手法によって基本物性(sp
3
構造:ダイヤモンド構造由来構成量、sp
2
構造:グラファイト構造由来構成量、H:水素含有量)が異なる。具体的には該基本物性に基づき、ta-C、ta-C:H、a-C、a-C:H、polymer、graphiticに分類され、これらによって基本的な表面機能が決定される。また、非晶質炭素膜はこれまで、膜全体に対する巨視的な分析によって評価されてきたが、個々の非晶質炭素膜においても、該膜を構成する表面層、バルク層、基板界面層それぞれにおいて、成膜手法によって膜特性が異なることが明らかになっている。これに加えて、非晶質炭素膜は、フッ素、窒素、銀などの第3元素をドープすることにより、更に複雑な膜特性の差異を実現することが可能である。このように、非晶質炭素膜は、その成膜手法やドープの有無などによって、様々な特性を有した膜を成膜出来るため、対象となる非晶質炭素膜が、ある特定の特性、とりわけ、生体由来物質との親和性に基づくバイオインターフェースとしての特性が如何程であるかを簡便かつ再現性よく判定することが出来るのであれば、非晶質炭素膜を産業上利用する上で、大変有用である。
【0005】
これまで、非晶質炭素膜のバイオインターフェースとしての特性を示す指標としては、生体適合性や生体親和性といった、生体由来物質との良好な接合や接着を可能にし得るか、という視点が中心であった。しかしながら、近年、斯様な細胞親和性とは別に、細胞凝集性という新しい概念が提唱されてきている。細胞凝集性とは細胞凝集塊を形成する特性である。細胞凝集塊とは、分散していた細胞が集合して形成された塊であって、細胞同士が接着している塊をいう。細胞塊、胚様体(Embryoid body)、スフェア(Sphere)、スフェロイド(Spheroid)と呼称されるものも細胞凝集塊に包含される。昨今、注目を集めているES細胞やiPS細胞等に代表される多能性幹細胞を人工的に増殖する際にも、該幹細胞は細胞凝集塊を形成することが知られており、斯様な細胞凝集塊の形成を誘導する機能は、従来、活用されている細胞親和性と一線を画す、バイオインターフェースに求められる新しい特徴として注目を集めつつある。
【0006】
多能性幹細胞は、無限に増殖できる能力と、様々な細胞に分化する能力を有していることから、再生医療における難治性疾患や生活習慣病等に対する根本的治療法として脚光を浴びているが、実用化に向けて大きな障害となるのが、細胞生産の問題である。一般に臓器再生を行うには大量の細胞が必要となる為、従来の平面基板表面での二次元的培養では細胞供給方法として現実的ではない。
この問題を解決する上で、二次元的培養上で細胞を積極的に凝集させ、細胞凝集塊の形で三次元的に培養に移行させる方法や専用の器材等が開発されている。しかしながら、従来の細胞凝集塊形成用器材は、単に細胞が接着しにくい材料を利用した成形品が主流であり( 特許文献4及び5 )、この為、細胞接着性が過度に低いことに起因するアポトーシスによる細胞死等により、効率的な細胞凝集塊の形成を実現できないという問題が生じている。
【0007】
これまで、発明者らは、非晶質炭素膜の有する細胞凝集性の指標を確立する目的で、成膜手法の異なる様々な種類の非晶質炭素膜を用いて、該炭素膜それぞれの細胞凝集性を評価すると共に、非晶質炭素膜の基本構造を反映させる指標の中で、細胞凝集性と関連する可能性のあるものを中心に測定を行うことで、両者の相関性について鋭意研究を行ってきた結果、非晶質炭素膜における特定の物理学的指標と、細胞凝集の定量的特性との間に相関性を見出した(特許文献8)。更に発明者らは、細胞凝集性を含む、細胞に対する非晶質炭素膜の有する特性に基づく効果差異を、該細胞の偶発的な培養環境の相違の影響を受けることなく、定性的な形状観察及び/又は定量的な計数等により、簡便且つ再現性高く評価することを可能にする、即ち、同一培養条件で同時に複数の非晶質炭素膜環境での評価を行い得る系を確立した(特許文献9)。
【0008】
具体的には、ガラス等を材質とするカバーグラス表面上に、一定間隔の格子状に非晶質炭素膜を成膜した後、該表面に対し単一種の細胞を均一に播種し、カバーグラスごと1穴の細胞培養容器内にて一定期間細胞培養を行った。更に、該格子状の成膜領域を、異なる成膜条件由来の複数種の非晶質炭素膜によって構成することで、同一細胞培養容器内における各種炭素膜の特性の相違による接着細胞の挙動比較を可能とした(特許文献9)。
該器具を用いることにより、成膜条件の異なる非晶質炭素膜が格子状に隣接した近接領域に成膜され、異なる炭素膜上であることを除いてはほぼ同一培養環境下での培養細胞間の静的な差異を同時に観察することが可能となった。これに加えて、発明者らは、該器具における培養細胞を経時的に観察することにより、細胞が接着および/又は増殖を繰り返す過程において、より好ましい膜環境を求めて移動していく動的な性状を見出すに至った。これにより、いずれの成膜条件に係る非晶質炭素膜表面が、対象となる細胞にとって、接着性及び/又は増殖性等においてより好適な環境であるか、をより明確に判定することが出来る様になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2014-4166
特開2010-280636
特開2008-245883
国際公開第2 0 1 3 / 0 9 9 9 0 1 号パンフレット
国際公開第2 0 1 3 / 0 2 2 0 8 5 号パンフレット
特開2019-030260
特表2007-508816
特開2022-77545
特開2023-119382
【非特許文献】
【0010】
大竹 尚登ら他2名、2012年発行、NEW DIAMOND Vol.28、No.3、pp.12-18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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