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公開番号2025084810
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-03
出願番号2025025299,2021576076
出願日2025-02-19,2020-07-08
発明の名称テルペン化合物の制御された分解のための生体触媒法
出願人フイルメニツヒ ソシエテ アノニム,Firmenich SA
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 9/04 20060101AFI20250527BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】例えばアンブロックスなどの香水成分の製造のための出発物質として有用なテルペン分解生成物を製造する生体触媒法を提供する。
【解決手段】線状または環状のテルペン基質の制御された段階的な変換および分解を可能にする新規なタイプの完全に酵素的な多段階分解経路に適用することができる、新規なテルペン分解ポリペプチド(エナール開裂ポリペプチド)およびテルペン化合物を酸素化誘導体に変換する新規なペプチド(オキシゲナーゼ)ならびにそれらに由来する変異体およびバリアントが提供される。前述の新規な生合成戦略により、例えばマノオールオキシまたはγアンブロールのような価値あるテルペン由来の化合物を完全に生化学的に合成することが可能になる。本発明はまた、酵素的な変換および分解のステップの組み合わせを触媒するのに必要な一連の酵素の機能的な発現のために必須の一連の遺伝情報を有する組換え宿主生物を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
エナール開裂活性を有する単離されたポリペプチドであって、
(1)以下のものを含むポリペプチドの群:
a)Pfam ID番号PF14232を有する少なくとも1つのDUF4334タンパク質ファミリードメイン;および/または
b)Pfam ID番号PF14231を有する少なくとも1つのGXWXGタンパク質ファミリードメイン;または
c)PF14232もしくはPF14231と少なくとも90%の配列同一性を保持する少なくとも1つのドメイン
および/または
(2)それぞれのポリペプチドが、以下のものから選択される少なくとも1つの配列モチーフ/ドメインを含む、ポリペプチドの群:
配列番号205に示されるG-[Yもしくは-]-x-W-x-G-x-x-[F,LもしくはI]-x-[T,SもしくはR]-G-[HもしくはD];
配列番号206に示されるW-[Y,AもしくはV]-G-K-x-[FもしくはY]-x-[SもしくはD];
配列番号207に示される[GもしくはS]-x-[AもしくはG]-x-[LもしくはV]-x-x-x-x-[F,YもしくはL]-R-G-x-V;
配列番号208に示される[MもしくはL]-[VもしくはI]-Y-D-x-x-P-[IもしくはV]-x-D-[HもしくはS]-[FもしくはL];
(ここで、残基xは、互いに独立して、任意の天然アミノ酸残基を表す)
および/または
(3)以下のものから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの群:
a)配列番号34に示されるSCH94-3944;
b)配列番号38に示されるSCH80-05241;
c)配列番号42に示されるPdigit7033;
d)配列番号46に示されるPitalDUF4334-1;
e)配列番号49に示されるAspWeDUF4334;
f)配列番号53に示されるRhoagDUF4334-2;
g)配列番号56に示されるRhoagDUF4334-3;
h)配列番号59に示されるRhoagDUF4334-4;
i)配列番号62に示されるCnecaDUF4334;
j)配列番号69に示されるRins-DUF4334;
k)配列番号72に示されるCgatDUF4334;
l)配列番号75に示されるGclavDUF4334;
m)配列番号81に示されるTcurvaDUF4334;
n)配列番号87に示されるPprotDUF4334;および
o)a)~n)までのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みかつ下記の式(V)のテルペン前駆体を分解する前記酵素活性を保持するポリペプチド
から選択される、単離されたポリペプチド。
続きを表示(約 3,400 文字)【請求項2】
請求項1記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項3】
一般式IV
TIFF
2025084810000282.tif
41
169
[式中、


は、Hまたは低級アルキルを表し、


は、H、線状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和の、任意に置換されたヒドロカルビル残基、または残基Cyc-A-を表し、
ここで、
Cycは、任意に置換された、飽和または不飽和の、単環式または多環式のヒドロカルビル残基を表し、
Aは、化学結合、または任意に置換された直鎖もしくは分岐したアルキレン架橋を表し、


は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルを表す]の化合物を調製する生体触媒法であって、当該方法は、
(1)一般式V
TIFF
2025084810000283.tif
62
169
[式中、


、R

およびR

は、上記で定義したとおりであり、


は、Hまたは低級アルキルを表し、


は、Hまたは低級アルキルを表す]
の対応する非分解前駆体を、
エナール開裂活性を有するポリペプチドと接触させるステップであって、
ここで、式Vの前記化合物は、立体異性体的に本質的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として存在してもよい、ステップと、
(2)任意に、ステップ(1)で得られた式IVの前記分解生成物を単離するステップであって、ここで、式IVの前記化合物が、立体異性体的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として得られる、ステップと
を含む、方法。
【請求項4】
式Vのテルペン前駆体を適用し、
ここで、


は、Hまたはメチルを表し、


は、Hまたは
1~20個の炭素原子を有する非環状の、線状もしくは分岐状の、飽和もしくは不飽和のヒドロカルビル残基;または
環状基Cyc-A-であって、
ここで、
Aは、直鎖もしくは分岐したC

~C

-アルキレン橋を表し、Cycは、単環式もしくは多環式の、飽和もしくは不飽和のヒドロカルビル残基であって、1~10個の置換基で任意に置換されており、当該置換基は、C

~C

-アルキル、C

~C

-アルキリデン、C

~C

-アルケニル、オキソ、ヒドロキシ、またはアミノから独立して選択される、ヒドロカルビル残基を表し、
各R

は、Hを表し


は、Hまたはメチルを表し、


は、Hまたはメチルを表す、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
一般式Vの前記化合物がラブダン型構造を有し、かつ/またはCyc-Aが、式IIIa、IIIbまたはIIIc
TIFF
2025084810000284.tif
41
169
のうちの1つの残基を表す、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
エナール開裂活性を有する前記ポリペプチドが、請求項1で定義したポリペプチドから選択される、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ステップ(3)として、ステップ(1)で形成された、またはステップ(2)で単離された式IVの前記化合物を処理して、化学合成もしくは生体触媒合成、またはその両方の組み合わせを用いてその誘導体を得ることと、任意に、ステップ(4)として、ステップ(3)の前記誘導体を単離することとをさらに含み、ここで、前記誘導体は、特に、炭化水素、アルコール、ジオール、トリオール、アセタール、ケタール、アルデヒド、酸、エーテル、アミド、ケトン、ラクトン、エポキシド、アセテート、グリコシドおよび/またはエステルから選択され得る、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ステップ(3)が、ステップ(1)で形成された、またはステップ(2)で単離された式IVの前記化合物を、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ(BVMO)活性を有するポリペプチドで処理して、それぞれのカルボニルエステル(EC.1.13.14.-)を形成するようにし、任意に、前記カルボニルエステル化合物をエステラーゼ(EC3.1.1)で加水分解して対応する脱エステル化生成物を得ることと、任意に、ステップ(3)の前記誘導体を単離することとをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
エステル化合物を調製する生体触媒法であって、
(1)一般式I
TIFF
2025084810000285.tif
49
169
[式中、
「a」は、単結合または二重結合を表し、
「a」が二重結合を表す場合、「x」は1であるか、「a」が単結合を表す場合、「x」は2であり、


は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルを表し、


は、H、線状または分岐状の、飽和または不飽和の、任意に置換されたヒドロカルビル残基、または基Cyc-A-を表し、
ここで、
Cycは、任意に置換された、飽和または不飽和の単環式または多環式のヒドロカルビル残基を表し、
Aは、化学結合、または任意に置換された直鎖もしくは分岐したアルキレン架橋を表し、


は、互いに独立して、HまたはC

~C
15
のヒドロカルビル基、または低級アルキル基を表し、
「a」が単結合を表す場合、Zは、カルボニル基を含むヒドロカルビル残基を表し、
「a」が二重結合を表す場合、Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル基、もしくは末端カルボニル基を有するアルキリデン残基を形成するか、または
「a」が二重結合を表し、Zが、それが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成する場合、R

およびR

は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環式の、飽和もしくは不飽和の、任意に置換された炭素環式環基を形成してもよく、
ここで、一般式Iの前記カルボニル化合物は、立体異性体的に純粋な形態で提供されるか、または立体異性体の混合物として提供される]のカルボニル前駆体化合物を、
バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ(BVMO)(EC1.13.14.-)活性を有するポリペプチドと接触させて、それぞれのカルボニルエステルを形成するようにするステップと、
(2)ステップ(1)で形成された前記カルボニルエステルを任意に単離するステップであって、前記カルボニルエステル化合物は、立体異性体的に純粋な形態で、または立体異性体の混合物として得られる、ステップと
を含む、方法。
【請求項10】
一般式Iの前記カルボニル化合物において、
「a」は化学的二重結合を表し、Zは=Oもしくは=C(R

)-C(R

)=Oを表すか、または
「a」は化学的単結合を表し、Zは-C(R

)=Oを表し、
ここで、


およびR

は、互いに独立して、Hまたは低級アルキルを表す、請求項9記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書では、例えばアンブロックス(ambrox)などの香水成分の製造のための出発物質として有用なテルペン分解生成物を製造する生体触媒法が提供される。特に、線状または環状のテルペン基質の制御された段階的な変換および分解を可能にする新規なタイプの完全に酵素的な多段階分解経路に適用することができる、新規なテルペン分解ポリペプチド(エナール開裂ポリペプチド)およびテルペン化合物を酸素化誘導体に変換する新規なペプチド(オキシゲナーゼ)ならびにそれらに由来する変異体およびバリアントが提供される。前述の新規な生合成戦略により、例えばマノオールオキシ(manooloxy)またはγアンブロール(gamma ambrol)のような価値あるテルペン由来の化合物を完全に生化学的に合成することが可能になる。本発明はまた、酵素的な変換および分解のステップの組み合わせを触媒するのに必要な一連の酵素の機能的な発現のために必須の一連の遺伝情報を有する組換え宿主生物を提供する。
続きを表示(約 2,100 文字)【0002】
発明の背景
テルペン類は、ほとんどの生物(微生物、動物および植物)に見出される。これらの化合物は、炭素数5の単位、いわゆるイソプレン単位で構成されており、イソプレン構造に存在するこれらの単位の数によって分類される。したがって、ヘミテルペン類、モノテルペン類、セスキテルペン類およびジテルペン類は、それぞれ5個、10個、15個および20個の炭素原子(すなわち、1個、2個、3個および4個のイソプレン単位)を含有するテルペン類である。例えば、セスキテルペンは、植物界に広く存在する。多くのセスキテルペン分子は、それらのフレーバーおよびフレグランスの特性、ならびに化粧品、医薬品および抗菌性の作用で知られている。数多くのセスキテルペン炭化水素およびセスキテルペノイドが同定されている。
【0003】
テルペン類の生合成による製造には、テルペン合成酵素と呼ばれる酵素が関与している。これらの酵素は、非環状テルペン前駆体を1種以上のテルペン生成物に変換する。特に、ジテルペン合成酵素は、前駆体であるゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を環化してジテルペン類を生成する。GGPPの環化反応では、多くの場合、2つの酵素ポリペプチド、すなわちI型およびII型のジテルペン合成酵素が、2つの連続した酵素反応において組み合わせて機能する必要がある。II型のジテルペン合成酵素は、GGPPの末端二重結合のプロトン化によって開始されるGGPPの環化/転位を触媒し、環状のジテルペン二リン酸中間体をもたらす。次いで、この中間体は、イオン化開始環化を触媒するI型のジテルペン合成酵素によってさらに変換される。
【0004】
ジテルペン合成酵素は、植物または他の生物に存在し、GGPPなどの基質を使用するが、異なる生成物プロファイルを有する。ジテルペン合成酵素をコードする遺伝子およびcDNAがクローニングされ、対応する組換え酵素の特性が明らかにされている。
【0005】
テルペン二リン酸中間体、特にジテルペン類のコパリル二リン酸(CPP)またはラブダンジオール二リン酸(LPP)のような環状テルペン二リン酸中間体からの二リン酸基の特異的もしくは優先的な開裂または除去を触媒する酵素は、最近になって、先の欧州特許出願に記載されている(EP出願番号18182783.3)。前述の酵素によって、テルペン二リン酸の数または炭素原子は変化しない。
【0006】
しかしながら、非環状もしくは環状のセスキテルペン類またはジテルペン類などのテルペン前駆体の分解生成物とみなされ得るテルペン由来の化合物が必要であり、これらの化合物はさらに化学的および/または酵素的に最終生成物に変換され得、例えば香料成分として適用される。
【0007】
本発明が解決すべき課題は、酵素的なテルペン分解活性を示すポリペプチドまたはそのようなテルペン類を分解可能な誘導体に変換するポリペプチドを提供することである。
【0008】
本発明が解決すべき別の課題は、定義されたテルペン分解生成物を生成するための新規な完全生体触媒分解経路を確立することである。
【0009】
発明の概要
驚くべきことに、上述の課題は、炭素原子2個分が特異的に短縮されたカルボニル官能基化されたテルペン化合物とそれぞれの生体触媒プロセスとを初めて可能にするエナール開裂活性を有する新しいクラスのポリペプチドを提供することによって解決することができた。例えば、この新規なクラスの酵素により、ジテルペン炭素骨格を含みかつ末端のアルデヒド基を有するラブダン型化合物であるコパラール(copalal)を、炭素原子2個分が短縮された、すなわち炭素原子18個で構成された炭素骨格を維持する、それぞれのジノル-ラブダン型化合物であるマノオールオキシに変換することが可能になる。
【0010】
驚くべきことに、テルペン化合物のエステル類への特異的な酸化(バイヤー・ビリガー酸化)とそれぞれの生体触媒プロセスとを可能にするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ(BVMO)活性を有する新しいクラスのポリペプチドを提供することによって、代替アプローチにおける上述の課題も解決することができた。例えば、新規なクラスのBVMOにより、ジテルペン炭素骨格を有しかつ末端のアルデヒド基を有するラブダン型化合物であるコパラールを、それぞれのノルラブダン型ホルメートエステルに変換することが可能になる。前述のバイヤー・ビリガー酸化によって、ラブダン型化合物は、エステラーゼ活性を有するポリペプチドの作用により、それぞれのノルラブダンに容易に変換され得る。このステップでは、結果的に炭素原子1個分が短縮される。末端のアルデヒド基が末端のケト基で置き換えられている場合、同じ手法での短縮ではあるが、今度は1つ以上のカーボナート分の短縮が可能である。BVMO触媒による酸素化ステップとエステラーゼ触媒による開裂ステップとの組み合わせの反復により、テルペン分子の炭化水素鎖を段階的に短縮することが可能になる。
(【0011】以降は省略されています)

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