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公開番号
2025097098
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-30
出願番号
2023213181
出願日
2023-12-18
発明の名称
ポリヒドロキシアルカン酸、組換え水素酸化細菌、及びポリヒドロキシアルカン酸の製造方法
出願人
国立大学法人東京科学大学
,
帝人株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12P
7/625 20220101AFI20250623BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】安価な炭素源の存在下に、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAの製造方法を提供する。
【解決手段】重量平均分子量(Mw)が100万以上で、α位にメチル基を有するモノマー成分を含み、前記モノマー成分が3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸(3H2MP)である、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA);3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(hbdH)遺伝子を欠損させた、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHA生産能を有する、遺伝子欠損水素酸化細菌;並びに、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAの製造方法であって、(i)PHA重合酵素を有するhbdH遺伝子欠損水素酸化細菌を作製する工程;(ii)前記遺伝子欠損水素酸化細菌を炭素源存在下に培養する工程、及び(iii)培養物から、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むαPHAを採取する工程を含む、製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
重量平均分子量(Mw)が100万以上である、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むポリヒドロキシアルカン酸(PHA)であって、前記α位にメチル基を有するモノマー成分が3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸(3H2MP)である、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(hbdH)遺伝子を欠損させた、共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する遺伝子欠損水素酸化細菌であって、前記共重合PHAがα位にメチル基を有するモノマー成分を含む、遺伝子欠損水素酸化細菌。
【請求項3】
α位にメチル基を有するモノマー成分を含むポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法であって、
(i)PHA重合酵素を有する3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(hbdH)遺伝子欠損水素酸化細菌を作製する工程;
(ii)前記遺伝子欠損水素酸化細菌を炭素源存在下に培養する工程、及び
(iii)培養物から、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAを採取する工程
を含む、製造方法。
【請求項4】
前記工程(i)が、前記遺伝子欠損水素酸化細菌に広基質特異性のPHA重合酵素をコードする遺伝子を導入する工程を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記炭素源が、糖及び/又は二酸化炭素である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記二酸化炭素が、二酸化炭素を1~20%(v/v)で含む混合ガスである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記糖がフルクトースである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程(ii)において、α位にメチル基を有するモノマー成分の前駆体を更に添加する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項9】
前記前駆体が、メタクリル酸及び/又は分岐アミノ酸である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記分岐アミノ酸が、バリン又はイソロイシンである、請求項9に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、α位にメチル基を有する特定のモノマー成分を含む高分子量のポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、共重合PHA生産能を有する、特定の遺伝子を欠損ささせた水素酸化細菌、及び、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAを製造する方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
3-ヒドロキシアルカン酸の重合体であるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は微生物が細胞内に蓄積するバイオポリエステルである。近年では、生分解性プラスチック素材としてのみならず、バイオマス由来のプラスチック素材として注目されている。
【0003】
最も一般的なPHAである、(R)-3-ヒドロキシブタン酸(3HB)を構成成分とするホモポリマー(以下、適宜、「P(3HB)」と表記)は結晶性であるため、加工時間を短縮できる一方、硬くて脆く、実用性に乏しい。また、溶融時にポリマーが低分子量化してしまうなど成型加工時の劣化が問題となり、工業生産には向いていない。この物性を改善する手段の一つとして、3HBと他のモノマーとの共重合体(以下、PHAの共重合体を、適宜、「共重合PHA」と表記)が種々開発されてきた。
【0004】
一方、吉草酸や酪酸などのα位にメチル基を有さないモノマー成分を含むPHAは、耐熱性(分解温度)が低いのに対して、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸(3H2MB)や3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸(3H2MP)などの、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAは、耐熱性に優れ、結晶化速度が速く、高性能な生分解性プラスチックとして使用できる。例えば、本発明者らは、炭素源と、3H2MBの前駆物質(チグリン酸)との存在下に、3H2MBを高分率で含む共重合PHAの合成を報告している(特許文献1)。その他、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAの合成は多数報告されている(非特許文献1~5)。
【0005】
しかしながら、当該モノマー成分を導入するためには、チグリン酸のような高価な前駆体を使用する必要があった(特許文献1、非特許文献1~5)。また、添加した前駆体の細胞毒性により菌体収量及びPHA生産量が低下するという課題があった(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第7133187号明細書
【非特許文献】
【0007】
D. O. I. Yoshiharu, K. Shiro, 1995 [Online]. Available: https://lens.org/183-171-147-994-584
Furutate S, Nakazaki H, Maejima K, Hiroe A, Abe H, Tsuge T, (2017), J. Polym. Res., 24: 221, https://doi.org/10.1007/s10965-017-1392-3
Furutate S, Abe H, Tsuge T, (2021), Polymer Journal, 53:1451-1457, https://doi.org/10.1038/s41428-021-00545-4
Furutate S, Kamoi J, Nomura C T, Taguchi S, Abe H, Tsuge T, (2021), NPG Asia Materials, 13:31, https://doi.org/10.1038/s41427-021-00296-x
Vermeer C M, Bons L J, Kleerebezem R, (2022) Appl. Microbiol. Biotechnol., 106:605-618, https://doi.org/10.1007/s00253-021-11742-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、前駆体を使用することなく、安価な炭素源の存在下に、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAを製造する方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、斯かる実状に鑑み鋭意検討した結果、PHAの生合成経路において3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル-CoAから3-ヒドロキシバレリル-CoA(3HV-CoA)への反応を触媒する酵素群のうち、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(HbdH)をコードする遺伝子を水素酸化細菌のゲノムから欠損させた組換え水素酸化細菌を作製し、当該組換え水素酸化細菌を用いることによって、α位にメチル基を有するモノマー成分の前駆体を使用することなく、α位にメチル基を有するモノマー成分を第2成分の1つとして含むPHAが効率よく得られることを見出し、本発明を完成させた。また、HbdHをコードする遺伝子を欠損させると、高分子量のPHAを与えることも見出した。
【0010】
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)重量平均分子量(Mw)が100万以上である、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むポリヒドロキシアルカン酸(PHA)であって、前記α位にメチル基を有するモノマー成分が3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸(3H2MP)である、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)。
(2)3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(hbdH)遺伝子を欠損させた、共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する遺伝子欠損水素酸化細菌であって、前記共重合PHAがα位にメチル基を有するモノマー成分を含む、遺伝子欠損水素酸化細菌。
(3)α位にメチル基を有するモノマー成分を含むポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法であって、
(i)PHA重合酵素を有する3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(hbdH)遺伝子欠損水素酸化細菌を作製する工程;
(ii)前記遺伝子欠損水素酸化細菌を炭素源存在下に培養する工程、及び
(iii)培養物から、α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAを採取する工程
を含む、製造方法。
(4)前記工程(i)が、前記遺伝子欠損水素酸化細菌に広基質特異性のPHA重合酵素をコードする遺伝子を導入する工程を含む、(3)に記載の製造方法。
(5)前記炭素源が、糖及び/又は二酸化炭素である、(3)又は(4)に記載の製造方法。
(6)前記二酸化炭素が、二酸化炭素を1~20%(v/v)で含む混合ガスである、(5)に記載の製造方法。
(7)前記糖がフルクトースである、(5)又は(6)に記載の製造方法。
(8)前記工程(ii)において、α位にメチル基を有するモノマー成分の前駆体を更に添加する、(3)~(7)のいずれか1に記載の製造方法。
(9)前記前駆体が、メタクリル酸及び/又は分岐アミノ酸である、(8)に記載の製造方法。
(10)前記分岐アミノ酸が、バリン又はイソロイシンである、(9)に記載の製造方法。
(11)前記α位にメチル基を有するモノマー成分が、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸(3H2MP)である、(3)~(10)のいずれか1に記載の製造方法。
(12)前記α位にメチル基を有するモノマー成分が、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸(3H2MB)である、(3)~(10)のいずれか1に記載の製造方法。
(13)炭素源としてのフルクトースに加えて、イソロイシンを添加する、(12)に記載の製造方法。
(14)前記α位にメチル基を有するモノマー成分を含むPHAが、3-ヒドロキシバレリル酸(3HV)をモノマー成分として実質的に含まない、(3)~(13)のいずれか1に記載の製造方法。
(15)前記工程(i)が、2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子、及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を導入する工程を更に含む、(3)~(14)のいずれか1に記載の製造方法。
(16)前記工程(i)が、3-ケトチオラーゼ(bktB)遺伝子を導入する工程を更に含む、(3)~(15)のいずれか1に記載の製造方法。
(17)前記水素酸化細菌が、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)である、(3)~(16)のいずれか1に記載の製造方法。
(18)前記PHA重合酵素遺伝子が、アエロモナス・キャビエ(Aeromon caviae)由来のPHA重合酵素の149番のアスパラギンがセリンに、かつ171番のアスパラギン酸がグリシンに置換されたPHA重合酵素変異体をコードするものである、(4)~(17)のいずれか1に記載の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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