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公開番号2025041775
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-26
出願番号2024225763,2022580808
出願日2024-12-20,2021-07-01
発明の名称融合タンパク質ワクチンプラットフォームの構築と応用
出願人中国科学院生物物理研究所,INSTITUTE OF BIOPHYSICS OF THE CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
代理人弁理士法人 津国
主分類A61K 39/00 20060101AFI20250318BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ウイルス、細菌、または腫瘍抗原に対する生体の反応を増強するワクチンのプラットフォームを提供する。
【解決手段】本発明は、インターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(または抗体)およびTh細胞ヘルパーエピトープを含有する融合タンパク質を含むワクチンを提供する。また、本発明は、予防的または治療的組成物を調製するための、インターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(または抗体)およびTh細胞ヘルパーエピトープを含有する融合タンパク質の使用に関する。本発明のワクチンは、真核細胞発現系によって産生され、野生型および様々な変異型抗原ワクチンを調製でき、皮下/筋肉または鼻腔などの免疫経路により接種することにより、生体の強力な免疫応答を引き起こすことができる。本発明のワクチンは、予防ワクチンまたは治療ワクチンとして使用することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ワクチンであって、構造単位としてインターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(または抗体Ab)を含有する融合タンパク質を含み、
前記インターフェロンは、第1の構造単位であり、I型インターフェロン、II型インターフェロン、および/またはIII型インターフェロン、例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-λ1(IL-29)、IFN-λ2(IL-28a)、IFN-λ(IL-28b)およびIFN-ωであり得、前記インターフェロンは、ヒト由来であってもよいし、ネズミ由来であってもよく、好ましくは、前記インターフェロンは、I型インターフェロン、例えば、IFN-α、例えば、マウスIFN-α4、ヒトIFN-α2、ヒトIFN-α2の変異体(ヒトおよびマウスのIFN受容体に結合する)、例えば、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22アミノ酸配列で示されるものであり、
前記標的抗原は、第3の構造単位であり、前記標的抗原は、例えば腫瘍抗原、病原体抗原、例えばウイルスまたは細菌抗原であり得、前記標的抗原は、例えば、野生型とは異なる変異標的抗原であり得、前記変異標的抗原は、例えば、野生型抗原の天然の点変異/欠失変異/増加変異/切断体、人工的な点変異/欠失変異/増加変異/切断体、天然または人工変異の任意の組み合わせ、変異後に生成のサブタイプを含み、ここで、前記ウイルスは例えばSARS-COV-2であり得、または、ここで、前記標的抗原は例えばSARS-COV-2ウイルスSタンパク質全長またはS1領域であり得、例えば前記標的抗原はSEQ ID NO: 76またはSEQ ID NO: 77で示される抗原であり得、
前記免疫グロブリンFc領域(または抗体)は、第2の構造単位であり、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4および/またはIgMの定常領域アミノ酸配列、例えば、IgG1のFc領域、および、ヘテロ二量体を形成するために用いられるIgG1-Fc-holeおよびIgG1-Fc-knobのアミノ酸配列SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24で示されるFc領域であり得、ここで、第2の構造単位としての前記抗体(例えば、抗体の重鎖や軽鎖、または単鎖抗体含み;略してAb)は、anti-PD-L1、anti-DEC205、anti-CD80/86などの抗体を含むDC標的活性化抗体であり得、
任意に、前記ワクチンは、標的ワクチンであり得、任意に、前記融合タンパク質は、1つまたは複数のTh細胞ヘルパーエピトープおよび/または連結フラグメントを含むこともできる、ワクチン。
続きを表示(約 5,800 文字)【請求項2】
前記標的抗原は、ウイルス抗原であり、前記ウイルスは、例えば、HBV、HPV、VZV、EBV、HSV-2、HIV、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、例えば、SARS-COV、SARS-COV-2、MERS-CoVであり得、例えば、前記抗原は、HBV抗原、例えば、HBV Pres1抗原、HBsAg抗原またはペプチド、例えば、adサブタイプまたはayサブタイプHBV Pres1抗原、例えば、SEQ ID NO: 6アミノ酸配列で示されるadサブタイプHBV Pres1抗原、例えば、SEQ ID NO: 26アミノ酸配列で示されるayサブタイプHBV Pres1抗原;例えば、HBV HBsAg抗原(各サブタイプおよびペプチドを含む)、例えば、SEQ ID NO: 7アミノ酸配列で示されるadrサブタイプHBV HBsAg抗原、例えば、SEQ ID NO: 27アミノ酸配列で示されるadwサブタイプHBV HBsAg抗原、例えば、SEQ ID NO: 28アミノ酸配列で示されるaywサブタイプHBV HBsAg抗原であり得;例えば、前記抗原は、例えば、SARS-COV-2抗原、例えば、SARS-COV2 RBD抗原;例えば、SEQ ID NO: 8アミノ酸配列で示されるSARS-COV2 RBD抗原、例えば、インフルエンザウイルス抗原、例えば、インフルエンザウイルスHA抗原、例えば、SEQ ID NO: 9アミノ酸配列で示されるインフルエンザウイルスHA抗原;例えば、HPV抗原、例えば、SEQ ID NO: 10アミノ酸配列で示されるHPV E7抗原;例えば、gE抗原、例えば、SEQ ID NO: 91アミノ酸配列で示される帯状疱疹ウイルス(VZV)gE抗原;例えば、EBV-gp350、例えば、SEQ ID NO: 92アミノ酸配列で示されるエプスタイン-バーウイルス(EBV)gp350タンパク質;例えば、gD抗原、例えば、SEQ ID NO: 93アミノ酸配列で示される単純ヘルペスウイルス2(HSV-2)gD抗原であり得;前記抗原は、例えば、EBV EBNA1/LMP2、VZV-IE62、HSV-2 ICP0、HIV gp120抗原であり得;
前記標的抗原は、変異ウイルス抗原であり得、例えば、前記ウイルス抗原のいずれかの変異体、例えば、SARS-COV-2の変異体、例えば、SARS-COV-2タンパク質(例えば、Sタンパク質、Nタンパク質、Mタンパク質、Eタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1つ)の天然の点変異/欠失変異/増加変異/切断体、人工的な点変異/欠失変異/増加変異/切断体、天然または人工変異の任意の組み合わせ、変異後に生成のサブタイプを含み、例えば、前記変異ウイルス抗原は、野生型SARS-COV-2のSタンパク質全長(SEQ ID NO: 76)、S1領域(SEQ ID NO: 77)、RBD領域(SEQ ID NO: 78)の変異体であってもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SARS-COV-2のSタンパク質のNTD領域69-70欠失、Y144欠失、242-244欠失、L18F、D80A、D215、R246I変異、RBD領域K417、E484、N501Y、L452R変異、D614G、H655Y変異からなる群より選ばれる少なくとも1つの変異を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、英国のB.1.1.7(501Y.1)変異株、南アフリカのB.1.351(501Y.2)変異株、ブラジルのP1(501Y.3)変異株、カリフォルニアB.1.429変異株に由来する変異を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SEQ ID NO: 79、SEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81、SEQ ID NO: 82のいずれか1つで示される変異の変異体を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SEQ ID NO: 79、SEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81、SEQ ID NO: 82のいずれか1つで示される配列の変異体を含んでもよく、
前記ウイルス抗原は、B細胞およびT細胞の応答を増強するヘルパーポリペプチドエピトープを融合し得、前記ヘルパーポリペプチドエピトープは、抗原エピトープのN末端またはC末端に位置し得、例えば、Pan HLA DR-binding エピトープ(PADER)、例えば、SEQ ID NO: 3アミノ酸配列で示されるものであり得、
各構造単位の連結フラグメントは、フレキシブルポリペプチド配列であり、連結フラグメント1および2、例えば、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 25アミノ酸配列で示されるものであり得、
前記構造単位からなる各ポリペプチド配列のN末端には、いずれも、タンパク質分泌を促進できる対応するシグナルペプチド、例えば、SEQ ID NO: 5アミノ酸配列で示されるものが含まれ、
前記ワクチンは、真核発現系、例えば、真核発現系293F、CHO細胞によって産生され得る、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
前記標的抗原は、腫瘍抗原、例えば腫瘍細胞高発現タンパク質分子であり、例えば、前記抗原は、ヒト上皮成長因子受容体2(human epidermal growth factor receptor 2、HER2/neu)および上皮成長因子(Epidermal growth factor receptor、EGFR);例えば、腫瘍細胞高発現タンパク質分子Her2およびその各機能領域と切断体、例えば、SEQ ID NO: 85、86、97、88、89、90で示される抗原およびその変異体であり得る、請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項4】
前記融合タンパク質は、ホモ二量体またはヘテロ二量体融合タンパク質であり、任意に、前記融合タンパク質は、また、ホモ二量体またはヘテロ二量体の任意の1つまたは2つの鎖(すなわち、第1のポリペプチド鎖および/または第2のポリペプチド鎖)に、1つまたは複数のTh細胞ヘルパーエピトープおよび/または連結フラグメントを含んでもよく、
任意に、前記ホモ二量体融合タンパク質は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、前記第1のポリペプチド鎖および前記第2のポリペプチド鎖は完全に同一であり、例えば、前記第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖は、N末端からC末端の順に、IFN、標的抗原および免疫グロブリンFc領域(またはAb)を含むか、または3つの構造単位の任意の組み合わせ順序でポリペプチドを形成して、ホモ二量体を生成し;好ましくは、N末端からC末端の順に、IFN、標的抗原および免疫グロブリンFc領域(またはAb)を含み;Th細胞ヘルパーエピトープの融合タンパク質をさらに含んでもよく、
任意に、前記ヘテロ二量体融合タンパク質は、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含み、前記第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖は同じポリペプチド鎖ではなく、例えば、前記第1のポリペプチド鎖は、N末端からC末端の順に、IFNおよび免疫グロブリンFc領域(またはAb)を含むか、またはN末端からC末端の順に、免疫グロブリンFc領域(またはAb)およびIFNを含んでもよく、前記第2のポリペプチド鎖は、標的抗原および免疫グロブリンFc領域(またはAb)を含んでもよく、ここで、標的抗原はN末端に位置し、免疫グロブリン領域(またはAb)はC末端に位置するか、または免疫グロブリン領域(またはAb)はN末端に位置し、標的抗原はC末端に位置するか、または3つの構造単位の任意の組み合わせ順序でポリペプチドを形成して、ヘテロ二量体を生成し;好ましくは、IFNおよび標的抗原は、それぞれ2つのポリペプチドのN末端に位置し、免疫グロブリンFc領域(またはAb)は、2つのポリペプチドのC末端に位置し;Th細胞ヘルパーエピトープの融合タンパク質をさらに含んでもよい、請求項1~3のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項5】
1)前記ホモ二量体の第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、SEQ ID NO: 11、12、13、14、29、30、31、32、38、39、40、47、48、49、50、51、56、57、59、58、65、66、67、68で示されるアミノ酸配列を含んでもよく、
2)前記ヘテロ二量体の第1のポリペプチドは、SEQ ID NO: 15、33、42、51、60、69で示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO: 16、17、18、19、34、35、36、37、43、44、45、46、52、53、54、55、61、62、63、64、70、71、72、73で示されるアミノ酸配列を含んでもよく、
3)前記抗体は、DC標的化抗体、免疫チェックポイント遮断抗体、免疫活性化抗体などを含んでもく、例えば、anti-PD-L1抗体(SEQ ID NO: 20)、anti-DEC205抗体、anti-CD80/86などの抗体アミノ酸配列を含有する、請求項4に記載のワクチン。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチンにおける融合タンパク質をコードする核酸分子、前記核酸分子を含む発現ベクター、または、前記核酸分子もしくは発現ベクターを含む宿主細胞、例えば、真核細胞。
【請求項7】
組成物、キット、組換え微生物または細胞株の調製における、請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチンにおける融合タンパク質の使用であって、前記組成物または前記キットは、例えば、医薬組成物、医薬キット、免疫原性組成物または免疫原性キットである、使用。
【請求項8】
前記組成物または前記キットは、腫瘍または病原体の予防または治療に用いられ、例えば、ウイルスまたは細菌の予防または治療に用いられ、前記ウイルスは、HBV、HPV、EBV、インフルエンザウイルス、HIV、コロナウイルス、例えばSARS-COV、SARS-COV-2、MERS-CoVであり得、例えば、前記組成物または前記キットは、B型肝炎予防または治療ワクチン、HBV予防または治療ワクチン、インフルエンザ予防または治療ワクチン、SARS-COV2予防または治療ワクチン、HPV予防または治療ワクチン、HPV関連腫瘍予防または治療ワクチン、EBV予防または治療ワクチン、EBV関連腫瘍予防または治療ワクチン、HIV予防または治療ワクチンである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記ワクチン、前記組成物または前記キットは、筋肉内、静脈内、経皮、皮下または鼻などの免疫経路によって接種することができ、前記ワクチン、前記組成物または前記キットは、アジュバントをさらに含んでもよく、前記アジュバントは、アルミニウムアジュバント(Alum)、Toll様受容体4アクチベーターリガンドMPLA、Toll様受容体9リガンド、オリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)、M59、およびフロイントアジュバントを含んでもよい、請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチン、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
前記ワクチンは、別の予防または治療療法と組み合わせて使用することができ、例えば、前記ワクチンはHBV治療ワクチンであり、前記HBV治療ワクチンは、別の予防または治療HBV療法と組み合わせて使用することができ、例えば、前記HBV治療ワクチンは、B型肝炎ウイルスエンベロープタンパク質HBsAgワクチンと組み合わせて使用することができ、例えば、慢性B型肝炎ウイルス感染症の治療に用いられ、例えば、前記HBV治療ワクチンは、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体と組み合わせて使用することができ、例えば、慢性B型肝炎ウイルス感染症の治療に用いられ、例えば、インフルエンザ、SARS-COV2、HPV、EBV、HIV予防または治療ワクチンなどとして、抗ウイルス薬および他の治療法との組み合わせ使用に用いられ、HPV、EBV関連腫瘍予防または治療ワクチンとして、抗ウイルスや腫瘍薬および治療法との組み合わせ使用に用いられ、例えば、ワクチンの一成分としての請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチンのいずれかと他のウイルスもしくは病原体または腫瘍ワクチンからなる多価混合ワクチン、例えば、請求項1~5のいずれか1項に記載のSARS-COV-2ワクチンのいずれかとインフルエンザワクチンまたは他のワクチンとからなる多価混合ワクチン、例えば、請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチンのいずれかが同じウイルス、病原体、腫瘍のアデノウイルスワクチンもしくはmRNAワクチンもしくは不活化ワクチンもしくはDNAワクチンと、順次または同時の免疫手順で免疫化し、例えば、SARS-COV-2融合タンパク質ワクチンがSARS-COV-2のアデノウイルスワクチンもしくはmRNAワクチンもしくは不活化ワクチンもしくはDNAワクチンと、順次または同時の免疫手順で免疫化し、例えば、免疫化の順序は、1)最初に本発明のSARS-COV-2融合タンパク質ワクチンを免疫し、次に他のワクチンを免疫することと、2)最初にSARS-COV-2のアデノウイルスワクチンもしくはmRNAワクチンもしくは不活化ワクチンもしくはDNAワクチンを免疫し、次にSARS-COV-2融合タンパク質ワクチンを免疫することと、3)SARS-COV-2融合タンパク質ワクチンと、SARS-COV-2のアデノウイルスワクチンもしくはmRNAワクチンもしくは不活化ワクチンもしくはDNAワクチンとを同時に免疫することである、請求項1~5のいずれか1項に記載のワクチン、請求項7または8に記載の使用。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学および生物医学技術の分野に属し、具体的には、ワクチン、例えば、インターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(抗体)を主骨格として含有する融合タンパク質を含むワクチンに関するものである。本発明のワクチンは、ワクチンプラットフォームとして、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の予防、HPV、EBV、HIV、SARA-COV2、インフルエンザウイルス感染の予防およびHPV、EBV関連腫瘍の発生の予防、ならびに、慢性B型肝炎(chronic hepatitis B、CHB)感染の治療、HBV、HP、EBV関連腫瘍の治療に使用されるものである。
続きを表示(約 6,000 文字)【背景技術】
【0002】
世界では、約2億5700万人が慢性的にウイルスに感染しており、毎年約88700人が肝不全、肝硬変、肝細胞癌などのHBVが原因の末期肝疾患で亡くなっている
[1-3]
。肝硬変患者の約30%はHBVが原因であり、肝細胞癌(HCC)の約40%はHBVが原因である。B型肝炎ウイルス感染は、依然として世界中で主要な公衆衛生上の問題となっている
[4]
。しかし、慢性B型肝炎の有効な治療法はまだない。既存のHBV治療には、主に抗ウイルス薬(ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ)とインターフェロンが含まれる。これらは一定の治療効果があるが、通常は有効な免疫応答を誘導することができないため、HBV感染を完全に除去することができない。そして、長期投薬による副作用は比較的大きく、抗ウイルス薬も薬剤耐性を生じることがある。慢性HBV感染は、人間の健康を脅かす主要な疾患の1つであり、慢性B型肝炎に対する効果的な免疫療法戦略を模索することが急務であり、慢性B型肝炎の治療ワクチンの開発は、社会的・経済的に非常に重要である。
【0003】
季節性インフルエンザは、毎年100万人から400万人に深刻な病気を引き起こし、20万人から50万人が死亡している
[5]
。ワクチンは、インフルエンザを予防および制御するための最良の方法である。ワクチンは、特に、インフルエンザによる合併症のリスクがある幼児や高齢者では、病気の発生率を減らし、感染症の重症度を軽減することができる。現在承認されているインフルエンザワクチンは、健康な若年成人に十分な防御をもたらすが、対処する必要のある問題がまだいくつかある。例えば、一部のワクチン、例えば不活化インフルエンザワクチンや弱毒化インフルエンザワクチンの生産経路は、鶏胚に依存している。これらのワクチンの欠点は、流行している株が鳥類由来である場合、病気の流行によって、ワクチンと鶏胚の両方の需要が増加し、鶏胚の供給に問題が生じる可能性があることである
[6]
。もう1つの欠点は、これらのワクチンの製造に多くの時間がかかることである。高齢者は、インフルエンザウイルスの重篤な症候群になりやすいである。同時に、標準的なワクチンは一般的に高齢者にはあまり効果がなく、高齢者の免疫システムは年齢とともに徐々に弱まる
[7]
。現行のインフルエンザワクチンの問題点に鑑み、インフルエンザウイルスの流行に対応して、免疫原性が高く、鶏胚に依存せず、迅速に製造できるインフルエンザワクチンの開発が急務となっている。
【0004】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)は、2019年コロナウイルス感染症(COVID)の大流行を引き起こした病原体である。SARS-CoV-2による臨床症状は、主に無症候性感染、軽度のインフルエンザ様症状、肺炎および重度の急性呼吸窮迫症候群で、重症の場合、感染した患者が死亡する可能性がある
[8]
。現在、新型コロナウイルスに対する特効薬はなく、ワクチンは新型コロナウイルスの大流行を制御し終息させるための基本的な対策である
[9]
。また、新型コロナウイルス変異体の出現は、既存の候補ワクチンや流行の抑制に新たな課題をもたらす
[10]
。そのため、現在の流行状況下では、強力で新型コロナウイルス変異体にも作用できるワクチンが緊急に必要とされている。
【0005】
抗原が免疫グロブリンFc領域に連結していると、抗原の半減期が著しく延長され、免疫グロブリンFc領域が抗原提示細胞表面のFc受容体に結合できるため、抗原提示細胞による抗原の処理・提示が容易になる
[11-13]
。I型インターフェロンは、抗ウイルスサイトカインとして多くの生物活性を有しているが、その1つに免疫細胞の刺激作用がある
[14]
。IFNαは、ヒトDC細胞の分化と活性化を強力に誘導できる
[15]
。I型インターフェロンが未熟なDCsに作用した後、MHC class I、CD80およびCD86などのDCs細胞表面のMHC分子および共刺激分子の発現を促進し、それによってDCsがT細胞を活性化する能力を高めることができる
[16-18]
。I型インターフェロンは、ワクシニアウイルスおよびリンパ球性絨毛脳炎ウイルス(LCMV)に感染した後、DCsの抗原提示能力を促進できることが報告されている
[19-21]
。また、I型インターフェロンは、DCsに作用した後に、ケモカイン受容体の発現をアップレギュレートすることにより、DCsのリンパ節への移動を促進し、それによってT細胞のアクティベーションを促進することができる
[22、23]
。最近、I型インターフェロンが免疫アジュバントとして使用できることがますます多くの研究で示されている。Le Bonらの研究では、弱い免疫原でマウスを免疫すると、I型インターフェロンがマウスで強力な免疫アジュバント効果を示し、長期間の抗体と免疫記憶を誘導することを示した
[24]
。また、I型インターフェロンが作用する主な細胞集団がDC細胞であることを見出した。それとともに、抗体を用いて、ワクチンをDCに標的化して送達し、DCの活性化と交差提示機能を刺激し、ワクチンの活性と効力をさらに高めることができる。
【0006】
本発明には、ウイルス、細菌、または腫瘍抗原に対する生体の反応を増強するワクチンのプラットフォームを提供する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
ワクチンは、感染症の大流行を予防・制御する有効な方法であり、さまざまな種類のワクチンがあり、その1つがタンパク質サブユニットワクチンである。一般的に、単純なタンパク質サブユニットワクチンは、免疫原性が一般的に低いため、タンパク質サブユニットワクチンの使用が制限されることがよくある。したがって、汎用のタンパク質サブユニットワクチンのプラットフォームは、緊急に必要とされている。免疫系に対する免疫グロブリンFc領域およびI型インターフェロンの影響に基づいて、本発明者らは、ウイルス、細菌または腫瘍抗原に対する生体の反応を高めるために、インターフェロンα-ウイルス抗原、細菌または腫瘍-免疫グロブリンFc領域融合タンパク質ワクチンプラットフォームを特に提案した。本発明は、I型インターフェロン-タンパク質抗原-免疫グロブリンFcワクチンプラットフォームを提供し、I型インターフェロンは抗原提示細胞に作用してそれらを成熟および移動させ、抗原提示およびT細胞のアクティベーションの役割をより適切に果たすことができ、一方、当該ワクチンプラットフォームのFc部分は、抗原提示細胞の表面にあるFc受容体に結合して、抗原提示細胞による抗原の取り込みを促進し、さらに抗原提示細胞の機能を助けることができる。本発明者らは、Th細胞ヘルパーエピトープの融合を提案し、Th細胞ヘルパーエピトープの融合により、I型インターフェロン-タンパク質抗原-免疫グロブリンFcワクチンの免疫応答効果をさらに向上させることができ、当該ワクチンの重要な構成成分である。本発明者らは、anti-PD-L1などの抗体を使用してFcを置き換えることにより、ワクチンをDCに標的化して送達し、DCの活性化と交差提示機能を刺激し、ワクチンの活性と効力をさらに高めることを提案した。本発明は、新規ワクチンプラットフォームとして、ウイルス感染、細菌感染または腫瘍などの疾患の予防および治療ワクチンとして使用することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、インターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(または抗体)を含有する融合タンパク質(Thエピトープ付加)を含むワクチンを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、予防的または治療的組成物またはキット(例えば、薬物またはワクチン組成物またはキット)を調製するための、インターフェロン-標的抗原-免疫グロブリンFc領域(または抗体)を含有する融合タンパク質(Thエピトープ付加)の使用をさらに提供する。本発明のワクチンは、真核細胞発現系によって産生され、皮下/筋肉または鼻腔などの免疫経路によって接種することができる。本発明の融合ポリペプチドにおいて、そのうちの構造単位としての抗体(略してAb)は特に限定されず、例えば、完全な抗体、抗体のフラグメント例えば抗体の重鎖や軽鎖、または単鎖抗体を含んでもよいし、anti-PD-L1、anti-DEC205、anti-CD80/86などの抗体を含むDC標的活性化抗体であってもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的抗原は特に限定されず、任意の適切な抗原であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的抗原は、例えば、腫瘍抗原および/または病原体抗原(例えば、ウイルスまたは細菌抗原)であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的抗原は、例えば腫瘍抗原、例えば腫瘍細胞高発現タンパク質分子、例えばヒト上皮成長因子受容体2(human epidermal growth factor receptor 2、HER2/neu)、上皮成長因子(Epidermal growth factor receptor、EGFR)であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンで使用される標的抗原は、例えば、野生型とは異なる変異標的抗原であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的抗原は、例えば、腫瘍抗原および/または病原体抗原(例えば、ウイルスまたは細菌抗原)の変異体であり得る。いくつかの実施形態では、前記標的抗原は、例えば、SARS-COV-2ウイルスSタンパク質全長またはS1領域であり得、例えば、前記標的抗原は、SEQ ID NO: 76またはSEQ ID NO: 77で示される抗原であり得る。本明細書では、野生型標的抗原とは、野生型遺伝子によってコードされるウイルスまたは他の感染因子または腫瘍によって発現される免疫原性を有するタンパク質(野生型遺伝子とは、自然界で優勢な対立遺伝子を指し、生物学的実験において標準的な対照遺伝子として用いられることが多い)、例えば、SARS-CoV-2の元の野生型株に由来するSpikeタンパク質(Sタンパク質)を指す。本明細書では、変異標的抗原(変異体)とは、野生型遺伝子から変異した変異遺伝子によってコードされる変異ウイルス株によって発現される変異ウイルスタンパク質を指し、例えば、発見された異なる変異新型コロナウイルスSタンパク質の点変異は、NTD領域69-70欠失、Y144欠失、242-244欠失、L18F、D80A、D215、R246I変異、RBD領域K417、E484、N501Yなどの変異、L452R変異、T478K変異、D614G、H655Y変異を含む。例えば、これらの点変異は、英国のB.1.1.7(Alpha)変異株、南アフリカのB.1.351(Beta)変異株、ブラジルのP1(Gamma)変異株、インドのB.1.617、B.1.617.1(Kappa)、B.1.617.2(Delta)、B.1.617.3変異株、カリフォルニアB.1.429変異株などに由来する変異した新型コロナウイルスにさまざまな組み合わせで存在している。いくつかの実施形態では、変異標的抗原は、例えば、天然の点変異/欠失変異/増加変異/切断体、人工的な点変異/欠失変異/増加変異/切断体、天然または人工変異の任意の組み合わせ、変異後に生成のサブタイプを含んでもよく、ここで、前記標的抗原は、腫瘍抗原、病原体抗原、例えばウイルス(例えば、SARS-COV-2)または細菌抗原であり得る。いくつかの実施形態では、本発明で提供されるワクチンで使用される標的抗原は、変異ウイルス抗原であり、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SARS-COV-2の変異体であってもよく、例えば、SARS-COV-2タンパク質(例えば、Sタンパク質、Nタンパク質、Mタンパク質、Eタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1つ)の天然の点変異/欠失変異/増加変異/切断体、人工的な点変異/欠失変異/増加変異/切断体、天然または人工変異の任意の組み合わせ、変異後に生成のサブタイプを含み、例えば、前記変異ウイルス抗原は、Sタンパク質全長、S1領域、RBD領域の変異体であってもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SARS-COV-2のSタンパク質のNTD領域69-70欠失、Y144欠失、242-244欠失、L18F、D80A、D215、R246I変異、RBD領域K417、E484、N501Y変異、L452R変異、T478K変異、D614G、H655Y変異からなる群より選ばれる少なくとも1つの変異を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、英国のB.1.1.7(Alpha)変異株、南アフリカのB.1.351(Beta)変異株、ブラジルのP1(Gamma)変異株、インドのB.1.617、B.1.617.1(Kappa)、B.1.617.2(Delta)、B.1.617.3変異株、カリフォルニアB.1.429変異株に由来する変異を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SEQ ID NO: 79、SEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81のいずれか1つで示される変異の変異体を含んでもよく、例えば、前記変異ウイルス抗原は、SEQ ID NO: 79、SEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81、SEQ ID NO: 82、SEQ ID NO: 83、SEQ ID NO: 84のいずれか1つで示される配列の変異体を含んでもよい。本明細書では、特に断りのない限り、または、文脈によって明確に限定されていない限り、本明細書で言及の標的抗原は、一般的に、野生型標的抗原および変異体標的抗原を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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