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公開番号
2025081064
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-27
出願番号
2023194565
出願日
2023-11-15
発明の名称
老化細胞を可視化する遺伝子改変ラットの作製
出願人
帝人株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A01K
67/027 20240101AFI20250520BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】マウスよりも、ヒトの病態をより再現できる種であるラットを用いて、老化細胞を可視化する遺伝子改変ラットプラットフォームを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、p16遺伝子座エクソン1の開始コドンの直後又はp16遺伝子座エクソン3の終止コドンの直前に、Creリコンビナーゼをコードする遺伝子を含むターゲティングベクター、及び1種以上のレポーター遺伝子を含むターゲティングベクターが導入された、p16遺伝子発現により老化細胞を可視化するための非ヒト哺乳動物が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
p16遺伝子座エクソン1の開始コドンの直後又はp16遺伝子座エクソン3の終止コドンの直前に、Creリコンビナーゼをコードする遺伝子を含むターゲティングベクター、及び1種以上のレポーター遺伝子を含むターゲティングベクターが導入された、p16遺伝子発現により老化細胞を可視化するための非ヒト哺乳動物。
続きを表示(約 670 文字)
【請求項2】
エクソン1が、配列番号1に示される塩基配列を含む、請求項1に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項3】
エクソン3が、配列番号2に示される塩基配列を含む、請求項1に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項4】
Creリコンビナーゼをコードする遺伝子に核内移行タンパク質をコードする遺伝子が連結されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項5】
核内移行タンパク質が、ERT2、ERT、又はGRである、請求項4に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項6】
レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする遺伝子又は生物発光タンパク質をコードする遺伝子である、請求項1に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項7】
蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)からなる群から1種以上が選択される、請求項6に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項8】
生物発光タンパク質が、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼからなる群から1種以上が選択される、請求項6に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項9】
レポーター遺伝子に自殺遺伝子が連結されている、請求項1に記載の非ヒト哺乳動物。
【請求項10】
p16遺伝子の発現を伴うRFPからGFPの発光色変化として老化細胞を可視化するための、請求項7に記載の非ヒト哺乳動物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化細胞マーカーとして知られるp16遺伝子を発現した細胞特異的にレポーター遺伝子を発現させるための、一連の遺伝子改変ラットプラットフォームに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)
【背景技術】
【0002】
細胞老化は、ダメージを負った細胞の性質が変化し、細胞増殖を繰り返しガン化することを防ぐ、細胞に備わった防御機構である。細胞老化は細胞分裂の繰り返しによるテロメアの短縮や薬剤や紫外線、放射線によるDNAダメージの蓄積などによって引き起こされ、細胞増殖が停止する。この時に発現するマーカー遺伝子の一つとしてCDKN2A遺伝子から発現されるp16がある。この細胞老化を引き起こした老化細胞が加齢に伴い組織に蓄積し、老化細胞からSASPと呼ばれる炎症性サイトカインの分泌が引き起こされることで正常組織の機能が阻害され、このことが加齢に伴う組織の機能の低下、すなわち老化を引き起こす一因であるとされる。これに関して、老化細胞を除去した際に老化の表現型が緩和することもマウスを用いて示されており(非特許文献1、非特許文献2)、細胞老化の過程が注目されるようになった。
【0003】
マウスでは、受精卵のハンドリングのし易さや以前よりES細胞を使った遺伝子組換え技術が広く普及していることから、数多くの遺伝子組換えマウスのラインが樹立されている。このように広く大勢の研究者によって樹立されてきた遺伝子組換えマウスを実験目的に適した遺伝子組換えマウスの組み合わせを選択することにより、実験目的を達成する遺伝子組換えマウスを簡単に得ることができることがマウスを実験に用いる大きな利点の一つになっている。
【0004】
前述の通り、細胞老化への理解の重要性の高まりから、老化細胞を可視化するツールとして、p16遺伝子下でCre-ERT2を発現する遺伝子組換えマウスと、Creに反応して蛍光色が変化するものや細胞死が誘導される様々なレポーターマウスとの掛け合わせによる研究結果が相次いで発表されている(非特許文献3、非特許文献4)。マウスを用いた細胞老化研究結果から開発された細胞老化除去薬は臨床試験に進んでいるものもあるが、ヒトの変形性関節症を対象にした第2相試験では目標としたクライテリアを満たす薬効は見られなかった(非特許文献5)。この結果は、実験動物の不適合性が原因との考察もあり(非特許文献6)、ヒトの病態をより再現した実験動物プラットフォームでの、細胞老化の詳細な分子メカニズムを解析できるツールの重要性が増してきている。
【0005】
マウスと同じように実験動物として汎用されているものにラットがあり、マウスよりもサイズが大きく処置が容易なこと、採材時サンプリング量が多くその後の解析に供し易いことから、製薬企業の薬効試験などで頻用されている種である。一方、遺伝子組換え技術に関してはマウスのようにES細胞が早くから樹立されておらず、受精卵のハンドリングに関してもマウスよりも難易度が高く、受精卵の凍結胚の作製効率や体外受精効率などもマウスよりも低い。ゲノム編集技術CRISPR/Cas9が登場し、以前よりもラットでの遺伝子改変が容易にはなったものの、蓄積されてきた遺伝子改変体の種類の豊富さから、遺伝子組換えマウスを用いた基礎研究が今もなお主流となっている。
【0006】
ラットは身体のサイズが大きいことによる実験手技上のメリットだけでなく、マウスよりもヒトの病態に近い表現型を示す種としても知られている(非特許文献7)。例えば、ジストロフィン遺伝子中の突然変異に起因する、進行性の筋組織の破壊と筋力低下を特徴とするデュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、ジストロフィン遺伝子欠損マウスであるMdxマウスが古くからその病態モデルとして広く使われてきたが、ヒトの病態と同様、ジストロフィンタンパク質の発現が欠損しているにも関わらず、幼若期に筋損傷が部分的にみられるものの、その後筋損傷が修復され、病態が顕著に現れない、非常にマイルドな表現型を示すことが課題として認識されていた。テロメア伸長酵素を欠損したマウスでは、Mdxマウスであっても重篤な病態を示すようになることから(非特許文献8)、テロメア長が長く維持されたマウスでは再生能力が高く、ジストロフィン病態下でもヒトとは違い、重篤な病態を示さなかった可能性が考えられる。一方、ジストロフィン遺伝子欠損をラットで行うことにより、Mdxマウスよりもヒトに近い重篤な表現型が示されることが明らかとなった(非特許文献9)。またこのジストロフィン欠損ラットではp16が高発現に誘導されること、同時に老化細胞の出現が認められることも明らかとなっている(非特許文献10)。このことから、マウスを用いるよりもラットで細胞老化の過程を解析する方が、ヒトにより近い病態で基礎研究を実施することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Baker, D. J., et al., Nature, 479, 232-236, 2011
Baker, D. J., et al., Nature, 530, 184-189, 2016
Grosse, L., et al., Cell Metabolism, 32, 87-99, 2020
Omori, S., et al., Cell Metabolism, 32, 814-828, 2020
Osteoarthritis and Cartilage 29 (2021) S10eS432
日経BP社、抗加齢・老化制御最新医療/ビジネス総覧、2021年
Chenouard, V., et al., Front. Genet., 2021, doi: 10.3389/fgene.2021.615491
Mourkioti, F., et al., Nat. Cell Biol., 15, 895-904, 2013
Nakamura, K., et al., Sci. Rep., 4, 5635, 2014
Sugihara, H., et al., Sci. Rep., 19, 16385, 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、マウスでは各種レポーターを発現する遺伝子組換えマウスが複数手に入る状態であるが、ラットでは限定的なものしか存在せず、細胞老化を解析するのに適した種であったとしても、必要なレポーターを有した遺伝子改変ラットの入手又は作製は困難な状況であった。そこで、本発明は、マウスよりも、ヒトの病態をより再現できる種であるラットを用いて、老化細胞を可視化する遺伝子改変ラットプラットフォームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記実情に鑑み、本発明者らは、p16遺伝子座のエクソンの所定の位置に、Creリコンビナーゼをコードしている遺伝子をノックインした標的動物と、レポーター遺伝子をノックインした標的動物とを交配させることにより、p16遺伝子発現により老化細胞が可視化される非ヒト哺乳動物を作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]p16遺伝子座エクソン1の開始コドンの直後又はp16遺伝子座エクソン3の終止コドンの直前に、Creリコンビナーゼをコードする遺伝子を含むターゲティングベクター、及び1種以上のレポーター遺伝子を含むターゲティングベクターが導入された、p16遺伝子発現により老化細胞を可視化するための非ヒト哺乳動物。
[2]エクソン1が、配列番号1に示される塩基配列を含む、[1]に記載の非ヒト哺乳動物。
[3]エクソン3が、配列番号2に示される塩基配列を含む、[1]又は[2]に記載の非ヒト哺乳動物。
[4]Creリコンビナーゼをコードする遺伝子に核内移行タンパク質をコードする遺伝子が連結されている、[1]~[3]のいずれか1つに記載の非ヒト哺乳動物。
[5]核内移行タンパク質が、ERT2、ERT、又はGRである、[4]に記載の非ヒト哺乳動物。
[6]レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする遺伝子又は生物発光タンパク質をコードする遺伝子である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の非ヒト哺乳動物。
[7]蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)からなる群から1種以上が選択される、[6]に記載の非ヒト哺乳動物。
[8]生物発光タンパク質が、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼからなる群から1種以上が選択される、[6]に記載の非ヒト哺乳動物。
[9]レポーター遺伝子に自殺遺伝子が連結されている、[1]~[8]のいずれか1つに記載の非ヒト哺乳動物。
[10]p16遺伝子の発現を伴うRFPからGFPの発光色変化として老化細胞を可視化するための、[7]に記載の非ヒト哺乳動物。
[11]非ヒト哺乳動物がラットである、[1]~[10]のいずれか1つに記載の非ヒト哺乳動物。
[12]p16遺伝子座エクソン1の開始コドンの直後又はp16遺伝子座エクソン3の終止コドンの直前に、Creリコンビナーゼをコードしている遺伝子をノックインした標的動物と、1種以上のレポーター遺伝子をノックインした標的動物とを交配させることを含む、p16遺伝子発現により老化細胞が可視化される非ヒト哺乳動物を作製する方法。
[13]エクソン1が、配列番号1に示される塩基配列を含む、[12]に記載の方法。
[14]エクソン3が、配列番号2に示される塩基配列を含む、[12]又は[13]に記載の方法。
[15]ノックインがCRISPR/Cas9を用いて行われる、[12]~[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]Creリコンビナーゼをコードする遺伝子に核内移行タンパク質をコードする遺伝子が連結されている、[12]~[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]核内移行タンパク質が、ERT2、ERT、又はGRである、[16]に記載の方法。
[18]レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする遺伝子又は生物発光タンパク質をコードする遺伝子である、[12]~[17]のいずれか1つに記載の方法。
[19]蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)からなる群から1種以上が選択される、[18]に記載の方法。
[20]生物発光タンパク質が、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼからなる群から1種以上が選択される、[18]に記載の方法。
[21]レポーター遺伝子に自殺遺伝子が連結されている、[12]~[20]のいずれか1つに記載の方法。
[22]p16遺伝子の発現を伴うRFPからGFPの発光色変化として老化細胞を可視化するための、[19]に記載の方法。
[23]非ヒト哺乳動物がラットである、[12]~[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24][1]~[11]のいずれか1つに定義される老化細胞を可視化するための非ヒト哺乳動物を用いることを含む、老化を評価する方法。
[25][9]に定義される非ヒト哺乳動物にガンシクロビルを投与することを含む、老化細胞を除去する方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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