公開番号2025084751 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-06-03 出願番号2025016011,2021556373 出願日2025-02-03,2020-03-18 発明の名称SpyTag含有ペリプラズム融合タンパク質のプロテアーゼTSP及びOMPT分解からの保護 出願人バイオ-ラッド エービーディー セロテック ゲーエムベーハー 代理人弁理士法人南青山国際特許事務所 主分類C12P 21/02 20060101AFI20250527BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学) 要約【課題】ペリプラズム融合タンパク質を製造する方法、及び前記方法に使用する変異大腸菌株を提供する。 【解決手段】第1のタンパク質に付加、又は第1のタンパク質のアミノ酸配列内に埋め込まれた結合モチーフを含むペリプラズム融合タンパク質、ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸構築物、核酸構築物を含むベクター、及びペリプラズム融合タンパク質を製造する方法が提供される。また、ペリプラズム融合タンパク質を製造するためのプロテアーゼ欠損宿主細胞も提供される。 【選択図】なし 特許請求の範囲【請求項1】 ペリプラズム融合タンパク質を製造する方法であって、 培養培地中で前記ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含有するベクターで形質転換された変異大腸菌宿主細胞を培養し、前記ペリプラズム融合タンパク質を発現し、 前記変異大腸菌宿主細胞から前記ペリプラズム融合タンパク質を回収することを含み、 前記ペリプラズム融合タンパク質は、Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントに付加した結合モチーフを含み、 前記結合モチーフは、配列番号1(SpyTag)又は配列番号1(SpyTag)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれがSpyCatcher、SpyCatcher002、又はSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができ、 前記変異大腸菌宿主細胞は、 a)突然変異Tsp(尾部特異的プロテアーゼ)タンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、 b)前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は c)前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失、又は d)前記Tspプロテアーゼ活性を減少若しくは消失させる阻害剤若しくは不活性化剤、又はTspプロテアーゼ発現の阻害剤 を含み、 野生型大腸菌細胞と比較して、Tspタンパク質活性が低下又は消失している、方法。 続きを表示(約 4,500 文字)【請求項2】 ペリプラズム融合タンパク質を製造する方法であって、 培養培地中で前記ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含有するベクターで形質転換された変異大腸菌宿主細胞を培養し、前記ペリプラズム融合タンパク質を発現し、 前記変異大腸菌宿主細胞から前記ペリプラズム融合タンパク質を回収することを含み、 前記ペリプラズム融合タンパク質は、Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントに付加した結合モチーフを含み、 前記結合モチーフは、配列番号2(SpyTag002)若しくは配列番号2(SpyTag002)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、又は配列番号36(SpyTag003)若しくは配列番号36(SpyTag003)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれがSpyCatcher、SpyCatcher002、若しくはSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができ、 前記変異大腸菌宿主細胞は、 a)突然変異Tspタンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失、及び b)突然変異ompTタンパク質をコードするompT遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記ompTタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記ompT遺伝子若しくはompT遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記ompTタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失 を含み、 野生型大腸菌細胞と比較して、Tspタンパク質活性及びompTタンパク質活性が低下又は消失している、方法。 【請求項3】 ペリプラズム融合タンパク質を製造する方法であって、 培養培地中で前記ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含有するベクターで形質転換された変異大腸菌宿主細胞を培養し、前記ペリプラズム融合タンパク質を発現し、 前記変異大腸菌宿主細胞から前記ペリプラズム融合タンパク質を回収することを含み、 前記ペリプラズム融合タンパク質は、Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントに付加した結合モチーフを含み、 前記結合モチーフは、配列番号2(SpyTag002)若しくは配列番号2(SpyTag002)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、又は配列番号36(SpyTag003)若しくは配列番号36(SpyTag003)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれがSpyCatcher、SpyCatcher002、又はSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができ、 前記変異大腸菌宿主細胞は、 a)Tspプロテアーゼの阻害剤若しくは不活性化剤、又はTsp発現の阻害剤、及び b)ompTプロテアーゼの阻害剤若しくは不活性化剤、又はompT発現の阻害剤 を含み、野生型大腸菌細胞と比較して、Tspタンパク質活性及びompTタンパク質活性が低下又は消失している、方法。 【請求項4】 前記結合モチーフは、前記抗原結合フラグメントのC末端に、直接又はリンカー配列を介して、付加している、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記抗原結合フラグメントは、Fabである、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記変異大腸菌宿主細胞は、2019年1月8日に寄託されたDSM受託番号33004を有する変異体大腸菌TG1F-株である、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記変異大腸菌宿主細胞は、2019年1月8日に寄託されたDSM受託番号33005を有する変異体大腸菌TG1F-株である、請求項2に記載の方法。 【請求項8】 Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントと、配列番号1(SpyTag)又は配列番号1(SpyTag)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれの配列がSpyCatcher、SpyCatcher002、若しくはSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができる結合モチーフと、を含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含む、変異大腸菌 TG1、TG1F-、XL1 Blue、MC1061、SS320、BL21、JM83、JM109、HB2151、W3110、又はCmax5アルファ 株であって、 前記変異大腸菌株は、突然変異Tspタンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失を含み、野生型大腸菌株と比較して、Tspタンパク質活性が低下又は消失している、変異大腸菌株。 【請求項9】 a)Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントと、配列番号2(SpyTag002)又は配列番号2(SpyTag002)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれの配列がSpyCatcher、SpyCatcher002、若しくはSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができる結合モチーフと、を含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸、あるいは b)Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントと、配列番号36(SpyTag003)又は配列番号36(SpyTag003)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれの配列がSpyCatcher、SpyCatcher002、若しくはSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができる結合モチーフと、を含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸 を含む大腸菌 TG1、TG1F-、XL1 Blue、MC1061、SS320、BL21、JM83、JM109、HB2151、W3110、又はCmax5アルファ 株であって、 前記変異大腸菌株は、 a)突然変異Tspタンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失、及び b)突然変異ompTタンパク質をコードするompT遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる突然変異、又は、前記ompTタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記ompT遺伝子若しくはompT遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記ompTタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失 を含み、 野生型大腸菌株と比較して、Tspタンパク質活性及びompTタンパク質活性が低下又は消失している、変異大腸菌株。 【請求項10】 変異体大腸菌株であって、 a) Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントと、 配列番号1(SpyTag)又は配列番号1(SpyTag)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、それぞれの配列がSpyCatcher、SpyCatcher002、又はSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができる結合モチーフであって、前記抗原結合フラグメントに付加した当該結合モチーフと、 を含むペリプラズム融合タンパク質の発現のために、 突然変異Tspタンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失を含む変異体大腸菌株であって、 野生型大腸菌株と比較して、Tspタンパク質活性が低下又は消失した変異体大腸菌株、あるいは b) Fab、scFv、又はscFabを含む抗原結合フラグメントと、 配列番号2(SpyTag002)若しくは配列番号2(SpyTag002)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、又は配列番号36(SpyTag003)若しくは配列番号36(SpyTag003)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列をそれぞれ含み、それぞれの配列がSpyCatcher、SpyCatcher002、又はSpyCatcher003へのタンパク質ライゲーションを介する共有結合を形成することができる結合モチーフであって、前記抗原結合フラグメントに付加した、当該結合モチーフと、 を含むペリプラズム融合タンパク質の発現のために、 i)突然変異Tspタンパク質をコードするTsp遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記Tspタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記Tsp遺伝子若しくはTsp遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記Tspタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失、及び ii)突然変異ompTタンパク質をコードするompT遺伝子の突然変異であって、プロテアーゼ活性を低下若しくは消失させる当該突然変異、又は、前記ompTタンパク質の発現を低下若しくは消失させる前記ompT遺伝子若しくはompT遺伝子の調節配列の突然変異、又は、前記ompTタンパク質活性を低下若しくは消失させる細菌染色体の領域の1つ以上の欠失 を含む変異体大腸菌株であって、 野生型大腸菌株と比較して、Tspタンパク質活性及びompTタンパク質活性が低下又は消失した、変異体大腸菌株。 (【請求項11】以降は省略されています) 発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 関連出願を相互参照 本出願は、2019年3月18日出願の米国仮出願第62/819,758号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。 続きを表示(約 9,700 文字)【背景技術】 【0002】 いくつかの技術によって、特定の所定の部位でのポリペプチドの共有結合又はライゲーションが可能になっている。一例を挙げると、SpyTag/SpyCatcher(非特許文献22)システムであり、天然に存在するタンパク質における自然発生のイソペプチド結合形成の概念を用いて、1つのポリペプチドを別のポリペプチドに共有結合させている。このようなイソペプチド結合を含む Streptococcus pyogenes タンパク質FbaB由来のドメインは2つの部分に分かれる。1つの部分、SpyTag(配列番号1)は、自己触媒中心の一部(例えば、アスパラギン酸残基)を含む13アミノ酸ペプチドである。他の部分、SpyCatcherは、中心の他の部分(例えば、リジン)及び近接する触媒グルタミン酸塩又はアスパラギン酸残基を含む116アミノ酸タンパク質ドメインである。これらの2つのポリペプチドを混合することによって、自己触媒中心を回復し、イソペプチド結合の形成を導き、それによってSpyTagをSpyCatcherに共有結合的に連結する(非特許文献32)。さらなるエンジニアリングによって、わずか84のアミノ酸を有する短いSpyCatcher、最適化されたSpyTag002(配列番号2)及び反応の早いSpyCatcher002がもたらされた(全体が援用される非特許文献17及び非特許文献12)。さらなるエンジニアリングによって、拡散限界に近い反応による、別の最適化されたSpyTag003(配列番号36)及びSpyCatcher003がもたらされた(全体が援用される非特許文献13)。 【0003】 互いにライゲーションされる2つのポリペプチドは、典型的には、ポリペプチドが混合されると、イソペプチド結合が形成されるような、FbaBからの自己触媒中心の一部を有する各ポリペプチドとの融合タンパク質として製造される。例えば、SpyTagに連結された第1のポリペプチド及びSpyCatcherに連結された第2のポリペプチドは融合タンパク質として別々に製造され、そして第1及び第2のポリペプチドが一緒に混合されると、イソペプチド結合がSpyTagとSpyCatcherとの間で形成される。このタイプの融合タンパク質は、細菌中で製造される。多くの融合タンパク質は、細菌の細胞質において製造されるが、還元条件のために、ジスルフィド架橋タンパク質は、ジスルフィド結合を形成しないため、細胞質の還元環境において発現されるとき、適切に折り畳まれない。しかしながら、多くの重要なタンパク質の部類は、ジスルフィド結合を含んでいる。一例を挙げると、抗体フラグメントである。抗体Fv及びFabフラグメントの機能発現が、酸化条件を有し、ジスルフィド結合の形成を可能にする、大腸菌などのグラム陰性細菌のペリプラズムへの発現タンパク質鎖の輸送を指示することによって行われ(Plueckthum A、1990、Antibodies from Escherichia coli、Nature 347、497-498)、これが、抗体エンジニアリング分野への道を開いた。多くのSpyTag融合タンパク質の細菌組換え発現が、文献に記載されているが、それらはほとんどもっぱら細菌細胞質において発現していた(非特許文献13)。SpyTag融合タンパク質のペリプラズム細菌発現については、わずかな例しか存在せず(非特許文献4、非特許文献3)、収率は低いか、又は不明であった。非特許文献13、非特許文献4、及び非特許文献3は、その全体が援用される。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 米国特許第9,547,003号 米国特許出願第2003/0198956号 WO公報第2016/193746号 WO公報第2016/183387号 WO公報第2018/053180号 【非特許文献】 【0005】 IMGT definitions according to Lefranc M.-P.. De RK, Tomar N. Immunoinformatics of the V, C and G domains: IMGT (登録商標)definitive system for IG, TR and IgSF, MH and MhSF, Immunoinformatics: From Biology to Informatics, 2014, vol. 1184 2nd edition Springer, NY Humana Press (pg. 59-107) Abe, H., Rie, W., Yonemura, H., Yamada, S., Goto, M., and Kamiya, N., (2013), Split Spy0128 as a Potent Scaffold for Protein Cross-Linking and Immobilization. Bioconjugate Chem., 24(2), 242-250 Alam et al., 2017, Synthetic Modular Antibody Construction Using the SpyTag/SpyCatcher Protein Ligase System. Chembiochem. 18(22), 2217-2221 Alves, N.J., Turner, K.B., Daniele, M.A., Oh, E., Medintz, I.L., Walper, S.A., Bacterial nanobioreactors-directing enzyme packaging into bacterial outer membrane vesicles. ACS Appl Mater Interfaces, 2015; 7: 24963-24972 Berman HM, Westbrook J, Feng Z, Gilliland G, Bhat TN, Weissig H, Shindyalov IN, Bourne PE., 2000, The Protein Data Bank. Nucleic Acids Res. 28(1), 235-42 Brannon, J.R., Burk, D.L., Leclerc, J.M., Thomassin, J.L., Portt, A., Berghuis, A.M., Gruenheid, S., Le Moual H., 2015, Inhibition of outer membrane proteases of the omptin family by aprotinin. Infect Immun., 83:2300-2311 Buldun, C.M., Jean, J., Bedford, M.R., Howarth, M., 2018, SnoopLigase catalyzes peptide-peptide locking and enables solid-phase conjugate isolation. J Am Chem Soc. 140(8), 3008-3018 Datsenko, K.A. and Wanner, B.L., 2000, One-step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K-12 using PCR products. Proc Natl Acad Sci USA. 97 (12), 6640-6645 Ezkurdia I, Tress ML., 2011, Protein structural domains: definition and prediction. Curr Protoc Protein Sci. Chapter 2:Unit2.14. doi: 10.1002/0471140864.ps0214s66 Fierer, J.O., Veggiani, G., Howarth, M., 2014, SpyLigase peptide-peptide ligation polymerizes affibodies to enhance magnetic cancer cell capture. Proc Natl Acad Sci USA. 111:E1176-1181 Geller, B. L., 2005, Antibacterial antisense. Curr Opin Mol Ther, 7:109-113 Keeble, A.H., Banerjee, A., Ferla, M.P., Reddington, S.C., Khairil Anuar, I.N.A., Howarth, M., 2017, Evolving accelerated amidation by SpyTag/SpyCatcher to analyze membrane dynamics. Ange, Chem. Int. Ed. 56:16521-16525 Keeble, A. H., Howarth, M., 2019, Insider information on successful covalent protein coupling with help from SpyBank. Methods in Enzymology. 617: 443-461. doi.org/10.1016/bs.mie.2018.12.010 Keeble, A.H., Turkki, P., Stokes, S., Khairil Anuar, I.N.A., Rahikainen, R., Hyto-nen, V.P., Howarth, M., 2019, Approaching infinite affinity through engineering of peptide-protein interaction. Proc Natl Acad Sci USA. 116:26526-26533 Keiler, K. and Sauer, R., 1995, Identification of Active Site Residues of the Tsp Protease. J Biol Chem, 270 (48), 28864-28868 Knappik, A., Brundiers, R., 2009, Recombinant antibody expression and purification, In: Walker, J.M. editor. The Protein Protocols Handbook. 3rd edition.New York: Humana Press Inc., 1929-1943 Li et al., 2014, Structural analysis and optimization of the covalent association between SpyCatcher and a peptide Tag, J Mol Biol. 426(2), 309-17 Nguyen, G.K.T., Wang, S., Qiu, Y., Hemu, X., Lian, Y., Tam, J.P., 2014, Butelase 1 is an Asx-specific ligase enabling peptide macrocyclization and synthesis. Nat Chem Biol. 10:732-738 Pluckthun A., 1990, Antibodies from Escherichia coli. Nature 347, 497-498 Prouty, W.F., Goldberg, A.L., 1972, Effects of protease inhibitors on protein breakdown in Escherichia coli. J Biol Chem, 247:3341-3352 Qi, F. et al., 2018, Evolutionary analysis of polyproline motifs in Escherichia coli reveals their regulatory role in translation. PLoS Comput Biol. 14(2), e1005987 Reddington, S.C., Howarth, M., 2015, Secrets of a covalent interaction for biomaterials and biotechnology: SpyTag and SpyCatcher. Current Opinion in Chemical Biology. 29:94-99 Schmohl, L., Schwarzer, D., 2014, Sortase-mediated ligations for the site-specific modification of proteins. Current Opinion in Chemical Biology. 22:122-128 Siegmund et al., 2016, Spontaneous Isopeptide Bond Formation as a Powerful Tool for Engineering Site-Specific Antibody-Drug Conjugates. Scientific Reports. 6, 39291 Silber, K.R., Keiler, K.C., Sauer, R.T., 1991, Tsp: A tail-specific protease that selectively degrades proteins with nonpolar C termini. Proc Natl Acad Sci USA, 89:295-299 Tan et al. (2016). Kinetic Controlled Tag-Catcher Interactions for Directed Covalent Protein Assembly. PLoS ONE, 11(10), e0165074 Toplak, A., Nuljens, T., Quaedflieg, P.J.L., Wu, B., Janssen, D.B., 2016, Peptiligase, an enzyme foe efficient chemoenzymatic peptide synthesis and cyclization in water. Adv Synth Catal. 358:32140-32147 Veggiani, G. et al., 2016, Programmable polyproteams built using twin peptide superglues. Proc Natl Acad Sci USA 113:1202-1207 Waugh, D.S., 2016, Crystal structures of MBP fusion proteins. Protein Sci. 25:559-571 Wu, C., Leroux, J.C., Gauthier, M.A., 2012, Twin disulfides for orthogonal disulfide pairing and the directed folding of multicyclic peptides. Nat Chem. 4:1044-1049 Yumura, K. et al., 2017, Use of SpyTag/SpyCatcher to construct bispecific antibodies that target two epitopes of a single antigen. J Biochem. 162(3), 203-210 Zakeri, B. et al., 2012, Peptide tag forming a rapid covalent bond to a protein, through engineering a bacterial adhesion. Proc Natl Acad Sci USA. 109:E690-697 【発明の概要】 【課題を解決するための手段】 【0006】 第1のタンパク質(例えば、抗原結合フラグメント)に付加され、又は第1のタンパク質のアミノ酸配列内に埋め込まれた結合モチーフ(例えば、SpyTag、SpyTag002、又はSpyTag003)を含むペリプラズム融合タンパク質、ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸構築物、核酸構築物を含むベクター、及びこのようなペリプラズム融合タンパク質を製造する方法が提供される。また、ペリプラズム融合タンパク質を製造するための突然変異プロテアーゼ欠損大腸菌細胞も提供される。 【0007】 一実施形態において、ペリプラズム融合タンパク質は、第1のタンパク質に付加した、又は第1のタンパク質のアミノ酸配列内に埋め込まれた結合モチーフを含み、結合モチーフは、配列番号1、又は配列番号1と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態において、結合モチーフは、配列番号2又は配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、結合モチーフは、配列番号36又は配列番号36と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、結合モチーフは、第1のタンパク質のN末端又はC末端に、直接又はリンカー配列を介して、付加している。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質は、タンパク質構造ドメインである。特定の実施形態において、リンカー配列は、精製タグを含む。いくつかの実施形態において、結合モチーフは、配列番号1又は配列番号1と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含み、第1のタンパク質のC末端に、直接又はリンカー配列を介して、付加している。いくつかの実施形態において、結合モチーフは、タンパク質分解感受性がある。いくつかの実施形態において、結合モチーフは、タンパク質分解耐性がある。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質は、抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質は、抗原結合フラグメントであり、抗原結合フラグメントは、Fab、scFv、又はscFabである。いくつかの実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fabである。特定の実施形態において、ペリプラズム融合タンパク質は、結合モチーフのN末端又はC末端に付加した精製タグをさらに含む。特定の実施形態において、結合モチーフは、第1のタンパク質のC末端を第2のタンパク質のN末端に、又は第1のタンパク質のN末端を第2のタンパク質のC末端に連結するリンカー配列である。 【0008】 ペリプラズム融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物も提供される。核酸構築物を含むベクターも提供される。 【0009】 第1のタンパク質に付加した、又は第1のタンパク質のアミノ酸配列内に埋め込まれた結合モチーフを含むペリプラズム融合タンパク質を製造する方法も提供され、結合モチーフは、配列番号1又は配列番号1に対して少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含み、結合モチーフは、配列番号2又は配列番号2に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、又は結合モチーフは、配列番号36又は配列番号36に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、ペリプラズム融合タンパク質を発現するのに有効な条件下で、培養培地中で、ペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含むベクターで形質転換された大腸菌宿主細胞を培養し、大腸菌宿主細胞からペリプラズム融合タンパク質を回収することを含む。いくつかの実施形態において、大腸菌宿主細胞において発現される融合タンパク質の結合モチーフは、タンパク質分解耐性がある。特定の実施形態において、大腸菌宿主細胞において発現される融合タンパク質の結合モチーフは、タンパク質分解感受性がある。このような実施形態において、大腸菌宿主細胞は、1つ以上のペリプラズムプロテアーゼを欠損する変異細胞である。いくつかの実施形態において、本方法で使用される変異体大腸菌細胞は、プロテアーゼTsp(尾部特異的プロテアーゼ)をコードする機能的染色体遺伝子tspを欠損している。いくつかの実施形態において、方法で使用される突然変異体大腸菌細胞は、それぞれプロテアーゼTsp及びOmpT(外膜タンパク質T)をコードする機能的染色体遺伝子tsp及びompTを欠損している。 【0010】 また、プロテアーゼTspをコードする機能的染色体遺伝子tspを欠損する大腸菌TG1、TG1F-、XL1ブルー、MC1061、SS320、BL21、JM83、JM109、HB2151、W3110、又はCmax5アルファ株が提供される。いくつかの実施形態において、このような変異体大腸菌株は、結合モチーフを含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含み、結合モチーフは、配列番号1又は配列番号1と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含む。また、プロテアーゼTsp及びompTをコードする機能的染色体遺伝子tsp及びompTをそれぞれ欠損する大腸TG1、TG1F-、XL1ブルー、MC1061、SS320、BL21、JM83、JM109、HB2151、W3110、又はCmax5アルファ株も提供される。いくつかの実施形態において、このような変異体大腸菌株は、結合モチーフを含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含み、結合モチーフは、配列番号2又は配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態において、このような変異体大腸菌株は、結合モチーフを含むペリプラズム融合タンパク質をコードする核酸を含み、結合モチーフは、配列番号36又は配列番号36と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。 【図面の簡単な説明】 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する