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公開番号2025082859
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196345
出願日2023-11-20
発明の名称抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類C08L 69/00 20060101AFI20250523BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】抗ウイルス性を発現しつつ耐衝撃性および帯電防止性に優れる抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)50～99重量部および(B)スチレン系樹脂(B成分)50～1重量部の合計100重量部に対し、(C)ポリエーテルエステルアミド(C成分)1～60重量部、(D)界面活性剤(D成分)0.2～30重量部並びに(E)タルク、マイカ、臭素含有芳香族化合物およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種(E成分)0.1～60重量部を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
（Ａ）ポリカーボネート系樹脂（Ａ成分）５０～９９重量部および（Ｂ）スチレン系樹脂（Ｂ成分）５０～１重量部の合計１００重量部に対し、（Ｃ）ポリエーテルエステルアミド（Ｃ成分）１～６０重量部、（Ｄ）界面活性剤（Ｄ成分）０．２～３０重量部並びに（Ｅ）タルク、マイカ、臭素含有芳香族化合物およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも１種（Ｅ成分）０．１～６０重量部を含むことを特徴とする樹脂組成物。
続きを表示（約 230 文字）【請求項２】
Ｂ成分がＡＢＳ樹脂、ＡＳ樹脂およびＭＢＳ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも１種のスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項１記載の樹脂組成物。
【請求項３】
Ｄ成分がアニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項１または２記載の樹脂組成物。
【請求項４】
抗ウイルス活性値が２．０以上である請求項１または２記載の樹脂組成物。
【請求項５】
請求項１または２記載の樹脂組成物よりなる成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。さらに詳細には、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテルエステルアミド、界面活性剤並びにタルク、マイカ、臭素含有芳香族化合物およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも１種よりなる抗ウイルス性に優れる抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
ポリカーボネート樹脂は、一般に優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性および難燃性といった優れた特性から機械部品、自動車部品、電気・電子部品および事務機器部品などの多くの用途に用いられている。近年、新型コロナウイルス（ＳＡＲＳ－Ｃｏｖ－２）のパンデミック（感染爆発）により、トイレなどの住宅設備、冷蔵庫、エアコンなどの家電、医療機器、コンビニエンスストアなどに設置されているＡＴＭ（現金自動預け払い機）、ＰＯＳ端末、携帯電話およびスマートフォンなど多種多様な用途に抗ウイルス性能を付与した材料が要求されている。また電気および電子部品などの用途については、埃の付着が少ない優れた帯電防止性が求められる。
【０００３】
ポリカーボネート樹脂に抗ウイルス性を付与する方法としては、無機系／有機系の抗ウイルス剤を添加する方法が開示されている（特許文献１および２）。しかし、抗ウイルス剤の高コスト、安全面および色味などの観点から実用には懸念がある。また、ポリ塩化ビニル樹脂およびアクリル系樹脂など加工温度の低い合成樹脂に対し、無機充填剤およびスルホン酸系の界面活性剤が担持された材料を用いることで着色性を抑えつつ抗ウイルス性が発現することが開示されている（特許文献３）。しかし、ポリカーボネート樹脂のように高い加工温度では、界面活性剤は十分な機能を果たすことができず、抗ウイルス性、ポリカーボネート樹脂本来の高い耐衝撃性および水拭き後の帯電防止性などの性能は不十分である。ポリカーボネート樹脂にポリエーテルエステルアミドを添加することにより、高い加工温度において、優れた機械特性および安定的な帯電防止性を有する添加が開示されている（特許文献４）。しかし、抗ウイルス性については不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２０２１－１８１２２７号公報
特開２０２１－１６５３０７号公報
特開２０１７－２１８５１６号公報
特開平１０－１０１９２１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記に鑑み、本発明の目的は、抗ウイルス性を発現しつつ耐衝撃性および安定的な帯電防止性に優れる抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート系樹脂にスチレン系樹脂、ポリエーテルエステルアミド、界面活性剤並びにタルク、マイカ、臭素含有芳香族化合物およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも１種をそれぞれ特定の配合量で添加することによりウイルス性を発現しつつ耐衝撃性および安定的な帯電防止性に優れる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記課題は下記構成により解決される。
【０００７】
（構成１）
（Ａ）ポリカーボネート系樹脂（Ａ成分）５０～９９重量部および（Ｂ）スチレン系樹脂（Ｂ成分）５０～１重量部の合計１００重量部に対し、（Ｃ）ポリエーテルエステルアミド（Ｃ成分）１～６０重量部、（Ｄ）界面活性剤（Ｄ成分）０．２～３０重量部並びに（Ｅ）タルク、マイカ、臭素含有芳香族化合物およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも１種（Ｅ成分）０．１～６０重量部を含むことを特徴とする樹脂組成物。
（構成２）
Ｂ成分がＡＢＳ樹脂、ＡＳ樹脂およびＭＢＳ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも１種のスチレン系樹脂であることを特徴とする前構成１記載の樹脂組成物。
（構成３）
Ｄ成分がアニオン系界面活性剤であることを特徴とする前構成１または２記載の樹脂組成物。
（構成４）
抗ウイルス活性値が２．０以上である前構成１～３のいずれかに記載の樹脂組成物。
（構成５）
前構成１～４のいずれかに記載の樹脂組成物よりなる成形品。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物は、様々な環境下における十分な抗ウイルス性、耐衝撃性および帯電防止性に優れることから不特定多数が使用し接触し得る、トイレ、洗面化粧台関連のプラスチック部品、タブレット、ノートパソコン、スマートフォン、デジタルカメラ、医療用モニター、ＰＯＳ、事務機、プリンター、テレビなどの外装、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、各種ボタンやスイッチ、ドアノブ、アミューズメント関連のプラスチック部品およびモビリティ関連の各種プラスチック部品などに有用であり、静電気を嫌うＥＥ用途には特に有用である。したがって、本発明の奏する産業上の効果は格別である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の詳細について説明する。
【００１０】
＜Ａ成分：ポリカーボネート系樹脂＞
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
（【００１１】以降は省略されています）

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