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公開番号
2025097299
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-30
出願番号
2024214031
出願日
2024-12-06
発明の名称
組換え水素酸化細菌、及びポリヒドロキシアルカン酸の製造方法
出願人
国立大学法人東京科学大学
,
帝人株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
1/21 20060101AFI20250623BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】第2成分の前駆体を使用せずに、第2成分の導入分率が強化された共重合PHAの製造方法の提供。
【解決手段】モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を有し、共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する、組換え水素酸化細菌;及び、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法であって、
(i)モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を、PHA重合酵素を有する水素酸化細菌に導入して、前記水素酸化細菌の形質転換体を得る工程、
(ii)得られた形質転換体を炭素源の存在下に培養する工程、及び
(iii)培養物から共重合PHAを採取する工程
を含む、製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を有し、共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する、組換え水素酸化細菌。
続きを表示(約 960 文字)
【請求項2】
モノマー供給強化遺伝子として3-ケトチオラーゼ(bktB)遺伝子をさらに有する、請求項1に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項3】
前記共重合PHA中の第2成分の導入分率が、いずれのモノマー供給強化遺伝子も有しない水素酸化細菌によって製造された共重合PHA中の当該第2成分の導入分率と比べて高い、請求項1に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項4】
前記第2成分の導入分率が少なくとも1mol%である、請求項3に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項5】
前記第2成分が、3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)及び/又は3-ヒドロキシ-4-メチル吉草酸(3H4MV)である、請求項3に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項6】
前記水素酸化細菌が、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)である、請求項1に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項7】
前記モノマー供給強化遺伝子を水素酸化細菌のゲノムDNAに有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組換え水素酸化細菌。
【請求項8】
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法であって、
(i)モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を、PHA重合酵素を有する水素酸化細菌に導入して、前記水素酸化細菌の形質転換体を得る工程、
(ii)得られた形質転換体を炭素源の存在下に培養する工程、及び
(iii)培養物から共重合PHAを採取する工程
を含む、製造方法。
【請求項9】
前記工程(i)において、モノマー供給強化遺伝子として3-ケトチオラーゼ(bktB)遺伝子をさらに導入する、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記モノマー供給強化遺伝子が、水素酸化細菌のゲノムDNAに直接組み込むことによって導入されるか、又は、当該遺伝子を有するプラスミドの水素酸化細菌への導入によって導入される、請求項8に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のモノマー供給強化遺伝子を有する共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する組換え水素酸化細菌に関する。また、本発明は、当該モノマー供給強化遺伝子を導入した、PHA重合酵素を有する組換え水素酸化細菌を用いるPHAの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
3-ヒドロキシアルカン酸のホモポリマー又は共重合体であるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、微生物が細胞内に蓄積するバイオポリエステルである。近年では、生分解性プラスチック素材としてのみならず、バイオマス由来のプラスチック素材として注目されている。
【0003】
最も一般的なPHAである、(R)-3-ヒドロキシブタン酸(3HB)を構成成分とするホモポリマー(以下、適宜、「P(3HB)」と表記)は結晶性であるため、加工時間を短縮できる一方、硬くて脆く、実用性に乏しい。また、溶融時にポリマーが低分子量化してしまうなど成型加工時の劣化が問題となり、工業生産には向いていない。この物性を改善する手段の一つとして、3HBと他のモノマーとの共重合体(以下、PHAの共重合体を、適宜、「共重合PHA」と表記)が種々開発されてきた。
【0004】
例えば、3HBに加えて第2成分として3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)及び3-ヒドロキシ-4-メチル吉草酸(3H4MV)を含む共重合PHAは、柔軟な物性を有する。当該共重合PHAは、水素酸化細菌にプロピオン酸や4-メチル吉草酸を前駆体として供給することによって生合成される。
【0005】
具体的には、本発明者らは、4-メチル吉草酸を前駆体として、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)61-3株由来のPHA重合酵素(PhaC1
Ps
)遺伝子を導入した水素酸化細菌ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)PHB
-
4株を培養して、共重合PHAであるP(3HB-co-3HV-co-3H4MV)を生合成している(非特許文献1)。また、本発明者らは、ロイシンを前駆体として、当該ラルストニア・ユートロファPHB
-
4株を培養して、P(3HB-co-3HV-co-3H4MV)を生合成している(非特許文献2)。
【0006】
しかしながら、4-メチル吉草酸などの前駆体は一般に高価である。また、一般に、細胞に対して毒性が高いために、細胞成長を阻害し、微生物におけるPHA蓄積を低下させる。遺伝子組換え水素酸化細菌を用いることにより、前駆体なしに、糖や二酸化炭素を単一炭素源として3HV及び3H4MVを含む共重合PHAを生合成することも可能であるが、当該モノマー成分の導入分率が1~2mol%と低い(非特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Tanadchangsaeng N, Kitagawa A, Yamamoto T, Abe H, Tsuge T (2009), Biomacromolecules. 10: 2866-2874)
Saika A, Watanabe Sudesh K, Abe H, Tsuge T (2011), AMB Express, 1:6
Miyahara Y, Yamamoto M, Thorbecke R, Mizuno S, Tsuge T (2020), Biotechnol. Lett., 42, 1655-1662
Saika A, Ushimaru K, Mizuno S, Tsuge T (2015), J Bacteriol 197:1350-1359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、第2成分の前駆体を使用せずに、第2成分の導入分率が強化された共重合PHAの製造方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、斯かる実状に鑑み鋭意検討した結果、PHA生合成経路に係る少なくとも特定の2つのモノマー供給強化遺伝子を有する水素酸化細菌を作製し、炭素源存在下に当該組換え水素酸化細菌を培養することにより、第2成分の前駆体を使用しなくても、第2成分の導入分率が強化された共重合PHAを製造することができることを見出し、本発明を完成させた。特に、本発明者らは、特定の3つのモノマー供給強化遺伝子を有する水素酸化細菌が、第2成分の導入分率が強化され、かつPHAの生産性が増加した共重合PHAを製造することができることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を有し、共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産能を有する、組換え水素酸化細菌。
(2)モノマー供給強化遺伝子として3-ケトチオラーゼ(bktB)遺伝子をさらに有する、(1)に記載の組換え水素酸化細菌。
(3)前記共重合PHA中の第2成分の導入分率が、いずれのモノマー供給強化遺伝子も有しない水素酸化細菌によって製造された共重合PHA中の当該第2成分の導入分率と比べて高い、(1)又は(2)に記載の組換え水素酸化細菌。
(4)前記第2成分の導入分率が少なくとも1mol%である、(3)に記載の組換え水素酸化細菌。
(5)前記第2成分が、3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)及び/又は3-ヒドロキシ-4-メチル吉草酸(3H4MV)である、(3)又は(4)に記載の組換え水素酸化細菌。
(6)前記水素酸化細菌が、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)である、(1)~(5)のいずれか1に記載の組換え水素酸化細菌。
(7)前記モノマー供給強化遺伝子を水素酸化細菌のゲノムDNAに有する、(1)~(6)のいずれか1に記載の組換え水素酸化細菌。
(8)ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法であって、
(i)モノマー供給強化遺伝子として少なくとも2-ケト酸デカルボキシラーゼ(kivd)遺伝子及びフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(padA)遺伝子を、PHA重合酵素を有する水素酸化細菌に導入して、前記水素酸化細菌の形質転換体を得る工程、
(ii)得られた形質転換体を炭素源の存在下に培養する工程、及び
(iii)培養物から共重合PHAを採取する工程
を含む、製造方法。
(9)前記工程(i)において、モノマー供給強化遺伝子として3-ケトチオラーゼ(bktB)遺伝子をさらに導入する、(8)に記載の製造方法。
(10)前記モノマー供給強化遺伝子が、水素酸化細菌のゲノムDNAに直接組み込むことによって導入されるか、又は、当該遺伝子を有するプラスミドの水素酸化細菌への導入によって導入される、(8)又は(9)に記載の製造方法。
(11)前記モノマー供給強化遺伝子が、水素酸化細菌のゲノムDNAに直接組み込むことによって導入される、(10)に記載の製造方法。
(12)前記PHA重合酵素を有する水素酸化細菌が、水素酸化細菌に広基質特異性のPHA重合酵素をコードする遺伝子を導入することによって得られる、(8)~(11)のいずれか1に記載の製造方法。
(13)前記炭素源が糖又は二酸化炭素である、(8)~(12)のいずれか1に記載の製造方法。
(14)前記糖がフルクトースである、(13)に記載の製造方法。
(15)前記二酸化炭素が、二酸化炭素を1~20%(v/v)の範囲で含む混合ガスである、(13)に記載の製造方法。
(16)前記工程(ii)において、第2成分の前駆体を添加しない、(8)~(15)のいずれか1に記載の製造方法。
(17)前記共重合PHA中の第2成分の導入分率が、いずれのモノマー供給強化遺伝子も導入されていない水素酸化細菌によって製造された共重合PHA中の当該該第2成分の導入分率と比べて高い、(8)~(16)のいずれか1に記載の製造方法。
(18)前記第2成分が、3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)及び/又は3-ヒドロキシ-4-メチル吉草酸(3H4MV)である、(17)に記載の製造方法。
(19)前記水素酸化細菌が、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)である、(8)~(18)のいずれか1に記載の製造方法。
(20)前記PHA重合酵素遺伝子が、アエロモナス・キャビエ(Aeromon caviae)由来のポリヒドロキシアルカン酸重合酵素の149番のアスパラギンがセリンに、かつ171番のアスパラギン酸がグリシンに置換されたPHA重合酵素変異体(NSDG)、又はプレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)由来のPHA重合酵素(Psh)をコードするものである、(8)~(19)のいずれか1に記載の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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