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公開番号2025072213
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-09
出願番号2023182814
出願日2023-10-24
発明の名称形質転換体及びそれを用いるm-アミノフェノールの製造方法
出願人公益財団法人地球環境産業技術研究機構,帝人株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C12N 1/21 20060101AFI20250430BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 m-アミノフェノールを生物学的に生産可能な形質転換体を提供する。
【解決手段】
一態様において、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子(A)と、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有する酵素をコードする遺伝子(B)とが発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体に関する。その他の態様において、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、シトクロムP450をコードするcyp遺伝子と、シトクロムP450レダクターゼをコードするcpr遺伝子と、脱炭酸酵素をコードするubiD遺伝子又はsdc遺伝子とが、発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体に関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、下記遺伝子(A)及び(B)が発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体。
(A)アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子。
(B)2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有する酵素をコードする遺伝子。
続きを表示(約 3,700 文字)【請求項2】
前記遺伝子(A)は、Aspergillus属、Cochliobolus属、Phanerochaete属、Neurospora属、及びRhodotorula属からなる群から選択される少なくとも一つの由来のものである、請求項1に記載の形質転換体。
【請求項3】
前記遺伝子(A)は、少なくとも、下記の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子と、下記の(A7)、(A8)及び(A9)からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子とを含む、請求項1に記載の形質転換体。
(A1)配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76又は配列番号77で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A2)配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76又は配列番号77で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子であって、遺伝子(A7)、(A8)又は(A9)によってコードされるポリペプチドと相俟って、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A3)配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76又は配列番号77で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、遺伝子(A7)、(A8)又は(A9)によってコードされるポリペプチドと相俟って、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A7)配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82又は配列番号83で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A8)配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82又は配列番号83で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子であって、遺伝子(A1)、(A2)又は(A3)によりコードされるポリペプチドに電子を供与する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A9)配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82又は配列番号83で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、遺伝子(A1)、(A2)又は(A3)によりコードされるポリペプチドに電子を供与する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
【請求項4】
前記遺伝子(A)は、少なくとも、下記の(A4)、(A5)及び(A6)からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子と、下記の(A10)、(A11)及び(A12)からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子とを含む、請求項1に記載の形質転換体。
(A4)配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13又は配列番号16で示される塩基配列を有する遺伝子;
(A5)配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13又は配列番号16で示される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有する遺伝子であって、遺伝子(A10)、(A11)又は(A12)によってコードされるポリペプチドと相俟って、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A6)配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13又は配列番号16で示される塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、遺伝子(A10)、(A11)又は(A12)によってコードされるポリペプチドと相俟って、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A10)配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31又は配列番号34で示される塩基配列を有する遺伝子;
(A11)配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31又は配列番号34で示される塩基配列を有する遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列を有する遺伝子であって、遺伝子(A4)、(A5)又は(A6)によりコードされるポリペプチドに電子を供与する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(A12)配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31又は配列番号34で示される塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、遺伝子(A4)、(A5)又は(A6)によりコードされるポリペプチドに電子を供与する機能を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
【請求項5】
前記遺伝子(B)は、Enterobacter属、Pantoea属、Escherichia属、Citrobacter属、Cutaneotrichosporon属、及びAureobasidium属からなる群から選択される少なくとも一つの由来のものである、請求項1に記載の形質転換体。
【請求項6】
前記遺伝子(B)は、少なくとも、下記の(B1)、(B2)及び(B3)からなる群から選択される遺伝子である、請求項1に記載の形質転換体。
(B1)配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93又は配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(B2)配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93又は配列番号94で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子であって、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(B3)配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93又は配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
【請求項7】
前記遺伝子(B)は、少なくとも、下記の(B4)、(B5)及び(B6)からなる群から選択される遺伝子である、請求項1に記載の形質転換体。
(B4)配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号64又は配列番号67で示される塩基配列を有する遺伝子;
(B5)配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号64又は配列番号67で示される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有する遺伝子であって、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(B6)配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号64又は配列番号67で示される塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であって、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
【請求項8】
アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、
シトクロムP450をコードするcyp遺伝子と、
シトクロムP450レダクターゼをコードするcpr遺伝子と、
脱炭酸酵素をコードするubiD遺伝子又はsdc遺伝子とが、
発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の形質転換体を培養してm-アミノフェノールを生産させる工程を含む、m-アミノフェノールの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、m-アミノフェノール生産技術に関する。
本開示は、一態様において、特定の遺伝子操作が施された形質転換体、及びこの形質転換体を用いたm-アミノフェノールの製造技術に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
m-アミノフェノール(CAS番号:591-27-5。3-アミノフェノール、3-アミノ-1-ヒドロキシベンゼン、3-ヒドロキシアニリンなども同義。)は、アラミド繊維の原料などに用いられる芳香族化合物である。
m-アミノフェノールの前駆体であるアントラニル酸(CAS番号:118-92-3。アントラニレート、2-アミノ安息香酸なども同義。)は、微生物による発酵法により、糖類から生産することもできる(例えば、特許文献1及び特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平5-94号公報
特表平6-500695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、m-アミノフェノールを生物学的に生産可能な形質転換体、及び当該形質転換体を用いてm-アミノフェノールを製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一態様において、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子(A)と、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有する酵素をコードする遺伝子(B)とが発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体に関する。
【0006】
本開示は、その他の態様において、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、シトクロムP450をコードするcyp遺伝子と、シトクロムP450レダクターゼをコードするcpr遺伝子と、脱炭酸酵素をコードするubiD遺伝子又はsdc遺伝子とが発現可能に導入されて得られる、m-アミノフェノールを製造するための形質転換体に関する。
【0007】
本開示は、その他の態様において、本開示の形質転換体を培養してm-アミノフェノールを生産させる工程を含むm-アミノフェノールの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、糖類を原料としてm-アミノフェノールを生物学的に生産可能な新たな形質転換体、及び当該形質転換体を用いたm-アミノフェノールの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本開示の形質転換体におけるm-アミノフェノール生成を模式的に示す図である。
図2は、本開示の形質転換体の一形態におけるm-アミノフェノールの生合成経路を説明するための全体代謝経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、アントラニル酸を水酸化して2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸を生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子(A)と、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸活性を有する酵素をコードする遺伝子(B)とを発現可能に導入することで、糖類を原料としてm-アミノフェノールを生物学的に生産可能な形質転換体が得られることを、本発明者らが見出したことに基づく。
また、本開示は、アントラニル酸産生能を有する微生物宿主に、シトクロムP450(cytochrome P450)をコードするcyp遺伝子と、シトクロムP450レダクターゼ(cytochrome P450 reductase、略称:CYP reductase、EC番号:EC 1.6.2.4)をコードするcpr遺伝子と、脱炭酸酵素をコードするubiD遺伝子又はsdc遺伝子とを発現可能に導入することで、糖類を原料としてm-アミノフェノールを生物学的に生産可能な形質転換体が得られることを、本発明者らが見出したことに基づく。
(【0011】以降は省略されています)

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