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公開番号
2025103885
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-09
出願番号
2023221583
出願日
2023-12-27
発明の名称
自由エネルギーの計算方法
出願人
国立大学法人千葉大学
,
国立大学法人 新潟大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
G16B
15/00 20190101AFI20250702BHJP(特定の用途分野に特に適合した情報通信技術)
要約
【課題】親水性領域と疎水性領域を分子内又は分子ユニットに含むタンパク質についても結合自由エネルギーや水和自由エネルギー変化を高い精度で計算する自由エネルギーの計算方法、それに用いるプログラム、記録媒体、計算装置及びシステムを提供する。
【解決手段】計算装置を用いてタンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを計算する方法であって、タンパク質、リガンド及びタンパク質とリガンドとのタンパク質-リガンド複合体をそれぞれ溶質として仮定し、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値及び露出表面のガウス曲率の積分値を含む各溶質の形態指標に基づき、各溶質について5つの特定のパラメータを計算するステップと、各溶質の構造エネルギーと、各溶質の上記5つのパラメータに基づき、タンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを計算するステップと、を含む。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
計算装置を用いてタンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを計算する方法であって、
前記タンパク質、前記リガンド、及び前記タンパク質と前記リガンドとのタンパク質-リガンド複合体をそれぞれ溶質として仮定し、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、及び露出表面のガウス曲率の積分値を含む各溶質の形態指標に基づき、各溶質について下記5つのパラメータ:
(1)第1の水和エネルギー(|ε
1
|)である、第1パラメータ;
(2)絶対温度と、第1の水和エントロピーとの積(|TS
1
|)である、第2パラメータ;
(3)第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分(|ε
2,vdw
|)である、第3パラメータ;
(4)第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分(|ε
2,ES
|)である、第4パラメータ;及び
(5)絶対温度と、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分との積(|TS
2,ES
|)である、第5パラメータ;
を前記計算装置で計算するステップと、
各溶質の構造エネルギーと、各溶質の前記5つのパラメータに基づき、タンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを前記計算装置で計算するステップと、
を含んでなる、方法。
続きを表示(約 2,100 文字)
【請求項2】
前記各溶質における各々の分子構造パラメータに基づき、各溶質について前記形態指標を前記計算装置で計算するステップを更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形態指標に基づき、一般化ボルンエネルギーを前記計算装置で計算するステップを更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記5つのパラメータが下記数式:
JPEG
2025103885000023.jpg
79
170
(式中
ε
1
は、第1の水和エネルギーを示し、
S
1
は、第1の水和エントロピー変化を示し、
Tは、絶対温度を示し、
ε
2,vdw
は、第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分を示し、
ε
2,ES
は、第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分を示し、
S
2,ES
は、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分を示し、
V
ex
は、排除容積を示し、
Aは、露出表面積を示し、
Xは、露出表面の平均曲率の積分値を示し、
Yは、露出表面のガウス曲率の積分値を示し、
E
GB
は、一般化ボルンエネルギーを示し、
各Cは、各々同じであってもよいし、異なっていてもよい定数を示す)
により計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質が膜タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
計算装置を用いてタンパク質-リガンド複合体の形成に伴う水和自由エネルギー変化を計算する方法であって、
前記タンパク質、前記リガンド、及び前記タンパク質と前記リガンドとのタンパク質-リガンド複合体をそれぞれ溶質として仮定し、各溶質の分子構造パラメータに基づき、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、及び露出表面のガウス曲率の積分値を含む各溶質の形態指標を前記計算装置で計算するステップと、
各溶質の前記形態指標に基づき、各溶質について下記5つのパラメータ:
(1)第1の水和エネルギー(|ε
1
|)である、第1パラメータ;
(2)絶対温度と、第1の水和エントロピーとの積(|TS
1
|)である、第2パラメータ;
(3)第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分(|ε
2,vdw
|)である、第3パラメータ;
(4)第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分(|ε
2,ES
|)である、第4パラメータ;及び
(5)絶対温度と、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分との積(|TS
2,ES
|)である、第5パラメータ;
を前記計算装置で計算するステップと、
前記タンパク質-リガンド複合体における前記5つのパラメータの総和から、前記タンパク質における前記5つのパラメータの総和及び前記リガンドにおける前記5つのパラメータの総和を減じることにより、水和自由エネルギー変化を前記計算装置で計算するステップと、
を含んでなる、方法。
【請求項7】
前記形態指標に基づき、一般化ボルンエネルギーを前記計算装置で計算するステップを更に含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記5つのパラメータが下記数式:
JPEG
2025103885000024.jpg
80
170
(式中
ε
1
は、第1の水和エネルギーを示し、
S
1
は、第1の水和エントロピーを示し、
Tは、絶対温度を示し、
ε
2,vdw
は、第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分を示し、
ε
2,ES
は、第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分を示し、
S
2,ES
は、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分を示し、
V
ex
は、排除容積を示し、
Aは、露出表面積を示し、
Xは、露出表面の平均曲率の積分値を示し、
Yは、露出表面のガウス曲率の積分値を示し、
E
GB
は、一般化ボルンエネルギーを示し、
各Cは、各々同じであってもよいし、異なっていてもよい定数を示す)
により計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質が膜タンパク質である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項1または6に記載の方法を計算装置に実行させるためのプログラム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、自由エネルギーの計算方法、それに用いるプログラム、記録媒体、計算装置及びシステムに関する。より詳細には、本開示は、結合自由エネルギーまたは水和自由エネルギーの計算方法、それに用いるプログラム、記録媒体、計算装置及びシステムに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、創薬ターゲットとして、標的タンパク質(遊離しているタンパク質、膜タンパク質等)や、それに対するリガンドが広く研究されている。創薬においては、標的タンパク質-リガンド間の結合親和性を予測することが重要である。そして、上記結合親和性は、標的タンパク質とリガンドの結合前後における自由エネルギーの変化(結合自由エネルギー)と相関することが知られている。
【0003】
一方、結合親和性や結合自由エネルギーの研究には、膨大な費用と労力がかかることが以前から問題視されてきた。そのため、創薬に要する膨大な費用や労力等を削減する観点から、近年、コンピュータ等の計算装置を用いて結合自由エネルギーの予測値を計算する方法が種々検討されている。
【0004】
コンピュータ等の計算装置を用いた計算方法の中でも、分子動力学シミュレーションを用いた「自由エネルギー摂動法(又は熱力学的積分法)+分子動力学シミュレーション」が結合自由エネルギーや、その計算のカギとなる水和自由エネルギー又はリガンド結合前後における水和自由エネルギー変化を精度よく予測できる理論として主流であり(非特許文献1、2)、それの改良や計算時間の短縮という観点からの検討が行われている。また、分子動力学シミュレーションとエネルギー表示による溶液理論を組み合わせたエネルギー表示法(非特許文献3)を結合自由エネルギー計算に適用する試みも行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Laura Perez-Benito,et al.,Scientific Reports,8,2018,4883,DOI:10.1038/s41598-018-23039-5
Arjun Saha,et al.,Journal of Chemical Theory and Computation,14,2018,5815-5822,DOI:10.1021/acs.jctc.8b00672
Nobuyuki Matubayashi,et al.,Journal of Chemical Physics,112,18,2000,8089-8109
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、自由エネルギー摂動法(又は熱力学的積分法)+分子動力学シミュレーションやエネルギー表示法は、膜タンパク質のように親水性領域と疎水性領域を分子内又は分子ユニットに含むタンパク質に対して適用した場合もさることながら、水溶性タンパク質に対して適用した場合ですら、計算コストが高くなる等の理由により実用的ではなかった。
【0007】
したがって、本開示は、親水性領域と疎水性領域を分子内又は分子ユニットに含むタンパク質に対しても適用可能な、結合自由エネルギーや水和自由エネルギー変化等を計算可能な方法等を提供することを一つの目的とする。
【0008】
本開示者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、溶質の形態指標に基づいて計算される5つのパラメータから、結合自由エネルギーや水和自由エネルギー変化等を高い精度で計算することが可能であることを新たに見出した。
【0009】
本開示の一実施態様によれば、計算装置を用いてタンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを計算する方法であって、
上記タンパク質、上記リガンド、及び上記タンパク質と上記リガンドとのタンパク質-リガンド複合体をそれぞれ溶質として仮定し、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、及び露出表面のガウス曲率の積分値を含む各溶質の形態指標に基づき、各溶質について下記5つのパラメータ:
(1)第1の水和エネルギー(|ε
1
|)である、第1パラメータ;
(2)絶対温度と、第1の水和エントロピーとの積(|TS
1
|)である、第2パラメータ;
(3)第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分(|ε
2,vdw
|)である、第3パラメータ;
(4)第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分(|ε
2,ES
|)である、第4パラメータ;及び
(5)絶対温度と、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分との積(|TS
2,ES
|)である、第5パラメータ;
を上記計算装置で計算するステップと、
各溶質の構造エネルギーと、各溶質の上記5つのパラメータに基づき、タンパク質-リガンド間の結合自由エネルギーを上記計算装置で計算するステップと、
を含んでなる方法が提供される。
【0010】
また、本開示の一実施態様によれば、計算装置を用いてタンパク質-リガンド複合体の形成に伴う水和自由エネルギー変化を計算する方法であって、
上記タンパク質、上記リガンド、及び上記タンパク質と上記リガンドとのタンパク質-リガンド複合体をそれぞれ溶質として仮定し、各溶質の分子構造パラメータに基づき、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、及び露出表面のガウス曲率の積分値を含む各溶質の形態指標を上記計算装置で計算するステップと、
各溶質の上記形態指標に基づき、各溶質について下記5つのパラメータ:
(1)第1の水和エネルギー(|ε
1
|)である、第1パラメータ;
(2)絶対温度と、第1の水和エントロピーとの積(|TS
1
|)である、第2パラメータ;
(3)第2の水和エネルギーにおけるファンデルワールスポテンシャル成分(|ε
2,vdw
|)である、第3パラメータ;
(4)第2の水和エネルギーにおける静電ポテンシャル成分(|ε
2,ES
|)である、第4パラメータ;及び
(5)絶対温度と、第2の水和エントロピーにおける静電ポテンシャル成分との積(|TS
2,ES
|)である、第5パラメータ;
を上記計算装置で計算するステップと、
上記タンパク質-リガンド複合体における上記5つのパラメータの総和から、上記タンパク質における上記5つのパラメータの総和及び上記リガンドにおける上記5つのパラメータの総和を減じることにより、水和自由エネルギー変化を上記計算装置で計算するステップと、
を含んでなる方法が提供される。
(【0011】以降は省略されています)
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